進撃の巨人 The end -ゲームの主人公が生きていました- -誰が為の翼-   作:キラトマト

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#8 第57回壁外調査/女型の巨人

「これより、第57回!! 壁外調査を開始する!! 前進せよぉぉおおおお!」

 

 門が開き、馬が駆ける。

 

「左前方10m級接近!!」

 

 援護班が早急に討伐に向かう。

 

「ちっ、取りこぼしか……あれは援護班に任せて前進するよ!」

 

「了解!」

 

「進めぇ!! 進めぇぇええ!!」

 

 旧市街地を抜けた後は援護班による支援はない。グリュックの班はミケ率いる左翼中央よりの場所。

 

「おいグリュック、はじめての壁外調査だってのに随分落ち着いてるじゃねぇか」

 

「ま、まぁこの前壁外に出ましたし……」

 

「ゲルガー、あんまり喋ってると舌噛むよ」

 

「それはオルオの仕事だろう?」

 

(ん……? 何だこの声……)

 

 ふと、グリュックの耳に甲高い女の叫び声のような音が聞こえた。

 

「気のせいか……」

 

 そして、緑の煙弾が上がっているのが見えた。

 

「よし、団長からの合図だ。進路を変えるぞ!」

 

「は、はい!」

 

 手綱を引き、速度をあげる。

 

「ちっ……奇行種か……」

 

 近くの人間を狙うのみの通常種と違い、奇行種の行動は予測不能なため、対処が必要である。と、ネス班長が言っていた。

 

「黒の煙弾……これか」

 

 グリュックは煙弾を撃ち、奇行種の出現を知らせる。

 

「私が行く!」

 

 と、リーネが自分が行くことを示すが、

 

「いいや俺に任せてください!」

 

「だが新兵には……」

 

 言いかけたところで、既にグリュックは奇行種の足にアンカーを打ち込んでいた。アキレス腱に当たる部分を削り取られたことで、倒れ込んだ巨人のうなじにアンカーを打ち直す。

 

「危ない!」

 

 だが、迫り来る手を空中でステップして避け、うなじまで回り込む。

 

「なっ……」

 

「ふふっ」

 

「はぁぁぁあああ!!」

 

 太刀筋が良かったのか、うなじはスパッと切り裂かれ、奇行種は蒸気となって死んだ。

 

「すごいね新兵君! 初めての壁外調査で巨人を、しかも一人で倒すなんて」

 

 馬に再度乗ったあと、グリュックはリーネにすごく褒められた。

 

「ナナバ、お前が教えたのって、あれか?」

 

「そうだよ、まさか実践で使ってくるとは思ってもなかったけどね」

 

「……だ、誰か……伝えてくれ……右翼……索敵班……ほぼ、壊滅……」

 

 グリュックの耳に微かに入ってきた伝令。確実に間違いでは無いと確信した彼は、ミケ班長にそのことを伝えた。

 

「何……? それは本当か!」

 

「はい……! この耳で、確かに聞き取りました」

 

「おいおい嘘だろ……右翼班だって精鋭揃いだろうがよ……?」

 

「右翼班丸ごと壊滅ってことは、何かしらのアクシデントがあったんじゃないかな」

 

「まずは伝達だ。ヘニング、頼む」

 

「了解です」

 

「ヘニングが戻ってきたら、俺達は巨大樹の森に入って、右翼側に出た巨人を待ち構える。いいな」

 

 ミケの言葉に、全員が返事し、ヘニングが戻ってきた後に巨大樹の森へと突入した。ナナバ、グリュック、ヘニングは森に入ってくる巨人の迎撃、ミケ、ゲルガー、リーネは森の中で準備に入った。

 

「右翼索敵班壊滅も、その人類の敵の仕業なんでしょうか……」

 

(でも一体……なんで右翼班が襲われたんだ……?)

 

『今回の作戦では、人類に仇なす敵を炙り出すため、エレンのいる特別作戦班の位置を全てバラバラに伝えてある』

 

 グリュックはエルヴィンの言っていたそのことを思い出した。

 

(どうやって巨人を引き連れてきたのかはわからないけど……でもそいつの目的はエレン……)

 

「いや……わからない。わからないが……」

 

 それから少し時間が経った頃だろうか、大きな音が森の中から聞こえてきた。

 

「……捕まったみたいだよ。その人類の敵が」

 

 それから少しして、また大きな音が聞こえた。女性の甲高い悲鳴のような音だった。

 

「まさかこれ……」

 

 それと同時に大量の巨人が森の中へと入っていく。

 

「この声だ……この声で巨人を呼び寄せたんだ……!」

 

「は? 一体なんのことだい?」

 

(いや……でもだとしたら一体捕まってる状態でなんで…………、いや、捕まってるからだ。逃げるために巨人を呼び寄せたんだ……!)

 

「なっ、どこ行くんだいグリュック!」

 

「エレンが危ないんですッ!」

 

 グリュックは急いで森の中に入る。入って数秒経った辺りで、巨人の咆哮が聞こえてきた。

 

「あれはエレンの巨人……!」

 

(くそっ……急がないとなのに……!)

 

 訓練兵時代ナナバに教えてもらった空中ブーストも合わせて移動するが、それでもエレンの戦っている場所まで辿り着けない。

 

「いた……って、あの巨人はなんだ……?」

 

 初めて見た女の特徴を持った巨人、体色も他のとは違い、赤と白だ。

 

「あれが右翼班を壊滅させた……!」

 

「エレン!」

 

 ふとミカサの声が聞こえてきた。

 

(そうだ……エレンはどこに行った? さっきエレン巨人の声が聞こえたはず……まさか殺られた……?)

 

「グリュック! 命令違反は始末書ものだよ!」

 

 ナナバが追いかけてきたことに気づいたグリュックは、それどころじゃないと、全速力で女の巨人、いや女型の巨人を追いかけた。

 

「恐らくあの巨人はエレンと同じように人が入っています。それに……」

 

 グリュックはリヴァイ班の最期を伝えた。再生速度を集中させ短縮させたり、体の一部を硬化させたりされて殺されたと。

 

「……そうか、あのリヴァイ班が……」

 

 ナナバは少し悲しげな表情を見せたが、すぐに気を取り直して女型の巨人へと狙いを定めた。

 

「二人なら……行けますよ絶対!」

 

 グリュックは女型の目の前に飛び、刃を両方投げつける。

 

「あれはリヴァイの……!」

 

 目が見えなくなった女型は、手でうなじを覆い、手を硬化させる。

 

「30秒だね……!」

 

 巨人を呼ばれないようにナナバは喉を切り裂く。そしてグリュックはうなじを覆っていた腕の健を切り裂く。女型は腕をだらんとおろした。

 

(……やはり硬化は二つの部位に同時には使えない……! 兵長みたいに早くなくても、2人がかりなら同時に……)

 

「これで終わ────」

 

「よせグリュック!!」

 

 慌ててガスを逆噴射させるが、それは体への負担が大きかったのか、少し血を吐いてしまう。だがナナバはもう片方の腕の健も切り落とした。もう少しで捕獲というところで……。

 

「なっ……」

 

 雷の速さで、女型の顎の筋肉を切った者がいた。

 

「エレンが先だ……!」

 

「リヴァイ兵長……? 何故ここに……」

 

 だが、その間にも両目の再生は始まっていた。リヴァイはうなじにアンカーを刺し、中の人間を取り出した。すると彼女はみるみるうちに透明な結晶に覆われていった。

 

「……え? ……なんで。は?」

 

 だが、中身の彼女を見た瞬間、グリュックの顔が凍りつく。

 

「……おい新兵。こいつのこと知ってるのか? 」

 

「知ってるも何も……は? いや意味わかんねぇよ……」

 

「知ってるか聞いてるんだ。どうなんだ」

 

「104期訓練兵……アニ・レオンハート……です」

 

「そうか……テメェらの同期だよな? とにかく去るぞ……撤退命令が出ている」

 

「了解だ! グリュック、固まってないで早く!」

 

 二人はリヴァイに着いていき、エルヴィンの元へとたどり着いた。

 

「おいエルヴィン、こいつがあのクソ女型の中身、新兵の同期らしい」

 

 結晶と化したアニを放り投げてリヴァイは言った。

 

「そうか……よし、女型の正体は隠そう。こうしてエレン以外にも巨人化できる人間がいるとわかった以上、5年前に現れた超大型、及び鎧の巨人も人間である可能性が高い。そしてその正体は、104期生である可能性が高い」

 

「だがこの壁外調査で結果を出せなければ、エレンは憲兵団に渡すことになってんだぞ」

 

「わかっている。だから代役を用意し、一旦104期生は隔離しようと思う」

 

「みんなを隔離するんですか!? エルヴィン団長! あいつらを疑ってるんですか?」

 

「あぁ、それに君の知り合いのアニ・レオンハートが巨人だった以上、誰が巨人か巨人でないかなど、誰にも分からないと思うんだ」

 

「くっ……わかりました」

 

「だがエレン、君の幼馴染かつ、出自がはっきりしているアルミン・アルレルト及びミカサ・アッカーマンは君と同じく兵舎にて待機ということになった。グリュック、君もだ」

 

「お、俺も、ですか……?」

 

「あぁ、テメェは今回女型を倒したからな、ナナバと一緒にだが」

 

「そうか……」

 

「でもグリュック、命令違反は命令違反だよ。帰ったらきっちり始末書だからね」

 

「あっ……」

 

「それにテメェ、無茶しすぎて血吐いてたじゃねぇか。少し休め」

 

(……兵長って優しいんだ)

 

 ────巨人の正体は一体




感想くれると嬉しいです。辛口がいいです

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