すごろく場から戻ったら、ゲームクリアされてた 作:フライングトースター
リアル事情でごたごたしていて、執筆時間が確保しづらい状態におりました。
このままじゃいけないよなあ、と思いつつも気付けばこんなことに。
流石に皆様もお暇なクリスマス・イブくらいは投稿しなきゃね!
・・・え?暇じゃない?またまた~
・・・またまたぁ(´;ω;`)
竜王。
彼こそは竜族の偉大なる王であり、絶対なる闇の君主。
突如としてアレフガルドの地に降臨した、ラダトームの至宝“光の玉”の正統なる後継者である。
竜王は魔の島に築き上げた居城“竜王の城”に存在する。しかし、地上のどこからも彼の姿を見ることは出来ない。
もしも何がしかの奇跡でこの城を訪れ玉座の間に到達する者が居ようとも、竜王に会うことは叶わない。ただ主不在の空の玉座が存在しているのみである。そして竜王の「不在」に戸惑っている間に駆けつけた魔物たちに囲まれてやられてしまう、という寸法だ。
しかし、ここが“竜王の城”で、彼がそこに存在していることは紛れもない事実。
ならば、竜王はどこに「居る」のだろうか?
優れた探索者ならば、慌てず騒がず。玉座を調べることだ。そうすれば、玉座の後ろの一部分から風が吹いてくることを察せられるだろう。あるいは、リムルダールでこの言葉を聞いていたかもしれない。
『古き言い伝えでは ロトは この地の西のはずれに 虹の橋をかけたそうじゃ。
そして 魔王の部屋の隠されたる入口より 闇に入ったと聞く』
そう、玉座の後ろには地下への秘密の階段が隠されており、その先は暗闇に閉ざされているのであった。
アレフガルドの新しき災厄、竜王はその最奥に存在する―――
そして今、地下七階の最奥の間にて“竜王の城”の主は、とある人物からの報告を受けていた。
「・・・そうか、やはり精霊ルビスの守護の力が人間どもの拠点に働いているという事か」
「はっ・・・恐れながら陛下、彼奴の力は堅牢にして強固。その守りを突破するのには魔物どもの力を以てしても容易いことではなく、いまだにラダトーム・メルキド・リムルダール・ガライ・マイラは陥落できずにおります」
精霊ルビスの守護―――それこそが、竜王が降臨してからも人間の町や村が残っている理由でもあり、竜王の誤算の一つでもあった。
竜王の降臨、そしてラダトームへの襲撃。これを察知した精霊ルビスはラダトームのある「旧大陸」の町や村を基点に“精霊の加護”を展開。魔物の力を減衰させ、逆に人間には能力の向上を促す目には見えぬフィールドを張ったのである。
襲撃されたラダトームにて、竜王軍が破壊しつくすことなく撤退したのはこれが理由であった。
「・・・ふむ。すると、ドムドーラの陥落は僥倖であったな」
「まさしく。ルビスの守護の力が完全に働く前に、西方方面軍による集中攻撃によってこれを破砕。陥落せしめることに成功しました。あと数時間攻撃の手が遅れていれば、または魔物どもの数が少なければ叶わなかったことでしょう。
―――全ては陛下の深慮の賜物でございます」
うむ、と竜王は鷹揚に頷くと手元の何がしかをくるくると弄ぶ。それこそはラダトームの至宝―――いや、ラダトームに保管されていた一族の宝、すなわち“光の玉”だった。
「―――かつて、我が母上は人間の勇者に我らが秘宝を奪われた。人間どもに敵対する魔族の王に対抗するためには、この“光の玉”が必要だったせいだ」
「はい・・・」
「病で余命幾ばくもない母上には抗う事すら出来なかったであろう。何故なら、母上にはもう一つ、守らねばならぬものがあったからだ。
それが、儂だ。儂はその時まだ母上の胎のうちに居た。産まれる前の儂を庇い、母上は秘宝を差し出す外なかった!あるいは人間は敢えてその機会を待っていたやも知れぬ。人間どもは、野蛮で残忍で、しかし狡猾な生き物だからな」
竜王の主観、いや知識ではそういう事になっていた。
「ラダトームを襲撃した儂は兎に角も“光の玉”を必ず取り返すつもりでおった。平和ボケした人間の城からそれを見つけ出すのは何とも容易かった。いっそ、あっけに取られたくらいだ。一瞬、偽物かもしれぬとも思ったが、“光の玉”に満ちる魔力がそれを否定した」
「これこそが母上の魔力。儂が間違えるはずもない。歓喜した儂は、後の始末を魔物どもに任せ、城を後にしようとした。その時であったな、そなたの進言があったのは」
「陛下も彼奴から何かを奪うべきだ、という進言の事でしょうか」
「そう。その言葉があった故に・・・儂も人間どもから大切なものを一つ奪った。王の愛娘、ローラ姫をな」
「その奪ったローラ姫だが―――どこへやった?
のう―――王子よ」
忽ち立ち上った竜王の怒気が、目の前の人物―――竜王の息子に向けられる。
びくり、と身を縮こまらせた王子は、次の瞬間巨大な手に押しつぶされそうになった。
竜王がその
目にもとまらぬ早業であった。
「―――!!?」
「王子よ、そなたは確かに純血の竜族ではない。しかしいずれは我が後継者に・・・と思い、これまで育ててきたつもりだ。それが、のう。人間どもの言葉ではこう言うのだったか?
“飼い犬に手を噛まれる”、と」
「お、お待ち・・・お待ちください、陛下!理由が・・・理由があるのですっ!!」
「無論、そうだろうとも。物事には大抵理由がある。おぬしにも知性はある故に、何がしかの理由を以て姫を我が手の内から逃したのだろうが―――儂に伺いもせずというのは実にいただけない。そうではないのかのう、ん?」
「は・・・ははっ!実に浅慮な行いでありました。お許しを・・・お許しをっ!!」
自分の腕の中でもがき懇願する姿を見て竜王は一息つまらなそうに息を吐くと、押さえつけていた腕を緩めてやった。
その後何事か言い訳をまくし立てていた息子だったが、もはや竜王はソレには興味が無くなっていた。
(ふん、姫に懸想でもしたか・・・もしくは要らぬ情でも湧いたか?実に下らぬ。やはり人の血が入るといかん。あの頃は他に選択肢もなかったのだから仕方のない事だったが、母体にするのであれば下等な人間などではなく、せめて魔族にするべきだったか。もしくは魔物であっても竜の血が交じっているものであったなら、あそこまで不出来にはならなかったのかもしれぬ―――ん?)
己が息子をも切り捨てる算段が頭に過り始めたその時、配下の魔物が慌ただしく竜王の間へと駆け寄ってくるのが見えた。
洞窟に多く展開している魔物の一種、メーダだ。本来竜王の城近辺には展開していない魔物だが、この個体はメーダ同士のネットワークで何かあった場合に知らせるべく、竜王の城に駐屯していた。
「ホウコク!ホウコクアリ!リュウオウジデンカニ、ホウコク!」
「な、何!?いや、今それどころでは・・・」
「よい、メーダよ。そのまま申せ。何か起こったのであろう?」
狼狽える王子を無視し、メーダに報告を続けるように促す。
一瞬躊躇するそぶりを見せるメーダだったが、竜王の決定は絶対である。
「ヌマチノドウクツニトラエテイタろーらヒメガウバワレマシタ!」
「な・・・なんだと!?ローラ姫は選りすぐりのドラゴンに番をさせて・・・」
「ミハリノどらごんハ、ヤッテキタニンゲンニタオサレマシタ!オソルベキちからノモチヌシトノコト!」
「馬鹿な、人間如きがそんな・・・へ、陛下?これは、その・・・」
「もうよい」
なおも無様に狼狽える王子を見ようともせず、玉座に再び腰を下ろしながら目の前のソレに言葉を投げる。
「儂の元からローラ姫を連れ出しておきながら、満足に番も出来ぬか?
このままそなたを縊り殺してもよいのだが―――この無能さ加減には、呆れてもはや怒りすら沸かぬわ。
儂の気が変わらぬうちに、疾く去ね」
やがて誰もが退出し、静まり返った玉座にて竜王は一人思案する。考えることは、やはり先ほどの一報についてだ。
(恐るべき力で人間がドラゴンを倒しただと?気になるな・・・。もしや、かつてこの地にて活躍したとされるロトの勇者とやらの再来か?)
一瞬、その危険性に想いを馳せようとしたが、目の前の物体を見て要らぬ心配だと思いなおす。
(くっくっく。それならそれで構わん。来るなら来てみろ、人間め。我が手に取り戻したるこの秘宝“光の玉”の魔力で絶望の淵に立たせてくれようぞ―――)
皆様、アンケートへの投票ありがとうございました。
また、不定期投稿なこの作品ではありますが、長い目で続きを待っていただければ幸いでございます。
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