秋の向こうへ、その向こうへ。   作:たいたい35

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初G1、迫る

「じゃん、月刊トゥインクル買っちゃいました。阪神ジュベナイルフィリーズのことも載ってるから、アーちゃんとコートの特集もあるよ。ということで!さっそく見てみよー」

 

インタビューを受けた数週間後、阪神ジュベナイルフィリーズは少しずつ迫ってきていました。そんなある日、ウールちゃんが月刊トゥインクルを買ってきました。表紙には、エリザベス女王杯の覇者、ナタリーさんが大きく写っていました。勝負服を纏ったその姿はモデルさんみたいで、美しいです。

 

「どれどれ、あ、コートだ。無敗の赤眼が睨むはジュニア女王の座ただ一つ。カッコいいフレーズだね。色々インタビュー載ってるよ。日々のトレーニングで気をつけていることは、とにかく自分を追い込むことです。食事制限も怠らず、レースに対して真摯でいたいです、だって。さすがコートだね」

「恥ずかしいから読み上げないで。自分では当たり前のことを言ったつもりだったけど、なかなか気障なインタビューになってしまったわ。次からは気をつけないと」

「コートちゃんらしくて、かっこいい。私はすごく良いと思う」

「そ、そうかしら。アリアンスさんにそう言ってもらえるなら、良かったわ」

 

そう言いながら、少し頬を赤らめていました。ウールちゃんは、私のページを熱心に探していました。

 

「お、アーちゃんだ。白髪の天使はターフを雪に染める、目指すは一面の雪景色。やっぱりアーちゃんはかわいいね。これはアルテミスステークスの時の写真かな?このゴール板前、ほんと惜しかったね。こっちは取材用に撮ったのかな、おっとりしてて綺麗だね。アーちゃんの魅力が写真でも伝わってくる」

「私の時より褒めてない?ほんと、分かりやすいんだから」

「そりゃあたしはアーちゃん一筋だから。他には何が書いてあるかなー。あ、ライバルはコープコートちゃんです、だって。コートちゃんの走りには何回も圧倒されて、今度は私の番です。うんうん、良いこと言うなあアーちゃんは」

 

私も少し恥ずかしくなってきました。お茶を口に運ぶ頻度も高くなっていきます。

 

「アリアンスさん。なにも圧倒されたのはあなただけではないわ。私も、あなたの走りには何度も圧倒されてきた。だからこそ、譲れない。今回は負けられないわ。まだ時間はある、もっともっと仕上げて、最高の状態で戦いましょう」

 

あのコートちゃんからライバルとして認められたような気がして、嬉しかったです。その反面、ふさわしい走りをしてみせるという気持ちも高まっていくのでした。

 

「ユウトレーナーについても載ってるよ。僕はアリアンスが勝つためならなんでもします、だって。痺れるね!こんなことあたしも言ってみたい!」

「そこまでウマ娘のことを考えているだなんて、素敵な方ね。もっとも、アリアンスさんに対して変なトレーナーを寄こすのは、私が許さないけど」

 

ユウさんの話題で盛り上がっていました。この前のインタビューの後から、ユウさんは気持ちが少し引き締まったように見えます。やっぱりお父さんと比較されるのは好きではないのでしょうか。乙名史記者から「天才」のワードが出た時、少し唇を噛んでいて、感情を抑えているように見えました。

 

「そういえば、あなたもユウトレーナーのもとに移籍したのよね。どう、調子は」

「バッチリ。やっぱりすごいよ、あの人は。疲れはするけど、全然苦にならない。自分が確実に強くなってるって実感できるんだよね。それだけ良いメニューを考えてくれてるんだと思う。あんたも、入りたくなったらいつでもおいで。トレーナーは歓迎するって」

 

意地悪そうにウールちゃんがほほえみました。私も、ウールちゃんの気持ちはすごく分かります。ユウさんは本当に私とウールちゃんのことをよく見てくれていて、的確なアドバイスを与えてくれます。ナタリーさんが言っていた秀でた観察眼と豊富な知識で、私たちの背中を前へ前へと押し出してくれます。感謝してもしきれません。いつかお礼を言えるといいのですが。

 

「私は私でがんばるから。さ、長居しちゃったわ。そろそろトレーニング行ってくる。二人も、頑張ってね」

 

コートちゃんが部屋を去って、二人でもう少しだけ雑誌を見ていました。ビジョンスターちゃんの記事やローズピーチ先輩の記事、他にも今後のレースの情報がたくさん載っていました。ジュニア級最後の戦いは、確かに足音を強めていました。

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