すごろく場から戻ったら、ゲームクリアされてた   作:フライングトースター

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勇者アレルは自分なりの考察を立ててはいましたが、自分の思い込みだったりすることもあります。
今回の動きも、その一つ。
ヴィヴィアンの行動を追ってみましょうか。


ヴィヴィアン・チーズという女 3

 

彼女は大盗賊カンダタの手下の一人であり、彼の元を離れ盗賊稼業を行っていた〝バターとチーズ"の片割れであった。今でこそ〝ヴィヴィアン・チーズ"などと名乗ってはいるが、元々はただの〝チーズ″が名前であった。頭はあまり良くはなく、金にもがめついが手先は器用であった。それ故に〝バターとチーズ"では鍵師として盗賊稼業を行っていた。*1

ヴィヴィアン"等と名乗ることになったのは、〝バターとチーズ"でアッサラーム地方に遠征に行った折、踊り子の名前に「ティンときた」からである。*2

 

そんな彼女にまた一つ人生の転機が訪れた。〝バターとチーズ"の片割れ盗賊バコタが捕まったのである。いや、正確には彼女共々捕まったのではあるが、彼女はバコタとは別に牢屋に入れられ、一人になるとすぐに持ち前の技術で鍵を開けてすたこらさっさと逃げ出した。*3

一人になった彼女は〝キメラのつばさ"でカンダタの元へと戻ろうとした―――のだが、根城である〝シャンパーニの塔″に戻った時には、勇者アレルによってカンダタがぶちのめされるところであった。*4

取り敢えずシャンパーニの塔から落ち延びたカンダタに着いていったヴィヴィアンだが、カンダタとしてはもう一人立ちをさせた身。カンダタからは「一人でやるか、バコタを助けて二人でやるか」の選択を迫られる。

 

親切なことにカンダタはヴィヴィアンをダーマ神殿に送り届け、『盗賊以外の道』も選べるように計らってあげた―――のだが、彼女は特に察することもなく遊び人に転職してしまった。*5これにはカンダタも呆れ果て、「もうどうとでもしやがれ」

と吐き捨ててバハラタのアジトに一人戻ってしまった。流石にヴィヴィアンも(少し)困ったようだ。*6

取り敢えずバコタを探し出そうと、拠点をルイーダの酒場に決める。だが、彼女はそこで知ったのだ。「ここに居れば取り敢えず暮らしには困らない」ということに・・・。勿論そんなわけはないが、ただ単に他の面々にたかっているだけである。そんな暮らしの中、勇者がルイーダの酒場にやってくる。ヴィヴィアンは更なる贅沢のために勇者に着いていく(寄生する)ことに決めたのであった・・・!

 

 

勇者との旅は概ね快適であった。特に何をしろと言われることもなく、暗くなれば宿に泊まれる。必要だから、といえば大抵のものは買ってくれるし、レベル上げだって楽ちんだ。

一度パーティから外されかけたことはあったが「4か月ルイーダの酒場で待っていてくれればまた旅をしよう」と言ってくれて*7事なきを得た。

4か月の間、ルイーダの酒場でダラダラ過ごし―――なお、周りは非常に迷惑がっていたことを付け加えておく―――別れたサマンオサに〝キメラのつばさ"で戻ると、運命的に勇者に再会した。

更に、再会した勇者には「君のことが心配だ」と言われ*8、楽に儲ける方法を教えてもらったので、その方法に飛びついた。

 

かくして遊び人から商人へと華麗なる転身を果たしたヴィヴィアンは、〝ヴィヴィアン・バーク"という町を発展するために―――特に何もしなかった。基本的なことは一緒にいる老人がやってくれたし、商人として書類を適当に認可しているだけで町はグングン発展していった。*9

町には色んな武器防具やアイテム、金貨、財宝が集まっていった。これらは〝ヴィヴィアン・バーク"のもの、ということは多分ヴィヴィアンのものであるとも言えるわけだから、その(彼女にとっての)事実にとても満足していた。

しかし、暫くすると他の商人(NPC)達から苦言が入る。やたらと難しい言葉で何を言っているのか分からなかったが、多分自分たちにも財宝を分けろというのだろう。勇者に頼まれたものくらいは分けてあげるつもりだが、その他のものはみんな自分のものであるはずなのだ。それを彼らに伝えると、彼らは凄い目つきでこちらを睨みつけ、無言で去っていった。ヴィヴィアンは「カンダタ親分より全然凄味がない」と内心せせら笑い、更なる金儲けを夢見て眠りについた。

 

次の日、彼女は牢屋に入れられていた。勇者が見に来たが、直ぐに去って行ってしまった。どうしたことだろう?一旦、牢屋の中で反省したふりをして過ごしてみた。こうしていると、そのうち監視の目も緩むことを彼女は経験則で知っていた。

一日待つ。二日待つ。三日待つ。

迎えは来ない。監視の目は幾分和らいだが、町に人がたくさん居て外に出て行きづらい。想定外だった・・・!結局町から脱出できたのは、それから一週間以上たってからであった。

 

 

アリアハンに〝キメラのつばさ"で戻ってみると*10、魔王バラモスが倒されたと皆で騒いでいる。いつの間に!?このままじゃ魔王討伐の報酬を取りっぱぐれるかもしれない!ヴィヴィアンは城へと向かった。

城は異様な雰囲気である。*11とはいえ、ヴィヴィアンにはそういった機微は分からない。今は自分の報酬の事で頭が一杯である。

 

王様の元へたどり着くも、意気消沈して話にならない。そこで隣の大臣から(ヴィヴィアンが理解できる範囲で)色々聞きだす。

①魔王バラモスは倒されたが、大魔王ゾーマが新たに敵となった

 →よくわからないけど、まだ旅は終わっていないみたい。

②大魔王ゾーマを追うと言って、勇者は再び旅に出た

 →勇者様、どこへ行ったんだろう?

③大魔王ゾーマを倒さないことにはこの世界に未来は無い

 →「大」っていうくらいだから報酬もかなりのものだよね?

 

分からない時は、カンダタ親分の所に行くに限る。ヴィヴィアンはいくつかの場所を回り、〝テドンの村″近くのアジトへとたどり着いた。しかし、そこでカンダタに恨みを持つ者たちに見つかってしまった。おまけにカンダタと親しそうにしていたせいか、彼の情婦と間違われて一緒に捕らえられることとなってしまった。

「牢屋に入れてくれれば、自分たちの鍵開けの技術で逃げ出せる」と思っていた彼女だが、彼らはこのまま二人を処刑する気のようだった。「ここに放り込まれた以上は誰も戻らない」と噂の、ネクロゴンドにある〝ギアガの大穴"に投げ込み、完全に葬る気だった。

ここに至って流石大盗賊というべきか、カンダタは最早抵抗はしなかった。何が起きても受け入れる気でいるようだ。一方、ヴィヴィアンは抵抗したが、力のステータスの低い彼女では「何の成果も得られませんでした!!」とばかりに抑え込まれてしまう。そして二人は深く暗い大穴に投げ込まれてしまうのであった・・・

*1
しかし性格に難があり、そもそも〝バターとチーズ"でコンビを組むことにしたのも、その時点で盗賊バコタが寄生先として選ばれたからである。

*2
ビアンカだかビビアンだか本人は踊り子の名前も碌に覚えていないが、響きが気に入ったらしい

*3
下手にバコタが〝とうぞくのかぎ"なんて持っていたもんだから、鍵さえ無ければ無力だと勘違いされた

*4
この時点でのヴィヴィアンの寄生先 カンダタ>バコタ=勇者

*5
勿論理由は「一番楽(働かなくてよさ)そうだったから」

*6
この時点でのヴィヴィアンの寄生先 バコタ>勇者>カンダタ

*7
※言ってません

*8
※言われてません

*9
ゲームシステムの恩恵

*10
元の生活に戻る気満々だったので、ダーマ神殿で遊び人に再度転職済み

*11
※ゾーマのアレが原因





勇者アレルとの旅にて、最初はヴィヴィアンも(夜になってから)バコタを探していました。ですが、そのうち飽きたしメリットもないような気がしてきたので辞めてます。それからは、夜には遊び歩くか時々盗みに入ったりしていたようです。


〝テドンの村″近くのカンダタのアジト や カンダタ被害者の会 は完全にオリジナル設定です。
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