『ようこそ、プレイヤーXXX様。ここでは自身のキャラクター設定を行うことができます』
何やら真っ白な空間で声が響いてくる。と、目の目に幾つもの人型が浮かび上がった。
『各プレイヤーは最初に、種族を選んでもらいます』
うわ、すげえ。百種類以上はある。
何が良いんだろう……。
どの種族にどんな特徴があるかは……書いてんな、横に。
『人間』これといった特徴は無し。但し、普段と体の動かし方が変わらない事と他の種族のメリットもない代わりにデメリットも無い事から、最も使用している人が多い。
なるほど。といっても俺の場合は色々感覚とか変わりそうだな。他には……
『エルフ』魔法や弓に適性があるが、近接攻撃や筋力のステータスに負の補正が掛かる。また、死亡時のペナルティが重い。
『オーク』筋力のステータスに補正が掛かる。代わりに他のステータスは軒並み低い。死亡時のペナルティが非常に低い。
この辺はファンタジー系の奴ならおなじみの種族だな。出来ればもう少し尖ってる奴にしてみたいが……
「何か凄いピーキーな種族ってあります?」
『プレイヤー様の要望に近い物は、こちらになります』
今度は五種類が目の前に並んだ。
『スライム』物理ダメージに高い耐性、一部魔法に耐性、種族固有スキル多。その代わりに体の動かし方が大きく変わるため、初心者の場合はその場から動けなくなるほど操作性が悪い。
成程。次は……
『巨人』極めて高い物理的ステータスを持つ。その代わり、現状存在している武器、道具など殆どが使用できない。
『魚人』海中での行動全てに補正が掛かる。その代わり、海上では窒息する。
『デュラハン』物理、魔法に高い耐性。呪い攻撃等に適性、強力な種族専用のスキルが使用可能。但し視点が普段と大きく変わる事と、一部スキル、道具が使用不可になり支援魔法の効果から外れる。
『サイボーグ』物理攻撃に高い耐性、種族専用のスキル多種。但し、普段と体の動かし方が大きく変わり慣れていないと攻撃することさえ出来なくなる。また、一部魔法が使用不可かつ魔法系の職業取得不可。
……うん?
「このサイボーグってもう少し詳しく見れます?」
『かしこまりました。【サイボーグ】に付いての詳細な説明を開示します』
声が終わると、俺の目の前にウィンドウが現れた。そこにはいくつかの動画と大量の文章が表示されている。
「えーっと、初期でミサイル、レーザー、銃撃……普段と変わんねえな。生命系の魔法が使用、取得不可……」
……。
どうも普段と余り変わらないようだ。
どうしようかな……折角だから物凄く変わった種族にしてみたいと言う気持ちもあるし、いつもと同じ感じで行きたいと言う気持ちもある。
うーん……
「この種族って途中から変えられます?」
『1000レベル到達を条件として解禁されるエリアで変更が可能です』
うーん、途中から変えられるんなら……いつもと同じ姿の方が良いかも。ゲームに慣れた所で変えたらいい訳だし。なら……
「サイボーグ、で」
『了承いたしました。プレイヤーXXX様、サイボーグでのプレイをご希望ですね?』
「はい」
『それでは、XXX様。良い時間をご堪能下さい』
声がゆっくりと遠ざかり、視界映っていた白い空間が色とりどりの光景へと変わり始める。
一瞬の浮遊感の後、俺は草原の様な場所へと立っていた。
「おー、凄い」
辺りを見渡すと色々な物が目に入った。最初に目が留まったのは、森。この九十世紀ではまともに見れない広大な森があった。
……最近見たけど。地獄みてーな場所で。
「そういや今の状態って見れるのか?」
俺の種族には何か色々スキルとか補正とかが有ったはずだ。そういうのは……あ、見れた。
「色々有るが……分からん」
こういうタイプのゲームはめったにしないので、何処に何が表示されているのかが分からない。一応一つ一つに説明はついているようだが……。
「うーん」
取りあえず上から色々と見ていく。……あれ?
「レベル999? なんだこれ」
こういうのって最初はレベル1じゃねーのか?
「そういう仕様なのか……? 初心者キャンペーンとか……いや、でも……」
そういうキャンペーンだったら何か言われそうなもんだが……。
取りあえず説明を見たら何か分かるかもしれない。そう思って、レベルの隣にある説明欄を開く。
「えっと、経験値一定量取得でレベルアップ、種族によって量に違い有り……うーん」
ざっと見る限り最初っからレベルが999になっているような仕様は無い。とすると。
「バグか……」
こういうでかい規模のゲームでこんなバグが残ってるのは珍しい。普通こういうのは有っても直ぐ修正されると思うが……
「それ以外考えられねえしなぁ……」
一応説明を詳しく見ていくが、やはりこんな状態になるような仕様は無い。
こういうのは運営に報告しておいた方がいいだ……ろ……う…………。
「うん?」
山ほどある説明の一つに、見逃せない物があった。
ゲーム内と実際の身体機能に大きな差が発生しないよう、初プレイ時のレベルを多少調整することが有ります。
……これだ。
説明の欄から、更に詳細な説明を広げる。
初プレイ時のレベル。平均的成人男性の身体能力で凡そ20前後……。
「あー……」
これが現状の原因だ。
俺の身体能力は当然ながら高い。片手で一トン位なら持ち上げられるし、走れば百キロ程度軽く出る。単なる火薬の爆発程度なら大した傷も負わないだろう。
そして、どうやらそれがゲーム内の身体能力にレベルと言う形であてはめられたらしい。
「……どうすっかね、これ」
多分このゲームの作成者も想定外だろう。現実でゲームよりとんでもない身体能力の持ち主なんて……
「……いや結構いるな」
俺の知り合いだけでもアダムと天道さんの二人いる。とはいえ、こんなのを想定しろと言うのは酷な話だろう。
「……まあいいか、これはこれで」
実際考えたら、デメリットは何も無いのだ。レベル999がこのゲームでどの位かはよく知らないが、俺の身体能力を落とし込んだ物だ。そこまで低い分類ではないだろう。
なら、最初から大分有利な立場と言えるだろう。
「取りあえずZZを煽りにでも行くか」
多少の問題は有りながらも、俺はこの世界への一歩を踏み出したのだ