九十世紀の兄弟が   作:Y-K4183

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ゲームの世界で(4)

「おいZZ、壊したのは俺だ、俺に寄こせ!」

「見つけたのはおれだろ! おれが全部だ!」

 

 ……現在、瓦礫の上で俺とZZはアイテムの取り合いをしていた。

 最初こそ先にたどり着いた俺がアイテムをかき集めていたのだが、ZZの方は何かのスキルでアイテムの場所を把握しているらしく、的確に探し当てていく。

 

「取った!」

「こっちも!」

 

 見つけているアイテムの数は、俺が七でZZが八。ここから逆転するのは少々厳しい。

 ただし、それは何もしなければの話だ。

 

「おらぁ!」

「あ!」

 

 ZZが取ろうとしていたアイテムを、寸前でかっさらう。

 

「こっの、あ!」

「よっしゃ!」

 

 速度では俺が圧倒的に勝っている。そして、ZZの動きは割と読みやすい。大体こいつはアイテムに向かってまっすぐ走るのだ。なら、その動きからアイテムの場所が予測できる! 

 

「よし、三連続!」

「こんのぉ!」

 

 ふはは、これで俺の勝ちだ! 

 

「あれ!?」

「引っかかったな兄貴! レアアイテムはこっちだぜ!」

「この野郎!」

 

 あいつ、この短時間に変な知恵を付けやがって! ぜってぇ負けねえからな! 

 

 

 

 凡そ十分の死闘の末、俺とZZは手に入れたアイテムの合計数を比較した。

 

「えっと、アイテムのクラスが……おし、俺はDランク十一Cランク八Bランク三だ」

「おれがー、D九C七B二、そんでA一!」

「A!?」

 

 嘘だろ、こいつ!? 

 かなり珍しい、と言うか説明で割と熟練のプレイヤーでなければ入手不可とか書いてあったはずなんだけど。始めたばっかでこんなん手に入れて良いのか? 

 

「よし、珍しいのゲットしたからおれの勝ちだな!」

「はあ? 多く手に入れたの俺の方なんだけど?」

「あんまり差ねーじゃん!」

「それを言うならAもBも似たようなもんだろ!」

 

 ……言っててなんだが割と苦しいと思う。それでもZZに負けるのだけは許せん! 

 

「そこまで言うなら兄貴! このアイテムの性能で決めようぜ!」

「ああ良いよ! どうせ俺の勝ちだからな!」

 

 ZZがアイテムを乗せた手を突き出してくる。

 

「ほら、見てみろよ」

 

 ……滅茶苦茶腹立つ顔だな。心の底から自分の勝ちを信じ切ってやがる。

 で、どんな効果だ? 

 

『胎動する歯車』ランクA 心臓の鼓動の様に回り続ける歯車。装備者の種族がサイボーグの場合、全ステータスを20%高める。強化上限数値500」

 

「……え、これ俺用じゃね?」

「へっ、誰が兄貴にやるか。おれが使うんだ」

「いやお前使えねーだろ。サイボーグ用だぞこれ」

 

 全ステータス20%アップはかなり強力だと思う。一応、強化される数値に制限は有るが……

 

「今の俺なら純粋にステータス1.2倍だな、これ」

 

 どう考えてもZZでは役に立てる事ができないアイテムだ。俺が持っていないと意味が無い。

 

「役に立たなくてもおれの見つけたやつだ、ほら、負けたんだしさっさと返せよ」

 

 腹立つなこいつ。まあ、俺の見つけたアイテムにこれと張り合えるようなやつは無い。これは完全にZZの勝ちだろう。かなりムカつくが。相当悔しいが。

 ……これ、今俺が持ってるのか。

 …………

 …………………………

 

「あ──!?」

 

 アイテムを持ったままZZから逃げ出す。これでこのアイテムは俺の物だ。

 

「おい兄貴ー! いくらなんでもそれは卑怯だろ!」

「うっせぇ勝った方の勝ちだ! これは貰ってくぜぇ!」

「あ──────ー!!!」

 

 ZZの絶叫を置き去りにし、全速力でその場から走り去る。

 ちょっとかわいそうな気もしてくるが、日ごろの迷惑料だと思ってごまかしておこう。……ごまかす必要ねえな、思い返してたら普通にムカついてきた。

 

 

 

「ああああああにいいいいいいきいいいいいいいいいい!!!!」

 

 あほ兄貴ー! 持ち逃げしやがったー! 割と苦労したのにー! 

 ちくしょー足が速すぎる、もう見えねー。

 ……? ここどこ? 

 

「兄貴ー! どこ行ったー!」

 

 周り見ても木ばっかでよくわかんない。どこだここ? 

 

「兄貴ー、どこー?」

 

 走っても走っても景色が変わんない。あれ、これって……

 

「え? 迷子じゃね、これ」

 

 ……兄貴ー! 

 

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