「おらぁ!!」
「ごがっ!?」
待合室に乗り込んできたテロリストを一蹴し、外へ飛び出る。途端、俺を銃口が出迎えた。
「今更そんなもんでビビるか!」
銃を突き付けて来た奴を殴り倒し辺りを見渡す。手続き待ちと思しき人が……数え切れない程。いや多いな。どう少なく見ても千人は遥かに超えてるぞ。ここが隔離空間じゃなかったらどれだけ並ばされていたことか。
まあそれは置いておいて、銃を持ったテロリストらしい連中が二十人。フル装備だ。戦争でもするかの用だが、まあ政府施設に襲撃するなら戦争みたいな物だろう。
「何者だ!」
「民間人だよ!」
騒ぐ一人を吹き飛ばし、残り十九人。武装は使わない、この場所で使えば確実に人を巻き込むし、多分相手は死ぬ。
とはいえそこまで難しくは無い。なにせ……
「銃が効かないぞ!」
こいつらの持っている携行火器程度で抜かれる装甲はしていない。という訳でサクッと十九人をぶちのめし、立場の高そうな奴を引っ掴む。
「おい、ラロはどこだ?」
「……政府の犬に答える事等無い!」
……なんか勘違いされてんな。俺別に政府側じゃないし。単にお前らが暴れてると手続きが終わらないから何だが。
「もう一度聞く、ラロはどこだ?」
今度は頭に銃を突き付けて聞く。これで答えてくれたら良いんだが。
「殺すなら殺せ、政府に屈しはせん!」
「政府側じゃねえよ!」
駄目だ、話聞いてくれねえ。取りあえず頭を一発ぶん殴って気絶させた。後はこれから来る公安に任せよう。
「おれもやりたかった!」
「諦めろ、お前じゃ普通に銃食らう」
やって来た公安に全員を引き渡した(事業登録を行っていないので金は支払われなかった)後、滞っていた手続きを済ませる。
貰った許可証を登録してワールドゲートを通る準備は万全だ。
「明日の用意しとけよ」
「兄貴、おやつ買わね?」
「そういう用意じゃねえよ」
軽口をZZと言いあった後、俺の思考は先程のテロへと移る。
何もかも明らかにお粗末だ。
政府施設に襲撃を掛け、成功させたと言う割にはその後が余りに雑過ぎる。なにせあそこに居た二十人で全員だったと言うのだ。
全員を監視に使って何をするつもりだったのか……その答えは姿を見せなかったラロにある気がしてならない。
しかしそんな予感に反してその日はそれ以上何も起きず、俺達はあっさりと翌日を迎えたのであった。
「……うーん」
「兄貴、何悩んでんだ?」
世間ターミナルロビー、ワールドゲートの開通を待つ人たちでごった返す中、悩む俺にZZが尋ねてきた。
「絶対アレで終わりな筈ないと思うんだけどな」
ラロが見つかっていない以上アレで終わりとは到底思えない。あの後ニュース類を調べたが、テロ関係の人間が新たに捕まったとは出ていなかった。
まあ、一テロリストをわざわざ報道するような事も無いだろうし、場合によってはもみ消されるだろう。俺の知らない場所で既に掴まっている可能性……というかその可能性の方が遥かに高いのだが……それでも確実に何かがあると思えてしまう。
「取りあえずZZ、今日は気を──」
響いた爆発音が俺の声を遮った。
くそ、丁度だな!
「またテロ?」
「政府は何を──」
周囲の人が騒ぎ出す中、俺はZZと共に音の方へ向かう。
「ZZ、離れんなよ!」
「分かってるぜ!」
俺達が走り出して数秒後、銃声が響いた。もうこの待機場にまで来ているのか!
「動くな! ここは我々アンサラーが」
その言葉を言い終わる前に踏み込んできた男を叩き伏せる。と、更に来ようとしていた奴らをZZが蹴り飛ばした。
「兄貴、結構いる! 三十人位!」
「まだそんなにいるのか!?」
名乗った集団の名は同じ、だがそれは昨日二十人纏めて公安に引き渡している。なのにまだ三十人いるのか? 五十人も政府が動きを察知できない人間がいるだと?
「取りあえず全員吹っ飛ばして──」
「おっとそれは流石に困る!」
聞き覚えのある声。その方向へ振り向く……前に体を襲った衝撃に吹き飛ばされた。
「兄貴!?」
「下がれ!」
ダメージは少ない、すぐに立ち上がれる。
……案の定、ラロがそこに居た。
「おいコラテメエ、何のつもりだ!?」
「金儲け、最初っから最期までそれだけだ」
ケラケラとラロが笑う。……こっちはお前に付き合ってる暇はねえんだよ!
「っと、流石サイボーグ。速いな」
……思いっきり殴り飛ばしてやる予定だったが、あっさりと躱された。こいつ、こんなに動けたのか。
「……そこまで動けるならコレ食らっても大丈夫だよな!」
ミサイル発射。
周囲の人は踏み込んできた奴を殴り飛ばした時点で逃げ出している、今なら結構な兵器を使っても被害は出ないだろう。
「それはまずいっての!」
空中でミサイルが爆ぜる。さっきの俺を吹っ飛ばした衝撃の同類か? 多分こいつの能力だろうが……
そんな思考を、
「んなっ!」
「オラァ!」
回し蹴り一発。ラロが面白い位吹っ飛んでいく。
「ZZ、ちょっと離れてろ」
「分かった!」
てててと逃げていくZZを見送り、ラロの方を向く。丁度立ち上がった所だ。
「……アレ、弟だろ? 一人にして良いのか? 俺の部下がぶっ殺すかもしれないぞ?」
「問題ないよ、テメエの手下にやられる程弱く無い。それに、ここに居るとお前の人質にされそうだしな」
ラロが舌打ちをした。やっぱ狙ってたか。
俺から離すことに不安が無い訳では無いが、アイツも十分自衛は出来る。それに、そこそこ時間も経った。そろそろ公安連中が突っ込んでくるだろう。
「ラロ、諦めて捕まれ、どう見てもお前の詰みだ」
「へえ、曇った目だ。まだまだ投了には程遠いぜ!」
ラロが指をパチンと鳴らした。
その瞬間、待機場のドアから完全武装の集団が踏み込んで来る。その数、二十以上。
「公安の強化人間共とやり合える連中だ。お前でも厳しいだろ」
「待てや!」
誰が待つかよ! と叫んでラロが集団の背後へ消える。
……まずいな、こいつ等中々装備が良いぞ。周りの人が避難していて助かった。
直後、行われた銃撃を全力で走って回避する。
「って!」
クソ、一発貰ったか!? やっぱ通るの持って来やがったな!
「悪いけど加減はしねーぞ!!」
ブレード展開、機銃用意、そして背からジェット。普通に殺せる装備だが……こっちに加減をする余裕は無い。運に祈れ!
「そらよ!」
先制でミサイルを撃ち込み、同時にブレードを掲げて突進する。
と、無駄のない動きで集団が左右に分かれた。こいつら、相当訓練されてるな。それか、ダウンロードしてるか。
どっちにしろここまでにするには中々のコストだ。決して一テロリストが用意できる戦力では無い。
最初っから抱いている違和感が強まるが、今は考えている時ではない。向かって右の集団へ俺は突っ込んだ。