九十世紀の兄弟が   作:Y-K4183

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ゲームの世界で(12)

「ぎゃあああああああああ!!!!!」

 

 とんでもない速さの猛攻を死に物狂いで避け走る。ボスが第二形態になってから五分、何一つ有効打を与えられていない!

 

「ZZ、魔法どうにかできない!?」

「早すぎて無理! 兄貴足止めて!」

「死ぬわぁああああああああ!!!!」

 

 ZZに返事を叫ぼうとした瞬間に叩きつけられた攻撃を横っ飛びに回避する。畜生全く反撃できねえ!!

 

「つーかZZ狙えよ俺ばっかじゃなくてさあ!!」

 

 悲鳴交じりの愚痴を吐き出しながら、追って来るボスへ銃撃を放つ。

 だが、碌に照準も合わせていないそれが第二形態になってから異常な速さになっているボスに当たるはずも無い。

 兎に角高速、そして高火力。一撃で体力の半分以上が消し飛ぶ攻撃を絶え間なく繰り出し続けるこの怪物をどうこうできる未来が見えない。

 

「ちくしょぉおおおおおおおおおおお!!!!」

 

 攻撃の範囲こそ狭いためあんまり食らっていないがそれも時間の問題だ。そろそろ集中力が切れてくる!

 

「ZZ! マジで! どうにか! してくれ!」

「だったらそいつの足止めて!」

「無理! 死ぬ!」

「じゃあこっちも無理!」

 

 くっそ、これじゃどうしようも無い。ええい、やるか!

 

「おらかかってこいやああああああ!!!」

 

 全身に装甲を広げ、防御力を跳ね上げる。代わりに速度が落ちるため、もう回避は出来ない! 真っ向からの殴り合いだああああああああ!!!

 

「あああああああああああ!!!!!」

 

 機関銃の様な連撃を無理矢理突き進み、相手の体をひっつかむ。

 

「やれええええええええ!!!」

「『インフェルノブレイク』!!!」

 

 瞬間、ZZから広がった特大の火炎が、俺諸共ボスを焼き尽くした。……ふざけんな!!

 

「ぎゃああああああああ!!!」

 

 ふざけんな体力九割飛んだぞ!? マジでヤバい! 今何喰らっても死ぬ!

 と、パ二くっていると急に体力が全快した。これは……

 

「ゼロさんありがとうございます!」

 

 このエリア天井付近、ボスの攻撃が届かない範囲からゼロさんが支援をしてくれている。本当にありがたい。

 

「兄貴ー! ボスそっち行った!!」

「こんちくしょう!!」

 

 元気だなこいつ! こっちは結構ギリギリだってのに!!

 

「お、わ、たたたたた!!!」

 

 避ける、避ける、避ける、避ける、避ける。一向に攻撃に移れない。最悪、さっきの戦法をもう一度する羽目になる。

 

「せめて、近接、戦を!」

 

 剣を展開し、切りつけてみるが全く追いつけない。あっさりとボスの拳打に吹き飛ばされる。

 

「くそ……厳しいなぁ」

 

 ……()()()でも使うか? でもなあ。

 

「兄貴―! 助けてボスこっち来た!!」

「暫く追っかけられてろ!」

「ええええええ!!!!」

 

 うーむ、ZZを追っている状況ならこっちの攻撃が当たると思ったが、余りにも早すぎる。照準すら合わせられない。

 やはり切り札を使うしかなさそうだ。

 

「ZZ、こっち来い! 切り札使うから!」

「え!? 使うの!? ってか使えんの!?

「一応!」

 

 それの接続が続いている感覚は今でもある。まず間違いなく使えるだろう。

 

「じゃあ早くして! おれ結構ヤバい!」

 

 俺より遅いZZではボスの攻撃を避けるのも無理があるだろう。……あんまり気は進まないけど、ゲームの中だ、少しくらい羽目を外しても良いだろう。

 

 XXXが、自身の内に眠るそれを起こすと同時、意識が落ちる。

 

 

『──現状認識完了、攻撃目標設定、軍事戦闘用サイボーグXXX、戦闘を開始します』

 

 機械音声にも似た声が響くと同時、XXXの体が先ほどまでとはまるで違う速度で駆動する。

 剣、銃、ミサイル。

 流れるような連撃が、ZZを追い立てていたボスへ叩きつけられた。

 即座にボスはXXXへターゲットを切り替え、猛攻を行う。だが、それは異様に正確な動きのXXXに捌かれた。

 拳に剣を添わせ、軌道を変える。一瞬の隙に銃撃を放ち、怯んだ瞬間に変形したハンマーを打ち付ける。

 今、XXXはたった一人でボスを圧倒していた。

 

 

 

「凄まじいですね」

 

 誰も聞く物の無い上方、ノーン・レイ・ゼロは呟いた。

 

「あの科学者、よくもまあここまで……」

 

 知ってはいた。理解してもいた。だが、実際に目にしたのは初めてだ。

 もう存在しない研究所、ルキシア。そこで作られた戦闘用サイボーグ。人間の脳に補助人工知能を取り付け、どちらか単一より遥かに優れたパフォーマンスを生み出す新式理論。その完成形。

 常に情報を取り入れ更新し、それをあり得ない速度で処理する。

 人の柔軟性と機械の精確性。両者の完全なるハイブリッド。

 この九十世紀現在ですら、今のXXXを目にすれば驚愕するだろう。

 それを目にして尚、ゼロに湧いた感情は、多少の驚き。それも、子供が思ったより速く立ち上がった光景を見た程度のものでしかない。

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「……流石にアレは駄目ですね。何か、対処法を考えておきますか」

 

 そう言って、ゼロは思考を打ち切る。今は遊びの最中だ。面倒な事を考える時ではない。

 ゼロの視線の先、予想通りのタイミングでXXXがボスへ止めを刺していた。

 

 

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