すごろく場から戻ったら、ゲームクリアされてた 作:フライングトースター
お待たせしました。交信不定期で申し訳ないが許して
ゾーマ視点です。
わしは、大魔王ゾーマ。
精霊ルビスに創造されしアレフガルドの大地を闇で支配し、人々の嘆きを啜るもの。
生きとし生けるものは苦しみ、嘆き、その感情をわしが喰らう。
しかし最近、どうにも―――
「喰い飽いた、のぅ」
玉座に腰掛けながら、深く嘆息する。最近は生きのいい「嘆き」が少ない。
ゆったりとした速度で絶望に向かっていくものだから、どうにも新鮮さに欠ける。
これは由々しき事態だ。
〝勇者のつるぎ″を砕く力も鈍るというもの―――主にやる気的な意味で。
思えばアレフガルド攻略は、少々急ぎ過ぎたのかもしれん。
この地に降り立ったわしが行ったことは、以下のような感じになる。
まず、世界を広げていた精霊ルビスを我が闇の力で補足し、封印。石像に変えてどこぞの塔に押し込めてやった。
次に、防衛戦力が乏しい場所から順に、町や村を滅ぼしていった。まぁマイラとやらには温泉があったので見逃してやったが。温泉・・・アレはいいものだ。
最後に強力な武器・防具の押収。狙い通りラダトームに纏められていたので、根こそぎ奪ってやった。防具はなるだけ面倒くさそうな場所に投棄し、武器は今まさに砕いているところよ。*1
まぁこんな感じで我ながらハイペースでアレフガルド攻略を行ったのだが・・・まぁ初めは良かった。
希望が次々と摘み取られていく。絶望に次ぐ絶望。それら負の感情は極めて美味であったと言えよう。
しかし、今はどうだ。「嘆き」の安定供給こそされておるが、かつての味には及ぶべくもない。
わしは反省をした。
今はかつて精霊ルビスに創造されし世界の攻略を行っているが、配下どもには敢えてゆっくりと侵略を広げていくように指示している。
アレフガルド攻略の二の舞は避けねばならん。
そう―――バラモスを魔王と名乗らせ総大将に見せかけることで、わしはその裏に潜むのだ。そして程よいタイミングで開示をする。魔王の後ろには、実はさらに大魔王が糸を引いていたのだ!な、なんだってー!?
これだ。完璧。
我ながら深淵なる智謀に感嘆せざるを得ないな。
そうこうしているうちに瞬く間に年月は過ぎ。いつしかバラモスに任せていた世界からの「嘆き」の供給が減ってきていることに気づいた。
これはどういうことか?わしは千里眼でその世界を見て回った。すると―――
おるではないか、英雄の器が。一人で世界を救おうとする豪気な若者が。あれぞ勇者。これぞ我が待ちわびた―――
新しいスパイスだ。
希望から一転して絶望に叩き落されるその落差こそ、今まさにわしが求めていたもの。
勇者はやがてバラモスめを倒し、アレフガルドへやってくるであろう。
そして、その時こそ。勇者を生贄とし、その苦しみを我に捧げてもらうのだ。
勇者と言う名の希望が滅ぼされた時の「嘆き」は、さぞ美味であろうな。
さぁ勇者よ、我が腕の中で息絶えるがよい―――
わしは待っておるぞ―――
―――取り敢えず、アレフガルドに来たら見守ってあげるかのぅ?*2
次回もゾーマ様がお届けいたします