進撃の巨人 The end -ゲームの主人公が生きていました- -誰が為の翼- 作:キラトマト
あれは、訓練兵時代のこと。俺は同じシガンシナに住んでいた同郷のエレン、ミカサ、アルミンと一緒に訓練していた。
「今日の訓練は大変だったね……。油断していたら、本当に死んでいたかもしれない……」
「あぁ、かなり危険な訓練だったな……」
訓練の内容は至ってシンプルな崖登りだったのだが……。
「グリュック、お前は大丈夫か?」
「あぁ、俺は大丈夫……なんだけど……あれで死んだやつもいるらしいぜ。今期はまだ誰も死んでないけどさ……」
「まさか教官が命綱を切ってくるなんてなぁ……。まぁ、あれくらいでへこたれちゃいらんねぇ」
そんなエレンの言葉に少し違和感を覚えたが、ただの気のせいだとして放っておいた。
「これからはもっと危険な訓練も増えてくるかもしれねぇが、俺は諦めねぇ。早く一人前の兵士になって、必ず────」
「エレン待って……訓練に対して意気込むのはいい。だけど、本当に危ない時は、私を頼って欲しい」
「う、うるせぇなミカサ、いつまでも子供扱いしてんじゃねぇ!」
エレンもそうは言っているが少し恥ずかしがりげに頬をポリポリと掻いている。
「ごめんなさい、けどエレンは熱くなると周りが見えなくなる。昔からいつも……心配」
「だから、俺はお前の弟でも子供でもねぇって……」
「まぁまぁ、ミカサだって悪気があって言ったんじゃないし、エレンもそう怒るなって」
「そう言ったってよぉ……」
そんな俺の言葉にエレンは腑に落ちない様子。
「もう! ふたりとも落ち着いてよ! ほらミカサ、一緒に家に帰ろう、ね?」
「……ふふ、仲良いんだな、3人とも」
「何だよ、まぁたしかに付き合いは長いけどよ……。あのやり取りをどう見たら、仲がいいと思うんだ?」
「いや……家族みたいだなって……」
確かに血は繋がっていないかもしれないけど……。俺の家族は幼い頃に死んでいる。それは3人も同じだ、でも違うのは、家族を失った後に支え合える友と、頼れる大人がいたことだ。
「……。とりあえず俺達も戻るとするか、グリュック。明日も早いし、さっさと休もうぜ」
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「さすがに立体機動には慣れたけどよ、今日の訓練は結構キツかったな」
エレンが肩で息をしながら言った。
「オイオイお前ら……見てられなかったぞ。少しは俺の立体機動装置を扱いを参考にしてみろ」
と、ジャンも訓練を終えたのかこっちに突っかかってきた。
「じゃあ教えてよ」
「まぁ考えてやってもいい、教えた通りにお前が動けるか分からねえけどよ」
「おいジャン、教えてくれに来たのか? それとも自慢しに来たのか? うっぜぇな……」
「誰がうざいって……? 才能ねえからって僻むんじゃねぇ」
「ドードー、ジャン、落ち着けよ」
「なっ、俺は馬じゃねぇ!」
「くく……だってお前……馬面じゃねぇか……はははは!!」
なんて、肩を震わせながら笑っているエレン。
「あぁ!? おまっ……それっ……」
「エレン、どうしたの?」
と、エレンの声を聞き付けたのかミカサがやってきた。
「ミカ……ごほん、おい、エレン。立体機動の話だったな……コツなら教えてやるよ」
「………? またケンカしてるのかと思ったけど……」
「そんなことねぇって……俺は親切だからな。エレンもグリュックも、まとめて面倒見てやるよ」
水を得た魚のように饒舌に喋り出すジャン。
まぁ、エレンと喧嘩したり煽ったりしているジャンに、正直悪意は感じられないので生暖かい視線を送っておいた。
「はあ? 俺はお前に教わりたくなんかねぇよ」
よし、いい考えを思いついた。
「ならミカサも入れて、4人で訓練するっていうのはどうだ?」
「そ、そうだな! それがいい! 人数が多い方が、色々と教え合えるしな!」
なんてペラペラと喋っているジャンだったが、エレンの負傷に気づいたミカサが彼を医務室へと連れて行ってしまった……。
「……ま、まぁどんまい。とりあえず教えてくれよジャン」
「……あ? 立体機動だって? そんなの、今度でいいだろ、グリュック」
「お願い! 頼むよジャン〜!」
結局、無理やり頼みこんで立体機動を教えてもらったのだった……。
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それは、訓練中の事だった。俺は一人で訓練をしていたのだが、そこにライナーがやってきたのだ。
「お前、最近腕を上げたと思ってたが……こうやって自主訓練をしてたんだな。……っと、邪魔して悪かった。俺に構わず続けてくれ」
そう言われた俺は、訓練を再会しようとグリップのトリガーを引く。
「……? なんでだ?」
アンカーが射出されないことを見かねたライナーが心配そうにこちらを見てくる。
「どうした? 立体機動装置の故障か? 見せてみろ、グリュック」
「あぁ〜……。頼む。前みたいに事故るのも嫌だしな」
「ああ、任せろ。まぁ事故しても、都合よく俺が近くにいるとは限らねぇしな。事故を未然に防ぐ方が、いいと思うぜ」
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俺とライナーは整備室に行って、装置の点検をした。
「原因がわかった、部品が一部、摩耗していたせいだ。取替えないとな。……にしても、いったいどれくらい訓練を続けてたんだ? ここまで部品が痛むなんてよ」
「よし決めた。グリュック、次からは俺も、お前の自主訓練に付き合う。一緒に鍛えた方が効率も上がるだろう」
「ライナーの迷惑にならないなら……頼む」
「迷惑なんかじゃないさ、他人の向上に務めるのも、兵士の責務だからな。ともかく決まりだな」
「兵士として人類を支えるなら、高い能力がいる……協力して、腕を上げていこう」
ライナー……ったく兄貴分みたいで落ち着く……。
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翌日、集合場所に行くと既にライナーが待っていた。
「来たな。じゃあ……今日の訓練を始めるか」
少し時間が経って、休憩していたのだが、ライナーは浮かない顔だ。
「……どうした? グリュック、俺の顔になにかついてるか?」
「いや……落ち込んでるのかなって、思って……」
「……そうか、顔に出ちまってたか。兵士としてやっていくなら、命をかけることだって何度もある。……覚悟してたつもりなんだが」
「あぁ……」
「何人もの仲間が大怪我をしたり、死んだりするのを見てきた。俺自身、何度も危険な目にあった。このペースじゃああの世まであっという間だ……」
「でも、成すべきことがあるんだろ? ライナーには」
「わかってるんだ……人類の為、この身を捧げるのが兵士だからな。……いずれにせよ、ここで折れるわけにはいかん、俺はいつか、帰れなくなった故郷に帰るんだ……」
「ライナーにも、やらなければならないこと、あったよな」
「あぁ、前に話したこともあったな。ウォール・マリア南東の村だ。諦めたら、帰れなくなっちまう……」
「俺にも、鎧の巨人をぶっ殺すって夢があるからな……」
「っとすまん、つい話し込んじまった。いい加減、訓練に戻らねぇとな」
────兵士として、戦士として
ナナバとあともうひとりだけ、助けたい。それくらいは許してくれるよな? エレン、始祖ユミル
一時的にとはいえウォール・ローゼの住人、人類の過半数を見殺しにする判断を下した中央政府。それに加え捕らえたニック司祭により明かされた、ヒストリアの情報。果たして人類を導くのはフリッツ王か、それとも────。
次回、王政奪還。
感想くれると嬉しいです。辛口がいいです
グリュックに魅力は感じますか?
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感じる
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感じない