今回は、短めです。
平子と藍染が帰った後、わざわざ忘れた書類を届けに来てくれた一真はひとまず二番隊隊舎内で泊まらせる事にした。理由は単純、「屋敷に忘れた書類を持ってきてくれたお礼」である。夜一は隊長であるとともに軍団長でもある。隊舎内くらいならば融通は利くだろう。
「……という訳で、少なくとも午前中は此処に置く。いいか、あまり此奴にちょっかいをかけるでないぞ。」
「うっわ……ここも人多すぎだろ………」
少年を隊舎の連れ軍団長室に戻ってきたのだから当然部下達に注目された。部下達の好奇なものを見るような視線は、一真に向けていた。その視線に少し怖がっている一真を見て、やはりまだ人混みには慣れないかっと夜一は思いつつ、彼は自分の
いつも使用している軍団長用の座椅子に座って胡坐をかき、今日の業務を開始した。一真は、隣で適当にそこら辺に置いてある本を読ませ、部屋に置いてあるお茶や菓子も与える。
「.........一真、退屈ではないか?」
「全然……ってか、あのオカッパはいいのか?」
「オカッパ……あぁ〜砕蜂の事か。まったくあの子は真面目じゃのう……」
本来なら書類を届けに来てくれた砕蜂にもお礼してあげるつもりだったが、彼女は『申し訳ございません夜一様!この後、まだ仕事が残っているので!』っと申し訳なさそうに次の仕事へ向かった………何故か一真だけを睨みながら……
ついさっき隊舎へ帰っていった平子と藍染から聞いた話が、どうやら一真と砕蜂はまた喧嘩したらしい。それもとても仲悪く。
「はぁ〜〜お主、砕蜂とは仲良くできないのか?」
「無理。アイツと仲良くなんてできねーよ。」
バリッと煎餅を強くかじる一真は、砕蜂と仲良くする事を否定している。やはりさっきの喧嘩で機嫌が悪くなっている。浦原がいれば、彼に何か面白い事をさせれるだろうと思ったのだが、今日は十二番隊の大事な任務なので邪魔する訳にはいかない。
部屋に常備してある菓子を与え、ただ菓子を食べながら本を読んでいた。しかし何もやることがなく同じ繰り返しをしているのは、子供からすれば辛くないだろうか。そんな考えが浮かび、何か彼に面白いことをさせれないかと、考える………
その時、夜一は閃いた。
「そうじゃ。一真、ついて来い。」
「はぁ?って……お、おい!?」
取り敢えず仕事の業務に一区切りをつけ、側近達が退室してから一真の手を引いて部屋を出る。
「おい!どこへ連れて行くんだ!?」
「いいからいいから、見ればわかる。ほれ、着いたぞ!」
夜一が一真を連れてきたのは、鍛錬場だった。丁度この時間この場所では白打の稽古をしており、隊長である夜一が姿を見せると部下達は動きを止め、一斉に礼をしてくる。それを見た彼女は「続けろ」と一言言うと、また皆一斉に鍛錬に戻った。
「夜さん………ここは?」
「二番隊の鍛錬場の一つじゃ。流石に隠密機動専門の場所へは連れていけぬが、『二番隊』ならば問題はないじゃろ。」
本来ここは、席官以上でなければ入る場所はある程度制限されるのだ。いくら総司令官の“弟子“といえど、無関係な子供があちらこちらへ立ち入ることなど許されるはない。
「なぁ、アイツら何やっているんだ?」
「あれか?あれはな“
「“白打“?」
「ま〜簡単に言えば、素手で戦う体術じゃ。」
「へぇ〜〜」
夜一が彼を連れてきた場所は、鍛錬場の一つである。ここは道場のような造りになっており、大勢の死神達が各々動いて鍛錬する様は、一真にとって興味が湧いてきたらしい。しばらくは夜一の隣でじっと見学していたが、やがて腕や足をちょこちょこと動かし始めた。
「(ほう、どうやら興味が湧いてきたようじゃな。)どうじゃ、お主もやってみるか?」
「え、いいのか……?」
実際の所夜一は、彼に養子としてだけじゃなく、弟子としての指導を始めるべきか考えていたのだ。一真の気が乗らないのに急に始めても、気持ちと身体がついていくかどうかわからない。今日の指導は、彼の好奇心を刺激して修行に対し興味を持たせる、ということである。
「とは言っても、流石に白打は今のお主には危ないからな.........よし!“
「瞬歩?なんだそれ?」
「実際に見た方が早い。いいか、よーく見ておけよ。」
ーーシュンーー
「どうじゃ?」
道場の端から端まで一瞬で移動する。“瞬歩“において使える夜一を超えられる者は尸魂界にはいない。もちろん、ただ見るだけではすぐに夜一を追いつける瞬歩を出せる事もできない。もしもできるなら、彼は恐るべき才能を持っていることになる。
「………よし、覚えた。」
「そうかそうか……………マジ?」
「うん。」
「…………そ、そうか……じゃ、確認するぞ。」
どうやら、見ただけで覚えたらしい。流石に心配だなっと思った夜一は、念の為に確認しようっと、再び道場の端まで一瞬で移動する。
「やれるか?」
「あぁ………多分。」
少し戸惑っている返事をした一真に彼女は「よし!ここまで来い」と告げ、先ほどと同じように道場の端まで行って待つ。距離は約九〜十メートル程度。かなり短いが、初めて瞬歩を覚える為だ。初心者にとって、練習できるこの距離が一番である。
そんな二人を気が付けば周囲の部下達が各々の鍛錬を中断し、一真に注目していた。総司令官自ら瞬歩の手ほどきをしているのだから、興味を持たれて当然だ。
「(確か………こうやるんだっけ?)」
だが本人は部下達の視線を全く気にする素振りもなく、なんとなく感覚で足踏みする。そして……たんっ、たんっ、っと軽く跳び上がる。
そしてタイミングを掴み、強く床を蹴った……
「(さて、一真はここまで来れるのk……)」
ーーーーーーー爆風!!!!!ーーーーーーーー
「「「「うあぁぁぁぁぁぁ!?」」」」
刹那、強く床を蹴った瞬間、爆風が起きた。突然の事で、一真を見ていた部下達は道場の外まで飛ばされてしまった。
「…………………は?」
突然の事で、思考に追いつけなかった夜一。彼女は飛ばされずに済んだが、いつの間にか目の前が煙だらけである。
やがて、煙が晴れて行き、目に映ったのは・・・・・
所々に崩れた壁や天井に穴が空いてしまった道場だった。
『・・・・・・・・・』
あまりにも衝撃すぎて、一時の静寂が流れる。だが、夜一はすぐにこの静寂を破った。
「お、おい!何が起きた!?ってか一真は!?」
ようやく自身の思考が戻った夜一は、急いで状況の整理と一真を探しに動く。そして見つけたのは、道場の壁付近に倒れていた少年の屍。その正体は、うつ伏せの状態になった一真だった。
「か、一真!!」
慌てて駆け寄り抱き起こせば、彼は白目を剥いて、頭から血が流れながら気絶していた。恐らく瞬歩を使おうとした直後、壁に頭をぶつけてしまったのだろう。
「い、いかん!すぐに卯ノ花に見せねば!!」
なるべく激しく揺らさないよう、ふわりと抱き上げ、四番隊隊舎へ向かい出す。
「待ってろ一真、すぐに治療してもらうからな!」
腕の中で気絶している少年に一言告げて、何処か険しい気持ちで鍛錬場を後にした。
▼△▼
「はぁぁぁ〜、全く。何をさせたらこんな怪我になるのですか、四楓院隊長?」
「あははは、す、すまん卯ノ花。」
苦笑いをする夜一を哀れな目で見る卯ノ花は、頭を抱える。
「とりあえず、一真さんには頭以外対した怪我はありませんし、頭の方は軽い治療でなんとかなりました。」
二人は、病室のベットで頭に包帯が巻いてある状態の一真の様子を見る。道場の出来事の後、卯ノ花に気絶した一真を見せると彼女はいち早く治療を開始する。それほどひどい怪我ではなかった為、早く治療することができた。
「すまない卯ノ花。また世話になったな。」
「一応、四番隊の方々には貴方の部下達の治療を任せました。皆さん、対した怪我ではなかったので良かったのですが……」
「な、なんだ?」
「その前に、なぜこんな事になったのか。お聞かせてもよろしいですね、ーー四・楓・院・隊・長ーー?」ニコ
「……………………はい」
…………相変わらず卯ノ花の笑顔は恐ろしい。夜一ですら尻込みしてしまうほど、距離を取りたいくらい、恐ろしい笑みだ。
そ して、夜一は卯ノ花に道場での出来事を説明する。
「なるほど………それはおかしいですね。」
卯ノ花は、夜一が説明した事について疑問を抱いている。
「ん?どういうことじゃ?」
「ただの瞬歩が、そこまでの爆風を出せるのでしょうか?」
「いや、正直儂にも分からん。ただ……」
「ただ?」
「一瞬、一真の霊圧が跳ね上がったのだ。」
「霊圧………やはり彼の斬魄刀と何か関係あるんじゃないですか?」
「斬魄刀?………確かに有り得るな。」
夜一は、斬魄刀っと言う言葉を聞き、彼との初めて出会う日を思い出す。一真は、自身の斬魄刀を使って炎を出していた。
「(確かに考えれば、卯ノ花の言うとおりだ。じゃが、一体どうやってあの膨大な霊圧を出せなのだ?それに……あの炎は一体……。もしかしたら、あの斬魄刀と何か深い繋がりを持っているのかもしれないな。)」
「そう言えば、確か一真さんを養子にする条件で彼に斬魄刀を返すのじゃなかったのですか?」
「あ、あぁ、そうじゃ。ただ総隊長がのう……」
「総隊長?何か問題があって?」
「実はな………」
△▼△
あれは.........一真が儂の養子になる事を決意した後の事じゃった.........
「なるほどの……それでワシが四十六室に“死神狩りの死亡“を報告すれば良いんじゃな、四楓院隊長。」
「理解がわかってもらえて助かる、総隊長。」
一真が儂の養子になった事で、病室を出た後、すぐ総隊長に事情を説明した。ま〜流石にすぐに認めてはもらえn
「………いいだろう。すぐにではないが、報告書を書かなければならん。」
…………………なん………だと!?
「え?そ、総隊長!」
「ん?なんじゃい浦原隊長、そんなに慌てて?」
「い、いや……てっきり認めてもらえないかと……」
儂と一緒についてきた喜助も驚きを隠せなかった。そんなにあっさりと認めるのか……あの総隊長が!?
「なんじゃ、ワシが認めてはならぬ理由でもあるのか?」
「いや………まさか、総隊長がこうもあっさりと……のう喜助。」
「は、はい………自分もびっくりっス。」
「ーーーーお主ら、一体ワシの事をなんだと思っておるのだ。」
驚きに決まっておるだろ!?まさか、規則に厳しい総隊長が、儂らの頼み事を承諾するとは、思うはずもない。
「それと.........もう一つは、あの小僧に斬魄刀を返す事かのう?」
「えぇ……カズマさんはどうしてもその……“レッカ“っと言う斬魄刀を返してほしいっと……」
「ーーーーーお主、今なんと言ったーーーーー」
「え?ですから……その斬魄刀の名は“レッカ“って呼ばれているんっス。」
「…………そうか……」
なんじゃあの反応? 総隊長があの少年の斬魄刀の名を聞くと、一瞬戸惑っていたのじゃが………気のせいか?
「ーーーーーーーわかった……じゃが、まだ返さぬ。安心せい、少しの間だけ預けるだけじゃ。必ず返す。」
「は、はぁ……」
「もう良いか……ワシは今からその報告書をまとめなければならん。後でも良いが、お主らにも報告の内容を考えた方が良いぞ。」
そう言いながら、総隊長は立ち去っていった。しかし、あの表情は一体……
「夜一サン、どうしますか?」
「はぁ〜〜、仕方がない…今は総隊長を信じよう。」
「そうっスね……」
正直、本当に斬魄刀を返してくれるかどうか、にわかに信じがたい。じゃが、儂と喜助にはどうしようもできん。とりあえず、今は報告書を作らなければ.........
△▼△
「ってな感じじゃ。不自然じゃろ?」
夜一は、その時の日を卯ノ花に話した。
「ふふふ……そうですか……」
「ん?なんじゃ突然笑っておって?」
「いえ………ただ……
卯ノ花の表情は、どこか懐かしさを感じていた……
皆さん、今週のアニメ千年決戦を観ましたでしょうか?
自分が個人的に良かったのは、初代護廷十三隊が見れたシーンとEDが良かったです! 特に、眼帯ツインテールちゃんが一番良かったです!
次回もお楽しみに!