「タマ。尻尾ハグというのが流行っているらしんだ」
「尻尾ハグ?腹にでも絡ませるんか?」
「いや、尻尾同士を絡ませるみたいなんだ。
まずは尻尾を突き合わせて……」
「こうか?尻を向け合うとかハズいわ」
「それで、尻尾を1周、2週と絡ませて」
「って無視かい!まぁ、ええわ。
こうか?」
「みたいだと思う」
「なんか、こそばゆいな」
「ああ。タマの毛並みをいつもより感じるな」
「それにしても、オグリの毛はやっぱサラサラしとんなー」
「シチーがまた良いシャンプーを教えてくれたんだ。
タマの尻尾はふわふわして気持ち良いな」
「そ、そうなんか……」
「……タマ」
「ど、どないした……?」
「なんだか……その……
少し恥ずかしくなってきた……」
「お、おま!そんなこと言うたらウチかて……!
ほら!こないなことしてないで
はよトーレニングいくで!」
「タ、タマ!いきなり走り出すと!」
「ぐえ゛ー」
「そんな……!タマが私の下敷きに……!」
「オグリ……ケガしとらへんか……?」
「タマ!!キミは大丈夫なのか!?」
「大丈夫やけど、はよ退いてくれたら助かるわ……」
「す、すまない」
「いや、転んだのはウチのせいやし……
とにかく、ほどいて朝練に行こや……」
※
「ってなことがあってなー。
ワロてまうやろー」
「あの……タマちゃん……」
「なんや?クリーク?
顔真っ赤にして?イナリも?」
「おタマさんや……
尻尾ハグは特別なパートナーとするもんでな……」
「……え?」
「そのね、尻尾ハグが流行ったのはあるドラマがきっかけでね……
『LOVEだっち』という作品の最終回でね……」
「その尻尾ハグていうのはな……
恋人同士の契りみたいなヤツなんだ……」
「ほげぇ゛」
「タマちゃん!?」
「恥ずかしさに耐えきれんかったか……」
「オグリちゃんには……」
「あたしらから説明しないといけねぇだろうが
まずはタマのヤツを保健室に運ばねぇとな……」
「は、はい……」
※
「ただいま……」
「お、おかえり……オグリ……」
「タマ……倒れたと聞いたが……」
「それなら心配あらへんよ……
ちょっちビックリしすぎただけでな……」
「よかった……」
「すまんな。心配させて。
まぁ、早よ着替えな……」
「……」
「……」
「タマ」
「ど、どないした……?」
「もう一度、私と尻尾ハグしてくれないか……」
「ヴェ!?」
「嫌ならいいんだ……」
「いや、そのな……
イヤではないんやけどな……」
「ないんやけど……?」
「オグリはええんか?
ウチとで……」
「タマとしたいんだ……」
「そ、そうなんか……」
「それで……」
「……ええで……やろか」
「ありがとう……タマ……」
「……」
「……」
「タマの尻尾はあったかいな……」
「オグリには負けるで……
ポカポカして気持ちええわ……」
「……」
「……」
「タマ……」
「も、もう遅いから、このへんにしとこか……」
「結んだまま一緒に寝てくれないか……」
「……しゃーないな」
「すまない……」
「ええって。明日も早いからはよ寝よか……」
「……」
「……」
「タマの背中は安心できるな……
まるでお母さんの背中みたいだ……」
「オカンみたいっておま。ヒトの事をなんだと思って――」
「……」
「なんや……もう寝てもうたんか……」
「……」
「……ありがとうな。オグリ。
ウチを選んでくれて」