「翼さんのライブ…ですか?」
「そうだ。一夜限りのユニットだがな?」
「だから翼さんは朝から居ないんですね」
「ああ…で、響君とクリス君も護送任務で出払っている」
「それで…」
「キミもここいらで休息が必要だと思ってな…ライブ会場のチケットを翼から預かっている。」
そう言われ、手渡されたのは"QUEENS of MUSIC"と書かれたライブチケット。
「来い…という事ですか?」
「まぁ、翼なりの気遣いだ。楽しんで来い」
「判りました(しかし、このチケット…関係者席ですね…ま、考えるだけ無駄ですね)」
そうして女性はチケットを仕舞い、その場を後にする。
そして街中を歩いていると―――――
「あれ、歌唄さん?」
「…ああ、未来さん。こんにちわ」
「1人?」
「はい」
「そっか…響も忙しいって言ってたから…暇?」
「まぁ、一応暇です」
「なら少し付き合ってもらっていい?」
「構いませんよ」
歌唄と呼ばれた女性は未来と呼ばれた女性と共に歩き出し、"フラワー"と呼ばれる店へと入った。
「あら、いらっしゃい。今日は見慣れない子を連れてるね、未来ちゃん」
「響は用事があったので…月読 歌唄さん。私達の1つ上なんです」
「初めまして」
「歌唄ちゃんだね、よろしくね。響ちゃんが忙しいって…また人助けかい?」
「あはは…まぁ、そんなところです」
「無事に終わったら明日のライブまでには帰って来れると思いますよ」
「そっか。なら安心かな?あれ?明日のライブ、歌唄さんも?」
「弦十郎さん経由でチケットを頂いたので」
「そうなんだ」
「それにしても…未来さん、響さんと長いんですか?」
「あー…うん。結構長いかな」
「そうなんですか…響さんも未来さんの支えが結構力になってるみたいだったので」
「そ、そうなんだ…」
歌唄の言葉に未来は顔を紅くする。
「未来ちゃんと響ちゃんは特に仲が良いからねぇ…おばちゃんから見てもかなりのモノだよ?」
「お、おばちゃんまで…」
「誇っていいと思うけどねぇ…そこまで仲良い親友がいるっていうのは」
「ですね」
フラワーで話をしなが共にお好み焼きを食べた後、歌唄は未来の案内で、街を散策した。
そして、翌日のライブ当日―――――
「響…」
「まだ開幕まで時間はあるんだし…ビッキーも来るって」
「そうそう。あの子ならね…にしても…」
「―――――。」
「未来…あの人」
「へ?ああ、響経由で知り合った月読 歌唄さん。私達の1つ上だよ」
「そ、そうなんだ…(めっちゃスタイルいいんだけど…)」
「…それじゃ、未来さん。私は席に行きますね」
「え?ここじゃないの?」
「ええ。指定されているのが関係者の席なので(響さんもこちらに向かっている…何も無ければいいですが…)」
そう言って歌唄は関係者の席へと向かう。
その途中―――――
「あ、歌唄さん」
「緒川さん…翼さんはもう?」
「ええ、もう準備に入ってますよ。それより―――――」
「はい。連絡は受けてます。襲撃を受けていたそうで…」
「そうですか…歌唄さんはどう思いますか?」
「制御できるのがソロモンの杖のみなのか…また、別の聖遺物によるものなのか…まぁ、今の所不明というのがアレですが(制御できる聖遺物が数あるとも思えないですが…ウェル博士もイマイチ信用に欠けますからね…F.I.S.の研究者というのも気になります)」
「っと…少しいいですか?」
声をかけて来た黒いフードを被った青年。
「ん?ここは関係者以外立ち入り禁止ですよ?」
「えっと…このチケットの席ってどう行けば?」
青年はポケットからチケットを取り出し、小川へと見せる。
「拝見します…ああ、これならここをまっすぐ行って、突き当りを左に曲がって1つ目のゲートから席に出れますよ」
「そうですか。ありがとうございます」
そう言って青年は去って行く。
そして歌唄とすれ違う時―――――
「…アンタ、面白い気配がしてるな」
「ッ」
青年の言葉に歌唄は振り返るものの、青年はそのまま歩いて去って行った。
「歌唄さん?」
「いえ、なんでも。(私の中にある聖遺物を感じ取った?そんな人間がいるんでしょうか?少しばかり警戒しておかないと、ですね)緒川さん、今のチケット本物ですか?」
「はい。本物でしたが…何か気になる事でも?」
「いえ…今日、偽物が少しばかり見つかっていると小耳に挟んだので」
「そうですか…今後は気を付けないといけないですね」
「ですね。それじゃ、私も席に行きますね」
「はい。楽しんでくださいね」
そう言われ歌唄もまた、チケットで指定された席へと向かう。
そして―――――風鳴翼とマリア・カデンツァヴナ・イヴの一夜限りのユニットによるライブが開始され、ライブは盛況の中、終わりへと近づくが―――――
「…ノイズ?(行方不明のソロモンの杖が関係しているんでしょうか?)」
「お、おい。キミも逃げないと!」
「あ、はい」
会場にノイズが現れ、一瞬で恐怖が伝染し、会場は悲鳴で満たされる。
そして、一度は係員の指示に従い、退避するが歌唄は気配が離れた処で会場へと戻った。
そこでは―――――
「私達はノイズを操る力をもってしてこの世界の全ての国家に要求する!」
「…は?」
戻った歌唄の耳に跳びこんできた言葉に流石の歌唄も反応が反応だった。
しかし、その反応もすぐに消える事となった。
マリア・カデンツァヴナ・イヴが口にした唄によって―――――
―――――Granzizel bilfen gungnir zizzl―――――
「アレは……聖詠…?いや、それより…あの姿は…」
黒いガングニール―――――?
「私は―――――私達は"フィーネ"…終わりの名を持つ者だっ」
この日…ルナ・アタックよ呼ばれる事件から約3ヶ月が経った日…歌唄は再び戦火へと実を投じる事となった。
ノイズを操る、フィーネと呼ばれる組織によって。
そしてそこにはもう1人、その光景を見ている影があった。
「アレが撃槍と対を為すという…もう1振りのガングニール」
奇跡を纏いし者達と神を喰らう者が出会い、交わるとき…物語は動き始める。