九十世紀の兄弟が   作:Y-K4183

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作戦特攻

「さて、どうしましょうか……」

 

 滞在許可を得たカトラさんと一緒に俺の家で座り込む。本来色々と毒素とか化学物質とかでヤバいのだが、そこは錬金術で何とかなるようだ。凄い。

 

「どうしましょうね……」

 

 さっきから二人そろって頭を抱える理由は明白。あの、カリオストロをどうこうする手段が全く思いつかないからだ。

 特に説明やあいつがそう、だとも言われていない俺でさえ見た瞬間に完全と言う印象が浮かびあがって来た。余りに圧倒的だ。

 そして、あのアダムとアンキさんを一瞬にして消し去った程の存在である。何がどうなろうと俺達でどうにか出来る相手では無い。

 例え今から俺が不思議なパワーで千倍にパワーアップしたところで今と変わらずゴミのように処理されるだろう。

 つまり、打つ手なし……では無い。

 何時もの俺のスタイルである無理な物は出来る奴にぶん投げるで行けば、一応それっぽい手段はある。あるのだが……

 

「……これをどう使うかが問題ですよ」

 

 そう言って、カトラさんの目の前に例の、ゼロエルから貰ったラッパを置いた。

 恐らく、あのゼロエルであればカリオストロを相手にしても引けは取らないと思うのだが……彼女がこっちのいう事を真っ当に聞いてくれる存在では無いのは重々承知している。

 そもそも力の差が蟻と太陽以上にあるような状態では頼み事も成立しない。こっちに出来て、向こうに出来ない事が無いのだから。

 

「これを吹いたら……あの、カリオストロ様に匹敵する存在が来るんですか……XXXさんの交友関係ってどうなってるんです?」

「俺もよくわかんないです」

 

 それを言われても俺自身が叫びたい。ぶっちゃけ何で知り合いの殆どが人知を超えた化け物ばかりなんだと。

 正直、多分一番まともな実力者と言う枠組みでも苺さんレベルになる。あの人も俺より大分強いのだが。

 

「えっと……兎に角、このラッパを吹いたら来る、ゼロエルという方をカリオストロ様と戦わせるんですよね?」

「勝ちの目がそれしか無いですね。……それと、勝ってもアダムが戻ってくる保証は全く無いですし……」

 

 かなり混沌とした状態だが、一応主目的であるカトラさんの脱出は一時的にとは言え果たせている。

 問題は、向こうに残してしまったZZと、消し去られたアダムだ。

 ZZはまだ戻って来れるだろうが、アダムをどうにかしないといけない。放置の選択肢は今までの恩や心情的に無い、加えて間違いなく今後もあいつに協力を頼む事がある。当然、助けないといけないが……

 

「……私でも何をしたのか全く分かりませんでしたけど……錬金術である以上、不可逆な事を行えない筈です。戻す手段は在ると思いますよ」

「だったら良いんですけど……」

 

 何と言うか、余り現実感が無い。あっさりとし過ぎていたせいだろうか? どことなく受け入れ切れていないような感覚がある。

 しかし、そんな状態では駄目だ。アダムは、いない。その事をしっかり認識して行かないと気の緩みが起きかねない。

 

「ふう……よし、取りあえず、ZZ……弟を先に回収しに行きます。アダムの救出はその後で──」

「お前に助けられる程落ちぶれたつもりはねえ」

「あああああああ!?!?」

 

 

 

 

 

「……取りあえず状況を整理し直すぞ。アダムは残しておいたパーツから復帰、アンキさんとウォーズがカリオストロに反抗、で良いんだな?」

「それでいい。ZZを助けるなら早い方が良いぞ。あの世界丸ごと吹っ飛びかねん」

「……まさか、あのカリオストロ様に挑むとは」

 

 アダム衝撃の復活から一分程。動揺もようやく収まったので現状を再度整理していたが……何だその地獄。

 

「何がどうしてそうなったんだよ……」

「シンプルに気に入らねえだと。んな事情で吹っ飛ぶ世界が悲惨だな」

「お前も気に入らないなら世界消し飛ばす位しかねないだろ……」

 

 兎に角あの世界が滅茶苦茶ヤバい状況になっているのは良く分かったが……さてどうやってZZを助けに行くか。

 ぶっちゃけアダムが来た時点で複数の問題は解決している。ZZ救出が最後の問題と言って良いだろう。

 ……まあ、カトラさんの世界が滅茶苦茶になってしまう事に目を瞑る必要が出てくるが。

 

「取りあえず何をするにも情報が足りん。おいそこの、例のカリオストロって奴の事で知ってる事を話せ」

「お前な、聞く態度があるだろ」

「大丈夫ですXXXさん。

 それで、カリオストロ様の事ですが……正直、弱点等は当然分からず……余り出回っている情報も多く無いのです。

 錬金術の基礎たる四元素を統べる、という事は知られているのですがこれ以外の事はまるで…… 

 この情報も、四元素を完全に支配する、と仮定しても……出来る事の幅が多すぎて絞り切れないのが実情です」

「……厄介だな」

 

 そう呟いてアダムが顔を顰めた。

 

「出来る事の幅が多いっつうかもう事実上の全能と定義した方が早いだろうな。錬金術の四元ってのはそれだけ重要だろう」

 

 アダムの言葉にカトラさんが首肯する。

 全能か。全く想像がつかん。何と言うか、もうそこまで行くと訳が分からないのだ。

 

「一応、一瞬目にした姿から考えて…‥完全を中心とした術式だと思うのですが……」

「だったら、完全を不完全にすれば妨害出来るとかは……」

「駄目だろうな。お前が今考えつくのを対策してねえ筈がない。そもそも、完全性ってのは不完全も含んでこそだ。下手に不完全を撃ち込んだら逆に強化されかねん」

 

 駄目か。まあ、俺の知恵程度でどうこうできるならアダム以上では無いだろう。

 

「こちらの世界の物はカリオストロ様にとっても異物です。錬金術に異常を引き起こせるのでは?」

「解析速度が尋常じゃ無い。間違いなく直ぐに組み込まれる」

「なら、意図的にそれらの妨害を……あ、それは壊晶ですね……」

「……その壊晶、量が作れるなら有効だろうな。あの時の排除から考えて……十七万トンあれば一秒隙を作れるぞ」

「一生かけてもそんなに作れません……」

 

 アダムとカトラさんが片っ端からカリオストロ対策を考えている。が、難航しているようだ。

 その一方で俺は特に出来る事も無く呆然とそれを眺めていた……ええい、何か出来る事は無いのか!

 

「……まあ、頼み込むしか無いなあ」

 

 知り合いの規格外な方々に事情を説明して協力を募ってみるしかないか……それでも、まあ、一人来てくれたら上等だろう。

 

 

 

 

「全員来たよ」

 

 天道さん、極さん、リオさんの三人。ここまでは良い。全員知り合いだし、希望を込めて声を掛けた。

 そして、この人たち──

 

「へいへーい。私を呼ばないなんて水臭いぜー?」

 

 全く呼んだ覚えが無いのに来た666さん。

 

「随分と面白そうな事になっているね」

 

 やっぱり呼んでないのに来たシルバリティアさん。

 

「あなたが言ってたのってこの子なの? まあ、随分な運命ねえ」

 

 全然知らない人──クリテルマさん。

 

「そうでしょう? 私が手を貸すに十分よ」

 

 何か来たエンヴィーさん。まだ素材集め終わってないんですがあの。

 

「で? 誰を殺すんだ」

「それは後で……」

 

 説明がてらラッパを吹いたら開口一番そう言ってきたゼロエル。

 総勢八人。誰もかれも訳が分からない程の実力者たちだ。

 

 視界の隅では口から泡を吹きかけているカトラさんの姿が見えるし、アダムはその隣で死ぬほど不機嫌そうな表情をしている。

 まあ、うん。俺もこの状況は完全に予想外だが……なる様になれ!

 

「えーと、取りあえず今から皆さんには異世界で殺し合いをしてもらいます」

「「「「「「「「おー!」」」」」」」」

 

 良いのか!? ぶっちゃけめっちゃテンパって無茶苦茶言った気がするんだけど!?

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