『さて、どうするか「たのもー」おおおおおおおおお!?」
何考えてんだコイツ馬鹿じゃねえのかあばばばばばばばっばばばか!!!?!
「兄貴! 誰かいるぜ!」
「馬鹿野郎!!」
渾身の力でZZの頭を殴りつけ、地面に叩きつける。
一体! こいつは! 何を考えてんだ!
「おま、テメ、もうちょい何か考えろ! 少しは態度も!」
いかん、怒りと焦りで言葉が出てこない。深呼吸、深呼吸……
「馬鹿野郎!!」
「兄貴それさっきも見た!」
深呼吸の結果更なる怒りが込み上げてきた。これは仕方ない、うん。
「……随分と愉快な人たちだなあ」
体が硬直する。
俺達の声ではない、透き通った水晶をイメージする声だ。
聞こえて来た方向は……部屋の中。
「君たちが噂の侵入者だろう? 色々と聞きたい事があるんだ」
こっちへおいで。
その言葉が聞こえると同時、体が何かに操られるように部屋へと引き込まれた。
まずい、まずい、まずい。
確実にヤバい状況だが何もできない。……せめて、ZZは助けて貰えるように嘆願して──
「んで兄貴が何かあって記憶無くしたんだって」
「成程、それを戻しにここまで? 君、随分と無茶苦茶だなあ」
「……はい、まあ」
……?
何か普通に話が始まった。ZZに至っては普通に話してるし。
こっちを攻撃する気は無いのか? そうだとするなら俺はこの人を聖人と崇めるレベルだが。
なにせやらかしている。
宮殿は半壊していたし、街中では戦闘がおこり、お仲間を何人もぶちのめしている。
これで許すのはただの聖人だ。
「ああ、それは気にしなくていいよ。君は何もしていない、罪には問わないさ」
つまり何かしたあの人たちは罪に問うと。まあ妥当だ、正直やり過ぎだと思うし。
「つまり兄貴は大丈夫ってこと?」
「そうだとも。君のお兄さんには何もしないよ、もちろん、君にもね」
「……ありがとうございます」
無邪気にはしゃぐZZに代わって頭を下げる。本当に助かった。
「うん、うん。礼儀は最低限弁えているようだ。さて、これで情報の共有は大体できたかな?では、名乗っておこう。第七十六代魔王、シルバリティア。魔界の全てを治める者さ」
「XXXです、よろしくお願いします」
「ZZです!」
頭を深々と下げて、ゆっくりと上げる。と、同時に体に入っていた緊張がほぐれていくような感じがした。やっぱり話が通じると分かると色々安心するものだ。
そして安心した、という事は余裕が出来るという事。そして人間大体余裕があると余計な考えをするものだ。
……しかしこの人、小さいな。
容姿である。
緊張で考えている余裕なんて到底なかったが、落ち着いてみてみると随分と幼く見える姿だ。もちろん実年齢は俺を鼻で笑える程だろうが。
それでも、見た目に関して言えばこの人はかなり小柄且つ幼く見える。流石に十歳前後にしか見えないゼロエルよりは上だが、それでも天道さんよりは小さい。見た目は十二歳位だろうか。
しかし、そんな年齢の見た目でありながら、容姿は可愛らしい、より美しいが先に出てくる物だ。どれだけ整っているかは言語化しきれない。
「……随分じっくり見てくるね」
「すみません!」
うっかり見過ぎてしまった。全力で土下座すれば頭上から小さな鈴を転がすような笑い声が聞こえて来た。
「いいよ、私に見惚れるのは悪くないのだから」
……物凄く自身があるが、この見た目なら十二分に見合っている。
と、こんな事をしている時ではない。記憶に関して聞かないと。
「あの、僕の記憶何ですが……」
「おっと、済まないね。
それでは、こちらに頭を向けてくれるかい?」
言われるがまま頭を差し出せば、小さな両手が挟んでくる。とても柔らかい。
「息を吸ってー、吐いてー……」
言われた通りにゆっくりと呼吸を繰り返せば、段々と意識が深く……暗く……
「シルバリティアさん、兄貴どう?」
「ティアでいいよ。それで、お兄さんだが…‥‥」
うーん、とシルバリティアは唸る。眠りに落ちたXXXの記憶は読めているのだが、一か所、切り取られたように飛んでいる箇所があるのだ。
「多分、ここが彼の知りたい場所なのだろうけど……私では見られそうにない」
「えー、駄目?」
「駄目だね。お手上げだ。……ただ、彼の記憶はとても面白いよ。私より遥かに強大な存在と何度も会っている。ここまで引き寄せるのは、彼の運命か、それとも何か要因があるのか……」
おっと、話がそれたね。
そう言ってシルバリティアは咳ばらいをする。
「気になったのは、彼の友人……アダムと呼ばれていた彼の持っていた手紙だ。あのゼロエルという天使は私が及びもつかない程圧倒的な存在だけど、そんな彼女でも記憶を戻せていない。しかし、可能性のある人物に案内する手紙を書いて、君たちはここに来た。
私はその案内先の人物に心当たりは有る。だけど、すぐに会える方でも無くてね。その手紙が実際にあれば、どうにかなるとは思うんだけど、アダム君と連絡は取れるかな?」
「兄貴なら取れる……と思います!」
それなら大丈夫さ、と言ってシルバリティアは手を離した。