「えーと、それでその、天道……さんは最近よくいる侵入者だと思って攻撃した……と」
「おう! 何やらここの獣をやたら狩っておるし、近頃ここを荒らす奴らかと思っての! すまんかったな!」
何故か俺とZZは座り込んでこの人? の話を聞いていた。
曰く、名前は天道。種族は……鬼と言うらしい。聞いたことが無い。
いくつか話して分かったが、余り危険な人では無い。危険な人では無いが……ヤバい。
何がやばいってけた外れに強い。エネルギー測定機構をONにすると一瞬で限界を突破した。あのアダムと張り合うだけはある。
後かなり手が出るのが早い。……というか喧嘩好きらしい。
別に見境なしに殴り掛かってくるわけでも無いが、それはそれとして気が気ではない。何せ軽く小突かれただけで俺らは二人とも塵になってしまう。
つまり……
(心労がやべえ……)
下手に怒らせたら死ぬ。というか怒らせなくても冗談くらいのノリで普通に死ぬ。悪い人でこそ無いがそれでも身の危険がある。出来ればあんまり関わりたくない。
「てんどうさーん、その角何? 飾り?」
(うおおおおおい!? ZZぉぉぉ!?)
何考えてんだこいつ!? というか見たら分かるだろ!? 体の一部だよ!
「この角か? これは鬼の象徴よ、生まれた時から有って、死ぬまで伸び続ける。偶に邪魔にもなるが、まあ大事な体の一部じゃな」
「へー」
聞いといてなんだその気のない返事……というかそれを聞けるのもその返事をするのも度胸が凄い。見習いたくは無いが。
「しっかし……あ奴らでないなら何故ここに来た? 正直言って大したものはここには無いぞ?」
「えー……その、それは……」
「金目当て」
……こいつに物怖じという言葉は無いようだ。というか、せめて言い方考えろや!!
「成程、金か。まあ大事じゃしな。……金目のものなんぞあったか?」
「えー、知らないのー。こんなのとかこういうのとか……」
ZZがさっき見つけた良く分からない機械類やら鉱石やらを持ってくる。もういいや、色々聞いちまえ。
「あー、その石ころは良く分からんの。どこにでもあるし。その機械なんぞは……あ奴らのじゃな、片付け位しておけ、全く」
「あの……さっきからおっしゃっているあ奴らって誰ですか? 僕らも誰かと間違われたようですし」
「んー……良く分からん。何かいきなり来ての。いろんな物をわんさか持って行った上に訳の分からん機械の群れをどかどか放り出してきてな」
壊すのに苦労した、と天道さんは続けた。
どうやらそいつらが何なのかは天道さんでも知らないらしい。結構適当な人らしいし。
だが、次に続けられた言葉に俺は耳を疑った。
「あー、唯名前は聞いた気がするの。何じゃったかな……確か……あい、あいびす? あいあすとか……」
「……アイギス」
おー、それじゃと天道さんは言ったがそれは最悪の補強にしかならなかった。
アイギス。今この世界に侵略を仕掛ける謎の集団。今現在ありとあらゆる手段で抵抗し、ようやくその侵略を押しとどめている恐るべき軍勢。怪物とかの巨大生物には慣れっこの町の住民もこの名前一つで震えあがる最悪の侵略者。
国家を丸ごと消滅させる自爆作戦ですら勢いを削ぐことしかできなかった化け物共が、何でここに?
「目的は俺らと同じだな。ここの資源狙いだ」
「アダム!」
上空からアダムが降って来た。……取りあえず一安心だ。これで天道さんがこっちに殴り掛かって来ても……こいつ助けてくれるかな?
いや、今はそれより。
「おいアダム! ここにアイギスが来てるって!」
「知ってるよ。そうでも無きゃこんなとこ来てねえっての」
……え?
「え、お前、知ってて連れてきたのか?」
「当たり前だ。今回の仕事はここの資源回収、それと進行してくるアイギスの偵察。この二つだ」
「ふざけんじゃねえぞこの野郎!!!」
思いっきり殴りつけるが案の定小動もしない。こんちくしょう。
「そう叫ぶな馬鹿。アイギスの偵察は俺の方でやってたよ。そうでもなけりゃあんなゴミども秒で缶詰に変えてるっての」
「……どっちにしろ死ぬような目に遭ったんだが?」
「金欲しけりゃ命位掛けろ」
……納得行かねえ!
「テメエの意見は兎も角、今割と不味い事になった」
「……マジかよ」
アダムが不味い事、と言うのだ。生半可な事ではないだろう。
「アイギスの偵察、ここにきてからあの獣軍団ぶっ潰すまではやってたんだがな……この鬼が殴り掛かって来てからは監視が出来てない。強すぎてな、監視に割く余裕がなくなった」
「おう、それはすまんかったの」
アダムが天道さんを睨みつけている……不穏な空気だがそれはそれとして、アダムの言った事はそこまで不味い事態ではない。監視が出来なくなった原因が天道さんとの戦闘だとすれば、今は出来ているだろう……。
「それで今再度探してみたらまっしぐらにここに向かって来ててな。まず間違いなく戦闘になるから、お前ら逃げとけ」
「それを速く言え!!」
慌ててZZを引っ張って駆け出す。その瞬間、背後に異常な気配が出現した。
現れたのは、無機質な雰囲気を漂わせた男。腕部に広がった袖の様な形の機械が付いている。と言うか、あの顔見たことが……。
「……兄貴、あいつキリカルじゃね?」
ZZの言葉に逃げる足が速くなる。
キリカル。アイギス最高戦力の七界神の一角。星くらいならやすやす壊せる程の化け物だ。……そのレベルの化け物なら逃げる意味も無い気がするが逃げないよりましだろう、多分