休暇中の夕立が緊急出撃する話。


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ポイさんの発言から作った夕立小説。

最後に敵の残酷な描写が入るだけ。
そこまで残酷な描写はない。


駆け抜ける狂犬

 

「美味しいっぽ~い!」

 

そんな声が響く町中の甘味処。

 

広くも狭くもない店の奥。

 

そこのテーブルにその声の主がいた。

 

白露型4番艦「夕立」。

 

それが彼女の名前だ

 

何故艦娘である彼女が

こんなところにいるのか。

 

理由は単純、ただの休暇だ。

 

どの鎮守府でも名前が挙がる。

 

それだけの活躍をしているのだ。

 

機動力があり、すさまじい火力が出る。

 

そのため戦場に引っ張りだこ。

 

つまり滅多に休みがないのだ。

 

前の休みは3ヶ月以上前。

 

特殊海域の発生が重なったことで

せっかくの休暇が先延ばしになった。

 

休みたいのに休めなかったのだ。

 

しかし、ついに休暇が取れた。

 

本当は姉妹と来たかったが、

予定が合わなかったため1人。

 

前日に姉妹たちに勧められた

この店限定のパフェを頼んだ。

 

そして最初に戻る。

 

食べる度に跳ねている髪が動く。

 

まるで犬の耳のように。

 

赤い目を輝かせて頬張る。

 

傍から見たらパフェを食べる少女。

 

美味しそうにパフェを頬張る少女。

 

喜びのあまり笑顔が絶えない。

 

その様子を見ている店員と客は、

その笑顔に釘付け。

 

食べることも仕事をするのも忘れ、

ただただ、少女が食べている姿を見る。

 

夕立はそんなことに気づくことなく

パフェを美味しそうに食べ続ける。

 

そして50㎝はあろうかというパフェを

30分とかからず食べ終えた。

 

 

 

 

 

食べ終えた後はゆっくりとお茶を啜る。

 

ゆっくりとこの時間を味わいたいから。

 

しかし、その時間は警報に邪魔された。

 

突如、町中に警報が鳴り響く。

 

夕立は警報を聞いて少しイラっとした。

 

この警報は深海棲艦が近づいた合図。

 

警報は5種類に分かれている。

 

音の違いで警戒度が分かるのだが…。

 

夕立は直ぐに席を立ち、荷物を持つ。

 

カバンから財布を取り出すと、

万札をレジに叩きつけて店を出た。

 

町中には多くの人が立ち止まっていた。

 

夕立は人混みを縫うように走る。

 

速度は緩めずに走る。

 

この町は海からかなり離れている。

 

そのため急いで鎮守府まで戻る。

 

ずっと警報の嫌な音が耳に響く。

 

この警報は第4段階。

 

1が接近、2が避難、3が被害小

 

3までなら鎮守府の戦力で事足りる。

 

しかし、4以上は危険なのだ。

 

4が被害中。

 

つまり町への被害が大きくなる。

 

やってくる敵艦が強いことが分かる。

 

たまに空襲も来るため危険だ。

 

まだ5の被害大出ないのが幸いだ。

 

姫級レベルが来ないから。

 

それでも安心はできない。

 

主力艦隊が出払っていたら………。

 

夕立は最悪な展開を考えた。

 

しかし、すぐに振り払って走る。

 

坂を全力で走って下る。

 

自転車より、車より早く走る。

 

あと少しで鎮守府近くの町に着く。

 

そんな時、耳の無線が鳴り響く。

 

ゆっくりしたくて電源を切っていた

耳に付けるタイプの無線。

 

緊急連絡の時は強制的に電源が入る。

 

つまりはそういうことだ。

 

無線からは姉、時雨の声が聞こえる。

 

「夕立!聞こえるかい⁈」

 

切羽詰まった声が聞こえる。

 

冷静な姉にしては珍しい焦った声。

 

「何があったの⁈」

 

語尾のポイを忘れてすぐに返す。

 

「敵の大艦隊!こっちが押されてる!!

主力も後30分は戻らないんだ!」

 

夕立はその言葉を聞いて舌打ちをした。

 

最悪な展開が当たってしまった。

 

夕立はさらに速く走る。

 

足を止めることなく走り続ける。

 

先ほどの笑顔とは真逆。

 

怒りに満ちた顔をして走る。

 

夕立は走り続けた。

 

持っていた荷物も投げ捨てた。

 

妹たちが買ってくれたカバンを。

 

1番の姉が買ってくれた財布も。

 

提督が買ってくれたスマホも。

 

鎮守府近くの町を通り抜ける間に

全て道端に投げ捨てる。

 

走るのに邪魔なものを捨てた。

 

仲間を、姉妹を、提督を……。

 

鎮守府を守るために走り続けた。

 

 

 

 

 

ようやく鎮守府に着いた。

 

所々に煙が上がっている。

 

しかし、大きな被害は出ていなかった。

 

遠くでは砲の音と爆発音が響く。

 

夕立は一直線に工廠へ。

 

工廠には傷ついた仲間がいた。

 

妹たちも傷だらけだった。

 

傷だらけの身体で行こうとしていた。

 

「姉貴たちがまだ戦ってるんだ!

行かせてくれよ‼」

 

妹、江風がそう言った。

 

それに対し明石は必死に止める。

 

「ダメです!今のまま出撃すれば、

間違いなく轟沈します‼

今は傷を治すことに専念して‼」

 

江風の傷はかなりひどい。

 

明石の言う通り、間違いなく轟沈する。

 

それでも出撃しようとする江風に

夕立は近づいていく。

 

そして鳩尾に拳をいれた。

 

「ゴハッ!あ…ねき…………」

 

倒れる江風を抱き止めて床に下ろす。

 

明石は夕立に礼を言う。

 

「ありがとうございます。

助かりました。

夕立さんの装備はあそこに。」

 

明石が指す方に夕立の艤装があった。

 

夕立は直ぐに取り付ける。

 

着用に5秒もかからない。

 

取り付けるとすぐに海に飛び込む。

 

出撃前の安全確認をすることなく、

出撃していった。

 

 

 

 

 

その後、夕立は仲間と共に戻ってきた。

 

煤で汚れた顔で満面の笑みを浮かべて。

 

主力艦隊が戻ってくるまで

敵艦を殲滅し続けたらしい。

 

そのおかげで轟沈者は0

 

町への被害も少なかった。

 

夕立の投げ捨てた荷物も戻ってきた。

 

町の人がその姿を見ていたらしい。

 

守ってくれたお礼と共に届けられた。

 

甘味処からもお礼が来た。

 

次はサービスするとのこと。

 

夕立は次の休みに

姉妹で行くことにした。

 

 

 

 

 

そんな夕立のことだが、

共に戻ってきた仲間たちはこう語った。

 

あれは獣とは程遠いものだと。

 

ただ残酷なまでに敵を殲滅した。

 

拳で装甲を粉砕し、腸をぶちまける。

 

魚雷を口にねじ込み、頭を破壊する。

 

狂犬などと言う言葉は生易しい。

 

仲間が畏怖するほどの冷酷さ。

 

それを仲間は口をそろえて言うのだ。

 

あれは、赤い悪魔であった、と。

 

 

 

「さあ、素敵なパーティーしましょ!」

 

 




2作目の短編小説
思いついた勢いで書きました。

夕立は可愛さと怖さを併せ持つ子
私はそう思います。


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