ONE PIECE episode of sword 作:黒糖煎餅
filmREDを初めて見てから構想を練り始めて、先日二回目を見に行った事であぁ、書こうと思い立ちました。
Twitterの方では開設次第、活動報告等していこうかなと。
それでは第一話です、どうぞ。
昨夜のどんちゃん騒ぎの宴は何のその、マキノの店は静寂に満ちていた。
大量に仕入れた酒は悉く底をつき、古い年代物の冷蔵庫には、野菜屑ひとつ残っていない。せいぜい、酒の肴にならなかったパンと卵、数枚のハムだけだ。
仕入れをし直さなければいけない事、そしてもうひとつの悩みを持ったマキノは、ため息をつきながら酒場の清掃を始めた。
小鳥の囀りが聞こえ始めた頃。酒場の隅に寝転がっていたふたりが目を覚ました。昨日の宴で疲れ切っていたのだろう、目をくしくしと擦っている。
「マキノ、めしはー?」
「まきのさん、おはよー。シャンクスたちはまだ寝てるの?」
マキノはその問いに即答できなかった。
話を逸らして、ふたりに朝食の話をする。ふたりともお腹が空いていたのか、喜びながら席に着いた。
こんがりと焼けたパンに、ハムエッグ。牛乳。ベタすぎる朝食にも程があるが、マキノは小慣れた様子で3人分の朝食を作ると、カウンターに並べた。ふたりの子供は大口を開けながらぱくぱくと食べ進めている。
マキノは昨夜起きたことをどうふたりに伝えるか悩みながら朝食に口をつけた。
数分も経たぬうちに、ふたりは用意した朝食を平らげた。お腹がいっぱいなのだろうか、普段より少しぷっくりとしたお腹が、妙に愛らしい。
こんなにも可愛いふたりに、重たい現実を突きつけるのは気がひける。
しかしいずれはバレるだろう。と、マキノは重い口を開いた。
「そんなワケねぇ!シャンクスたちが、そんなことするワケねぇよ!」
失敗した。
マキノは、そう直感した。
自分なりに、言葉を選んだつもりだった。
しかし、ふたりは理解してしまった。
『ウタは赤髪海賊団に捨てられた』、と。
明け方の町に、少年の怒号と少女の慟哭が響いた。
町の大人たちが彼女に慰めの言葉をかける。けれど、それは彼女の傷口に塩を塗るだけで、そのたびに彼女の慟哭は激しさを増した。それに呼応するように、ルフィの怒りも増していく。堰を切ったようにポロポロと溢れる彼女の涙を見て、ルフィは全身をワナワナと振るわせながら、酒場を飛び出した。町の若い衆が、ルフィを掴み、なんとか食い止めようとする。
「はなせ!はなせよぉ!」
体をジタバタと動かして、大人たちの腕の中から抜け出そうとする少年。しかし、腕力の差で抜け出せずに居た。
「くそぉ!なんでだ!なんでウタを置いていくんだ!家族じゃなかったのかよぉ!」
少年の怒号が朝日の雪ぐ町に、いつまでも響いていた。