「という訳でやってきましたー、世界最後の秘境ジパング。一体どんな冒険が待ち受けているんでしょうか―」
「まてやこら」
いきなりアダムがロケットに変形したかと思ったらとんでもない速度で出発して訳の分からんところに連れてこられた。どこなんだここ。
「聞いて無かったのか、ジパングだ、秘境ジパング」
聞いた覚えがない。この時代に秘境とか呼ばれてる時点で相当ろくでもない場所ではあるんだろうが、自分の記憶にそんな地名は存在しない。……多分相当ヤバいな。
「どんな所なんだ?」
「探索隊計四千人送って帰還者ゼロ」
「帰る」
「途中帰還は不許可」
「ふざけんな」
死ねってか。いくら金が欲しくてもそのために死ぬのはお断りだ。
「一応聞いてOK出しただろ」
「説明が足りてねえよ! 危険性の説明をちゃんとしろ!」
「おう分かった、99.99%死ぬ。これで良いか?」
「事後承諾なんてもんじゃねえぞ……」
地獄みたいな場所にこれで送り込まれたら切れて良いと思う。
「ってか俺はまだいいとしてなんでZZまで付いてきてんだ。あいつは置いてこいよ」
「連れてけ連れてけうっせーんだよあいつ。仕方ねーから連れてきてやった」
「……死んだら恨むぞ」
「一応サポートはしてやるよ」
……正直全部こいつにやってほしい。
「そもそも何やったら帰れるんだよ……」
「ここで採れる有用な素材採ったらだな。ちなみに量は一トンだ」
「……具体的にどんなのがあるんだ」
「いまZZを追い回してるあいつとか」
見ればZZは途轍もない大きさのよくわからない生物に追い掛け回されていた……って、そんなこと考えてる場合じゃねえ!
「ZZー! 大丈夫かー! 今助けるぞー!!」
「兄貴ー! こいつでかいわりにはやい!」
ZZの言う通りそいつは小山と見まがうような巨体のくせして途轍もない速度で動いていた。
「くっそ、何でこんな早いんだこいつ!」
振り下ろしたブレードを残像を残して怪物が避ける。何だこの速さ。
「ZZお前粒子化して逃げろ! 出来るだろ!」
「逃げながらそんな細かい事できねー!」
「普段から練習してねえからだ!」
「おれの結構あつかいがめんどくさいんだよ!」
なんのかんのと言い合っている内にZZはあっさりと捕まえられた。
「わああああ、あにきー、助けてー!」
「このでかぶつが! 放せって、このやろ!」
ZZを捕まえて動きを止めたそいつを何度か切りつけるがまるで効いている様子がない。こうなったら砲撃で吹っ飛ばして……
「どいてろ」
アダムの声が聞こえた瞬間、途轍もない光の奔流が怪物を飲み込んだ。
「おわっ!?」
光が収まった後に怪物の体の殆どは消滅していた。……ZZは無事か!?
「おーい! ZZー! 無事かー!」
「なんとか! 兄貴、さっきの何!」
「多分アダムがなんかしたんだと思う」
実際アダムの方を見ると群がるよくわからん奴らをよくわからん武装で消し炭にしまくっている。
「……前から思ってたけどヤバイなあいつ」
さっきの怪物も俺一人じゃ厳しい相手だ。それをアダムはついでで消し飛ばしてしまった。一体どんだけ強いのやら。
「あいつ一人でいいんじゃないかな」
「おれもそー思う」
『馬鹿言ってねーでテメエらも手伝え。こいつらの死体回収して集めてろ」
「おわっ」
いきなりアダムから通信が来た。見た感じさっきと変わらず戦いっぱなしのようだが声にはかなりの余裕がある。
「……死体の回収って言われてもな。そもそもお前の戦ってるとこに行ったら巻き込まれて死にそう……ってか、見た感じまともに残ってる死体ねーじゃねーか。何回収するんだよ」
『じゃあちょっと待ってろ。そろそろこいつらの頭が出てくる。それなら死体も残るだろ』
……火力を抑えるという発想は無いらしい。
そんなこんなで暴れまわるアダムを眺めること数分、怪物の群れが割れひときわ大きい奴が出現した。
「あにきー、あれがボスかー?」
「多分。……死体の回収って言われてもなー」
あれを倒したとしてまだ雑魚(俺と同じかそれ以上)はわんさか残っているのだ。よくてそいつらに囲まれるか悪ければアダムの攻撃に巻き込まれるだろう。
「アダム、俺には当てるなよ」
『知るか。勝手に避けろ』
「無茶言うな」
あんなのどうやって避けるんだ。
『とにかく、どれだけ文句言おうがやらねえと帰れねえからな』
「そもそも連れてきたことに文句を言いたい」
何のかんのと言っていても別に戦闘は待ってくれない。群れのボスらしきデカブツは途轍もない咆哮を上げるとアダムへと飛び掛かった!
「ふん」
瞬間に輪切りにされた。マジかよ。
「で、あれ回収しに行けばいいのか」
「へい兄貴! 金は山分けにしようぜ!」
「九対一な。俺九」
「えー、せめておれに八割はくれよ~」
「何がせめてだ、そんなに欲しいならあれ取ってこいよ」
先ほどアダムが倒したデカブツの周りは戦場となっていた。あんなの近寄りたくない。
『何でもいいからさっさと回収しろ。速くしないとそっちにぶっ放すぞ』
「よーし行くぞー!」
「うおおおおおおお!」
弾かれるように俺とZZは走り出した。あんなの食らったら死ぬ。
「ZZ! お前あっちに突っ込め! その隙に俺があれを回収する!」
「おっけー!」
……突っ込ませた俺が言うのもなんだがあいつ、何も躊躇せずに群れのど真ん中行ったな……。
「まあこっちはこっちの仕事をするか」
ZZがおとりになっている間にさっさと回収しよう。
「……重いなこれ」
何とか山ほどの肉塊を背負えるようにしたのは良いがそこで問題が起こる。重い。重すぎる。量から想像できる重さより数段重い。全く動かせないわけでは無いが軽快には程遠い。それでもやるしかない。
「襲ってくんなよ……今襲われたら何も出来ねえぞ……」
辺りを見渡し確認する。くんな。まじでくんな。
「グオォォォォォ!!!!」
来たあああああああ!!??