二番隊隊舎・隠密機動
「帰ったぞ~!」
「お帰りなさいませ!夜一様!」
「おう!砕蜂!」
統括軍団長直属の護衛軍・砕蜂。彼女は、夜一の帰りを待っていた。
そもそも本来『二番隊』と『隠密機動』は同じ組織ではなかった。しかし現在は、四楓院夜一が二番隊隊長と隠密機動総司令官を兼任しているため、他の隊員達からは『二番隊=隠密機動』になってしまった。
「砕蜂。例の“死神狩り”はどうなっておる?」
「はっ!その事についてご説明します!」
砕蜂は、早速夜一に事件の調査について報告する。
「”死神狩り“について全ての流魂街へ向かいました。もちろん、目撃情報もないかと聞きましたが.........」
「目撃情報もないって事か。と言うことは、今回も収穫なしって事かのう。」
「はい......申し訳ございません夜一様。」
「気にするな砕蜂。お主も良くやったわ。」
落ち込む砕蜂を、手で優しく頭を撫でる夜一。頭を撫でられている砕蜂は、「よ、夜一様////」っと小声でとても嬉しそうにしていた。
「しっかし、情報は身長だけじゃ~な....ん?そーいえば、砕蜂。お主、身長いくつじゃ?」
「へへへ..../////」
「.........砕蜂?」
「はっ///!?し、身長は133cmでありまにゅ.....あります!!!」
二度目の声にようやく気づく砕蜂。夜一に頭を撫でられた事で、何かを妄想していたようだ。
「な、なぜ私の身長を?」
「いや、この情報のよれば、死神狩りと砕蜂の身長は似ているからのう。それに、白哉坊の身長も妙に似ておるからのう。」
「なるほど.....確かにそうですね。」
「しっかし、身長だけじゃとは言っても、そこらじゅうにおるから見つかるのに手間がかかるな。」
「目撃情報さえあれば見つけるのn「案外簡単かも知れませんッスよ。」!?」
「おう!喜助か!」
夜一と砕蜂の前に現れた浦原喜助。元々彼は夜一の元で二番隊第三席を務めていたので、気配や霊圧を隠す事が可能である。
*ちなみに、浦原喜助は、夜一の幼馴染であり良き友人でもある。
「浦原喜助!なぜ貴様がここに!?」
「お久しぶりですね砕蜂サン。とは言っても、数日前にあったばかりなんっスよね~。」
「それより喜助、お主は何しにきたんじゃ?まさか、挨拶だけしに二番隊隊舎へきたのじゃないだろうな?」
「いえいえ~、そんな事はありませんっスよ~。ただ夜一サンに報告がしたい事がありまして。」
「報告じゃと?まさか喜助、お主また新たな開発でもしておったか?確かにそれはそれで面白そうじゃが、今はしn…」
「死神狩りについてっスよ。」
「「!?」」
夜一と砕蜂は、浦原が口にした言葉に驚く。
「まさか.......見つけたのか!?死神狩りを!」
「えぇ。だからここへきたんっスよ。夜一サン達の協力も必要何です。」
「協力じゃと?喜助、どう言う意味じゃ?」
「えぇ............まずは.....」
西流魂街・四十二番地区
流魂街を歩く、一人の少年。
どこへ向かうこともなく、ひたすら歩き続ける。
顔を隠すために、深く被るフードを風に揺らせ、ふと、つぶやく、細い声。
「........................俺はなんなんだ?」
けほっ、と乾いた咳が響いた。
そう........この者こそが“死神狩り”である。
死神を狩り続けてから何日くらい経っただろうか。古びた家屋が立ち並ぶこの流魂街を歩き続けて、住人達とすれ違うこともある。彼らもぼんやりとした顔でうろついているが、自分よりは顔色が良かったように思う。
今まで斬ってきた死神達のように霊力もないから、話をする必要もない。なんて考えながら、すぐ側の木に寄りかかり、座りこんで休む。
この丘からは、瀞霊廷がよく見える。あちら側には、他の強い死神もいるだろうか?
「............死神を斬れるなら.........それでいい..........」
自身の“斬魄刀”を持ち、再び歩きだそうと木から離れて、立ち上がると、した時.....
「!.........近くにいるのか.......?」
すぐに立ち上がり、移動を開始した。死神狩りは、すぐ近くのに草むらの中に隠れる。そして、草むらの中から真っ黒な着物が目に入った。
「............アイツは........死神?」
真っ黒な和服を着る男が、辺りをキョロキョロと見回る。おそらく、自分の事を探しているだろう。あれだけの隊士達を自分の手で斬ったから、向こうも強く警戒しているだろう。しかも、その死神は斬魄刀も持っている。
「.........アイツも死神なら.........斬る.........」
死神狩りは、足音を立てずに、死神に斬りかかろうとする。斬魄刀を抜こうとした時に.........
「お主、それを持ってどうするつもりじゃ?♪」
「!?」
突然、横に褐色の女性が立っていた。彼はすぐに女性から距離を取り、体勢を立て直す。
「(な、なんだこの女!?どこから!?)」
「何じゃお主、そんなに儂から離れておって?お!もしかして、絶景の美女の隣にいるのが初めてか?♪」
「(足音が聞こえなかった!それに......何で俺が死神に近づくのをバレたんだ!?いつもだったら気づかないはずなのに!)」
内心で焦っている彼は、思考する。
「いや〜、作戦成功ですね夜一サン!」
「(あの死神......この女と仲間なのか!?)」
「何じゃ喜助。もう少し楽しい作戦は無かったか?案外物足りないぞ?」
「イヤイヤ夜一サン、これはあくまで“死神狩り”を誘き寄せる作戦ですから。」
そう、これは浦原が考えた死神狩りを誘き寄せる作戦である。
▼△▼
「(一応作戦は成功って事でいいっスよね。)」
夜一サンの協力によって、“死神狩り”サンを誘き寄せる事ができたっス。やはりボクの推測は正しかったっスね。
この作戦を実行する前に夜一サン達との会話を思い出しますね。
『死神狩りを誘き寄せる作戦じゃと?喜助、どう言う事じゃ?」
『えぇ、その通りでございます。そして、それを誘き寄せるには、ある物を使います。』
『ある物じゃと?』
『えぇ.........これです。』
『斬魄刀.........の破片?どう言う事じゃ、喜助?』
『実は、今回の事件現場に落ちてありました。おそらくですが、死神狩りサンは“斬魄刀を持つ物にしか襲わない”かと思います。』
『斬魄刀を!?何故そのような事を.....』
『さぁ〜、あくまでも自分の推測ですし、本当の目的は直接死神狩りサンに聞きに行かないといけませんっスね。』
『自分の推測.....だと?まさか、何の証拠も無しで、想像しただけなのか!?』
あ〜やっぱり砕蜂サンにはそう聞こえますか。ま〜確かにあくまでも自分の想像なんっスよね。ですが、ボクが考えた結果がこのような答えなんです。
『浦原喜助!こんな本当か嘘かが分からない想像w『良いではないか砕蜂。』....よ、夜一様!?』
『それで喜助。一体どんな作戦を考えたんじゃ?』
作戦はいたって簡単でした。まずは自分が囮になり、適当に流魂街で斬魄刀を持ちながら適当にブラブラと歩き続けたり、途中の居酒屋で飲んだりしていました。
「(しっかし、自分も危なかったっスね。)」
何故なら......死神狩りサンからは、
「喜助.........此奴は......」
「えぇ.....夜一サンの判断が遅ければ、今頃ボクは斬られたでしょう。」
もちろんボクも警戒していました。ただ、霊圧が全く感じる事ないので、油断しちゃいましたね。もしかして、死神狩りサンは霊圧を消す事ができるんっスか?
そんな事を考えているうちに、夜一サンが率いる隠密機動隊の人達も来ましたね。その中にも砕蜂サンもいました。
「さ〜って、次はどう捕獲すればいいんでしょうかね〜。」
できれば、おとなしくしていてくれれば嬉しいんですけどね〜。
▼△▼
「そこまでだ!死神狩り!!」
死神狩りに向かって声を出す砕蜂。そしてその周りには、二番隊の隠密機動隊が囲んでいる。普通だったら逃げ場がなく、おとなしく投降した方が身のためでもあるだろう。
「今隠密機動がお前を完全に囲んでいる!少しでも怪しい動きでもしたら......」
だが......目の前で自分を囲んでいる物は.........
彼にとって.......目の前にいる者は……
全て……
敵
「!!! 皆!離れろ!」
「「!?」」
いち早く異変に気付く夜一。そして、すぐに夜一の声に反応する浦原と砕蜂。二人もすぐに死神狩りからの離れた。
そしてその後、他の隠密機動隊もようやく気付いたが.........
斬!!!
わずか数秒で、数名の機動隊が死神狩りの斬撃で斬られてしまった。
「喜助!砕蜂!無事か!?」
「は、はい夜ー様!!」
「えぇ、何とか無事です!.......ですが.....」
浦原は、他の機動隊の様子を見る。
「ぐあぁぁぁぁ!」
「う、腕があぁぁ....」
30人近く集めた機動隊は、半数以上負傷してしまった。手足や胴体など斬られ、最悪動けない者もいる。
「なっ!?」
「いつの間に!?」
また斬られていない隊員達からは、捕える事ができると思った相手がいきなり包囲網を抜けた事と仲間が斬られた事に驚いているだろう。
「(あれだけの部隊を一瞬で!?しかも音も無く......もしも夜一様が声を掛けてくれなかったら....今頃私も....)」
「砕蜂!!」
「は、はい!!」
「負傷者を頼む!今動けるのは、砕蜂と無傷の隊員達だけじゃ!」
「よ、夜一様!しかし.....」
「安心せい!こっちは喜助と何とかする!」
「夜一様.........わ、分かりました!ご武運を!」
夜一の指示に従う砕蜂は、負傷者の方へ向かう。そして、死神狩りの前に立つ浦原と夜一は、警戒する。
「............」
死神狩りも2人の警戒し、斬魄刀を構える。
「「!?」」
浦原と夜一は、死神狩りか持つ斬魄刀を見て驚く。その斬魄刀は、刃に”赤黒く“塗ってあり、まるで一回も手入りしてないかにも見える。
「.....................死神狩りサン......もしかしてそれって.........“血”ですか?」
「............」
浦原の質問に何も答えない。だが、刃からは微かに乾いた血の匂いがする。おそらく、今まで斬ってきた隊員達の血だろ。
「では、質問を変えますね。貴方は何故死神を斬り続けていますか?」
「............」
やはり何も答えない。そう思うと死神狩りは............
浦原と夜一に斬りかかろうと距離を詰め始めた。
「喜助!!」
「!?........問答無用って事っスか!?」
浦原と夜一は、回避する。だが、死神狩りは容赦なく刀をブンブンと振り続ける。
「(……もしかしたら此奴は、とんでもない狂人かもしれんの……)」
「……喜助、儂らも反撃するぞ。」
「えっ!?でも.....相手は少年っスよ?」
「だが、儂らが手加減し続けたらこっちがやられてしまうじゃ。それに、反撃とは言っても、気絶させるだけじゃ。」
「なるほど.........じゃ〜反撃しまっスか?」
「察しがいいの。では、行くぞ!」
言うが早いか駆け出すと、「ちょ、夜一サン!?」という戸惑いの声が聞こえたが気にしない。何せ喜助はすぐさま瞬歩で追い掛けてきたのだから。
木から跳び、また別の木を蹴り、死神狩りが追って来れなくはない速度で、駆け回る。
一定の距離を保ち、相手の隙ができたら、手刀で首筋を当てて気絶させようとする。ーーー筈が。
チッ……
「――!」
「(刃の先が、儂の羽織を斬った?)」
視線を僅かに後ろにやれば、先ほどより確実に迫ってきている。伸ばされた刃から逃れるよう咄嗟に方向転換し、速力を上げる。それでも、死神狩りは確かについてくる。
「(まさかこやつ......)」
一瞬合った視線。死神狩りの瞳からは、挑戦的な光しか見受けられない。
「(
そう考えている内に、死神狩りの刃は次々へと迫ってくる。2人は、何とか回避しているが、所々の傷ができてしまう。
「くっ!?」
「夜一サン!(早い!まさか死神狩りサンは、ボク達の速さに追いついてきたんっスか!?“
死神の特殊な高速移動である瞬歩を使っても、追いついてくる。たった2、30回のやり取りで、お互いの力を把握し合った両者は、間合いを取った。所々に傷を負ってしまった2人に対して、死神狩りは無傷である。
「.........喜助......」
「えぇ.........これはとんでもない強敵っスね〜。」
捕獲しようにもできない。そう考えている内に.........
「ぶっ手切れ『
突如、上空から人が降ってきた。そして、“刃がギザギザした形状の巨大な刀”をもって死神狩りに斬りかかる。
「おら!アホ浦原!!ウチを置いて何様だあ!?」
「ひ、ひよ里サン!何故ここに?」
「お前を追って説教しょうと思ったけど!なんか死神狩りを見つけたらしい〜な!今回はウチが手を貸してやったから!感謝しな!」
「助かります、ひよ里サン。」
「せやけどお前、ウチの事を置いてきたんだろ!あの時は探すのに大変やったんやで!!ようやく二番隊隊舎に着いたと思ったら、おらんし!どこへ行ったかと思ったらこんな所におったんかい!」
「アハハ......すみません.....」
「謝って済むかい!!そんな時間があるんやったら、さっさとs「ひよ里サン!後ろ!」....!?」
斬撃!!!!
「うぉ.........あっぶな!」
ギリギリで回避するひよ里。真上から叩き斬ってはずの死神狩りは、服が多少ボロボロになってしまっても、戦う力を持っている。
「なんや、まだまだピンピンしておるやんか.........」
そして何故か、ひよ里は途中で言葉を止める。それもそう......先程の攻撃で服がボロボロになった事で、被っていたフードも無くなってしまった。
そして.........彼らは、死神狩りに素顔を初めて見ることもできた。
「なっ.........」
「は、はぁ!?」
「ほほう.....」
浦原とひよ里は驚き、夜一は興味津々な顔をしている。何故ならその死神狩りの素顔は............
綺麗な空色の瞳
血で染めてしまった、漆黒の髪
そして、美形
そしてその正体は.......
「あれが............死神狩りの........正体......?」
負傷者達の手配を終えた砕蜂も驚きを隠せなかった。
「あれは........本当に死神狩りか.....だって.........歳は私とほとんど変わらないじゃないか!?」
砕蜂から見る少年は、自分と同じ歳だと思っている。
「それが.........君の本当に素顔ですか.....」
「.................たの.......」
「ん?」
「……お........か....」
「お主.........一体.........」
オレノカオヲミタナ
「「「「!!!!????」」」」」
突如、少年から殺意と霊圧が溢れ出てくる。
「な....何やあれ......」
「何なんだ....この殺意は.....」
異常ではない殺意に恐る者。
「喜助.........あれは何だ?」
「さぁ〜分かりませんっスね......ただ、あの子の霊圧は異常ではありません.....」
大量の霊圧に警戒するから者。
「ただ.........この霊圧は.....副隊長.........否、隊長格とほぼ同じくらいの物でっスね。」
「な.........んだと!?」
「いや.........もしかしたら.....それ以上かも知れません.....」
「はぁ.........嘘やろ!?あの餓鬼が!」
この場にいる全員が驚きを隠せなかった。ただの少年が、ここまでの霊圧を持っているなんて想像できない。しかも、隊長クラス以上の霊圧を持っていると推測されている。
「まさか........ここまでの霊圧を持っておるとは......ん?」
「ーーーーーー」
「(何じゃ、急に霊圧の動きが変わったぞ?それに.....奴は何かを語りかけて......)」
炎
次の瞬間、辺り一帯を身を焦がすような炎が支配した。
「「「「!!!!????」」」」
周りにあったはずの木や廃墟の建物など、一瞬で炎の海になってしまう。
「な.........何が起きたんだ.......?」
思わず言葉を洩らした砕蜂を含めた、その場に居た皆が額に汗を浮かべていた。
「おい喜助.........これはもう捕獲どころじゃないぞ.........」
「え....えぇ.....」
そして......少年は彼らに斬りかかる。
「!!!皆、来るぞ!!!」
浦原達は少年の剣撃をかわすが.........
「アッツ!?」
「!?ひよ里サン!!!」
何故か、炎はひよ里の方に当たってしまった。浦原はひよ里を担ぎ、すぐに場所を変えた。
「う.....うぐ....」
「!!.........酷い火傷だ......」
ひよ里の左腕や左あしは、大火傷してしまった。
「喜助!無事か!?」
「えぇ.........ですが、ひよ里は.......」
「!.....酷いのう......仕方がない.....砕蜂!儂らは撤退するぞ!!」
「よ、夜一様!?しかし、死神狩りが目の前に....」
「状況が変わったんじゃ。それに、まだここには残っている負傷者もおる。今は撤退する事が一番じゃ。」
「夜一様.........」
確かに夜一の判断は正しい。ここで死神狩りの捕獲作戦を続ければ、もっと多くの被害が出てしまう。
「.........分かりました!すぐに他の隠密機動隊にも伝えてk「グアァァァ!!!」....!?」
撤退命令を出そうとしたその時、少年から叫び声が聞こえた。叫びながらも、斬魄刀を振り続けていた。
「(な.........彼は一体......!?)」
「............ろ.......や......」
「(なんじゃ?.......何か言っておるぞ......)」
「....し..........る.....」
コ......ロ.........ス!!!!
その瞬間、浦原と夜一の前に立っていたはずの少年が消えた…
「なっ!?……一体どこに……砕蜂サン!」
「まずい! 砕蜂!!!」
「え?」
いつの間にか、砕蜂の前に立っていた。
「あ……あぁ……」
少年の斬魄刀は砕蜂の首に向かって斬りかかる…
「砕蜂!!!」
「くっ!!」
大量の炎を避けながらも、砕蜂の元へ行こうとする。だが、少年の刃の方が速い。
「(ーーーーーーーーあぁ……私は……ここで死ぬのか……)」
自分の死を覚悟する。隠密機動に入ってから、いつか自分が死ぬであろうっと覚悟を持っている。
「(ーーーーーー申し訳ございません……夜一様……)」
尊敬する上司に謝罪。もうすぐ刃が自分の首を斬ろうとする。自分の死に場所ここだと思っているだろう。
そう思うと、迷わず少年の顔を見る。
「(ーーーーーーあーー)」
少年の目……………その目は、宝石のように輝いている……
「ーーーーーーーーー綺麗な目ーーーーーー」
その瞬間、少年の刃が止まった……
「……………え?」
砕蜂は分からなくなった。なぜ、自分を斬ろうとする刃を止めたのか。すると少年は……
「…………今……なんて言った………」
「……え…」
「今………俺の目を………きr……」
「夜一サン!!」
「分かっておる!少年、少しの間だけ寝ておけ!」
少年の元に近づいた夜一は、手刀で少年の頚部に強く当てる。
「が……は……」
頸部に当たったことで少年の意識が無くなり、呼吸をしながら気絶していた。そして周りの炎の海は、一瞬で消えて無くなる。
「ほ……炎が……消えた……」
「くっ……」
「よ、夜一様!!」
座り込んだ夜一の方へ慌てて向かう砕蜂。2人の状態は酷かった。多少火傷してあるものの、全身が痣と血だらけである
「そ、砕蜂……無事か……」
「私は大丈夫です........ですが!夜一様は全然無事ではありません!!」
「ハハハ……そうか……主も無事じゃったか……よかった、よかった……」
「よかったではありません!それに……浦原喜助も!」
「えっ?」
「えっ、ではありません!貴方も怪我が酷すぎる!!とにかく!急いで四番隊に連れていかなければ!!」
「まて砕蜂。儂らは自分の足で行ける。だから砕蜂、お主はこの少年を担いくれぬか。」
「この少年を………って、まさか四番隊へ連れて行くのですか!?」
「「そうですよ(じゃぞ)?」」
「いやいやいやいや!!!だってこの者は、死神狩りですよ!?もしも瀞霊廷に連れてきたら、壮大な被害が出てしまうかもしれません!!」
死神達や貴族、王族なども住んでいる瀞霊廷内に連れていく事を反対する砕蜂。増して、その少年の正体は“死神狩り“であり、隊士達を斬った本人でもある。
そんな者を簡単に入らせていいのだろうか。
「それに!この事についてどう報告すればよろしいのですか!?」
「あぁ〜〜〜、そこは儂らがなんとかする。じゃから砕蜂、お主は少年を四番隊まで連れて行ってくれぬか。」
「し、しかし……」
「あ!安心してくださいっス。他の負傷兵もこっちでなんとかしますから。それにその少年を治療してくれるなら、卯ノ花隊長の方がいいと思いまっスよ。」
「で……ですが………卯ノ花隊長にはなんて説明を……」
「儂の名前を出せば事情を理解してくれるじゃろ。じゃから頼む、砕蜂!」
「……………………………はぁ〜〜〜わかりました!この砕蜂にお任せください!」
「うむ!では頼むぞ!」
こうして砕蜂は少年を担ぎ、四番隊へ向かった。
「…………さって、どうするっかのう……」
「えぇ……まずは、こっからなんですよね……」
「ところで喜助………あの少年の霊圧なんじゃが……」
「えぇ………これは報告することがいっぱいっスね夜一サン…」
二人は、先ほどまで戦っていた場所を見回る。ついさっきまであったはずの炎の海は無くなり、焦げた森林しか残ってなかった。そしてそこには……
「(あの少年………一体何者なんスっかね………)」
少年が使っていた、一刀の斬魄刀が残っていた…………
「そういえば喜助……お主の隊の副隊長は大丈夫か?」
「ーーーーーーーーーーーーあ…」
「お……お〜〜い………誰か〜〜おらんのか〜〜………」
喜助は、危うく負傷しているひよ里の事を忘れてしまうところであった……
野薔薇ファンです。
お待たせいたしました! 今回は、戦闘シーンも書いてみました。ご満足いただけると幸いなのですが……。
次回も頑張ります!