・ミラルビ編
あの頃からでしょうか
悪夢にうなされる様になってしまったのは。
こんなにも苦しむのなら
貴女と出会うべきではなかった。
貴女を知らない方がよかった。
貴女の事を想わなければ、こんなにも――
そんな、溢れ出る愚考を
目覚める度に貴女は消し去ってくれる。
「おはよう。ルビー」
「おはようございます。ミラクルさん」
「今日も機嫌がいいね」
「はい。貴方がいてくださるから」
私たちは同じ空間の中
尻尾と指同士を巡り合わせて
互いの存在を確かめている。
ケイエスミラクルの幻想も
ミラクルさんの熱も
今は私だけが感じている。
「今日はお休みだから
もう少しだけベッドに居ようか」
「それも良いかもしれませんね……」
貴女を失うかもしれない悲しみよりも
貴女と出会う事ができた幸福が勝ると
私は信じております。
・パマヘリ編
「パマちん……ごめんね……」
「そんな……ヘリオスは何も悪くないよ……」
街頭に照らされるヘリオスの顔は暗い。
理由は分かってるよ。
さっきの年越しパーティの事だよね。
二人ともテンション爆上がりしちゃってさ
!monadの音楽にノッて踊りまくってたよね。
尻尾がいつの間にが結び合ってたのにも気づかずにさ。
それをさ
隣にいた子が指摘してさ
ヘリオスは顔を真っ赤にしながらフリーズしてさ
それで、私がさ
”ついテンション上がちゃってさ”
”別にヘンな意味はないよ”
”ね?ヘリオス?”
細かい内容は覚えてないけど
そんなカンジの事を口走ったのは
確かに覚えている。
それで改めてパーティを楽しもうとしたけど
二人とも気まずさが抜けきらなくて
それで、予定よりもずっと早く
退散する事になっちゃったんだよね。
「事故みたいなモノだったしさ……
誰も悪く無いよ」
ああ、なんで
ただ上っ面な言葉を並べているだけなのに
こんなに苦しくなるんだろう。
本当に辛いのはヘリオスなのに。
ヘリオスには好きなヒトがいるのに――
「パマちんは平気なの……」
「いや、私は全然大丈夫だけどさ
ヘリオスの方こそ――」
ルビーの事が好きなのに
私なんかと尻尾ハグをさせてごめんね。
そう言おうとしたのに
口が突然、動かなくなる。
どうしてなのかな。
「パマちん……!」
ヘリオスが咄嗟にハンカチを取り出して
私の目元に近づける。
それで、やっと、気づいた。
私、泣いているんだ。
ボロボロと大粒の涙を零しているんだ。
私はヘリオスの事が――
「そうなんだよね……
そうだよね……
そうだったんだよね……」
「え……?」
私はズッ友だと誓い合ったヘリオスを
思いっきり抱きしめてしまう。
ヘリオスの手からハンカチが落ちる。
あれはヘリオスのお気に入りなのに。
涙と地面で汚させて私は何をしているんだろ。
それでもこんなバカな行動を
止められない。止めたくない。
ごめんね……ヘリオス……
「私さ、ヘリオスの事がずっと好きだったみたい。
友達としても、違う意味でもさ……」
私は尻尾をヘリオスの後ろに回していく。
「イヤだったらさ、私から逃げてよ」
こんなにも強く抱きしめているのに
逃げられないようにしているのに
なんでこんな事を言うんだろ。
私はさ。
こんな私を、ヘリオスはいつだって照らしてくれた。
太陽を自分だけの物にしたい私なんかを。
「……パマちんからは逃げないよ」
ヘリオスの尻尾を感じる。
今度は無意識なんかじゃない。
はっきりと互いの意志が伝わり合う。
「これからも、よろたのね。パマぴ」
「……ありがとう。ヘリぴ」
ヘリオスは体と尻尾だけじゃなくて
唇でも私の心を温かくしてくれた。