「……こんなもんかな?」
今のレベルと人気の構成を照らし合わせながら割り振っていき、大体今のレベルで組める限界点まで組み終わった。
「射手十、狙撃手五十、砲撃手五十、爆撃手百、格闘家十、拳士五十、拳聖百、金剛拳士百、技士十、機械技士五十、精密技士五十、戦士十、騎士五十、重装騎士百、探索者十、爆士十、大爆士五十、超爆士百、錬金術師十、異端錬金術師五十、盗賊十、ギャンブラー十」
占めて九百九十レベル。余りの九レベルはレベル解放クエストやらをクリアした後にしておこう。
「なんか、さっきまでより体が軽くなったような?」
どことなく動きが軽快だ。これも色々と設定したおかげだろうか。
「あ、兄貴ー終わった? じゃーいこーぜ」
吊り下げられたままのZZが言ってくる。……やっぱこの形は安定するな、さっきの山登りの時もこうが良かった。
「兄貴―?」
「あ、すまん。んで、どこ行くって?」
「あっち」
ZZが燃え盛る森のさらに向こうを指さした。
「いけるだけ行ってみようぜ、何かあるかもしんないし!」
「まあそうだな、せっかく遊んでるんだ、何もしないのはもったいない!」
ブースターを広げ、全速で飛ぶ。……おお、さっきよりなんか安定している。これが職業の効果か。
「いっけえ! 兄貴、速度上げて!」
「OK、第二ブースター展開!」
更なる速度へ踏み込む。ここまでくると空気ですら硬度を持った壁のようだ。だが、その程度!
「うおおおおおおお!! 兄貴、すげー! 何かキンキンする!」
「今多分音速超えてるからな、これ」
一応衝撃波などでやられないように直に大気に突っ込む箇所は前方に突き出しているが、それでも影響はあるだろう。
兎も角、超音速で飛び続けていると、大抵の物はあっという間に過ぎ去っていく。先ほどまで見えていた森は既に地平線の彼方向こうだ。見えた山脈もZZが何かを言う前に消え去り……俺たちの前に、海が姿を現した。
「海だ! 兄貴、すごいぞ! 海だ」
「ああ……初めて見た!」
今、リアルの海なんてまともに見に行ける状態ではない。あることは知っていたし映像で見たことも何度かあるが……実際に(かどうかはともかく)海を見るのはこれが初めてだ。
「兄貴―、泳ごうぜー!」
「ちょっと待て、海で泳ぐには準備運動が必要とかどっかで言ってた気がするぞ」
「マジで! どーやんの!」
「何か、こう、こうやって……」
前屈、上体逸らし、肩回し、手回し……確かこんな感じだったよな。
「おっちにーさんしー」
「ごーっろっくしっちはっち」
うろ覚えではあるが、多分大丈夫だろ。何かあってもゲームだし、死ぬことは無い。
そうこうしている内にZZが凄い速度で準備運動を勝手に終え、海へと飛び込もうとしていた。
「泳ぐぞー!!」
その瞬間、ザッパアンと音を立てて海が割れ、巨大魚が空へと跳びはねた。数秒に亘る跳躍の後、海面に叩きつけられた巨体が、ZZの背に数倍する大波を立てた。
「……泳ぐぞー!!」
「いや待て待て待て待て」
こいつ正気か? 今の見て何で泳ぐ気になってんだ。
「何だよ兄貴、せっかくの海だぞ」
「さっき明らかにヤバいの居ただろ、ここは駄目だ」
「何言ってんだ兄貴、これはゲームだぜ、楽しまなきゃ!!」
そう言ってZZは海へと飛び込んで行った。
……数秒後、とんでもないサイズの海蛇がZZを加えたまま浮上してくる。
「あにきいいいいいいいい!! たすけてええええええええ!!!」
「ゲームだろ、楽しめよー!」
「ごめーーーん、恐い!! この海めっちゃヤバいのがうようよいる!!!」
さっきので分からなかったのかアイツ。まあ、仕方ない。助けてやるか。
「オラ海蛇野郎ZZを離せ!!」
渾身の力を込めて殴りつける。が、大して聞いた様子が無い。アレ? 他の連中は一撃だったんだけど?
XXXは知らない事であるが、この辺りは完全な未探索地域である。それと言うのも、湧くモンスターの適性レベルは、二千を超えている上に軒並み異様なまでの体力を備えているからだ。
過去には何度かXXXの様な高速で上空を移動できるプレイヤーがこの辺りまで踏み込んできたものの、この海で湧くモンスターは平然と上空への攻撃手段を兼ね備えており、XXX以上の速度で動くプレイヤーすらこの海岸線超えられずに餌食にされている。
そんなレベルの怪物に、XXX達二人は発見されてしまったのだ。
「おわあああああああ!!!!」
慌てて全力で後ろにぶっ飛ぶが、発生した攻撃の余波だけで全身に嫌な衝撃が響き、体力が八割吹っ飛んだ。どんな化け物だ!
「くっそ、マジかよ……」
ゲームであるため、痛みは無いが……それでも、これから自分がやられると言うのは良く分かった。
ZZは何で生きてるんだと見てみれば、サイズが違い過ぎて余り噛みつかれていないようだ。
「ZZ、スマン、先やられる!!」
「マジかよ兄貴!!」
最後の別れの様な物を言っている間にも、蛇の化け物は体格に反した恐ろしい程の速さで攻撃を仕掛け……
「は?」
「え?」
驚愕は二つ。俺がどれだけ攻撃しても全く通用しなかった化け物が一撃で斃された事と……
「お二人とも、大丈夫ですか」
それをしたのが、綺麗な女性だったという事だ。