ゴジラ・アースに転生したので色んな侵略者から地球を守ろうと思います 作:アメコミ限界オタク
「死ね」
プラネットバスターキャノンの掃射は一瞬のうちにエルフの少年と少女……つまりアウラとマーレの心臓、頭、両肺を正確に2発ずつ、まるで砲弾が吸いこまれるように命中する。
「おぎゅっ!?」
「ぷぎゃ?!」
100メートルを超える怪生物サイレンすら殺せる威力の砲弾が両腕から6発ずつ。
ストーム1の両腕にはパワースケルトンのアシストがあっても人体を砕きかねない程の殺人的な反動がかかっている。
にも関わらず、狙い違わず12発全弾が美しい少年と少女の姿をした悪魔の身体を穿つ。
下腹部。
心臓。
両肺。
脳天。
その砲弾を急所に6発も叩き込まれた2人は全身が風船のように弾け飛び、コンクリートの地面にパラパラと散る髪の毛と僅かな肉片だけを残して染みとなった。
「邪魔」
ストーム1は死体の尊厳など全く気にせずに血で染まった道を踏み潰すか、ブーツに触れた肉片をつま先で軽く蹴ってゴミ掃除でもするように側溝に落とす。
そしてスペースストーンの力でその死体は髪の毛一本、血液一滴に至るまで太陽の中にテレポートさせて綺麗に掃除する。
「次」
救助された市民ですら恐怖を抱く鬼の形相でストーム1は次の戦場へとテレポートする。
ストーム1が次に飛んだ戦場は、アルベド率いるプレアデスが殺戮を行っていたEDF基地。
基地内にいた隊員は事務員や給仕係などの非戦闘員すら惨殺されて、その死体を持ち去る悍ましい作業の途中だ。
そこら中に切り落とされた兵士達の手足や頭部が転がり中、メイド服を着た女たちや異形が死体拾いの作業をしている。
ストーム1が無言で彼女達に砲口を向けて引き金に指をかけた瞬間……。
「死ね糞雌餓鬼!!!!」
いち早くストーム1の出現に気付いたアルベドが傾国の美貌を醜く歪め、品の無い罵声と共に身の丈以上の巨大な斧で斬りかかる。
プレアデス達もテレポートで出現した敵の増援に無駄な仕事が増えた、とでも言いたげなうんざりした反応から一転。
その増援が偉大なるアインズ様が自らスカウトに赴き、ナザリックに加わるように説明してやったにも関わらず分不相応にも、そう、分相応にも!
身の程も弁えず!足蹴にした!!
あの憎き小娘であると分かるや否や、全員が運んでいた荷物をその場で投げ捨ててストーム1に殺到する。
「お前の死体をゾンビにしてあのクソトカゲの前に投げてやったらどんな声で泣くのか、想像するだけでワクワクするっすね~」
赤い髪の女……ルプスレギナが狼のごとき鋭い爪でストーム1に斬りかかる。
が、新装備『ストーム』の加速力は数万分の一秒で最大速度にまで到達し、その推進力は重戦車タイタンすら空の彼方へふき飛ばす。
そして最大の特徴であるその機動力はまるで芸術のように幾何学模様を描く。
それはまるで、
その動きは、キャンパスを用いる事なく宙に絵を描くような奇跡の領域にある神業だ。
「あなた、随分と鈍臭いのね」
「え?は?」
瞬間移動のごとき超加速と瞬間停止を駆使した機動力。
その速さを利用した残像による分身。
目で追う事すら困難な複雑怪奇な機動。
それは、レベル100のプレアデス達やアルベドにして、見えている筈なのに見えない。理解を超越した動き。
見えているのに見えない。いつの間にか接近されている。
予測不可能で意味不明な、変態的挙動と機動力。
それがブースター【ストーム】の真骨頂だ。
「さよなら、2度とこっちの世界に来ないでね」
いつの間にかストーム1に背後に立たれていたルプスレギナの意識は、凄まじい衝撃とその言葉を最期に、闇の中に消える。
赤毛の女の頭をツインブラストスピアで跡形もなく爆散させた瞬間、金髪の女に向けて体当たりを敢行する。
「げふっ!?」
ストーム1の為にアップグレードとチューニングが施されたこのパワースケルトンであれば、もはや人間サイズの敵相手に武器を使う必要性は薄い。
まるで人体をすり抜けるように、ストーム1はなんの抵抗や手応えを感じずに、金髪の女の肉体を砕く。
その女の正体がなんの怪物だったのかは知らないが、スーツの耐酸コーティングが反応している事から、恐らくは全身、あるいは体液が酸性の何かで構成された生物だったのだろう。
「よくも私のアインズ様を侮辱したわね!!!!」
自分のしている殺戮を棚上げし、ストーム1に見当違いの恨みを叫んで斬りかかるアルベド。
彼女の踏み込んだ足は、殺された自分の仲間たちの死体すら踏みにじっている。
ストーム1はアルベドの仲間への無関心さと冷酷さに眉をしかめるが、そんな事は敵の事情と切り捨てる。
「それ、私関係無いんで」
ストーム1はアルベドに勝るとも劣らない高速移動を行い、斧による斬撃を回避。
2人はそのまま激しい空中戦へともつれ込む。
異世界の事も異世界人の事情も、今のストーム1には全く関係無いし、考えてる暇も無い。
彼女の頭にあるのは、人類を救う事だけなのだから。
しかしそんなストーム1の都合もアルベドにとっては関係無いし、どうでもいい事だ。
彼女の頭にあるのは、アインズの事だけなのだから。
「死ねえええ!!!!」
「そっちが死んでください!!!」
二つの世界を代表する二人の女傑の死闘。苛烈な弾幕と斬撃の応酬が嵐のように続く。
その死闘は傍目には白い閃光と黒い閃光が幾何学模様を描きながら空中で激しく衝突しているように見えるだろう。
あるいは、神話の神々同士の
その戦いは僅か数十秒もしないうちに佳境へと移り行く。
ストーム1の動きに、設計限界を超えて過負荷を起こしたストームがオーバーヒートを起こしたのだ。
スラスターはあまりの熱に真っ赤に染まって溶け落ち、各部マグネットモーターは摩耗して悲鳴を挙げる。
ストーム1の動きが人間には分からないほど、ほんの少しだけ鈍くなる。
ほんの何百分の1秒の誤差としか言いようがない僅かな隙。
しかし、超人を遥かに超えた超人。レベル100のフィジカルを持つアルベドを持ってすれば致命的な大きな隙。
「殺った!!」
巨大の斧がストーム1の鎧を切り捨てる。
「殺ってない」
ストーム1の姿が淡く輝き、スペースストーンのエネルギーで空間が満たされる。
無防備な腹に、今まさに叩き込まれる寸前にアルベドの斧はコンマ数ミリ、ストーム1の腹を割腹する直前に停止ボタンを押したビデオのようにピタリと止まる。
「はあぁっっ!?」
素っ頓狂な声を挙げてアルベドが斧を進ませようと、あるいは振り戻そうとしてどれだけ腕に力を込めようと、足を踏ん張ろうと、腰から力を入れて体重をかけようともピクリとも動かない。
まるで神の手がなにも無い空間にバトルアックスを固定したかのようだ。
「捕らえた」
ストーム1の握り締めた拳に蒼き輝き――スペースストーンの内包する無限のエネルギーが集積される。
「死ね」
それは光すら呑み込む黒い塊……ブラックホール。
その引力は光すら呑み込み、星をビー玉よりも小さな玉に圧縮させる。
その力を今、ストーム1は己の意志のみでコントロールしている。
「あ、あぁあ……!!うぁぁぁ……!!」
アルベドは馬鹿ではない。むしろ、彼女は聡明過ぎるほどに聡明な賢者だ。
だからこそ不幸な事に、その力を、その破壊力を理解出来る。出来てしまう。自分の運命を本能で理解している。
だが人間を腹の底から侮辱し、嫌悪し、憎悪し、軽蔑しているアルベドの魂が否定している。
たかが人間の小娘が天体に匹敵する規模のエネルギーを自在に操っていることが。
その小娘に葬られる運命を理解しているのに、理解出来ずにいる。
「モモンガ様アアアアア!!!!」
その叫びも、血肉も、黒い渦は全てを呑み込んだ。