九十世紀の兄弟が   作:Y-K4183

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ゲームの世界で

 拳を振るう。

 当たったモンスターが一撃で倒れる。

 銃撃を放つ。

 当たったモンスターが一撃で倒れる。

 …………。

 

「うーん、明らかに何か違う」

 

 こういう類のゲームは殆どしたことは無いが、何か違う事は分かる。

 と言うか、理由も分かる。

 俺が強すぎる。

 

「いくら何でも調整ミスだろ……」

 

 実際の身体能力とゲーム内の身体能力に差が出過ぎないように最初のレベルを合わせるのはまあ、分かる。分かるが上限を設定しておくべきじゃ無いのか。

 万が一何かの間違いと天文学的な確率が重なって滅茶苦茶身体能力が高いやつがこのゲームをやるかもしれないのだから。

 

「俺の知り合いだけでも変な事になりそうなの二人いるしな……」

 

 天道さんとアダムの二人がこれをやったら恐ろしくバグった数値が出そうだ。流石にそれは修正が入りそうな気もする。

 

「ってか……人いないな」

 

 このゲーム買う時かなりとんでもないプレイ人口が書かれていたが……初めて十分、誰にも会っていない。

 と言うか一緒に始めたはずのZZにも合っていない。どういう事だ。

 

「人によって始まる場所は違うだろうけど、これはいくら何でもなー」

 

 人はいないしZZもいないし……あ

 

「通信的な事は出来るんじゃねーのか?」

 

 ステータス表を開く。

 そこから検索欄に通信と入れて探す……あった。

 

「えーっと、スキル『遠距離会話』離れた相手と会話可能、ただし互いに登録が必要……駄目だこりゃ」

 

 まあ、確かにまだあっていない奴と通信は無理と言うのは納得できる。できるが……

 

「結局ZZは探すしかねえのか……」

 

 見た感じ辺りには何もない。延々と草原が広がっている。

 

「いくら初期地点だからってこれは無いと思うんだがなー」

 

 手抜きVRじゃあるまいし、幾らなんでもこれ程何も無いのは変な気もする。

 

「……ってか、俺は今どこに居るんだ?」

 

 ここまで何もないと何か変な所に出たんじゃ無いかと言う気になってくる。何か現在地を知る方法は……

 

「探してみるか」

 

 再びステータス欄を開いて探す……あった、マップ。移動した箇所を自動で地図に記す。よし、取って……

 

「え、警告?」

 

『警告、このスキルはゲーム内に安価/容易な代替手段が存在します。取得しますか?』

 ……うーん。代わりが有るって言われても……今の俺にはその、代わりを入手する手段が無い。

 

「取りあえず取っとくか」

 

 それに、代替手段が有ったとしてもまあゲームだ。ちょっとくらい損をしたっていいだろう。

 ピコン、と音がして手元に薄い透明な板が出現する。そこにはいくつか色の付いた箇所と、そこにあるボードゲームのコマみたいなものが記されていた。

 

「これが俺でここが歩いた箇所なら……」

 

 歩いた箇所はマップの一割程度、という事になる。が……

 

「これだな……」

 

 マップの左上に表示されている拡大倍率。今は何も書かれていないが、操作をしたら直ぐに現在のマップ倍率が表示されるはずだ。

 

「……ちょっと怖いな」

 

 横に付いた距離表だと、歩いた距離は約五キロ。これを目安にさて、何処までこのマップが拡大されているか……

 

「……せいっ!」

 

 倍率に触れる。

 表示された倍率は………………100億%

 ……えーと、歩いた距離が大体五キロ、マップに記されてるのが幅百メートルほどで、役0.5平方キロメートル。それが今見えてるマップの一割程だから、マップに書かれてる面積は5平方キロメートル。拡大倍率が百億%だから表示倍率は一億倍、5平方キロメートルに1億を掛けて……5億平方キロメートル。

 ……馬鹿じゃねえの? 

 

「広すぎんだろ、誰だこのゲーム作ったやつ!」

 

 そりゃ人に会わねー訳だよ! 全員どっかに散らばってるんだろうな! 

 

 

 

 

 製作者に対する不満とZZに会えそうもない諦念を抱え、とにかく歩く。

 正直なんか色々めんどくさくなってきたが、せめて一緒に始めたZZには会っておきたい。

 

「難しそうだけどな……」

 

 5億平方キロメートルがどれほど広いかは分からないが、普通に歩いたり走ったりしていて探しきれる広さではないだろう。

 しかし、歩いたり走ったり以外の移動法も知らない。結局のところ歩くしかないのだ。

 

 

 

「何もねえな……そもそもここは何処なんだ」

 

 歩き始めて一時間。景色は変わったが人には出会わない。そのくせ変わらず敵は出続けている。

 ただ、やはりどの敵も一発殴っただけで弾けて光となり消えていっている。一体俺はどんな強さ何だ? 

 

「この画面から見れるんだろうけど……」

 

 ステータス画面を開いてしげしげと眺める。色々と書いているが、何が何やらさっぱり分からない……と思っていたら説明書きが出現した。こういうのは助かる。

 

「あー、これが攻撃力でこれが体力、こっちは……素早さか?」

 

 どれもこれも相当高い。この辺りの適性より数段上だ。

 

「それでも中堅以下、か……」

 

 現在のレベルとステータスを総合すると、大体そのあたりと表示されている。そして、その強さで相手にならないという事は……。

 

「……人がいるのはかなり先だな」

 

 中堅どころが俺より強いなら、こんな所には居ないだろう。いるとすれば俺の様な初心者か、何かよっぽど変わった人だけだろう。

 

「うおー! ここはどこなんだー!!」

 

 俺の目の前に死ぬほど変人の初心者(ZZ)が現れた。

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