シンフォギア   作:刃狗

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07.束の間の休息と神獣鏡

「ふぁぁ…眠い」

 

「あ、おはようございます。璃音さん」

 

「んー…?ああ…未来か」

 

「今起きたんですか?」

 

「ああ…まだ眠いけど」

 

「あはは…心労ですか?」

 

「かもな…ん?今日はオシャレしてるけど、デートか?」

 

「い、いえっ…響とスカイタワーに行こうかと」

 

「デートじゃねぇか」

 

「違います…璃音さんは響の事…知ってるんですよね?」

 

「アイツが胸に抱える爆弾が本物だって事か?」

 

「…はい」

 

「そうだな…ま、束の間の休息…とは言わないけど、ノイズが出たら俺達が対処するから…ちっ、コーヒー売り切れか。だからまぁ…アイツも戦ってばかりだし休息は必要だろうから頼んだぞー」

 

「…からかってますよね?」

 

「どうかな?」

 

「あ、あの…何処に」

 

「コーヒー買うついでに体動かしに行ってくる」

 

「あ、はい。気を付けて」

 

璃音は二課の施設内に設置された自販機にコーヒーがない事を知り、

外へと買いに出ることに。

 

そして未来も後からやってきた響と共にスカイタワーと呼ばれる場所でデートするために向かった。

 

「それにしても…響はあれだけ考えてくれてる奴がいるんだ…死なせる訳には行かないよなぁ」

 

璃音は二人で出かける響と未来を陰から見送った後、本当にコーヒーを買いに街へと向かった。

 

「あっちーなぁ…ん?」

 

璃音は暑さの中、ある旗が眼に入った。

そこには、【期間限定】の文字が書かれたデザートが描かれていた。

 

「…暑いし、行くかぁ」

 

そして璃音は旗に描かれたデザートを食べる為に、スカイタワーへと入って行った。璃音はかなりの甘党である事は隠してはいないものの、知ってる人もいなかったりする。

 

そしてそれと同時刻、同じくスカイタワー内にいる響と未来は―――――

 

「響、なんだかつまらなさそう」

 

「そんな事ないよ?」

 

「でも…久しぶりに二人で遊びに来たって言うのに上の空って言うか…」

 

「ご、ごめん…でも、楽しくない訳じゃないよ?ただ、久しぶりだからかな。ここの所ドタバタしてたし」

 

「響…」

 

「ほら、色んなもの楽しめるし行こっ」

 

「そうだね」

 

響と未来は手をつなぎながらもスカイタワー内の施設を回っていた。

響達や璃音とは別にスカイタワー内で動く思惑があった。

 

「…マム」

 

「彼らは米国政府のエージェント達です。私が招集しました。Dr.ウェルにも通達済みです。さぁ…これからの大切な話をしましょう」

 

タワー内にある会議室にて、F.I.S.と米国政府との話し合いが行われていた。そんな事を知らない璃音は―――――

 

「んー…うまい」

 

一人、スイーツを堪能していた。

既に璃音の座っているテーブルの上にはかなりの量の皿が置かれていた。

そんな時、タワーが揺れた。

 

「…地震…いや、爆発か」

 

璃音は食べかけのデザートを一気に食べきると立ち上がり、会計を済ませ、外を見た。

そこには―――――

 

「ノイズ…って事はアイツがこの近くに居るって事か」

 

ノイズを見た一般人が声をあげ、穏やかだったタワー内が一瞬で恐怖に包まれ、我先にと走って逃げ始めた。

 

「(一般人が逃げてくれるなら…上に上がるか)」

 

璃音は人混みに紛れ、非常階段から上を目指す。

展望エリアまで上がれば360度見渡せるためである。

 

「…どんだけ高いんだよ」

 

ガガガガガッ

 

「ん?銃撃音…こっt―――――かなりの血の量だな…コイツら…米国の軍人か?なんでこんなところに…」

 

「…璃音、どうしてここに」

 

「マリア…お前が居るって事はウェルもここに居るのか?」

 

「Dr.はここにはいないわ」

 

「…そうか。でだ…なんで米国政府の人間がいる?」

 

「……。」

 

「だんまりか…ま、いい。ノイズを操ってるって事は近くにはいるしな。今は見逃してやる」

 

「どういうつもり?」

 

「マムを抱えて勝てると思ってるのか?」

 

「…感謝はしない」

 

「別にいいさ…俺は俺でやりたい事があるしな」

 

マリアが立ち去った後、璃音は展望エリアへとたどり着き、周囲の建物を見て回りとあるビルの窓際にウェルが居るのを確認し―――――

 

「Atziluth―――――ノイズが中にもいるから忠告だけにしておくか…殺したいけど」

 

ドンッ

 

ビルへと向け、神器を銃型で展開し、弾丸を撃ちこんだ。

それによりビルの一部が爆発したものの、璃音は気にすることなく、剣型へと変えタワー内にいるノイズの処理と逃げ遅れている人がいないかを上から探して回る事に。

 

そしてノイズを倒しながら下へと向かっていく中―――――

 

~~~~♪

 

「…誰だ?」

 

【璃音ですか?今現場に到着したんですが…今どこに?】

 

「タワー内にいる…上からノイズを潰して回ってるんだが…」

 

【そうですか…空などの外にいるのはこちらで駆除しますので】

 

「了解…俺は中のを潰して降りていく」

 

【壊さない様にしてくださいね?】

 

「…気を付けるよ」

 

璃音は歌唄の注意にもう遅いと内心思いながらフロアを見て回りノイズを潰して下を目指す。璃音が通り、ノイズを潰した場所は壁などが壊れていたが璃音はどうでもいいか、と結論付け、下へと降りきった。

 

「…外のも片付いたようだな」

 

「暁」

 

「翼か…中は確認できる範囲で潰してきたぞ」

 

「そうか…」

 

「?何かあったのか?」

 

「…小日向が爆発に巻き込まれたらしい」

 

「は?響と一緒だったんじゃないのか?」

 

「…立花が落ちそうになったところを小日向が掴んでいたらしいんだが…

私達が到着したときに立花がシンフォギアを纏っていてな…」

 

「…何処だ?爆発したのは」

 

「展望エリアの下だと聞いている」

 

「展望エリアから下は全部探したが未来は居なかったぞ?」

 

「何?」

 

「…(俺が展望エリアに行く前にマリアが通ってるはず…あの場に居たとしたらマリアが連れて行った…かもしれないな。でも…何のために?考えても無駄か…)」

 

璃音が憶測を立てるものの、理由が解らない為、頭から追いやった。

マリアが連れ去ったのなら、安全は確保されているようなものなのだから。

 

しかし、その考えは最悪の形で破られる事となった。

 

「…未来?」

 

「あれは…シンフォギア、ですか?」

 

「…ホント、屑だな…ウェル」

 

「璃音、お前…アレが何か知ってるのか?」

 

「…多分だが、アレは神獣鏡のシンフォギアだ。対聖遺物の聖遺物…最弱にして最凶…ウェルが開発したLiNKERで無理矢理の急ごしらえの装者として使った…って所だろうな」

 

「止める方法は?」

 

「アレの攻撃が全て分解をもたらすなら…方法がない訳じゃないが…」

 

「璃音さん、その方法を教えてください!」

 

「響…教える前に1つだけ聞いておきたい」

 

「なんですか?」

 

「お前は…自分の命を懸ける事になっても実行する覚悟はあるか?」

 

「…え?」

 

「お前の適合係数を見る限り、次に纏えば確実に命を削ることになる」

 

「璃音…もしかして、あの攻撃を使って?」

 

「そうだ…神獣鏡の…魔を祓う鏡の力は相手がどんなモノであっても聖遺物であれば分解する。響…お前が未来を救いたいならお前は胸に埋まってるガングニールをも分の悪い賭けの代償としてかける必要がある」

 

「…ガングニールを」

 

「…それはつまり」

 

「小日向未来の命か響…お前が天羽奏から受け継いだガングニールか…2つに1つだ。響がシンフォギアを纏って戦える時間は?」

 

「…最大で2分40秒です」

 

「…2分40秒…そのごく限られた時間でお前が未来を救えなかった場合…

お前は自分の胸に埋まるガングニールに喰われて死ぬ」

 

「…璃音が行った場合は…」

 

「…神器が壊れ、俺は化け物になるだろうな…そうすれば歌唄達で俺を殺せ」

 

「…やります」

 

「死ぬかもしれないんだぞ?親友の手で」

 

「だとしても…未来は私の大切な陽だまりだから。私の手で救います」

 

「…失敗すればお前は命を落とし、成功しても胸のガングニールは消滅する」

 

「だとしても…私が未来を救わなくちゃいけないんです!」

 

「……だ、そうだ」

 

「…俺としては許可したくないんだがな」

 

「自分でもこんな選択肢しかないってのは嫌だけどな…」

 

「絶対に未来と二人で帰ってきます!」

 

「…解った。俺も行こう…考えてる事もあるしな」

 

「…璃音」

 

「歌唄はここに居ろ…調はここに来るだろうからな」

 

「死なないでくださいよ?響さんも」

 

「大丈夫、絶対生きて帰ってきます!」

 

そうして響と璃音も出撃する事になり―――――

船の甲板にて―――――

 

「…未来、一緒に帰ろう?」

 

「帰れないよ…だって、私にはやらなきゃいけない事があるから」

 

「このギアが放つ輝きはね?新しい世界を照らし出すんだって。そこは争いもなくて誰もが笑って穏やかに暮らせる世界なんだよ?」

 

「争いのない世界…」

 

「私は響に戦ってほしくない…だから戦わなくてもいい世界を作るの」

 

「つまり、お前はその世界を生み出す為にウェルに加担するんだな?」

 

「そうです」

 

「そうか…確かに争いのない世界は平穏で…お前の言う通りの世界かもしれない…けど俺はそんなものは要らない…この手でウェルを殺す…それはアイツらとの約束だから諦めるつもりはない…けどな?響だって望んでこの力を手に入れた訳じゃない…」

 

「それは…でも」

 

「…ねぇ、未来。こんなやり方で作った世界は…あったかいのかな?」

 

「……。」

 

響の問いに未来は少しばかりの悲しみを浮かべる。

 

「私の好きな世界は…未来が傍に居てくれる陽だまりなんだ」

 

「でも、響が戦わなくていい世界だよ?」

 

「…たとえ未来と戦ってでも…そんな事させない!」

 

「私は響を戦わせたくないのっ」

 

「…ありがと、未来…でも私…戦うよ」

 

―――――Balwisyall Nescell gungnir tron―――――

 

「(160秒か…F.I.S.の目的が月の落下を防ぐ事とフロンティアとやらの浮上…神獣鏡の力が必要って事は…この付近の海に封印されている…?いくら急ごしらえとはいえ制限付きのはず…それに、あのヘリがこの空域に居るって事は濃厚か…まぁ響だけに命を賭けろ…とは言えないからな…自我を保てるかどうか…だな。時間切れまでに響が神獣鏡の一部でも砕ければ…ま、確実に怒られるだろうけど…保険として用意しておくか)」

 

戦闘を開始した響を未来が見える位置に移動しながら璃音は何かの準備へと移る。その手に神器を持ち、小さく紫焔を纏いながら―――――

 

そして保護された調は歌唄と顔を合わせていた。

 

「…思ったよりは元気にしてたようですね、調」

 

「お姉ちゃんこそ…」

 

「アンチLiNKERを打たれたみたいだけど…大丈夫?」

 

「平気…切ちゃん…」

 

「切歌ちゃんがウェルに何を吹き込まれたか知らないけど…何か言ってなかった?」

 

「…消えてなくなる前に残したい物があるって…でも、それが何かは…知らない」

 

「そっか…調、未来さんが纏っているのが神獣鏡のシンフォギアで間違いない?」

 

「うん…無垢にして苛烈…魔を祓う聖遺物…それが神獣鏡のシンフォギア」

 

「対処法は…」

 

「…解らない。けど、Dr.達はアレを使ってフロンティアの封印を解くって…」

 

「つまり…フロンティアと呼ばれる何かがこの近くに封印されてるって事ですか…」

 

歌唄が調から情報を聞き出している中―――――

 

「…にーちゃん」

 

「切歌…お前、友達にアンチLiNKERを撃ち込んだらしいな」

 

「っ…そうしないと調を護れないデス!」

 

「ウェルから何を吹き込まれたかは知らないが…少しばかり説教だな」

 

「…にーちゃん、勝てると思ってるデスか?」

 

「どうだろうな…無茶すればお前ぐらい止めれるかもしれないぞ?」

 

「…やれるもんならやってみるデスよ!」

 

「(なんでコイツはこんなに焦ってる?LiNKERの時間か?それとも別の何か…?)」

 

璃音と切歌は響と未来から離れた船の甲板で戦いを始め―――――

 

「戦うなんて間違ってる…戦いのない世界が本当に暖かい世界をくれる」

 

「(未来…そうだとしても…こんなやり方で作った世界は欲しくないんだ。闘いがあっても…未来が傍に居てくれる世界が…私の一番欲しい世界だから)」

 

響と未来の闘いも過激さを増していく中、刻一刻と制限時間が経過していき―――――

 

「ぅぁっ…(誰が未来の体を好き勝手してるんだ…)」

 

制限時間が危険域に入ったのか、響の体中から鉱石の様なものが生み出されていた。しかし、響は気にすることなく、未来へと突っ込み、未来を抱きしめた。

 

「離してっ」

 

「離すもんかっ…二度と離さないっ」

 

「響ーっ」

 

「そいつが聖遺物を分解するって言うなら…」

 

響は未来を抱いたまま、空を駆け―――――

 

「こんなの脱いじゃえっ未来ーッ」

 

未来が放ち、収束されていた神獣鏡の聖遺物分解するエネルギーの奔流へと二人が突っ込んだ。しかし、それだけでは終わらなかった。

 

ガキンッ

 

「どうした?この程度か?切歌」

 

「どうして…にーちゃんは何がしたいんデスか!?」

 

「ウェルを殺す…それがあいつらとの約束だからな」

 

「アイツら?」

 

「研究所に居た…実験体にされ死んでいった連中さ。勿論、セレナも含めてな」

 

「…にーちゃん」

 

「それにな…お前とマリアに説教しないと、だかr―――――」

 

ガスッ

 

「…そこまでですよ…璃音」

 

「歌唄…てめぇ…なに、を」

 

ドサッ

 

「にーちゃんっ」

 

「気絶させただけです…嫌な予感がしたから来てみれば…無茶をして」

 

「…な、なんデスか?それは」

 

「…これが璃音の抱えている爆弾ですよ、切歌ちゃん。カディンギル跡地で負った神器の損傷によって璃音は徐々にですが神器に浸食されています」

 

「っ」

 

「勿論、力を使えば使うほど浸食速度があがります…あれ程無茶をするな、と言っておいたんですけどね…まったk―――――」

 

パァンッ

 

「っと…なんのつもりですか?クリスさん」

 

「どうしたもこうしたもねぇ…アタシはこっち側だった、それだけだ。璃音が倒れたのは好都合だしな…」

 

「…ソロモンの杖、ですか。まったく…貴方も面倒事を増やすんですね…頭痛くなりそうです。まぁ…ここは見逃すとしましょうか…どうやら響さん達は回収してもらったみたいなので」

 

コンッ

 

「「っ」」

 

歌唄の足元に落ちたものがナニかを理解すると同時に瞬間的に目を覆った。

 

「…ちっ、逃げたか」

 

「…目がチカチカするデスよ…」

 

「あの野郎…いつの間に閃光弾なんてもってやがった…」

 

光が収まるとそこに歌唄と璃音の姿はなく、二課の船も姿を消していた事から撤退したものと判断した。

 

その後―――――

 

「……はぁ」

 

「あ、歌唄さん…璃音さんは?」

 

「眠ってますよ…まぁ腕の方は治療しましたけど、起きたらまたお説教ですね。響さんと未来さんの方は?」

 

「…完全に消えてました」

 

「そうですか…まぁ、良かったのかもしれませんね」

 

「…胸のガングニールは消えたけど…奏さんから託された想いは…ここにありますから」

 

「…なるほど。まぁ、今後やる事は決まってそうですけどね」

 

「え?」

 

「フロンティアなるものが浮上し、艦隊を薙ぎ払ったというのを見るに…

人類の救済…というのは表向きで、実はウェルが英雄になりたいだけの下らない計画なのかもしれません。アレはルナ・アタックを阻止し英雄と呼ばれた響さん達に一種の憧れを抱いてるんでしょうね」

 

「…英雄だなんて」

 

「あの男は追い込まれればどんな手を使うか解らないですから…とりあえず、フロンティアに乗り込んで、切歌ちゃんを止めないと…ですね」

 

「歌唄さんは…どうして」

 

「妹が救おうとしてるんです…姉として少しばかり手を貸す…それだけですよ。それに…私自身、コレと言って目的がある訳じゃないですしね。元々ストッパーの様な立ち回りですし?…だから響さんも自分に出来る事をしてください」

 

「…はい」

 

歌唄はそう告げた後、その場を後にし、自室へと戻った。

 

「(璃音の腕…完全に人間のモノではなくなってましたし…アレはウェルを殺す為に自分の命すら代償として賭けそうですからね…同い年とはいえ、手のかかる弟みたいですよ、まったく…ただ疑問なのは…"あの時"に見た障壁…アレが切歌ちゃんではなかったとしたら…ダメですね…考えすぎなのも視野を狭めるだけですし…ただ、気になるのは璃音の内にある

"神器"とは異なる何か…治療しているとはいえ浸食速度が以前より速くなってるのも気になりますね)」

 

歌唄はこれからの事や今後起こるであろう事象に対しての推測をしつつ、

フロンティア上陸の準備を進める。

 

事件は終盤へと差し掛かり始めていた―――――。

 

ネフィリムの心臓、ソロモンの杖…完全に後手にしか動けない状態で装者達が一同に会する場所…フロンティア。

 

そこで何が起き、どうなるか…それを知る者は誰もいない―――――。

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