シンフォギア   作:刃狗

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03.秋桜祭

璃音がアンチLiNKERを撃ち込まれてから早1週間―――――

 

「―――――もう大丈夫ですよ。体内のアンチLiNKERもほぼ消えています」

 

「そうか…」

 

「だからと言って、LiNKERを投与しているとはいえ、無理な事は避けてくださいね?アンチLiNKERの影響でまだLiNKERが100%効いてはいないので」

 

「解っている…アンタも暇なんだな?緒川」

 

「いえ、忙しいですよ…璃音さんに結果を伝えたのでこれから仕事ですし」

 

「そうか」

 

「…まぁ、気分転換に行って来たらどうですか?」

 

「…そうだな。Atziluth―――――」

 

朝から検査を受けていた璃音もアンチLiNKERが体内からほぼ消えた事で動き回れる様になっており、LiNKERを数本持った状態で服を着る。

 

「あれ?今日はいつものじゃないですね」

 

「たまにはな…フードを被ってたら怪しまれるだろ?」

 

「あはは、確かに」

 

そう言って璃音は黒いフードパーカーではなく、黒のジャケットを着て医務室を後にする。

 

「―――――あ、緒川です。今大丈夫ですか?」

 

緒川が璃音の気配が離れた処で何処かへと電話していた。

そしてその相手は―――――

 

「ええ、大丈夫ですが…何かありました?」

 

【今、璃音さんがそっちに向かいましたから、10分もしないうちに到着するかと】

 

「そうですか…解りました。でも、どうして私に?」

 

【璃音さんを止めれるのは貴方だけと…司令が】

 

「…解りました」

 

【すいませんが、よろしくお願いします】

 

「歌唄さん、用事?」

 

「はい。招待していた人が来るようなので」

 

「アイツか?」

 

「ええ」

 

「やっと動けるのか…」

 

「アンチLiNKERは璃音にとって毒でしかないですからね…適合係数が下がるというレベルで終わる私達と違って、彼は確実に死に近づくそうですから」

 

「響も知ってるの?その人」

 

「あー…そういえば未来はまだ会った事ないんだよね。暁 璃音さんって言ってあっち側の関係者なんだー。あの時のライブ会場にも…」

 

「そうなんだ…」

 

「それじゃ私は迎えに行ってきますね」

 

「あ、おい。ステージ、忘れんなよ?」

 

「解ってますよ。時間までには戻りますから」

 

そう言って歌唄は璃音を迎えに、学院の入場門へと向かった。

そして璃音はというと―――――

 

「…でけーな。この地下にあんな場所があるってか…しっかし、アンチLiNKERの影響でここまで動くのが辛いってのはな…動けると言っても戦えねーぞ…これだと」

 

学院の入口に設置されたベンチで空を見上げながらボヤいていた。

 

「一般人もいるので、そういう事はあまり言わない方がいいですよ?璃音」

 

「…歌唄か。どうした?」

 

「緒川さんから連絡を貰って…迎えに」

 

「俺は子供か」

 

「ふふ、まぁ…ステージまで私も暇ですから、色々を案内してあげますよ」

 

「そうかい…なら頼もうかな?」

 

「はい。にしても…今日はフード被らないんですね?」

 

「もう顔隠しても無駄だしな…それにこんな処にフード被って来てたら怪しいだろ」

 

「くすくすっ…確かにそうですね」

 

そうして璃音は歌唄の案内で学院内を見て回る事に。

それを上から見ていた響達は―――――

 

「響、あの歌唄さんの隣にいるのが?」

 

「うん。璃音さんだよ」

 

「そっか。ああやって歌唄さんと歩いてるとカップルみたい」

 

「あはは…」

 

「小日向、アレはそう見えるものなのか?」

 

「多分ですけど…なんか周りの人も見てますし…」

 

「よく考えたらあの二人って妹同士が仲良いんだよね…」

 

「そうだな…まぁ、片方はやべぇけどな…ん?」

 

クリスは視線を感じそっちへ視線を向けると、下から璃音がクリス達を見ており、口を動かしており、それを響が見て―――――

 

「…なんて言っているんだ?」

 

「…覗き見は、関心…しない…」

 

「アイツ、アタシらが見えてんのか!?どんな視力してんだよ。結構離れてるんだぞ?」

 

「まぁ、邪魔しない事…という訳か。ま、暁は休息だからな…私達もやるべき事をするか。特に雪音はステージに出るんだろう?」

 

「うっ」

 

「え?クリスちゃん、ステージあるの?」

 

「あ、ああ…歌唄の奴も、だけどな」

 

「そうなんだ…」

 

クリス達もそれぞれやる事が有る為、そこで解散した。

そして、少し時間が経過し学院祭を見て回っている2人は―――――

 

「んー…高い割にはそこそこか…」

 

「そういうモノですよ。雰囲気を楽しむ、様なものですからね」

 

「まぁな…こういうのは初めてだg―――――」

 

「月読さんっ」

 

「ん?どうかしましたか?」

 

「えっと、そろそろステージの準備が…」

 

「ああ、もうそんな時間ですか」

 

「ご、ごめんね?」

 

「いえ、構いませんよ。では璃音、私はやる事があるのでこの辺で」

 

「ああ。案内助かったよ…しかし、ステージってのは歌うのか?」

 

「ええ」

 

「あ、そっちのお兄さんも飛び入り参加はオッケーなので、もしよかったら是非」

 

「考えておくよ」

 

そう言って歌唄はクラスメイト達と準備へと向かった。

 

「月読さん、さっきの男の人、彼氏さん?」

 

「まさか。私の妹と、彼の妹が親友でその関係で…ですよ。そもそも、知り合ってまだ2週間ぐらいですよ?」

 

「いやぁ…月読さんのスタイルなら男なんて選び放題だし…?っていうか何処で知り合ったの?」

 

「ライブ会場ですよ」

 

「…それって、少し前の?」

 

「ええ」

 

「そうなんだ…大変だったって話だけど」

 

「まぁ、避難しましたからね。大丈夫ですよ」

 

そんな話をしながら歌唄はステージの準備へと向かい、1人になった璃音は―――――

 

「さてと…ステージとやらを見に行ってみるか」

 

ドンッ

 

「っと、悪い」

 

「何処見て歩いてるデスか!?」

 

「って…切歌か」

 

「にーちゃん!?もう大丈夫なんデスか!?」

 

「おう。まぁ戦えはしないけどな…動くには問題ない」

 

会場へ向かっている道中で妹の切歌と、その親友であり歌唄の妹である調と遭遇していた。

 

「そうデスか…」

 

「それはそうと…なんでここに?」

 

「それh―――――」

 

「切ちゃん。話しちゃダメだよ」

 

「で、でも…にーちゃんは」

 

「やるか?ギアを纏ってるならまだしも、現状で相手しろって言われたら纏う前に殺せるが?」

 

「……。」

 

「…ま、どうでもいいけどな。お前達は自分の意志で何かを成し遂げようとしてるならそれで。んじゃな、俺はステージ見に行くから」

 

「にーちゃん、私達も見に行くデス!」

 

「切ちゃん、いいの?」

 

「大丈夫デース。それに、にーちゃんは連中の味方って訳でもないデスよね?」

 

「そうだな…今の所は、な?利用してるだけだし…妹と戦うのも気が引けるしな…調、だったな…切歌の事、頼むな」

 

「…任せて」

 

「…ああ、そうだ…ステージ、歌唄も出るんだとさ」

 

そう言い残し、璃音はステージ会場へと歩いて行った。

 

「…お姉ちゃんが」

 

「調、行くデスよ」

 

「え、ちょっと…切ちゃん」

 

調も姉が出ると聞いて興味を持った処を切歌は感じ取り、調の手を引いて会場へと向かった。

 

「結構…人、いる…っていうかもう始まってるのか」

 

璃音が席についた頃にはステージライブは既に始まっていたらしく、璃音は適当な上らへんの席に座った。

 

【それでは、次の挑戦者の登場ですっ】

 

「え、あ、ちょっ…」

 

「…へぇ(あの雪音クリスが歌う、か)」

 

ステージにクリスが現れ、ステージ中央で止まった処で曲が流れ始め―――――

 

「(歌わないつもりか?)」

 

誰かに、手を差し伸べて貰って―――――

 

「わぁお」

 

「ん?お前達、そこに居たのか」

 

「へ?あ、璃音さん来てたんですか」

 

「歌唄も出るって聞いてな…様子見」

 

笑ってもいいかな 許してもらえるのかな あたしはあたしの

 

せいいっぱい、せいいっぱい…こころから、こころから…あるがままに うたってもいいのかな

 

「それにしても…暁も歌、聞くんだな」

 

「そりゃ、娯楽だしな…」

 

こんなこんな暖かいんだ…あたしの帰る場所―――――あたしの帰る場所

 

「わぁぁ…クリスちゃーん」

 

「楽しそうだね、響」

 

「うん。クリスちゃんもすごい良い顔で唄ってる」

 

観客席から見ていた響達ですらそんな感想を抱いている中、当人は―――――

 

「(楽しいな…あたし、こんなに楽しく歌を唄えるんだ)」

 

パチパチパチッ

 

そっか…ここは、あたしが居ても良い処なんだ―――――

 

歓声と拍手を浴びるクリス―――――

そして、それをステージの脇で見ていた歌唄は―――――

 

「(彼女もやはり…歌が好きなんですね…いい歌でした。これは負けてられないですね。妹も見に来ていますし)」

 

静かにモチベーションを上げて行っていた。

 

【勝ち抜きステージ、新チャンピオン誕生!さぁ、次なる挑戦者は!?飛び入りも大歓迎ですよーっ!】

 

司会の言葉に―――――

 

「やるデス!」

 

「…は?」

 

「…え?」

 

「なっ…アイツらっ」

 

「チャンピオンに…」

 

「挑戦デェス!」

 

「(…アイツらも歌、好きだって事か…)何考えてるんだか…」

 

「あ、あの…知り合い、なんですか?」

 

「ん?ああ、金髪の方は俺の妹だし、黒髪の方は歌唄の妹だから」

 

「そうなんですか…」

 

【それでは歌ってもらいましょう!えっと…】

 

【月読 調と】

 

【暁 切歌デス!】

 

【えー、2人が歌うのはORBITAL BEAT。ツヴァイウィングのナンバーだ】

 

「翼さん、この歌」

 

「なんのつもりの当てこすり…挑発のつもりか?」

 

「ちげーだろうな」

 

「暁、何故そう言い切れる?」

 

「アイツらの顔見てみろよ…楽しんでるじゃねーか。自分の曲を唄われるからって妙な勘ぐりするんじゃねーって」

 

「…貴様はどっちだ?」

 

「さぁな…味方でも敵でもないさ…俺は俺の目的がある。アイツらにはアイツらの考えがある。その結果ぶつかったとしても…な」

 

「…どうして」

 

幾千億の祈りも やわらかな光でさえも 全て飲み込む 牢獄(ジェイル)のような 闇の魔性

 

カルマのように 転がるように 投げ出してしまえなくて 今私らしく駆け抜けて―――――

 

「どうして貴様はそう考えられる?彼女達は―――――」

 

「敵、か?お前…何故歌を唄うモノ同士が戦わなければならない…そんな顔してるぞ?」

 

「っ」

 

「敵対してても…俺にとっちゃ切歌は妹だし家族で、歌唄にとっても調は妹であり家族だ。家族が全員、仲良しってだけで生きていけるなら…世界はどんだけ平和なんだかな…」

 

届け届け 高鳴るパスルに 繋がれたこの Burning heart 

 

強く強く 心のシリウスをただ見つめる この闇を越えて―――――

 

「今のアイツらを見て…敵だって言い切れるなら…お前もそう言う人間だって事だよ、SAKIMORI」

 

「だが、彼女達は世界に宣戦布告したんだぞ?」

 

「…悪いと解っていても貫き通したい想いぐらい…誰にでもあるだろ」

 

「…暁、お前は…」

 

「結果として拘束されたとしても…俺は止めねぇよ…切歌達が決めたことだ、責任ぐらいは自分達で取るだけの覚悟はしてるだろうしな…」

 

翼と璃音のやり取りを聞いていた響は―――――

 

「あ、あの…璃音さん」

 

「なんだ?」

 

「もし…戦わないといけなかったら…」

 

「戦うさ…それしかないならな。響、お前も話だけで解決するならそれでもいいが…それだけじゃ分かり合えない事もあるって事は覚えておけよ」

 

そんな話をしている中、ステージでは―――――

 

「二人がかりとはやってくれるっ」

 

【さぁ、続いての挑戦者の登場です!】

 

ザワザワッ

 

「ん?」

 

「アレは…歌唄さん?」

 

「未来、あの衣装…!」

 

「アレ…まさか」

 

「ふふ」

 

「翼さん…?」

 

「ちょっとした演出だ(すっとぼけ)…さぁ、月読の出番だな」

 

切歌と調の歌が終わった後、次の挑戦者と言う事でステージに歌唄が現れたものの、着ているのは制服ではなく、響や翼にとっては見た事のある衣装だった。

 

「(…どういうつもりなんでしょうか?奏さんの衣装など)」

 

「奏さんの…衣装?」

 

歌唄が着ていたのは翼が昔に組んでいたユニット、ツヴァイウィングの片翼、天羽奏が着ていた衣装であった。

 

「お前…なんだよその格好」

 

「どこぞのNINJAとSAKIMORIの仕業ですよ…しかし、二人がかりと行っても卑怯ではないですよ?」

 

「だけどよっ」

 

「確かに2>1ですけど…2<1というのも可能であると…見せてあげますよ」

 

なぜそんなものを着ているかと言うと…少しばかり時を遡り、歌唄がステージの準備へと向かった後、控室にて―――――

 

「月読さん、衣装はコレね!」

 

「解りました。(…?この衣装…何処かで…)あの…この衣装は」

 

「なんかさっきスーツを着た男の人が着て、月読さんにはこの衣装をって。なんでもある人から頼まれたとかなんとか…言ってたよ?」

 

「そ、そうですか…(確実にNINJAですね…って事はコレはSAKIMORIの…)」

 

「別のにしておく?」

 

「いえ、大丈夫ですよ。時間もアレですし、さっさと着替えますね」

 

「うんっ」

 

そうして歌唄は奏が逆行のフリューゲルと言う曲で着ていた衣装を着用する。

 

「わぁお」

 

「月読さん、すごく似合ってるよ!」

 

「そうですか?ありがとうございます。では…行きましょうか」

 

そうしてそのまま歌唄はステージへと向かう。

そして歌唄の番が来て、クリスとのやり取りを経て中央へと立つ。

 

【それでは、何を唄ってくれるんでしょうか?】

 

【そう、ですね…何処かにいる妹に届けられるように歌います…タイトルはなく、無銘の歌ですが】

 

【なるほど…それでは歌っていただきましょう。どうぞ!】

 

司会者の言葉と同時に会場内が暗くなり、ステージだけが照らされている状態になり、静かに曲が流れ始めた。

 

溢れ出す 想いが止まらなくて 流れ出す 涙が乾いても ―――――

 

この声が 君に届く様に 僕は 音を紡ぐ―――――

 

「……。」

 

「調?」

 

「……。」

 

ステージ脇で姉の曲を無言で聞き入る調。

そして―――――

 

「へぇ…」

 

「璃音さん?」

 

「ん?」

 

「いえ、どうしたんですか?」

 

「感じないか?この感じ」

 

「へ?」

 

絡みつく 時間を切り裂いて 僅かでも 勇気を見つけたら

 

それが 本当の始まりだと 僕は 信じてるから―――――

 

「璃音さん、腕輪が…」

 

「何が起こっている?」

 

「コイツは…神器はな、聖遺物の反応があるとこうなるんだ…現に、歌唄の首元には聖遺物があって…歌唄が唄う歌にコイツも反応してるんだよ…ここまで反応するのは俺も初めて見るがな…」

 

璃音の身に付いている神器は聖遺物ではないがそれに近いモノであり、

聖遺物を喰らうモノでもある為か、歌唄の歌に反応していた。

 

そんな話をしている間も歌唄は歌い続ける―――――

 

何気なく 積み重ねた言葉が 二人の 心に刻まれていく

 

ほんの 小さな出来事から 出会いが 奇跡に変わる―――――

 

「(少しでも…調にこの歌が届けば…)」

 

「はわわわ…」

 

「―――――。(お姉ちゃん…すごい)」

 

調も初めて聴く姉の歌に言葉が出ないものの、調は姉の歌に聞き入っていた。そして、歌は終わりに近づいてく。

 

一つだけ君に 嘘をついた事があるんだ 好きだと 言ったけど 本当は 愛してる

 

君の声 体を駆け抜けて 閉じていた 心の扉開けたよ

 

「コイツ…(すげーな…歌唄の奴、全員が聞き入ってやがる…)」

 

暗闇に 光る欠片見つけて そこに 手を伸ばして

 

溢れ出す 想いが止まらなくて 流れ出す 涙が乾いても

 

この声が 君に届く様に 僕は 音を紡ぐ

 

「―――――。(アレが奇跡を纏う者が唄う歌…だが、他の奴とはくらべものにならないか。―――――いい歌だな。歌唄)」

 

その笑顔 決して離さぬ様に 君だけは 笑っていられる様に

 

例え 誰に背を向けようとも 僕は 君の為に?―――――

 

歌唄の歌に璃音も腕輪に触れながら聞き入っていた。

そして―――――

 

【…ふぅ】

 

【こ、これは…し、審査員の人達も聞き入ってしまっていますね…すごい、としか言えないです】

 

パチッ―――――パチパチパチッ

 

誰かの拍手が響き、それは瞬く間に会場中から響き渡った。

 

【そ、それでは審査の方に―――――】

 

【その前に…もう1人、唄ってもらいましょう】

 

【へ?ど、どなたに…】

 

【…璃音】

 

「―――――。」(無言の逃走)

 

「行かせると思うか?」

 

「…てめぇ、こんな処で影縫いか…」

 

「せっかくの指名だ。1曲だけでいいから歌うと良い。なんなら私も推薦してやろうか?」

 

「…解った。一曲だけだ…(何を考えてるんだか…歌唄の奴も)」

 

影縫いで身動きを取れない状態にされ、流石の璃音も逃げれないと理解したのか、観念し、一曲だけ唄う事に。そしてステージへと上がる。

 

「どういうつもりだ?」

 

「案内賃、とでも思ってくれればいいですよ?」

 

「高いこった…」

 

「妹達も唄ったんですから、ね?」

 

「ちっ…仕方ないか」

 

小声でやり取りを済ませ、璃音はステージ中央へ―――――

 

【そ、それでは…何を唄いますか?】

 

【そうだな… Blood Rage って曲で】

 

【―――――では、唄っていただきましょう。どうぞっ!】

 

司会者の声にステージ中央だけがライトアップされ―――――

 

I will win 'cause my heart is burning with desire―――――

 

璃音は英語の歌詞を口にした。

 

「英語…?」

 

「にーちゃん、すごいデース…」

 

「切ちゃんは…?」

 

「う、唄えないですよ!?」

 

I can't be stoped, by anything, or anyone. Nothing can stop me I’ve gotta go!―――

 

璃音は面倒だと思っていたものの、歌に集中していた。

そして歌が終わり―――――

 

「…はぁ」

 

「にーちゃん、すごかったデスよ!」

 

「ん?ああ…そりゃどーも…変な疲れ方したわ…」

 

「くすくすっ、でも…いい歌でしたよ。璃音」

 

「ホント、高い案内賃だったな?歌唄」

 

「いいじゃないですか。私も唄い、妹達も唄ったんですから」

 

「とばっちりだわ…」

 

「…にーちゃん、そろそろ私達は行くデスよ」

 

「ああ、気を付けて帰れよー」

 

歌唄と璃音は妹達が帰るのを見おくり―――――

 

「…それじゃ、私も行きますね璃音。片付けなどがあるので」

 

「あいよ…俺は戻ってるかー…ああいう事は今後勘弁してほしい処だな…」

 

そう言って璃音も二課へと戻って行った。

そしてほどなくしてリディアン女学院で行われた秋桜祭は無事に終わりを迎えた。

 

ひと時の休息を過ごした装者達と璃音。

しかし、再び戦火に身を投じるまでにはさほどの時間はかからなかった。

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