死神が如く   作:フェルトファン

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六話 爆発、力の制御、朽木家

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーBOOOOOOOMM!!!!ーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「う〜〜〜ん。夜一サン.....」

 

「うむ......言わなくてもいい.....」

 

「えぇ.........正直.....舐めてました。」

 

 

 

 突然の爆発によって、鍛錬場が粉々へと破壊されてしまった。そして........その場にいた夜一と浦原は、“真っ黒焦げ“になった。

 

 彼らだけじゃない.........

 

「.........」(・Д・)

 

 同じく、真っ黒焦げになった砕蜂。彼女は、爆発で呆然っとなった。

 

「..................ケッホ。」

 

 この爆発を作った”元凶“である一真も真っ黒焦げとなり、一度咳する。

 

「」チーン

 

 そして、彼の隣で立っていた“握菱鉄裁”も真っ黒焦げになり、大の字で倒れていた。

 

 

 

 

 

 

「............なんでこうなんでしたっけ?」

 

 

 

 

 

 

 

 浦原は、“一真の鬼道の練習”をする前の出来事を思い出す.........

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数分前..................

 

 

 

 

 

「それで.........コレが........そんで.......」

 

「あ〜〜、コレが.........」

 

「正解!よくできましたっスね!一真サン!」

 

 夜一の屋敷にお邪魔した浦原は、今日も一真に勉強を教えている。

 

「しっかし、一真サンはすごいっスよね。こんな短時間で覚えちゃうなんて。」

 

「別に.........ただ、浦さんが俺に教えてくれたおかげだから.........」

 

「いやいや..........そんな事は無いっスよ。貴方には覚える才能が高いに決まってますって。」

 

 どうやら一真には、“記憶力が高い”らしい。浦原がスラスラと一真に勉強を教えたら、それを聞いただけですぐに学習する事ができた。

 

 特に漢字に書き方や読み書きなどもあっという間に覚えてしまう。

 

「それに.....ボクだけじゃなく、砕蜂サンにも感謝しないとですね。」

 

「ふん………何故私がこんな奴なんかに……」

 

 浦原だけじゃなく、砕蜂も一真の勉強に付き合っている。時々一真は、部屋で読んでいる本の字を教えてもらっている。

 

「(全く………本の載ってある漢字を教えただけで……まさかこんな事になるなんて……)」

 

 最初は読めない漢字を教えただけだが、いつの間にか、彼女は彼の勉強に付き合うようになった。

 

「いや〜彼はきっと感謝してますよ!」

 

「ま、まぁ……こんだけお前の学習に付き合っているし、私に感謝しても良いぞ日龍一真。」

 

 少しは自分に感謝してくれるだろう思い、彼女は一真の方をチラッと視線を向ける。そん時の一真は……

 

「えーーーーー」

 

「な、なんなんだその嫌そうな顔は!?」

 

 感謝どころか、砕蜂に対してとても不機嫌な顔をしていた。

 

「なんで俺がアンタに感謝しなきゃならねーんだ?」

 

「な、なんだと!?そもそもお前の学習に付き合っているんだぞ!少しは“助かった“とか、ありがとうとか、少しは私に対して感謝しろ!」

 

「へいへい…………アザース…」

 

「なっ!なんなんだその態度は!」

 

「まーまー砕蜂サン落ち着いて…」

 

 ウガーっと一真に襲いかかる砕蜂を両手で押さえる浦原。こんな状況になっても、一真は机に置いてある菓子を食べている。

 

「おう!ただいま………って、また喧嘩か喜助。」

 

「は、はい。」

 

 今日はいつもより早く屋敷に帰ってきた夜一は、彼らの状況を見てなんとなく察する。大きくため息をした彼女は、菓子を食べている一真に尋ねる。

 

「一真、また砕蜂に何かやらかしたな。」

 

「やらかしてねーよ、バカにしただけだ。」

 

「同じじゃ全く……とりあえず、今日は鍛錬場へ行くぞ。“鉄栽”が待っておるぞ。」

 

「テッサイ?誰だそれ?」

 

 

「鍛錬場に来たら分かる、とにかく着いてこい。もちろん、喜助と砕蜂もな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜鍛練場〜

 

 

 

 

「む!お帰りなさいませ夜一殿!」

 

「おう!連れてきたぞ。」

 

「..................誰だあの眼鏡?」

 

 二番隊の鍛錬場には、2mの長身におさげにメガネというルックスの男が立っていた。

 

「き、鬼道衆総帥大鬼道長がなぜここに!?」

 

 “『鬼道衆総帥大鬼道長』、握菱鉄裁(つかびしてっさい)”。表に出てくることは滅多にない人物だが、喜助と夜一は古い付き合いでもある。

 

「おやおや....この子が....」

 

「そうじゃ、儂がお主に話してあった日龍一真じゃ。」

 

「これはこれは.........どうも初めてまして一真殿!握菱鉄裁と申します!」

 

「.........なんか、すげー難しい名前だな。じゃー鉄さんで。」

 

「ほほほ、鉄さんですか!良い呼び名ですね!もちろん喜んで、呼ばれらせていただきます!」

 

「.........なぁ、なんで俺が呼ばれたんだ夜さん?ってかこのオッサン何者?」

 

「お!そうじゃったわ。実はな、お主にこれから“鬼道”の練習をさせるのじゃ。」

 

「鬼道.....ってあれか?死神が使う術なのか?」

 

「ほう.....知っておったのか!」

 

「浦さんが俺に鬼道についての本を貸してくれたんだ。そん時に読んだぞ。なんか色々あるじゃん。」

 

「............喜助。お主は一真に何の本をを貸してあげたのじゃ?」

 

「え!?い、いや〜それがつい貸してあげちゃって.....」

 

 死神が使う霊術について描かれてある本をただの少年に貸す事は、大問題である。

 

「はぁ〜ま....とりあえず。これからお主には鬼道の練習をしてもらう。鉄裁!」

 

「うむ!お任せください!」

 

「それから砕蜂。すまないが、お主には一真の練習に付き合ってくれぬか。」

 

「わ、私が!?......わかりました....」

 

「では!こちらへ.....」

 

 鉄裁は2人を、鬼道の練習ができる場所に移動する。

 

 

「意外っスねえ。」

 

「何がじゃ。」

 

「あの子の鬼道の指導ですよ。まさかほとんど全部鉄裁サンに任せるとは思わなかったっス。」

 

「それが一番じゃと判断しただけじゃ。」

 

「でも夜一サン、どうして彼に鬼道の指導を?」

 

「.........前お主に話したじゃろ。一真が瞬歩をしていた時。」

 

「..................あぁ、あの時.......」

 

 以前夜一は、浦原に一真が初めての瞬歩で怪我をした事について話していた。しかし、なぜそれと今回の鬼道の練習に関係があるのかと、浦原は夜一に尋ねる。

 

「一真が初めて瞬歩を使った時、一瞬霊圧が跳ね上がったのだ。しかもかなりデカかったわ。」

 

「だから.........今回は鬼道で様子見ですか?」

 

「まぁ〜あくまで儂の勘じゃが。おそらく一真のは相当な霊力を持っておるっと思う。」

 

「..................いや、もしかしたら。夜一サンの勘が合っているかも知れません。」

 

「なんだと?」

 

「覚えてますか?一真サンが斬魄刀で炎を出した時。」

 

「あ、あぁ。覚えておるぞ。」

 

「あの時の霊圧はとんでもない速度で上がっていました。副隊長......いや、隊長格っと同じくらいのレベルでした。もしかしたらですが......あの斬魄刀と何か関係あるかも知れません。」

 

「!.........やはりお主も同じ考えか。」

 

「えぇ.....ただ、やはり調べないと何も分かりません。良かったらボクが調べてみましょうか?」

 

「….........頼んでいいか、喜助?」

 

「っていうか夜一サン、実はその事でボクを呼んだでしょ?」

 

「ははは......バレておったか。」

 

 いつもの調子になった彼女にほっと息をつく。――のも束の間。聞こえてきた高い声の詠唱と膨れ上がった霊圧に、ぎょっとそちらを振り向いた。

 

「『破道の三十一・赤火砲(しゃっかほう)!!!』」

 

 砕蜂が放った赤い球は勢いよく的に向かい、的を消した。

 

「さぁ!日龍一真!私が撃った鬼道を越えて見せてみろ!」

 

「どうやら.....砕蜂がお手本を見せたようっスね。」

 

「そうじゃな。お!今度は一真の番じゃな。」

 

 お手本を見せた砕蜂は場所を変え、今度は一真が的を狙う番である。

 

「さっ一真殿。意識を集中し、的を狙ってみてください。」

 

「..................なぁ鉄さん。本当にこの“詠唱”って読まなきゃならねーのか?」

 

「えぇ、本当です。詠唱破棄はありますが、流石に今の貴方では早すぎると思います。」

 

「えぇ〜マジか.........」

 

 

     詠唱破棄

 

 それは、詠唱を唱えずに術名だけで鬼道を放つ。 即時攻撃が可能となるが、威力を維持する事が難しい。つまり、今の一真には難しいである。

 

「ったく!しょうがねーな!」

 

 めんどくさく文句を言うが、それでも鉄裁の助言や砕蜂の手本通りに目の前の的を狙い定める。

 

「『君臨者よ!

 

血肉の仮面・万象・羽ばたき・ヒトの名を冠すものよ!

 

焦熱と争乱 海隔て逆巻き南へと歩を進めよ!』」

 

 詠唱を全て、完璧に言えた一真。後は的を狙い撃つだけ。

 

 

「『破道の三十一.....』」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 だがその直後、彼の霊圧が一気に跳ね上がった。それも尋常ではないくらい.........

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちょ、ちょっと待っ――」

 

 

「一真!一旦止m――」

 

 

 

 

 

 

 

「『赤火砲!!!』」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 間に合わなかった制止の声と共に、的諸共鍛練場の壁や天井などが吹っ飛んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして.........冒頭に戻り.......

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うーーーむ。正直、これは想定外ですな。まさか、霊術院初期に習う基本技がこんなすぐに出せるとは思いませんでした。」

 

「いや鉄裁サン、出せるどころか、被害が出るレベルっス。あたり一面粉々っス。」

 

 鉄裁にツッコミを入れる浦原。彼の言う通り、鍛錬場は爆発によって消えてしまった。

 

「日龍!貴様撃つどころか、まともに制御できなかったのか!?おかげで鍛錬場が消えてしまったではないか!」

 

「うるせぇオカッパ!俺だって真面目にやっていたわ!あん時一文字も間違えずに読んだぞ!」

 

「読みの問題じゃないだろ!?」

 

「まーまー、あれくらいなんてことないっスよ。それより身体は大丈夫っスか一真サン?」

 

「あれくらいってどう言う事だ!?見ろ、この有り様!」

 

 この鍛錬場は結構頑丈に作られている筈の壁なのだが、一真の放った赤火砲の大きさの分だけ見事に穴どころか、そこらじゅう破壊されてしまった。確かに、一真は詠唱を一文字も間違えなかった。だがそれ以上に威力のレベルは尋常ではない。

 

「(……やはり.......一瞬、一真の霊圧が跳ね上がった.........)」

 

 そもそも鬼道は、特に破道は出力や発動する際の勢いを誤れば暴発する。上級になればなるほど扱いは難しい。

 

 だが一真は傷の一つもなく。彼の霊圧が跳ね上がったのは丁度発射する瞬間だった。何故上がったのか.........

 

「(考えられるのは自己防衛本能じゃな。)」

 

 自らの霊圧を瞬間的に上げ防衛を図った。恐らく無意識の内に上げたのだろう。

 

 しかしそうだとすると、彼にはそれが出来るだけの霊圧が秘められているということになる。

 

 鬼道の鍛錬を今日初めて使った彼は、少しずつではあるが確実に霊圧が上がっている。副隊長.....いや、隊長以上のレベルを持っているに違いない。だが、今の内に扱う術を身に付けなければとても危険だ。

 

「(少し調べさせるか.....)喜助!ちょいってこっちに。」

 

「え?は、はい。」

 

 夜一に呼ばれた浦原は、彼女の元に寄る。そして、何事かと聞き出そうとする浦原に、夜一は何かを耳打ちする。

 

「ーーーーーっと言うわけじゃ、頼めるか?」

 

「なるほど.....少し時間はかかりますが。なんとかやってみます。」

 

「うむ、頼むぞ。」

 

 浦原との内緒話を終えた夜一は一真にぽんぽんと頭を撫でてやる。

 

「はぁ〜とりあえず今日は終いじゃ。そこらへんの茶屋でも行こうかのう。」

 

「えぇ〜〜まだ一つしか習ってねーぞ!」

 

「もう十分の威力だわ!ともかく、今日は終いじゃ。良いな一真!」

 

「え〜せっかく“あの鬼道”を使ってみたいっと思ったのに〜」

 

「使ってみたいじゃと?なんじゃ言うってみい。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「『破道の九十九・五龍転m......」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「それは絶対にやめ(ておけ!)(てください!)(ろバカ!)」」」」

 

 

 

 

 

 

「な、なんでだよ!?良いだろカッコいいし!」

 

「.............今の歳の子ってすごいっスね。」

 

 

 一真が使ってみた鬼道を否定する夜一達。下手すると被害どころか、隊舎丸ごと消し飛ばされる可能性もある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

▲▽▲

 

 

 

 

翌日.........

 

 

 

 

 

「で?今日はどこへ行くんだ?」

 

「着いてからのお楽しみじゃ。」

 

「……なんか、夜さん楽しそうだな。」

 

「む、そうかの?」

 

「なんていうか……大事にとっておいたお菓子をいよいよ食べるぞ!っていうか。」

 

「……お主......その表現は、どうかのう。」

 

 

 今日は、一真にとある場所へ連れて行く事になった。実際、夜一にとって楽しみで仕方ないのである。

 

 屋敷からあっという間に着いた先。四楓院家と遜色ない大きさの門と、これまたいい勝負の大きな屋敷。

 

 夜一が門番に一言声をかけてから門をくぐる。初めての場所できょろきょろと落ち着かない様子を見せる彼は、広い庭に咲いてある“桜の木“に目を付ける。

 

 今は桜が咲く中をすたすたと横切り、この屋敷の主へと近づいていく。彼らが視界に入る所まで行けば、目の前にいた二人もこちらに気付き、腰かけていた縁側から立ち上がった。

 

「よくぞいらした、夜一殿。」

 

「おぉ蒼純、しばらくじゃな。身体の調子は良いのか?」

 

「ええ。ここのところは別段酷いこともありませぬ。」

 

「それは何よりじゃ。」

 

「それより、どうしたのだ夜一? お主が前もって私達に訪問の連絡を入れるなど珍しいではないか。」

 

 夜一前に立っているのは、六番隊隊長兼朽木家27代当主朽木銀嶺(くちきぎんれい)と、その息子であり、同隊副隊長でもある朽木蒼純(くちきそうじゅん)

 

 いつもの夜一は大抵何の前触れもなく朽木家を訪れる。ちなみに来る度に何をしているかと言えば、彼らの孫、息子にちょっかいをかけているのだが。勿論来た時にはひと声かけるようにはしているものの、銀嶺が言った通り連絡を入れてから訪ねるというのは滅多にないことだ。貴族間での儀式的な訪問や面倒な付き合い(夜一)以外ではまずない。

 

 だが、今回は珍しく彼らに連絡していたのだ。その事を疑問に思う銀嶺を見た夜一はいつものように笑う。

 

「驚いたかの銀嶺殿?」

 

「意外ではあったわ。まさかお主か連絡を事前に使うなんて。」

 

「何、白哉坊だけでなく、お主らにも会って欲しかったのでな」

 

「会う、というのは誰にですか?」

 

「こやつじゃこやつ。この少年じゃ……」

 

 

 ぴた、と動きを止める。後ろに振り返れば、一真の気配がある.........はず。

 

 思えばおかしかったのだ。彼は礼儀もできない子が、これだけ立派な庭を見てはしゃがないほど大人しくはない。だが、彼女の背後は.......とても静かすぎる......

 

 静かすぎる背後にゆっくりと目を向ければ、誰もいない庭が目に入った。

 

「.........しまった。」

 

 周囲に興味津々な彼に見慣れてしまい、気配りを忘れてしまった。こんだけ広い朽木邸と言えど、流石に後ろをしっかりついてきていれば迷うことはない筈だ。だが、彼女が目を離すと何処かへ行ってしまった。答えは簡単、きっと初めて来た場所で彼は、ふらふらと興味津々で何処かへ行ってしまったのだろう。

 

「ち.........父上.....」

 

 

「うむ............一先ず、話を聞こうかの。」

 

 思わず片手を額にやる夜一を見ると、銀嶺と蒼純が助け船を出してくれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えぇ!ではその一真さんが...?」

 

「ほう、まさかその『死神狩り』の正体が本当に白哉と少し年下の少年であるとはな。」

 

「驚いたか銀嶺殿?」

 

「あぁ、少年である事は事前に知っておったが、まさか歳はそれ程とは.........」

 

「私は、父上から聞かされました。」

 

「日龍一真といっての、年頃は銀嶺殿の言った通り、白哉坊より少し下なのじゃ。」

 

 話を聞いてくれる、ということで取り敢えずすぐ傍の部屋へ移動し茶を用意してもらった。彼女が白哉の名を出した時、察しの良い二人はすぐに用件に気付いたようだ。

 

「だが.........まさかお主がその一真っとやらを養子にするとは流石のワシでも驚いたぞ。」

 

「もうその話は何回も聞いたわ.........所で。白哉坊はどうしたんじゃ?」

 

「白哉なら、お主が来ることを伝えると『あの化け猫と遊んでいる暇などありません!』っと言って、何処かへ行ってしまったぞ。」

 

「やれやれ、姿が見えんと思っとったら……全く仕方のない坊じゃの。」

 

「とは言え、屋敷の敷地内には居ると思います。約束事を完全に不意にしてしまうのはいくらなんでも失礼だと思うな。」

 

「全く相変わらず、小僧のくせにそういう所は妙に大人なんじゃな。少しからかってやれば、すぐむきになりおって。自分が子供丸出しだという事を自覚しておるのか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*ちなみに、白哉本人は気付いておりません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「その.........一真という子、探しに行かなくてもよろしいのですか?」

 

「……ま、彼奴なら大丈夫じゃろ。.........まぁ〜問題を起こさなければ..........」

 

「ん?.......と言うと?」

 

「正直......色々と彼奴には苦労されるわ。儂も時々振り回されるしのう。」

 

「お主がか?それは少々興味があるな。」

 

「あまり遅くなるようじゃったら探そうとは思う。」

 

  ーーふう、と一息つく。

 

 当初の予定では連れて来た一真と白哉を会わせ、二人がどんな反応を見せるのかを楽しみ、後は子供同士で適当に遊ばせるつもりだった............一真が問題を起こさなければの話だが。

 

「それに.........どちらかと言えば、一真の性格は微妙に白哉坊と同じでの、もしかしたら気が合うかも知れないと思うって。」

 

「そうでしたか。それは良き友になれると良いですな。」

 

「しかし、お主が振り回されるほどの子と言っても、あれと友になるのは少々骨が折れるのではないかのう……」

 

 銀嶺が言っているのは鍛錬のことだ。白哉は見た目で言え、まだ10代程度の子供なのであり、暇さえあれば竹刀を振る修行をしているのだ。それに付き合うのは大変じゃないだろか。

 

 しかし、一真ならば大丈夫だと夜一は確信していた。

 

 

「問題あるまい。一真も己を鍛えることに関しては酷く熱心じゃからの。」

 

「ほう、白哉よりも年下の少年がか?」

 

「うむ。この前試しに訓練をさせてあげたのじゃ。まー多少の怪我をしてしまったが、卯ノ花の治療のお陰で元気に戻ったわ。」

 

「何の訓練をしていたのですか?」

 

「瞬歩じゃ、だがそれだけではない。鬼道も使えるようにもなったわ。」

 

「何と……!」

 

「早とちりするでない。まだまだ未熟に過ぎるて、実戦で使うには程遠いを通り越してあり得ん.........っと言うか、問題は使い方なんじゃな。」

 

「使い方だと?.........夜一殿、一体どう言う事だ?」

 

 夜一は、朽木親子に一真の訓練について話をする。流石に誰にでも最初は失敗するものだと理解した二人だが。まさか建物ごと破壊されてしまう程の破壊力が出るとは思わなかった。

 

 元々一真は”死神狩り“だった頃、斬魄刀で戦っていたのだ。彼ならきちんと教えればすぐにコツを掴むに違いないが、その才はある意味危険だ。問題なのは、彼の霊力が彼自身で制御できなければならない。

 

 

「……あの一真は、恐るべき才を秘めておる。教えたことは覚えても......その力がすぐに暴発するのじゃ。」

 

 そう、彼は......日龍一真は決して頭が悪いってな訳じゃない。完璧なまでに覚えられる自身もある。

 

「じゃが....問題なのは彼の霊力だ。その霊力を自身で制御しなければ、自分自身にも怪我をしてしまう可能性もある。

 

 ――だからこそ、彼女はどうしても白哉に合わせてあげたいのだ。

 

「.........なるほどな。つまり、足並みを揃えて成長できる仲間が必要なのじゃな。」

 

 白哉も同じだ。近い年齢に近い実力を持つ者の存在は、互いを更に大きくする。心も身体も、共に成長させていく。まだ幼いからこそ、そういった仲間の存在は貴重なものだ。

 

「うむ。だから、白哉にも会わせてあげたいのじゃ。ま、理由はもう一つあってのう。」

 

「……他にも何かあるのですか?」

 

 蒼純の言葉に、真顔をぱっと崩して笑顔を見せた。

 

 

 

 

「ぶっちゃけ、白哉坊がどんな反応を見せるのか楽しみでな。」

 

 

 あ、あと可愛らしい顔をしておる、と付け足す。一瞬ぽかんとなった朽木親子は、次の瞬間笑い声を零した。

 

「ハハハハ!流石は夜一殿。」

 

「成る程、それは確かに気になるのう。」

 

「そうじゃろう? あー早く見たいわ。何処に行ったんじゃ一真も白哉坊も....」

 

「庭の何処かで、会っておったりしてのう。」

 

「それはないでしょう。かなりの広さがありますし、流石にすぐに会えるなんて.....」

 

 真面目な空気が一転、和やかな談笑が始まり、主役である筈の子供らは放っておいて。

 

 保護者同士の会話を続けていく。その最中、銀嶺が言った何げない一言を言い、暖かい茶を啜る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「上等だコノヤローーーーー!!!!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「!?」」

 

「むぐ!?」

 

 突然、外から聞こえた声。身に覚えのある声で、聞いた銀嶺が飲んだ茶を少し吹き出したしまった。

 

「ま......まさか.........」ダッ!

 

「よ、夜一殿!?」

 

 慌ててその声の主の元へ駆け出す夜一。実は彼女もその声の主に身に覚えがある。だが、なんか嫌な予感がする。

 

 そして、夜一が到着すると.........

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「テメー!いきなり何するんだ!?」

 

 夜一に養子として引き取られた少年.........

 

 

ーーー日龍一真(ひりゅうかずま)ーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こちらのセリフだ!いい加減に観念しろ!」

 

 朽木家“次期”当主になる少年.........

 

 

ーーー朽木白哉(くちきびゃくや)ーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 彼らは、鯉が泳いでいる池の中に立っており。全身びしょ濡れのままである。その様子は、まるで子供のような喧嘩をしていたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何をやっておるんじゃ彼奴.......」

 

 

 

 その光景を見て、思わず片手を額にやる夜一.........

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





 銀嶺はともかく、白哉の父=蒼純の口調などは完全に自分の妄想です。

 ご了承ください。
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