「走れ走れ走れ走れ走れー!!!!」
ZZが宝箱を開けた直後、大岩が転がり落ちてきた。ミサイルを当ててみたがまるで砕けそうにない。畜生。
「ZZお前あれは罠だって言っただろ!!」
「もしかしたらがあるかもしんねーじゃーん!」
「それに俺を巻き込むな!!」
「仲良いですね二人とも」
やたら呑気な声に振り向けば、どこからか取り出した箒に乗って空を駆けるゼロさん。なにそれかっけえ。
「兄貴、前壁!!」
「うおっとぉ!?」
慌てて方向を変え右にあった通路へ体をねじ込む。直後、途轍もない衝突音が背後から轟いた。
「……ふう」
一息ついた所で辺りを見渡す。どうもさっきまでいた場所とは微妙に毛色が違う。これは、どうやら……
「パズルみたいだなー、兄貴」
「まあパズルだろうな……」
目の前に散らばる無数のタイル。そして壁に飾られた図形。多分このタイルを組み合わせてあの形を作る必要があるんだろう。
「こういうのあんまり得意じゃないんだよな……」
「おれは得意だぞ!」
「まじで?」
こいつ寧ろ小難しいのは苦手な気がするんだが。
「ほら出来た!!」
そういうZZの手には、壁のそれと微妙に違う形の図形が出来ていた。
……間抜けを無視してパズルを組み合わせる。滅茶苦茶パターンが多いぞ、これ。
「これも違う、これも違う……」
同じ形になった場所は残し、違う形の場所を片っ端から入れ替えていく。手間だが、その内出来上がるだろう。
「兄貴、出来た!」
……明らかにはまらないパーツを無理やりはめ込んだアホを無視して同じ作業を繰り返す。これ、もう少し大人数でやるものじゃないか。
「兄貴、出来たぞ!」
……壁についてあったそれを引っぺがしたZZを無視して……ピコン、と音が鳴って図形のかかっていた壁が開いた。
「えええええ!!!??」
まじかよ。マジか? マジだ。
「どうだ兄貴、すごいだろ!」
「凄い……」
あれで正解なのか……
まあいい、頭を振って気持ちを切り替え、開いた先へと歩みを進める。そこには、持ち手がレンガになった鍵のような物体があった。
「あの凹みにはめ込むのはこれかな……」
「え、どこだっけ」
「お前が罠の宝箱開けた場所の手前」
皮肉にもZZのせいで割と分かりやすい場所になっている。さっさと戻ろう。
「えーっと、ここに……」
上下の向きが分かりづらいが、多分これでいいだろう。引っかかる感じもしないし。
と、割と適当に入れた鍵であったが、普通に問題は無かったようだ。ガタガタと音を立てて壁が仕掛け扉のように開いていく。同時に、背後から大量のモンスターの声が聞こえた。
まずい、あの辺はゼロさんが……!
「ゼロさん、大丈夫です「はい、大丈夫ですね」」
おわっ、と一瞬体が宙に浮く。いつの間にかゼロさんは俺らの隣へ来ていた。
「いつの間に」
「今さっきですね。それより速く逃げないとすり潰されますよ」
ゼロさんの言葉に慌ててその場から駆け出した。背後からはとんでもない数の声が聞こえてきている。
「ZZ、前注意しとけ! 挟まれたらシャレにならねえぞ!」
「分かった! 今挟まれそう!」
「バーカ!」
前方を見ると確かにモンスターが来ている。どうするか。答えは一つ!
「ZZ、一番火力高いの!」
「ラジャー!!」
ZZの魔法に合わせ、動きながら打てる最大火力をこちらも用意する。完了まで2……1……今!
「発射!」
「『インフェルノブレイク』!!」
放たれたミサイルと獄炎が壁諸共道を塞いでいたモンスターを打ち砕く。消えていく死体の脇を走り抜けた先、このダンジョンで何度も見た扉とハンドルの組み合わせがあった。
「ZZ、回してこい! 俺が抑える!!」
「分かった!!」
ハンドルへ飛びつきぶん回すZZを視界から外し、モンスターの群れに向き直る。
「よおし、かかってこい!!」
俺の声に合わせたわけでも無いだろうが、飛び掛かって来たモンスターに蹴りを叩き込み打ち上げる。足を叩き落し迫って来た敵を踏みつぶし、それを踏み込みとして切りつける。機銃を打ち、怯んだ相手にミサイルを放つ。
とにかく攻めろ、一瞬でも怯めば押しつぶされる。
「おらおらおらおらあ!!」
拳を、蹴りを、剣を、ミサイルを、銃を、我武者羅に相手へ叩きつける。途中何か叩きつけたらいけない物を叩きつけた気が
「ぎゃああああああああ!!!!」
轟く爆発音と響く悲鳴。それが自分から起こったという事に一瞬遅れて気付く。
畜生ミサイルを叩きつけたのはまずかった!!
視界の端にくの字に折れて笑うゼロさんの姿が見える。……正直、俺もさっきのは大分間抜けだと思う。
「ZZ、後どれくらいだ!」
「五分はかかる!!」
恥ずかしさをごまかすためにZZに聞いてみたら予想より絶望的な答えが返って来た。五分は持たないぞ!
「どうにかなんないのか!?」
「全力で回してるけど数多いし手ごたえが重い!!」
これは無理そうだ。仕方ない、ヤケクソで突撃して──
特攻する直前、ゼロさんが俺の前に現れた。
「面白い物も見せてもらいましたし、お返しです。私の全力も見せてあげましょう」