九十世紀の兄弟が   作:Y-K4183

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力には責任が伴うらしい

「うおっとお!?」

 

 危っぶねぇ! なんだ今のビーム!?

 

『気を付けろ。斥力の大砲だ。食らったら紙みたいに薄くされるぞ』

「即死って事かよ!」

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()即死攻撃だと!? どう避けろと!?

 

『文句が多い。取りあえず突っ込め』

「ああ分かったよ! 死んだら恨むぞこの野郎!」

 

 展開したブースターを全力で起動……した瞬間に景色が後方へ流れ去った。ヤバいこれ、早すぎる!

 

『制御利かせろ。そのままだと宇宙のどっかまで吹っ飛ぶぞ』

「どう利かせろと!?」

 

 こんな状態になったの初めてだぞ!? くそ、ええと、こうだ!

 

 ブースターを前方にも展開し、こちらも全開起動……体がくるくる回り始めたんだが。

 

『バランスが取れてねえ状態でんな事やったらそうなるわな』

「だから取れないんだって……」

 

 一応回ってはいるが速度は落ちている。周囲を見渡す余裕は出来たが……

 右を見れば視界を埋め尽くす"人間"の洪水。左にはそれを灰に変えて突き進む化け物の姿。明らかに戦場のど真ん中だ。

 これ、詰んだんじゃね?

 

『まだ詰んでねえよ。……しゃーねーな、負担かかるんだが。取りあえずアレだ、体の制御はこっちでやってやる』

 

 

 

「動きが変わったわね」

 

 バミューダの視界で、今の今まで自分の力に振り回されまともに動けないでいたXXXの挙動が変わる。

 人の津波を裁き、広がる灰を駆け抜け、あまつさえ狙い放たれた斥力砲を防御する。

 明らかに動かしている存在が変わった。そして、今の動きの主にバミューダは心当たりが有った。

 

 

 

「うおおおおおおおお!!!」

『動かしてるのは俺だ。お前が叫ぶな』

 

 そうは言ってもこの光景だとテンションが上がる。同時に恐怖心が凄いのだ。ちょっと叫んでヤケにならないと足が竦む。

 一応今はアダムが操作してくれているが、バミューダの群れに接近してからは俺が攻撃するのだから。

 

『安心しろ。足が止まったら俺が進ませてやる』

「安心できねえ!」

 

 割とさっきからの操作も色々ギリギリなのが多いんだよ! 攻撃も避けるとかじゃ無く叩き落として進んでるし!

 

『一々避けるのが面倒だ』

「その手間を惜しむな!」

 

 マジで目の前の攻撃がいきなり弾かれるの見ると背筋がぞわってするんだよ!

 

『ごちゃごちゃ言うな。そら、突っ込むぞ』

「うあああああああああ!!!!」

 

 体の感覚がこっちへ戻って来た瞬間、手近な一人を思いっきり殴り飛ばす。

 振りぬいた腕を直ぐに変形させ、ビームで周囲を薙ぎ払う……どう見ても地球並みの範囲が消し飛んだ。

 ヤッバこれ、飛んでも無いな。

 

『一々足止めんな。次来るぞ』

 

 うわあ。

 見えた光景にそんな言葉が漏れ掛ける。

 さっき地球並みの範囲でバミューダを消し飛ばしたにも関わらず、その向こうにピンクの津波が犇めいていたのだから。

 兎に角手近なところから手当たり次第に吹き飛ばしていくが、桃色の地平線がその形を崩すことは無い。

 ……これ、どうやったら勝ちなんだ?

 

『一応どっかで限界は来る筈だ。それに、増殖ペースにも上限がある』

「その上限以上で削るのは無理そうだけどな!」

 

 そもそもアダムで出来ていなかったのにその劣化みたいな状態でどうしろと。自爆でもするのか?

 

『自爆は無駄だったな』

「自爆したのかよ」

 

 本格的に何もかも駄目じゃ無いのか? 今も片っ端から攻撃しまくっているが一向に数を減らせた気がしない。

 

『残り九千京位だな。今お前が倒したので十億体目、で相手は毎秒一兆のペースで増えてる』

「数にされると無理感が凄い」

 

 絶望的じゃねえか。どうするんだ。

 

『利用できる物は利用してみるがな。あの暴れてるキチガイとか』

「……割と気になってるんだけど、あのウォーズって人、何なんだろうな」

 

 一応ここは宇宙空間だし生身でいられる場所では無い。おまけに俺でも即死する攻撃が飛び交っている。

 そんな中、触れる物を灰にする事が出来るとは言え、生身で駆けまわっているアレは一体何なのだ。

 

『体がバカ堅いんだよ。星が降って来ても無傷レベルでな』

「そんな人間いるのか!?」

 

 もうなんか別の種族だろそれ。

 

『探せば色々いるだろ。

 で、だ。あのウォーズを利用して出来るだけこのピンクの数を削れ。その間に俺はコイツの核を探す』

「……有るのか、そんな物」

 

 どう見ても全員独立して動いているのだが。それに、何か大元がいて操っているのでは無く自分と同じホムンクルスを作っているだけという話だったぞ?

 

『そう言う物じゃねえ。この無数の連中全部に共通する点がある筈だ』

「そりゃ同じだから共通点はあるだろうけど……」

 

 それは点どころか全部だろ。

 

『実際には全部同じじゃねえ。こっちの攻撃に反応して対応できるように変化してる。だが、どうしても変化させられない一点がある筈だ。全部変化するなら量産何てできやしねえからな』

「……取りあえず、それがあるとして……見つかるのか? 俺がこの状態な三十分の間に?」

『分からん。やるしかねえよ』

「成程、行き当たりばったりだな!」

 

 とはいえ元々そんな物だ。今更そう言われても怯みはしない。

 取りあえずあの化け物に近寄ってみるか!

 

 貼った装甲に衝撃が加わるが壊れる程では無いので無視して進む。細かい制御をアダムがしてくれているおかげで普段と変わらない感覚での移動が可能だ。

 前方に見えるは灰の領域。その中央にこの実行主……ウォーズがいる。

 目視で捉えたその姿へ向けて、ミサイルを放つ。

 普段俺が使っている物とは比べ物にならない速度と威力を持ってそれは飛来し、爆発……そして爆発そのものが灰になった後、咆哮が轟いた。

 

「Warrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrs!!!!!!」

 

 ビリビリと体が震える。空気など無い、振動しているのは空間だ。

 ギョロリ、と音がしそうな程こちらを見ているのが伝わる。だが、コレで足を止めたら本当に死ぬ!

 

「こっちに来やがれ!」

 

 牽制の一撃……当然灰になる。だが、ウォーズは俺に意識を向けたようだ。滅茶苦茶な速度で突っ込んでくる!?

 

「早! クソ、逃げ切れるか!?」

 

 ブースターを全開で動かし立ちふさがるバミューダの群れを引きつぶしながら逃げ回る。だが、向こうの方がかなり速い。

 蹴りの軌跡がこちらへ走り、跡が灰に。拳を振るった箇所から扇上に灰化する。

 俺ではどうしても速度が落ちるこの桃色の人海も、向こうからすれば灰の上を走るだけだ。

 足止めに色々ぶっ放してはいるのだがまともに機能する前に灰になってしまっている。まずいぞコレ、三十分も持たん、普通に追いつかれて殴り殺される!

 

「迎撃は……駄目だなアレ」

 

 触れる傍から何もかも灰になっている。足を止めての撃退など絶望的だ。

 アダムも弱点の発見に躍起になっているのか何も言って来ない。俺一人での対処になる。

 上等だ、やってやるよ!

 

 人波を踏み越え、兵器を設営する。バミューダからの攻撃は装甲で防げるので無視、ウォーズの攻撃はバミューダの攻撃を弾いて相殺させる。

 悲鳴にも似た甲高い音を響かせ用意した兵器が動き出す。用途は単純、ウォーズへ特攻するだけの物だ!

 

「……気でもおかしくなったの?」

「おわっ!?」

 

 いきなり話しかけられて変な声が出た。バミューダだ。一応この人の海……というか陸地になってるこれ、全部人間なんだよな、当たり前だけど。そりゃまあ話せるか。

 

「あんな物でアレに通用するとは到底思えないわよ? あなたもそれは理解しているのでは無くて?」

「まあそうですけど……試せる物は試そうと思いまして」

 

 言っている最中も俺の作った兵器──兎に角突き進むだけの惑星大の戦車──はウォーズへ到達し……当然、灰になる。

 しかし、そこで灰の内側から飛び出した一回り小さいミサイルがウォーズの体を吹き飛ばした。

 よし、狙い通り!

 

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