シンフォギア   作:刃狗

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05.君がキミでいる為に

「コレは?」

 

「響君のメディカルチェックをした際に採取された体組織だ」

 

「…では、コレは」

 

「響君の体に溶け込んでいるガングニールの破片はエネルギー化と再構築を繰り返してきた結果、響君の体内を浸食して行っている」

 

ネフィリムとの戦闘後、メディカルチェックを受けた響から採取された、体組織の一部。それはガングニールの浸食によって人間と聖遺物の融合が為されていた。

 

今回の暴走で今まで解らなかったモノの露見。

しかし、それだけではなかった―――――

 

「…コレが立花に与える影響は」

 

「遠からず死だ…コレ以上の浸食は人として生きている…とは言えないかもしれん。それに―――――」

 

「…まだ、何か?」

 

翼の問いに弦十郎はもう2枚のレントゲンを取り出した。

 

「コレは?」

 

「左が歌唄君、右が璃音のレントゲンだ」

 

歌唄のレントゲンに特に異常はないが―――――

 

「…コレはなんですか?」

 

「何に見える?」

 

「神器の影響…ですか?」

 

「俺達はそう考えている…聖遺物ではないがノイズを倒す力…そして、遥昔に神と戦った人間が手にした力…そして既に右手の浸食が始まっている」

 

「ウェル博士が言っていた化け物になる…というのは」

 

「恐らく、このことだろう…過去に過剰投与され続けたLiNKER、そして人の身には余る神の力…そしてアンチLiNKERによって確実な死へと近づいた…という点を考えるに、神器とは神の力を使う為の抑制機であり、璃音の心臓でもある…と言う事だろう。以前のメディカルチェックではこうはなっていなかった…つまり」

 

「先の戦闘で、ですか?」

 

「ああ。腕輪の一部が損傷していると報告を受けている…恐らくはその影響で浸食されたんだろう。もしアイツが…化け物に堕ちたというなら…俺達はアイツを倒さなくてはいけないのかもしれないな」

 

「そんなっ」

 

弦十郎の言葉に翼は声を荒げる。

そして、その話を少し離れた処で聞いていた影が1つ。

影はその場から消え―――――

 

シュンッ

 

「…璃音」

 

「ん?ああ…歌唄か」

 

「もう、起きて大丈夫なんですか?」

 

「一般人よりは丈夫だからな…そっちこそ、大丈夫か?」

 

「ええ。私は他の人より頑丈ですから…それよりも、腕は」

 

「…聞いたのか?」

 

「いえ、偶々弦十郎さんが話している処に遭遇して」

 

「そうか…ま、御覧のザマだ。無茶した代償って事だな」

 

そういって璃音は右手を見せた。

そこには右手首から先…指などが人間のモノではなくなっていた。

 

「…その状態が続けば」

 

「LiNKERで多少遅くはできるだろうが…それも止めれる訳じゃないからな。その内、腕全体が浸食されて、最後には俺自身が化け物になる…って事だろうな」

 

「…彼女はどうするつもりで?」

 

「…アイツももういい年だ。俺が居なくても大丈夫だろ」

 

「唯一の肉親を失った…としても?」

 

「だとしても…いずれ化け物に堕ちる…ま、そうなる前に姿は消すけどな」

 

「…腕、治す事が可能かもしれない、としたら?」

 

「は?そんな事出来る訳g―――――」

 

璃音は歌唄の言葉の意味が理解できなかったのか、呆けていた。

 

「一時的なモノですが…恐らく可能です。浸食が一定速度での体組織浸食であるならその速度と同等…もしくは浸食速度を超える回復力があればいい」

 

「だから、そんな便利なモノは」

 

「ありますよ」

 

「なに?」

 

「…今までも秘匿し続けてきましたが、妹の家族の兄である貴方を救う為であれば構いません。その代り…あくまでも一時的なモノなので、定期的な治療とLiNKERの投与が必要になります。それと、治療に関しては絶対に口外しない様にお願いします」

 

「…1つ、いいか?」

 

「なんですか?」

 

「何故、そこまでする?」

 

「言ったでしょう?妹の家族である切歌ちゃんの兄である貴方を救う手段があると。そしてそれは一時的なモノで定期的な治療が必要であり…いつかは妹に告げないといけない事でもありますよ」

 

「…そうか」

 

「くれぐれも、口外しない様にお願いしますね。コレはあまり人に知られたくないものなので」

 

「了解…それじゃ―――――」

 

「痛みはないはずですから、そのままで大丈夫ですよ」

 

その直後、璃音の部屋に光が満ちた。

部屋の中で何が行われたか、それを知るのは当人達のみである。

 

そしてその日の昼過ぎ―――――

 

「しっかし、うら若きJKが粉もん、食べすぎじゃないですかねー」

 

「―――――。」

 

「聞いてる?」

 

「へ?あ、ああ…おばちゃんのお好み焼きは格別に美味しいからね…」

 

「ま、これで少しはビッキーも元気出たんじゃない?」

 

「え?」

 

「どっかの誰かが、アンタが元気ないって心配してたからこうしてお好み焼きパーティを開いた訳ですよ」

 

「…未来が」

 

学校の帰りに友達たちとフラワーでお好み焼きを食べ帰路についていた。

そこへ―――――

 

キィィィッ

 

「―――――。」

 

3台の黒い車が通りすぎ―――――

 

ドォォォンッ

 

『!?』

 

「今の…」

 

通り過ぎた車が向かった方向で爆発音がし、響達はそれを見に向かう。

そこには―――――

 

「…誰が追ってこようとコイツを渡すわけには…」

 

「…ウェル…博士」

 

「な、なんで!?なんでお前がここに!?ひぃぃっ」

 

ソロモンの杖を手に、ノイズを従えるウェルの姿があり、響を見て恐怖し響達へとノイズを突撃させるが―――――

 

「Balwisyall Nescell gungnir tron―――――」

 

ドンッ

 

「響!?」

 

「ひ、人の身で…ノイズに触れて…」

 

響はノイズを殴り、周囲が混乱する中、シンフォギアを纏い、ノイズを吹き飛ばす。

 

ゴォォォッ

 

「ひぃぃっ」

 

「この拳も…命もっ…シンフォギアだっ!」

 

「…この熱気」

 

「立花さんが?」

 

「どうなっちゃってるの?」

 

「お前は…いつもいつも都合のいいところで、こっちの都合をしっちゃかめっちゃかにしてくれる、お前はぁぁぁっ」

 

更にノイズを召喚するウェル。

 

「はぁぁぁああっ」

 

ガキンッ

 

「盾!?」

 

「なんと、鋸」

 

「調ちゃん、切歌ちゃん…」

 

「この身に纏うシュルシャガナはおっかな見た目より汎用性に優れてる。

防御性能も不足はない」

 

「それでも、全力の二人がかりで何とか受け止めているんデスけどね…」

 

「ごめんね、切ちゃん。私のヒールじゃ踏ん張りがきかないから…」

 

「いいって事デスっ」

 

「…くっ」

 

ガキンッ

 

一度距離を取る響。

 

「頑張っている2人にプレゼントです」

 

「「?」」

 

プシュッ

 

「「っ」」

 

「…LiNKER。でも、まだ時間は…」

 

「何しやがるデスか!?」

 

「あの化け物を倒すには今以上の出力で捻じ伏せるしかありませんからね」

 

「ふざけんなっ、なんでアタシ達がアンタを助けるためにそんな事をっ」

 

「やるデスよ!…いえ、やらざるを得ないんですよ!貴方達が仲間意識や連帯感などで私を助けに来るわけがないですからね…おおかた、あのオバハンの容体が悪化して、それでおっかなびっくり駆け付けたって所でしょうしね」

 

「「っ」」

 

「さぁ、自分の限界を超えた力で私を助けてみたらどうですか!?」

 

ウェルにLiNKERを追加投与され、憤る二人だが、マムを助けるためには生化学社であるウェルの協力が必要なのもまた事実。そして―――――

 

「「Gatrandis babel ziggurat edenal Emustolonzen fine el baral zizzl ―――――」」

 

「っ…この歌は…まさか、絶唱!?」

 

切歌と調が口にするは、響も知る唄―――――絶唱。

そしてLiNKER頼りの絶唱が何を意味するかを響は誰よりも理解していた。

 

かつて、自身を救おうとした前ガングニール適合者―――――天羽奏の最後を知っている。その記憶は決して響の中から消える事はない。自分の命を助けてくれた人の事だからこそ。

 

「「Gatrandis babel ziggurate edenal ―――――」」

 

「ダメだよっ、LiNKER頼りの絶唱は装者の命をボロボロにしてしまうんだっ」

 

「女神ザババの絶唱二段構え。この場の見事な攻略法…これさえあればコイツを持ち帰る事だって」

 

Emustolrozen fine el zizzl―――――

 

「―――――シュルシャガナの絶唱は無限機動から繰り出される果てしなき斬撃―――――これで膾に切り刻めなくても動きさえ封殺できれば」

 

「続き、刃の一閃で対象の魂を両断するのがイガリマの絶唱。そこに物質的な防御手段などあり得ない。まさに絶対に絶対DEATH!」

 

―――――Gatrandis babel ziggurat edenal Emustolonzen fine el baral zizzl ―――――

 

「エネルギーレベルが絶唱発動まで高まらない?―――――っ」

 

「減圧?―――――っ」

 

「セット、ハーモニクスッ」

 

「コイツがエネルギーを奪い取っているのデスか…」

 

「2人に…絶唱なんか…使わせ…ない」

 

響もまた、絶唱を口にし、切歌と調の負荷すらその身に引き受け―――――

 

「はぁぁぁああっ」

 

絶唱によるエネルギーをすべて天へと解き放った。

 

【2人供、聞こえていて?今すぐ撤退しなさい】

 

「でも…今なら」

 

【そちらに高速で接近する反応が4つ…恐らくはアメノハバキリ、イチイバル、カリバーンと璃音よ】

 

【2人供LiNKERの過剰投与による負荷を抱えているのです…指示に従いなさい】

 

「…解ったデス」

 

マリアとマムからの通信に従い、切歌と調はウェルを連れ、撤退―――――。

それから数分後―――――

 

「…遅かったか」

 

「弦十郎さんとの無駄なやり取りが無ければもっと早かったんでしょうけど…」

 

ピシッ

 

「ん?」

 

ザバーッ

 

「「っ」」

 

熱気を放ち続ける響を前に、突然、傍の建物の屋上に設置されていた貯水タンクから水が吐き出され、歌唄と璃音はその水を頭からかぶった。

 

「私は…立花を護れなかったのか…」

 

「私は…守れなかった…だと?」

 

いつの間にか到着していた翼とクリス。

 

「お前、あの馬鹿がこうなるって知ってたって言うのかよ!」

 

「……。」

 

「おいっ」

 

翼の言葉にクリスは憤りながら翼に問い詰めるも翼は沈黙を貫いていた。

 

「…最悪」

 

「ですね…」

 

そんな二人を無視してびしょ濡れになった璃音と歌唄。

とりあえず、璃音は収納空間から濡れていない上着を取り出し、歌唄へと渡した。その後、響達は二課のヘリで回収された。

 

「アレが…聖遺物と融合した装者の末路か…」

 

「璃音?」

 

「いや…なんでもない。(LiNKERを過剰投与した状態で絶唱を口にすれば文字通り命を削るって事か…神器で出来る事にも限界はある上に聖遺物と正面からは戦いにくい…か)」

 

そうして、一同は二課へと到着すると、響はメディカルチェックを、残りの装者はその場で解散し璃音はいつでも動けるように政府の人間と連絡を取りつつ、神器の修復を行った。

 

そして、翌日―――――

 

「…行くか」

 

「璃音も気分転換ですか?」

 

「ん?ああ…まぁ、そんなところだ。少し出てくる。調べたい事があるから」

 

「そうですか」

 

「お前も大変だな…俺の監視もしないといけないってのは」

 

「そうですね…しかし、璃音はバイク、持ってたんですか?」

 

「ん?コレは俺のじゃないよ。っていうかこの国だと俺は免許取れないし」

 

「…今、いくつで?」

 

「17だよ。じゃ」

 

璃音は調べ物があるといい、バイク(ヘルメットなし)でその場を後にした。

そして向かった先は―――――

 

「…この辺りは全然人の気配ないな」

 

「だからこうして密会する場所には向いている…という訳?」

 

「…マリア」

 

「まさか呼び出されるとは思ってなかったわ、璃音」

 

「悪いな…少しばかり聞きたい事があってな」

 

町はずれにあるノイズの襲撃で無人となった場所でマリアと会っていた。

 

「何が聞きたいの?切歌の事?」

 

「それはいい。どうせ変わりないだろうから…俺が聞きたいのはお前が奪取した神獣鏡の事についてだ」

 

「っ、何処でそれを」

 

「ウェルが前に…カディンギル跡地でフロンティアを起動させると言ってたからな…フロンティアの座標までは知らないが、お前達の目的はフロンティアの起動って所だな」

 

「……。」

 

「沈黙は肯定と取るぞ…そして起動に必要なエネルギーをネフィリムで代用し、その封印を神獣鏡で破る…という処か。最弱にして最凶とはよく言ったものだな」

 

「どういう事?」

 

「…神獣鏡についてはF.I.S.が日本政府に情報開示された部分にあったからな…凶祓いの力を内包した鏡。それが神獣鏡だ」

 

「凶祓い…?」

 

「簡単に言えば対シンフォギア装者の聖遺物だな…」

 

「…どうしてそんな事を私に?」

 

「お前しか妹達を護れる場所に居ないからな…ウェルはどんな手段を使うかも判らない。ナスターシャの事もあるが…自分が助かる為に切歌達にLiNKERをぶち込む奴だしな」

 

「神獣鏡はフロンティアの封印を解くカギじゃないの?」

 

「言っただろう?凶祓いだと…封印も聖遺物によってされてる可能性がある。神獣鏡はシンフォギアを分解できる…聖遺物のエネルギーを分解できるなら封印ぐらいは造作もないだろうな…そういう意味で…聖遺物殺しの歪鏡…って事だ」

 

「起動したら…」

 

「聖遺物に対しては最凶だろうな。ま、俺には関係ないけど」

 

「神器だから?」

 

「いや…聖遺物程のエネルギーを分解できるなら神器も危ないかもしれないな…俺に関係ないと言ったのは俺が直接戦う事にならないからだ。なぜか…って顔だな。簡単だ…神器が損傷したから今まで通りには戦えない…と言う事だ」

 

「神器が損傷…大丈夫なの?」

 

「今はな…いずれ、神器に喰われる時が来るかもしれない…切歌にはまだ言うなよ?」

 

「どうしてっ」

 

「これは俺の問題だ…アイツの事だからな…伝えればどうなるか大体想像できる」

 

「それは…でも、神獣鏡が分解の力を持ってるならそれで」

 

「断る」

 

「何故!?」

 

「神器を失えば俺は本当に一般人に堕ちる…妹が戦って兄である俺が逃げろってか?冗談じゃねぇ…それに俺は誓ったんだよ…セレナや他の死んでった連中の敵を取るって。敵を取るまでは何が何でも戦う…妹の家族であるお前達が相手であろうとな…その結果、神器に喰われて化け物になれば…俺を殺せ」

 

「っ」

 

璃音の殺せという言葉にマリアは言葉を失う。

 

「切歌にはできないだろうからな…俺は昔も今も…ウェルを…F.I.S.の研究者を殺す事が目的だ。じゃぁな、今日は来てくれて助かったよ…マリア」

 

そう言い残し、璃音はバイクに乗り、その場から去って行った。

その場に残されたマリアはなんとも言えない顔でその場を後にした。

 

そして一方、気分転換に出た歌唄はというと―――――

 

「(まさか調達を発見するとは…少し観察しますか)」

 

気分転換に出た先で買い物をしスーパーから出てきた調と切歌の2人を遠目に発見していた。

 

「楽しい買い出しもこれだけ荷物が多いと面倒な労働デスッ」

 

「仕方ないよ…LiNKERの副作用が抜けきるまでは私達は補佐担当なんだし…」

 

「…持ってあげるデス。なんだか今日の調、調子悪そうですし」

 

「ありがと。でも大丈夫だから」

 

「なら、少し休憩していくデスッ」

 

買い出しの袋を2人して両手に持っており、切歌の提案で二人は人気のない場所で休憩する事に。そしてその場所は廃棄された工事現場―――――勿論、歌唄は遠目に2人を観察しており…

 

「(あの袋の中身…それに、調の様子も…)」

 

「嫌なこともたくさんあるけど、こんな自由があるなんて施設に居た頃には想像できなかったデスよ」

 

「うん…そうだね」

 

「フィーネの魂の器として施設に閉じ込められていたアタシ達…そしてアタシ達の代わりにフィーネの魂を背負うことになったマリア…自分が自分で無くなるなんてことを結局1人に押し付けてしまったアタシ達…」

 

「…はぁ…はぁ…」

 

「調?!もしかしてずっとそんな調子だったデスか!?」

 

「ここで休憩したから大丈夫…っ」

 

ガンッ

 

「調っ」

 

体調不良の調が無理をしており、立ち上がったものの、ふらつき、近くに立てかけられていた鉄パイプにぶつかり、足場の上に保管されていた鉄パイプが二人へと降り注ぐ。

 

「(調…っ…アレは…まさか)」

 

妹の危機に飛び出そうともした歌唄だが、二人を護る様にし現れた防壁に見覚えがあった。

 

「…何が…どうなってるデスか?」

 

腕を伸ばしていた切歌の手の先…鉄パイプから身を護る様に展開された桃色の障壁…それはかつて、歌唄も眼にしたことがあった。

 

「(アレは…フィーネの使用していた防護障壁…と言う事は切歌ちゃんが魂の器?ではマリア・カデンツァヴナ・イヴが覚醒したフィーネというのは偽り?)」

 

歌唄が眼にしたものはかつて…ルナ・アタックと呼ばれた事件の際、敵であったフィーネが使用していた防護障壁であった。

 

その光景に歌唄はフィーネであるとされてきたマリアに疑問を持つ事となった。そしてその後、障壁が消え、切歌は調を連れ、その場を走り去って行った。

 

そしてそれを歌唄も気づかれない距離で追いかける事に。

 

「(…街を少し出た処にあるほとりですか…しかし、先程の荷物の中身を見る限り、あまり食生活もまともなモノではないようですね…)」

 

「マリアッ」

 

「切歌?っ、調!?」

 

「調、ずっと調子悪かったみたいデス…それで…」

 

「…無理してたのね…とりあえず、ベットに運んで頂戴。簡単な検査なら私でも出来るから」

 

「解ったデス!」

 

切歌は調をヘリの中へと連れて入っていき、マリア達もその後を追った。

 

「(…今日はこの辺が限界ですね…ま、二課に伝える義理はありませんし黙っておきますか)」

 

影から調達のアジトを発見し、観察していた歌唄は静かにその場を後にした。

 

「…?」

 

「マリア?」

 

「…今、視線の様なものが…」

 

「気のせいでは?ここには私達しかいませんよ?それに周囲は警戒しているのですから」

 

「…そうね。気のせいかもしれない…それより今は調の事を優先しないと」

 

そうして、マリアとマムもヘリへと乗り込み、数分後、ヘリはステルス機能を展開し、その場を飛び去って行った。

 

少しずつ終局へと近づいていく事件。

フロンティアと呼ばれるモノが何を指すのか、そして聖遺物殺しと呼ばれた神獣鏡とウェルが手にしているソロモンの杖とネフィリムの心臓…

 

それらが何を為し、何を引き起こすか…それを知るのは暫くしての事であり、それは後にフロンティア事変と呼ばれる事となるきっかけとなった事象である。

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