「兄貴ー! こっちヤバい!」
「任せろ!」
ぶっ放したミサイルが、ZZを襲っていたゴーレムを砕く。ダンジョンに入って五分程、俺とZZは中々の苦戦を強いられていた。
「多分直ぐに湧いて来るから、今の内に先に……」
その言葉が終わらない内に通路の先から大挙してモンスターが押し寄せてくる。ええい鬱陶しい。一体一体はそれほど強くないが、代わりに矢鱈と数が湧く。兎に角手早く処理して先へ進まないと延々と同じ場所で戦う羽目になってしまう。
「せいっ!」
「のっ!」
蹴りと剣戟、ZZと合わせたそれが、モンスターの壁を打ち抜く。今の内だ。
開いた穴に体を滑り込ませ、強引に突破する。背後へ追いやったモンスターが追って来るが、速度だけならこちらの方が早い。
「ZZ、扉開けろ!」
「分かった!」
次のフロアへの扉が開くまでの間は俺が抑える。
マシンガンにミサイル、剣にチェーンソー。今できることを片っ端からやって時間を稼ぐ。結構なペースで敵を倒してはいるが何せ数が多い。焼け石に水程では無いが割とキツイ状況だ。
「ZZ、後どんくらい!?」
「一分程!!」
ZZが扉の横に付いたハンドルを全力で回しながら叫ぶ。このダンジョンで先に行くには、フロアごとの扉を開けるしかないのだがその扉はどれもこれもハンドルを回さないと開かない仕組みだ。おまけに、階層を重ねるごとにどんどんと必要な回数が増えていく。
「回復ですよー」
「ありがとうございます!!」
割とまずい、と思った瞬間ゼロさんから回復が飛んできた。滅茶苦茶助かる。
ゼロさんは来る前に言った通り支援……と言うよりほぼ傍観に徹して攻撃やギミックの解除などには関わって来ないが、こっちの体力が削れたりすると回復をしてくれる。本当にありがたい。
「兄貴、終わった!」
「よっしゃ!!」
ZZからの報告を聞いて瞬時に敵側に爆撃を打ち込み距離を取り、大急ぎで開いた扉の向こうへ体を滑り込ませる。
「ZZー、無事かー」
「おれはダイジョブだー」
ゼロさんは……普通に居るな。いつの間に。
「ここからも結構きついですから、余り気は抜かないように」
はーい、と返事をし、通路を先へ進んで行く。先頭は俺、少し後ろにZZ、最後尾、かなり離れてゼロさん。火力に全てを振り切ったZZは前衛が出来ないので、必然的に俺が前衛になる。
「てりゃっ」
横薙ぎに振るったブレードが現れたモンスターを切り捨てる。まだまだモンスターの湧く量は少ない。
このダンジョン、フロア事の終盤になると途端にモンスターの数が増える。余り湧かないからと言って先先行くとあっという間に囲まれてしまうのだ。
「兄貴ー、右に何かあるぞー」
「宝箱か?」
「多分」
暗がりに視線を向けると、ZZの言った通り宝箱があった。そこで問題が発生する。あれは罠かもしれない。
「ZZ、どう思う?」
「当たり!」
「お前それしか言わねえな」
道中で見つけたのは
「俺は外れだ、ZZ、行ってこい」
「よっしゃ、恨むなよー、兄貴!」
因みにZZは外れを三個引いている。さて今回は……
「ぎゃー、兄貴助けてー!!!」
「外れか」
開いた宝箱からわんさかモンスターがあふれ出してくる。一応離れてはいた俺と違って、ZZはもろに攻撃を食らいまくっている。
「少しは警戒しとけよっ!」
手からワイヤーを飛ばし、ZZを引っ張り上げながら全速力で走り出す。ゼロさん曰く、ああいうトラップは大抵距離を取れば対処できるとのことだ。
「兄貴──!! 壁、壁、おれ削れる!」
「少しは削れろ! 毎度毎度不用心に突っ込みやがって!」
文句をいうZZを地面に落とし、再び探索へと戻る。先ほどのフロアは細い通路が多く迷路の様だったが、このフロアは割と見通しが効く。とはいえ、それでも視線の通らない箇所はしっかりあるので警戒はしないといけない。
「ZZ、前の曲がり角に敵」
「りょーかい、喰らえ、『ファイヤー』!!」
火力に振り切ったZZの魔法が扇状に広がり、一撃で敵を焼き尽くす。俺では壁越しに攻撃できる手段が無いので、こういう時はありがたい。
「……これは…………罠か?」
敵を倒した通路の先、行き止まりに見える壁には、一か所の凹みがあった。恐らくあそこに何かをいれれば反応する仕掛けだとは思うが……罠の可能性も捨てきれない。
「ZZ、俺が触ってみるから何かまずい事になったら吹っ飛ばせ」
「分かったぜ兄貴、盛大に見送ってやるからな」
「……何も無かったら打つなよ?」
幸いにして凹みに触れても特に何も起きず、どうやら何かのアイテムが必要な場所だという事が分かった。……ZZが舌打ちしていたのは見なかったことにしてやろう。