進撃の巨人 The end -ゲームの主人公が生きていました- -誰が為の翼- 作:キラトマト
「これより、第57回!! 壁外調査を開始する!! 前進せよぉぉおおおお!」
門が開き、馬が駆ける。
「左前方10m級接近!!」
援護班が早急に討伐に向かう。
「ちっ、取りこぼしか……あれは援護班に任せて前進するよ!」
「了解!」
「進めぇ!! 進めぇぇええ!!」
旧市街地を抜けた後は援護班による支援はない。グリュックの班はミケ率いる左翼中央よりの場所。
「おいグリュック、はじめての壁外調査だってのに随分落ち着いてるじゃねぇか」
「ま、まぁこの前壁外に出ましたし……」
「ゲルガー、あんまり喋ってると舌噛むよ」
「それはオルオの仕事だろう?」
(ん……? 何だこの声……)
ふと、グリュックの耳に甲高い女の叫び声のような音が聞こえた。
「気のせいか……」
そして、緑の煙弾が上がっているのが見えた。
「よし、団長からの合図だ。進路を変えるぞ!」
「は、はい!」
手綱を引き、速度をあげる。
「ちっ……奇行種か……」
近くの人間を狙うのみの通常種と違い、奇行種の行動は予測不能なため、対処が必要である。と、ネス班長が言っていた。
「黒の煙弾……これか」
グリュックは煙弾を撃ち、奇行種の出現を知らせる。
「私が行く!」
と、リーネが自分が行くことを示すが、
「いいや俺に任せてください!」
「だが新兵には……」
言いかけたところで、既にグリュックは奇行種の足にアンカーを打ち込んでいた。アキレス腱に当たる部分を削り取られたことで、倒れ込んだ巨人のうなじにアンカーを打ち直す。
「危ない!」
だが、迫り来る手を空中でステップして避け、うなじまで回り込む。
「なっ……」
「ふふっ」
「はぁぁぁあああ!!」
太刀筋が良かったのか、うなじはスパッと切り裂かれ、奇行種は蒸気となって死んだ。
「すごいね新兵君! 初めての壁外調査で巨人を、しかも一人で倒すなんて」
馬に再度乗ったあと、グリュックはリーネにすごく褒められた。
「ナナバ、お前が教えたのって、あれか?」
「そうだよ、まさか実践で使ってくるとは思ってもなかったけどね」
「……だ、誰か……伝えてくれ……右翼……索敵班……ほぼ、壊滅……」
グリュックの耳に微かに入ってきた伝令。確実に間違いでは無いと確信した彼は、ミケ班長にそのことを伝えた。
「何……? それは本当か!」
「はい……! この耳で、確かに聞き取りました」
「おいおい嘘だろ……右翼班だって精鋭揃いだろうがよ……?」
「右翼班丸ごと壊滅ってことは、何かしらのアクシデントがあったんじゃないかな」
「まずは伝達だ。ヘニング、頼む」
「了解です」
「ヘニングが戻ってきたら、俺達は巨大樹の森に入って、右翼側に出た巨人を待ち構える。いいな」
ミケの言葉に、全員が返事し、ヘニングが戻ってきた後に巨大樹の森へと突入した。ナナバ、グリュック、ヘニングは森に入ってくる巨人の迎撃、ミケ、ゲルガー、リーネは森の中で準備に入った。
「右翼索敵班壊滅も、その人類の敵の仕業なんでしょうか……」
(でも一体……なんで右翼班が襲われたんだ……?)
『今回の作戦では、人類に仇なす敵を炙り出すため、エレンのいる特別作戦班の位置を全てバラバラに伝えてある』
グリュックはエルヴィンの言っていたそのことを思い出した。
(どうやって巨人を引き連れてきたのかはわからないけど……でもそいつの目的はエレン……)
「いや……わからない。わからないが……」
それから少し時間が経った頃だろうか、大きな音が森の中から聞こえてきた。
「……捕まったみたいだよ。その人類の敵が」
それから少しして、また大きな音が聞こえた。女性の甲高い悲鳴のような音だった。
「まさかこれ……」
それと同時に大量の巨人が森の中へと入っていく。
「この声だ……この声で巨人を呼び寄せたんだ……!」
「は? 一体なんのことだい?」
(いや……でもだとしたら一体捕まってる状態でなんで…………、いや、捕まってるからだ。逃げるために巨人を呼び寄せたんだ……!)
「なっ、どこ行くんだいグリュック!」
「エレンが危ないんですッ!」
グリュックは急いで森の中に入る。入って数秒経った辺りで、巨人の咆哮が聞こえてきた。
「あれはエレンの巨人……!」
(くそっ……急がないとなのに……!)
訓練兵時代ナナバに教えてもらった空中ブーストも合わせて移動するが、それでもエレンの戦っている場所まで辿り着けない。
「いた……って、あの巨人はなんだ……?」
初めて見た女の特徴を持った巨人、体色も他のとは違い、赤と白だ。
「あれが右翼班を壊滅させた……!」
「エレン!」
ふとミカサの声が聞こえてきた。
(そうだ……エレンはどこに行った? さっきエレン巨人の声が聞こえたはず……まさか殺られた……?)
「グリュック! 命令違反は始末書ものだよ!」
ナナバが追いかけてきたことに気づいたグリュックは、それどころじゃないと、全速力で女の巨人、いや女型の巨人を追いかけた。
「恐らくあの巨人はエレンと同じように人が入っています。それに……」
グリュックはリヴァイ班の最期を伝えた。再生速度を集中させ短縮させたり、体の一部を硬化させたりされて殺されたと。
「……そうか、あのリヴァイ班が……」
ナナバは少し悲しげな表情を見せたが、すぐに気を取り直して女型の巨人へと狙いを定めた。
「二人なら……行けますよ絶対!」
グリュックは女型の目の前に飛び、刃を両方投げつける。
「あれはリヴァイの……!」
目が見えなくなった女型は、手でうなじを覆い、手を硬化させる。
「30秒だね……!」
巨人を呼ばれないようにナナバは喉を切り裂く。そしてグリュックはうなじを覆っていた腕の健を切り裂く。女型は腕をだらんとおろした。
(……やはり硬化は二つの部位に同時には使えない……! 兵長みたいに早くなくても、2人がかりなら同時に……)
「これで終わ────」
「よせグリュック!!」
慌ててガスを逆噴射させるが、それは体への負担が大きかったのか、少し血を吐いてしまう。だがナナバはもう片方の腕の健も切り落とした。もう少しで捕獲というところで……。
「なっ……」
雷の速さで、女型の顎の筋肉を切った者がいた。
「エレンが先だ……!」
「リヴァイ兵長……? 何故ここに……」
だが、その間にも両目の再生は始まっていた。リヴァイはうなじにアンカーを刺し、中の人間を取り出した。すると彼女はみるみるうちに透明な結晶に覆われていった。
「……え? ……なんで。は?」
だが、中身の彼女を見た瞬間、グリュックの顔が凍りつく。
「……おい新兵。こいつのこと知ってるのか? 」
「知ってるも何も……は? いや意味わかんねぇよ……」
「知ってるか聞いてるんだ。どうなんだ」
「104期訓練兵……アニ・レオンハート……です」
「そうか……テメェらの同期だよな? とにかく去るぞ……撤退命令が出ている」
「了解だ! グリュック、固まってないで早く!」
二人はリヴァイに着いていき、エルヴィンの元へとたどり着いた。
「おいエルヴィン、こいつがあのクソ女型の中身、新兵の同期らしい」
結晶と化したアニを放り投げてリヴァイは言った。
「そうか……よし、女型の正体は隠そう。こうしてエレン以外にも巨人化できる人間がいるとわかった以上、5年前に現れた超大型、及び鎧の巨人も人間である可能性が高い。そしてその正体は、104期生である可能性が高い」
「だがこの壁外調査で結果を出せなければ、エレンは憲兵団に渡すことになってんだぞ」
「わかっている。だから代役を用意し、一旦104期生は隔離しようと思う」
「みんなを隔離するんですか!? エルヴィン団長! あいつらを疑ってるんですか?」
「あぁ、それに君の知り合いのアニ・レオンハートが巨人だった以上、誰が巨人か巨人でないかなど、誰にも分からないと思うんだ」
「くっ……わかりました」
「だがエレン、君の幼馴染かつ、出自がはっきりしているアルミン・アルレルト及びミカサ・アッカーマンは君と同じく兵舎にて待機ということになった。グリュック、君もだ」
「お、俺も、ですか……?」
「あぁ、テメェは今回女型を倒したからな、ナナバと一緒にだが」
「そうか……」
「でもグリュック、命令違反は命令違反だよ。帰ったらきっちり始末書だからね」
「あっ……」
「それにテメェ、無茶しすぎて血吐いてたじゃねぇか。少し休め」
(……兵長って優しいんだ)
────巨人の正体は一体
感想くれると嬉しいです。辛口がいいです
グリュックに魅力は感じますか?
-
感じる
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感じない