九十世紀の兄弟が   作:Y-K4183

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こちらも大概規格外

「……」

 

 場を沈黙が支配する。まだ朝日が差し込む中、三人の忍者の気配はまるで夜闇の様だ。

 

 先制を取ったのは、苺さんであった。

 無動作から瞬時に相手の懐へ踏み込み、小刀を突き出す。その程度でやられる様な相手では無いが、少なくとも一瞬、一人は動きを止める。

 と、苺さんの攻防に目を向けた隙にこちらを目掛けて一人の忍者が迫って来た。

 速い!

 昨日殴り飛ばした奴より遥かに!

 

「っ!」

 

 振るわれた小刀を腕で受ける。軽い衝撃、そして金属音。この程度で傷つく体では無いが、殺意を持って武器が振るわれると言うのは、割と怯んでしまう物だ。

 それを察知されたか、相手の攻めが勢いを増す。

 弾かれた小刀を上段に構えたまま、鉄の板──手裏剣と言うらしい──がこちらへ飛ぶ。

 それを予期していなかった俺に、それらは直撃する。が、効かない。俺の体は鋼鉄だ、そんな軽い物が効くか。

 しかし、既に攻撃は次の物へと移っていた。

 至近距離から、斬撃三連。胴、喉、額。

 目の前にいた相手を殴り飛ばそうと拳を振るうが、逆に腕に攻撃が走り相手は姿を消す。

 背に何かが当たる。恐らく手裏剣。効かないそれを無視して、相手を探すために周囲を見渡し──俺の眼球目掛けて小刀が突き出された。

 

 

「!?」

 

 覆面の上からでも、驚愕は伝わって来た。

 それはまあ、そうだろう。相手の行動は間違っていない。いくら肉体に何かを仕込もうと、人体の急所──脳に近い穴の有る口や耳、鼻や目は変わらない。真っ当なサイボーグならそうだろう。

 だがこちとらまともじゃ無い。脳以外、全身に生身の部分など欠片も無い。当然眼球も義眼、それも銃弾が撃ち込まれてもゴミが入ったとすら感じないとんでも強度だ。当然、小刀は弾かれる。

 でかい隙だ。

 体重を前に動かしながら、全身を使い拳を振るう。普通なら避けられる大振りだが、このタイミングなら避けられない!

 

 ──俺のそんな確信は、空振りの感触が伝わった事で間違いだと否定された。

 

「何っ!?」

 

 思わず驚愕の声が飛び出る。それは避けられた事だけに出たものでは無い。

 なにせ、俺の視界には()()()()()()()()()()()()()()()()姿()()()()()()()()()()()

 

 

 

 忍法 光遁。

 その忍びが使ったのはそう呼ばれる技であった。

 ある時は光を集約させ対象を焼き切り、またある時はこの様に自身の周囲の光を歪め姿を消す。攻防どちらにも転用可能な恐るべき技だ。

 それ程の技を会得しておきながら、忍びに油断も慢心も無い。あるのは、必ず任務を成すと言う使命のみ。

 故に、必殺を期す。

 姿を消したまま相手の背後へ回り、光を集約させる。刀も手裏剣も刺さらない鋼鉄の怪物。だが、この光熱は通る。そして、こちらの攻撃が通らないと思い込んでいる相手は無防備なままだ。

 無音のまま背後へ近づき、必殺の一撃を──

 

 XXXが、振り向いた。

 

 

 

 

「……!?」

 

 殴りつけた相手は呻き声も出さずに吹き飛んでいく。不気味な程静かだ。一応しっかり手ごたえがあるのでダメージは入ったはずなのだが。

 しかし焦った。まさか姿を消されるとは。忍者は一体どうなっているんだ? レーダーや振動検知器などが有る事に直ぐ気付けて助かった。思ったよりだいぶ近い位置にいたし。

 

「まあ、これで……いや念の為追撃しとくか」

 

 走って吹き飛んだ相手を追う。……そこには、既に立ち上がろうとしている相手の姿があった。

 

「どうなってんだ一体!」

 

 蹴り一発。今度こそ相手は吹き飛び動かなくなった。……いや、正直何であれで動けてるんだ? 一応ジェットも使った超音速のパンチを打ち込んだはずなのに。

 しかしまあ、これで多分……いや、念には念を入れておこう。

 

「……こんなもんかな」

 

 倒れ伏した相手の上に重りを乗せ、更に体を何重にも鎖で縛り、その上で拘束具で地面に貼り付ける。……これで動かれたらお手上げだな。

 幸い、暫く見ていても動く様子は無かった。……こういう時は殺した方が早いのだろうが、俺はそうする気は無い。少なくとも、殺さずに済むのなら殺したくは無いのだ。最も、他人が殺そうとするのをわざわざ止めるような気も無いし殺した方が良いなら殺すのだが。

 

「苺さんの方は大丈夫かな……」

 

 あの人もかなりの凄腕ではあるが、今俺が倒したような相手だとかなり厳しいだろう。俺自身、割と危ない所があった。そして、苺さんを知っているであろう相手が下手な刺客を送り込むはずがない。今苺さんが対峙している相手が、俺の戦った相手より弱いという事はまずありえないだろう。

 

「援護しに行った方が良いな」

 

 そう考えて俺は、苺さんの方へと向かったのだった。

 

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