九十世紀の兄弟が   作:Y-K4183

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戦いの行方

 爆発音と共に粉塵が舞い踊る。通常なら一瞬に満たないほどの時間で広がるそれも、この場の四人にとっては恐ろしく長い時間に感じられた。

 それでも確かにその時は来た。

 朦々と広がる煙幕は全員の視界を遮り、姿を隠す。白く染まった景色も何もかも平等に。

 

(!)

 

 即座にその危険性に気付いた白華が吹き払おうとするが、アダム達がそれを許さない。白華でもこの三人を同時に相手して余裕があるわけでは無いのだ。戦闘に関係ない無駄な一動作を挟むのは不可能である。

 故に、その場の全員が煙幕へと包まれることとなった。

 

「よし!」

 

 包まれた事を確認するや否や、アダムが白華から離れ極と天道の元へ戻る。そして二人に何かを投げ渡した。

 

「何じゃ、これ」

白華(アレ)の予測装置だ。これで見えてなくても動きが分かる。その上で向こうは──」

 

 

 

 姿が見えない。

 白華の視界から、三人が煙幕に包まれ消える。

 先ほどまで自分の押し付けていたやり方を、やり返された形だ。

 しかし、条件は同じ。互いに姿を捉えられなくなっただけ。

 

(本当に?)

 

 白華が自問する。

 あのアダムがその程度で終わるはずがない。必ず、自分の姿を捉える手段を用意している。

 

 白華のその予測通り、極めて精確な狙いの金棒が振るわれた。

 

「ハハハハハ! これは良い! 良いぞ!」

 

 衝撃は四度、その全てが面白いほど直撃する。白華にアダム達は見えていない。逆に、アダム達は白華の動きを予測した結果をゴーグルに表示し、その動きを補足することが出来ている。

 白華の反撃も、見えない相手には当たらない。そこに、巨大な氷塊が叩きつけられた。同時に次元を凍結させる程の冷気が解き放たれる。

 

(っ!)

 

 一瞬、動きが止められる。その隙に背後から金棒が直撃し白華を大きく吹き飛ばした。

 

『散々やられた……最早そちらに猶予など与えんぞ』

 

 連撃怒涛、代わる代わるの攻撃が白華に多大な傷を付けていく。

 降り注ぐ氷槍が、超威力の金棒が、極寒の暴風が、一点への猛攻が、零距離での冷気の解放が、身を回転させた渾身の金棒が、白華の体にダメージを与える。しかし、白華の意識はその攻撃には無かった。

 

(……アダムはどうした?)

 

 アダムからの攻撃が無い。

 その一点が白華に嫌な予感を生んでいた。

 損傷多大で復帰できない……などと楽観的な予測は無い。アレは必ず復帰する。

 

 白煙の視界にナイフが煌めく。見えずとも、攻め立てられ続けていれば雑に振っても何処かで当たる。

 その予測の通りに、軽い手ごたえと鮮血が舞う。だが、攻撃に中断は無い。

 

「その程度で止まるような体はしておらんぞ!」

 

 金棒が白華の体を横に薙ぐ。体制を立て直そうと白華が動く前に、その体が氷塊に閉じ込められた。

 

『何かさせてもらえると思うなよ?』

 

 氷が砕かれる。だが、それより速く再び辺りが凍結する。極に白華を逃がすつもりは欠片も無い。そしてそれは、天道も同じだ。

 氷を切り裂き飛び出てきた白華が、殴り飛ばされ氷塊へと叩き込まれる。その身体がまたも氷に包まれた。

 逃がさない。攻撃を畳みかけ、その場に白華を張り付ける。

 

(何の為に?)

 

 白華はその疑問に即時答えを出す。

 

 アダムの攻撃時間を稼いでいる。

 

 それが答えだ。

 この時点で戦いの目的が少し変化する。白華は氷塊から抜け出し、攻撃を構えているはずのアダムに先手を取る事。極と天道は用意が完了するまで白華を動かさない事。

 即断した目的に従い、白華が攻撃も無視して氷塊から体を引きはがす。だが、それを見逃す二人では無い。

 

「『逃がさん!』」

 

 金棒が降りぬかれ氷塊が散弾の様に叩きつけられる。それらは白華の体を精確に捉え、傷を負わせていた。

 それでも、白華は足を止めない。攻撃してきた二人を無視しその間を神速で走り抜ける。

 二人もそれを見送りはしない。足を凍り付かせ、逆側に弾き、壁を作り、全身を使い金棒を振るい、白華の足を鈍らせる。

 

 だが、ここに来て地力の違いが出る。単なる殴り合いになってしまえばこの中で最強は白華だ。壁を砕き、しがみ付いてきた天道を蹴りつけ……

 

 その時は訪れた。

 

 アダムの前に、白華が出現する。

 そして、()()()()()()()()()()()姿()()()()()()()

 煙幕が晴れている。

 明瞭になった白華の視界に映るは、白華をして異常なエネルギーを迸らせるアダムの姿。

 

「対超銀河団級存在焼却用時空消滅式塵壊砲起動。エネルギー上限解放、レベル3へ移行。上限解放、レベル4へ移行」

 

 白華は無言のまま、アダムへと駆け出し──

 

「砲撃、発射」

 

 極大の光の帯が、その全身を包み込んだ。

 

 

 

「……決着、か?」

 

 視界の殆どを埋め尽くした異常なエネルギーを纏ったあの光帯が消え去ったあと、戦闘の様な物は起きていない。決着が着いたのだと思うが……

 

「兄貴ー、終わったみたいだし見に行こうぜ!」

「もうちょい危機感を持てや。アレが敵の攻撃じゃ無いって保証は無いんだぞ」

「多分アダムだって、行こうぜ!」

 

 ……まあ、アレが敵だったらどうあがこうと俺達は死ぬだろうし。それに、一応作戦は成功していた。多分大丈夫だろう。

 そう信じて、俺達は戦闘の跡地へと向かった。

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