九十世紀の兄弟が   作:Y-K4183

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ゲームの世界で(10)

「走れ走れ走れ走れ走れー!!!!」

 

 ZZが宝箱を開けた直後、大岩が転がり落ちてきた。ミサイルを当ててみたがまるで砕けそうにない。畜生。

 

「ZZお前あれは罠だって言っただろ!!」

「もしかしたらがあるかもしんねーじゃーん!」

「それに俺を巻き込むな!!」

「仲良いですね二人とも」

 

 やたら呑気な声に振り向けば、どこからか取り出した箒に乗って空を駆けるゼロさん。なにそれかっけえ。

 

「兄貴、前壁!!」

「うおっとぉ!?」

 

 慌てて方向を変え右にあった通路へ体をねじ込む。直後、途轍もない衝突音が背後から轟いた。

 

「……ふう」

 

 一息ついた所で辺りを見渡す。どうもさっきまでいた場所とは微妙に毛色が違う。これは、どうやら……

 

「パズルみたいだなー、兄貴」

「まあパズルだろうな……」

 

 目の前に散らばる無数のタイル。そして壁に飾られた図形。多分このタイルを組み合わせてあの形を作る必要があるんだろう。

 

「こういうのあんまり得意じゃないんだよな……」

「おれは得意だぞ!」

「まじで?」

 

 こいつ寧ろ小難しいのは苦手な気がするんだが。

 

「ほら出来た!!」

 

 そういうZZの手には、壁のそれと微妙に違う形の図形が出来ていた。

 ……間抜けを無視してパズルを組み合わせる。滅茶苦茶パターンが多いぞ、これ。

 

「これも違う、これも違う……」

 

 同じ形になった場所は残し、違う形の場所を片っ端から入れ替えていく。手間だが、その内出来上がるだろう。

 

「兄貴、出来た!」

 

 ……明らかにはまらないパーツを無理やりはめ込んだアホを無視して同じ作業を繰り返す。これ、もう少し大人数でやるものじゃないか。

 

「兄貴、出来たぞ!」

 

 ……壁についてあったそれを引っぺがしたZZを無視して……ピコン、と音が鳴って図形のかかっていた壁が開いた。

 

「えええええ!!!??」

 

 まじかよ。マジか? マジだ。

 

「どうだ兄貴、すごいだろ!」

「凄い……」

 

 あれで正解なのか……

 まあいい、頭を振って気持ちを切り替え、開いた先へと歩みを進める。そこには、持ち手がレンガになった鍵のような物体があった。

 

「あの凹みにはめ込むのはこれかな……」

「え、どこだっけ」

「お前が罠の宝箱開けた場所の手前」

 

 皮肉にもZZのせいで割と分かりやすい場所になっている。さっさと戻ろう。

 

 

 

「えーっと、ここに……」

 

 上下の向きが分かりづらいが、多分これでいいだろう。引っかかる感じもしないし。

 と、割と適当に入れた鍵であったが、普通に問題は無かったようだ。ガタガタと音を立てて壁が仕掛け扉のように開いていく。同時に、背後から大量のモンスターの声が聞こえた。

 まずい、あの辺はゼロさんが……! 

 

「ゼロさん、大丈夫です「はい、大丈夫ですね」」

 

 おわっ、と一瞬体が宙に浮く。いつの間にかゼロさんは俺らの隣へ来ていた。

 

「いつの間に」

「今さっきですね。それより速く逃げないとすり潰されますよ」

 

 ゼロさんの言葉に慌ててその場から駆け出した。背後からはとんでもない数の声が聞こえてきている。

 

「ZZ、前注意しとけ! 挟まれたらシャレにならねえぞ!」

「分かった! 今挟まれそう!」

「バーカ!」

 

 前方を見ると確かにモンスターが来ている。どうするか。答えは一つ! 

 

「ZZ、一番火力高いの!」

「ラジャー!!」

 

 ZZの魔法に合わせ、動きながら打てる最大火力をこちらも用意する。完了まで2……1……今! 

 

「発射!」

「『インフェルノブレイク』!!」

 

 放たれたミサイルと獄炎が壁諸共道を塞いでいたモンスターを打ち砕く。消えていく死体の脇を走り抜けた先、このダンジョンで何度も見た扉とハンドルの組み合わせがあった。

 

「ZZ、回してこい! 俺が抑える!!」

「分かった!!」

 

 ハンドルへ飛びつきぶん回すZZを視界から外し、モンスターの群れに向き直る。

 

「よおし、かかってこい!!」

 

 俺の声に合わせたわけでも無いだろうが、飛び掛かって来たモンスターに蹴りを叩き込み打ち上げる。足を叩き落し迫って来た敵を踏みつぶし、それを踏み込みとして切りつける。機銃を打ち、怯んだ相手にミサイルを放つ。

 とにかく攻めろ、一瞬でも怯めば押しつぶされる。

 

「おらおらおらおらあ!!」

 

 拳を、蹴りを、剣を、ミサイルを、銃を、我武者羅に相手へ叩きつける。途中何か叩きつけたらいけない物を叩きつけた気が

 

「ぎゃああああああああ!!!!」

 

 轟く爆発音と響く悲鳴。それが自分から起こったという事に一瞬遅れて気付く。

 畜生ミサイルを叩きつけたのはまずかった!! 

 視界の端にくの字に折れて笑うゼロさんの姿が見える。……正直、俺もさっきのは大分間抜けだと思う。

 

「ZZ、後どれくらいだ!」

「五分はかかる!!」

 

 恥ずかしさをごまかすためにZZに聞いてみたら予想より絶望的な答えが返って来た。五分は持たないぞ! 

 

「どうにかなんないのか!?」

「全力で回してるけど数多いし手ごたえが重い!!」

 

 これは無理そうだ。仕方ない、ヤケクソで突撃して──

 

 特攻する直前、ゼロさんが俺の前に現れた。

 

「面白い物も見せてもらいましたし、お返しです。私の全力も見せてあげましょう」

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