錦木千束に腹の底から出た本音を言って欲しいだけの話   作:伊勢うこ

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 大変長らくお待たせいたしました。
 
 一挙二話投稿したので許してください! 
 何でもしますから!(なんでもするとは言っていない)


先輩

 

(朗報)先輩ワイ、無事威厳を守る(勝利)

 

 

 はい勝ち〜!! 

 いや〜中々厳しい戦いでしたね。

 なんかたきながめっちゃ怖い顔で追いかけてきて撃ちまくってくるんだもん。

 あれはもうちょっとしたホラー。なんだろう、私何かやっちゃいました? 

 

 あと千束から開始直前になって「たきなのことよろしくね!」と言われた時は「へあぁっ!?」ってなったよ。

 だっていつもは千束のバックアップしかしてないんだもん☆

 いきなり普段と違うことになったらさぁ、そりゃ驚くでしょ……。

 

 私とたきなのサシでやりあえってことだと理解するより前に千束ったら一人で勝手に行っちゃうし。

 コンビ戦ってなんだったの……? 

 でもそういう勝手なとこもしゅき(洗脳済み)。

 

 

 そういう訳でたきなと一対一(サシ)で戦うことに。

 でも正面から一対一って苦手なんだよなぁ。

 被弾は滅多にないから負けることは少ないけど、昔から援護ばっかやって避けていたせいかどうにも苦手意識がなぁ。

 

 でもなってしまった以上仕方ないからやる、かぁ……(諦め)。

 どのみち先輩としての威厳を守らなければいけないのだ。

 やる気を出し、後輩なんて一捻りにしてやるぜー! と意気込んでいたけど────

 

 

 なんだあの気迫!? 

 模擬戦で出すってレベルじゃねぇぞオイ!? 

 

 

 謎の殺気を放ちながらター○ネーターばりに追っかけてくる後輩。

 私、何かやっちゃいました? (二回目)

 あっ、やめろ。後ろから撃ってくるな。

 その攻撃は私に効く(当たれば)。やめてくれ。

 

 でも最終的には勝てたからヨシ! 先輩の意地を見せつけてやりましたよぉ〜。

 やっぱり先輩に勝る後輩など存在しないのだぁ! 

 フゥ〜キモティ〜!! 

 すまんなたきな、下剋上はお預けだぜっ!! 

 

 

 

 模擬戦が終わった頃にはすっかり陽が落ちていた。

 リコリコに帰り着く頃には先生たちと常連さんたちでボドゲ大会真っ盛り中だろう。

 まぁ私はやんないんだけど。私、ゲームはソロプレイ派なんでね。

 現実でもソロ多いんですけど。

 あれ、おかしいなぁ。目から塩水が……。

 

 行きと同様に本部から駅まで車で送ってもらい、駅からは電車で帰る。座席の並びも行きと同じ。

 座席の右側をご覧ください。人間国宝様のご尊顔がありますね。

 座席の前方をご覧ください。さっきから俯いている後輩がいますね。

 

 

 誰も喋らないまま電車に揺られる。

 たきなは模擬戦が終わってからずっとこんな感じ。変な空気だ。

 気分でも悪いのか、それとも私に負けたのがそんなに堪えたのか。

 

 でもな〜私ってば先輩だからな〜負けるのが普通ってか順当っていうか? そんなに落ち込むことないんじゃないかな〜? 

 負けて悔しいのは分からなくもないけど? 

 まぁ誰しもが通る道といいますか? 

 

 ここは先輩のありがたいお言葉で立ち直らせてやりますか。

 かぁ〜つれぇわぁ〜。

 私ってば理想の先輩過ぎて後輩に慕われ過ぎちゃうかもな〜つれぇなぁ〜(存在しない記憶)。

 

 

「……あざみさんって」

 

 

 私の口からありがたいお言葉が放たれるより早く、たきなの口が動いた。

 

「本当に強かったんですね」

「そうだよ〜たきなもびっくらこいたでしょ?」

 

 千束が私の代わりに返答して私を褒める。いいぞもっとやれぇ!! 

 たきなは小さくはい、と頷く。

 

「侮っているつもりはありませんでした。私より早くからセカンドに昇進して、電波塔事件も解決して。先日も、助けられて」

 

「なのに」

 

「私はどこかで侮っていました。この人には勝てると。この人に勝って、自分を認めさせてDAに戻ると。そう思っていました」

「たきな……」

 

 

 膝の上に置かれた掌を握りしめ、スカートに皺が寄る。

 俯いたせいで垂れる前髪に遮られて表情は窺えないが、私でも察することは出来た。

 

 

「私は、弱い。少なくとも、自分の望みを叶えられない程度には。だから──」

 

 

 制服の袖で顔を拭い、顔を上げる。

 

 

「──強くなります。私は、強くならなければいけないんです」

 

 

 強い決意に満ちた表情。

 憑き物が落ちたというか、どこか吹っ切れたような、そんな顔。

 目元がやや赤くなっているのは、決して見間違えではないだろう。

 

「なので、お二人から学ばせてもらいます」

「ほほう、お目が高いねぇ、たきなさん。お手本に私たちを選ぶとは」

 

 たきなの様子を心配していたが、大丈夫そうだと判断したらしい千束がによによしながら茶化す。

 

「改めてよろしくお願いします。千束、あざみ()()

「うん! よろしくね、たきn……先輩?」

 

 千束が固まった。

 

「私たちの関係性を考慮した結果、この呼称が適当だと判断しました。変ですか?」

「えー! それだったら私も先輩って呼んでみてよ〜!」

「自分から呼び捨てにしろって言ってたじゃないですか……」

「一回だけ! 一回でいいからぁ!」

「ところで先輩は、どうやって背後からの弾丸を躱したんですか?」

「たぁ〜きぃ〜なぁ〜」

 

 たきなは私を先輩と呼ぶ気になったらしい。

 まぁ、私ってば先輩だしね? 妥当というか順当というか? 私の溢れ出る先輩力の賜物というか、後輩に慕われるのも無理はないというか? 

 別に喜ぶようなことでもないけど? ッシャオラー! 

 

 

 千束の携帯からピロンと電子音。

 

「あ、先生からだ」

「店長から?」

「ボドゲ大会、まだやってるってさ。どうする?」

 

 先生からボドゲ参加のメールが来たもよう。

 リコリコ閉店後の名物・ボドゲ大会お誘いの知らせ。

 今までは私もたきなも参加しなかったアレだ。

 毎度盛り上がって予定より終了時間が延びるヤツ。

 

「先輩はどうしますか?」

「あざみも行くよね!?」

「お、おぅ……」

 

 どうしよ……この流れで行きたくないとは言えへん……。

 帰ってオンゲするつもりやったのに……。

 いや、覚悟を決めろ北あざみ。

 たとえ真のコミュ障でも、いざという時はキッパリと断る勇気を──

 

「なら私も行きます」

「はい決まりー!」

 

 アッアッアッ(諦め)。

 

 

 全員参戦が決まり、自然と返信の内容はこうなった。

 

 ────みんなで行くぜ! 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あざみはさぁ。たきなのパンツ、見たことある?」

 

 ないです(即答)。

 




 最後まで読んでいただきありがとうございます!
 
 たきなに先輩って呼ばれたいだけの人生でした・・・・・・。
 今回で原作3話分終了。4話の分に関しては細かいところを書き終え次第投稿したいと思っています。

 感想、高評価等いただけると嬉しいです。それでは。
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