「おいZZ、壊したのは俺だ、俺に寄こせ!」
「見つけたのはおれだろ! おれが全部だ!」
……現在、瓦礫の上で俺とZZはアイテムの取り合いをしていた。
最初こそ先にたどり着いた俺がアイテムをかき集めていたのだが、ZZの方は何かのスキルでアイテムの場所を把握しているらしく、的確に探し当てていく。
「取った!」
「こっちも!」
見つけているアイテムの数は、俺が七でZZが八。ここから逆転するのは少々厳しい。
ただし、それは何もしなければの話だ。
「おらぁ!」
「あ!」
ZZが取ろうとしていたアイテムを、寸前でかっさらう。
「こっの、あ!」
「よっしゃ!」
速度では俺が圧倒的に勝っている。そして、ZZの動きは割と読みやすい。大体こいつはアイテムに向かってまっすぐ走るのだ。なら、その動きからアイテムの場所が予測できる!
「よし、三連続!」
「こんのぉ!」
ふはは、これで俺の勝ちだ!
「あれ!?」
「引っかかったな兄貴! レアアイテムはこっちだぜ!」
「この野郎!」
あいつ、この短時間に変な知恵を付けやがって! ぜってぇ負けねえからな!
凡そ十分の死闘の末、俺とZZは手に入れたアイテムの合計数を比較した。
「えっと、アイテムのクラスが……おし、俺はDランク十一Cランク八Bランク三だ」
「おれがー、D九C七B二、そんでA一!」
「A!?」
嘘だろ、こいつ!?
かなり珍しい、と言うか説明で割と熟練のプレイヤーでなければ入手不可とか書いてあったはずなんだけど。始めたばっかでこんなん手に入れて良いのか?
「よし、珍しいのゲットしたからおれの勝ちだな!」
「はあ? 多く手に入れたの俺の方なんだけど?」
「あんまり差ねーじゃん!」
「それを言うならAもBも似たようなもんだろ!」
……言っててなんだが割と苦しいと思う。それでもZZに負けるのだけは許せん!
「そこまで言うなら兄貴! このアイテムの性能で決めようぜ!」
「ああ良いよ! どうせ俺の勝ちだからな!」
ZZがアイテムを乗せた手を突き出してくる。
「ほら、見てみろよ」
……滅茶苦茶腹立つ顔だな。心の底から自分の勝ちを信じ切ってやがる。
で、どんな効果だ?
『胎動する歯車』ランクA 心臓の鼓動の様に回り続ける歯車。装備者の種族がサイボーグの場合、全ステータスを20%高める。強化上限数値500」
「……え、これ俺用じゃね?」
「へっ、誰が兄貴にやるか。おれが使うんだ」
「いやお前使えねーだろ。サイボーグ用だぞこれ」
全ステータス20%アップはかなり強力だと思う。一応、強化される数値に制限は有るが……
「今の俺なら純粋にステータス1.2倍だな、これ」
どう考えてもZZでは役に立てる事ができないアイテムだ。俺が持っていないと意味が無い。
「役に立たなくてもおれの見つけたやつだ、ほら、負けたんだしさっさと返せよ」
腹立つなこいつ。まあ、俺の見つけたアイテムにこれと張り合えるようなやつは無い。これは完全にZZの勝ちだろう。かなりムカつくが。相当悔しいが。
……これ、今俺が持ってるのか。
…………
…………………………
「あ──!?」
アイテムを持ったままZZから逃げ出す。これでこのアイテムは俺の物だ。
「おい兄貴ー! いくらなんでもそれは卑怯だろ!」
「うっせぇ勝った方の勝ちだ! これは貰ってくぜぇ!」
「あ──────ー!!!」
ZZの絶叫を置き去りにし、全速力でその場から走り去る。
ちょっとかわいそうな気もしてくるが、日ごろの迷惑料だと思ってごまかしておこう。……ごまかす必要ねえな、思い返してたら普通にムカついてきた。
「ああああああにいいいいいいきいいいいいいいいいい!!!!」
あほ兄貴ー! 持ち逃げしやがったー! 割と苦労したのにー!
ちくしょー足が速すぎる、もう見えねー。
……? ここどこ?
「兄貴ー! どこ行ったー!」
周り見ても木ばっかでよくわかんない。どこだここ?
「兄貴ー、どこー?」
走っても走っても景色が変わんない。あれ、これって……
「え? 迷子じゃね、これ」
……兄貴ー!