進撃の巨人 The end -ゲームの主人公が生きていました- -誰が為の翼- 作:キラトマト
#10.5 王政奪還/オルブド区防衛戦ダイジェスト
「なんだ……? この巨人は……」
先の戦いにて出現した獣の巨人。それによる投石によって、壁の外壁が一部剥がれてしまったのだが、その中にいたのだ。
「まさかこの壁全体に……びっしり入ってるなんて、言わないよね?」
「その巨人に……日光を浴びせるな!」
ハンジの呟きは、直後に来たウォール教の司祭、ニックによってかき消されてしまった。
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捕らえたニック司祭により、クリスタの本当の名前であるヒストリア・レイスという名前がいかに重要な人物であるかを知らされた調査兵団の面々。それは────。
「ヒストリアが……本当の王家?」
「捕らえた中央憲兵から聞き出した。……なんでも、今の王は偽物らしい」
「第一、ローゼ内に巨人が現れた時もシーナの門を閉じろと命令したのは王政の連中だろ? だったらもう、争うことすら、しないでいいんじゃないかな?」
「王政……まさかヒストリアを女王に即位させるつもりなんですか兵長!」
「あぁ……偽の王と本物の首をすげ替える。だがすぐにそんなことが出来るわけじゃねぇ。そのためにも、ヒストリアと、そしてエレンには安全な場所に隠れてもらう必要がある」
「何故エレンも……?」
「それは────」
と、リヴァイの言葉を遮ってハンジが壁が巨人で出来ている、そして巨人に硬質化の能力と、アニの結晶化という前例があるとして、エレンによるシガンシナ区奪還の可能性を示した。
「おいクソメガネ……いい加減人の話を遮るのは辞めろ」
「俺が……俺の故郷を?」
「あぁ、だがそれもこれもてめぇが硬質化出来ねぇと意味ねぇ話だがな」
「出来るかどうかは分かりません……でも俺は……やってみせます! 俺たちの……故郷を救い出せるなら」
エレンは幼い頃より過ごしたミカサ、アルミンと、今はもういない彼を思いながら決心した。
「分隊長!」
と、勢いよくドアを開けたのはハンジの補佐であるモブリット。
「なんだモブリット! なにか事件でも起こったのかい?」
「ニック司祭が……殺されました!」
その報告を聞いたハンジはモブリットとともに急ぎ兵舎へと向かった。
「だそうだ。少なくとも王政……中央憲兵は王をすげ替えさせるつもりはないらしい。ここもすぐに嗅ぎつけられるだろう。さっさと別の小屋にでも行くぞ」
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「死んだって一体なんで! 何故ここがバレたんだ!」
中央憲兵や王政の者たちにバレないように隠していたのだ。
「まだわかりません。今憲兵が捜査に当たっています」
現場に着いたハンジは、前のめりに室内を覗く。
「おい! ニック!!!」
「オイ! 現場を荒らす気か調査兵!」
「!?」
「勝手に近づくな!」
「入れてくれ! 彼は友達なんだ!」
「ダメだ。これは我々の仕事だ」
そう言って、扉は閉められた。
「部屋の荷物が奪われていた。強盗殺人事件だ。知っての通り最近、この手の事件が頻発している」
そう言われた2人の表情は、みるみるうちに険しくなっていく。
「そんなわけ……ないだろ。強盗が盗みを働くためにわざわざ兵の施設を選んだっていうのか?」
「……何だと?」
「彼の指を見たか!? 何で爪を剥がされているんだ!? 何度も殴られたような顔をしていたぞ!! 侵入経路は!? 死因と凶器はなんだ!?」
そう詰め寄られた憲兵はハンジの胸ぐらをつかみかかった。
「!?」
「お前の所属はどこだ」
「第四分隊────」
そう言いかけたところでモブリットは憲兵の腕をハンジから離す。
「第四分隊長、ハンジ・ゾエと、第四分隊副長、モブリット・バーナーです」
「ふんっ、組織がちっぽけだと大層な階級も虚しく響くもんだな」
「調査兵団、お前らの仕事はどうした?」
「は?」
「壁の外へ人数を減らしに行ってない間は壁の中で次に人数を減らす作戦を立てるのがお前らの仕事だろ? いっそ壁の外に住んでみたらどうだ? お前らに食われる税が省かれて助かる」
(何が減らしにだ……この前の戦いだって、憲兵は戦ったというのに中央憲兵はシーナの中に引きこもっていたくせに)
「ぷっ……」
もう1人の憲兵が思わず笑みを零す。
「いいか? これは巨人が人を殺したんじゃない。人が人を殺したんだ。俺たちは何十年もこういった現場で仕事をこなしてきた。お前らは現場捜査から犯人にたどり着いた経験が何回あるっていうんだ?」
「……」
「もし一度も無いんだったらこれ以上喋るな、邪魔もするな。さっさと巨人の数でも数えに行け!」
そうやって詰められたものだから、ハンジとモブリットは思わず困惑する、とそれと同時に発見があった。
「ぷはっ……参ったな、ビビらせすぎちまった。なぁおい? 歩けるか?」
「中央第一憲兵団……?」
それに気づかれた憲兵の男は顔を上に向ける。
「何故……王都の憲兵がこんな最南端のトロスト区に?」
「妙に年食ってると思ったら……この辺の憲兵じゃなかったのか」
中央憲兵であることを知ったハンジは、目の前にいるものたちが犯人であると確信し、拳の皮のはがれを確認した彼女らは捨て台詞を吐いてリヴァイたちのいる小屋まで戻った。
「分隊長……やつらは本当に?」
「あぁ……中央第一憲兵団ジェル・サネス。奴の拳の皮がめくれていた。ニックは中央憲兵に拷問を受け、殺されたんだ」
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事を経緯を新生リヴァイ班に伝えたハンジ、それに対してアルミンが疑問を抱いた。
「拷問って……憲兵はニック司祭を拷問して、どこまで喋ったのか聞こうとしたのですか?」
「だろうな……レイス家の真実を外部に漏らしてないかってことと……エレンとヒストリアの居場所を聞こうとしたんだろ」
「あぁ……それはつまり、早々に王政を偽の王から奪還する必要があるってことだ。だから……」
「ハンジさん! エルヴィン団長からです!」
そう言ってハンジ班の一員である二ファが入ってきた。
「これは……」
先に読んでいたリヴァイが皆に問いかける。
「お前らは奴を信じるか? 信じるバカは来い……出発だ」
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「危ねぇ……」
エルヴィンの指示通り、先程までいた小屋は憲兵によるガサ入れが始まっていた。
「今夜もあそこに寝ていたら……俺たちどうなってたんだ?」
「兵長……アイツらが中央憲兵ですか?」
「さぁな、奴らが直接現場に出向くとは思えんが……俺も舐められたもんだ。合流地点まで急ぐぞ。月が出てて助かった」
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「なんだ? 一体……ちっ」
トロスト区での談笑中、突然やってきた馬車により変装したジャンとアルミンが連れ去られてしまった。だが、何故か馬車の速度が遅かったため、あっさりと追いついてしまった。
その犯人はリーブス商会の会長、ティモ・リーブスであった。
「何故わざわざこんなところまで連れてきた?」
「ここがどこだかわかるか会長?」
それは、トロスト区の壁上。
「ここは俺の街だぞ? トロスト区前門……いや、元前門か。もしくは人類極南の最前線……あの世とこの世の境目。おっかねぇが稼げる……いい街だった」
「だが……この間の件でローゼの住人は中央憲兵、王政のせいで命の危機に瀕した。そうだな?」
「あぁ……」
「だからか、エレンとヒストリアの拉致に僅かな迷いがあったのは。中央憲兵に命令されでもしたからだろ?」
「あぁ……最初は部下と……フレーゲル、息子を失わないために従うつもりだったんだがな……」
「だった、か……商人ってのは信頼が大切だったんじゃないのか?」
「だがな……ローゼの人類……俺らの商売相手を見殺しにしようとした
「だが、命令を失敗したツケは命なんじゃないのか?」
「あぁ……俺らリーブス商会は全ての財産をなんらかの罪状で王政に没収され、従業員とその家族は路頭に迷う。オマケに俺と数人の部下は口封じのため……何らかの事故にあって死ぬだろう」
「そうか……確かに奴らの頭は足りないらしい。だが、そんな馬鹿共に殺されていいのか、会長?」
「あ? ま、まさか……あいつらに盾つこうってのかい?」
「あぁ、お前らリーブス商会が協力するってんならそれなりの見返りは期待しよう」
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リーブス商会と協力した調査兵団だったが、中央憲兵の対人立体機動装置を装備した兵士によってエレンとヒストリアが連れ去られてしまった。そしてその際に殺した対人立体機動兵士は一方的に殺されたと報じられ、それは団長であるエルヴィンに責任があるとされ、彼は処刑前に王に謁見することとなった。その途中、三兵団のトップ、ザックレー総統により腐った王政の実態が明らかになり、真の壁の王がいることが明かされる。ウォール・シーナの扉の閉鎖に疑問を抱いていたマルロ、ヒッチによりリヴァイたちも憲兵の捜査からも逃れることに成功し、ようやく偽の王を退かせることに成功した。だが、対人立体機動装置を装備した憲兵によりエレン、ヒストリアの奪還は阻まれ、ロッドレイスの巨人か許してしまう。が、その巨人はあまりにも大きく、そして超高熱を放出していた。
「まずい! 逃げ道がねぇぞ!」
その大きさはレイス卿の近寄りもはるかに大きく、倒壊の危機があった。だが、ヨロイブラウンの瓶を口にしたエレンは巨人化直後、結晶化を開始、何とか難を逃れた調査兵団だったが、巨人化したロッド・レイスはオルブド区へと向かい、進行を開始した。そしてオルブド区外壁に到達したロッド巨人は爆破され、散らばった肉片の内、ロッド・レイス本体はヒストリアによって討ち取られ、真の女王であると民衆に明かした。
その後、旧体制は駆逐され、人類の中枢にあたる人物を失うこととなったが、得たものも大きかった。これまで摘まれてきた技術革新の芽は中央によって秘密裏に保持されていたことが判明、兵器改良の余地につながり、エレンが得た硬質化の能力は壊された扉を塞ぐだけでなく、半自動的に巨人を討伐する『地獄の処刑台』を開発した。
そして、シガンシナ区最終奪還作戦が1ヶ月まで迫っていた……そんな頃、調査兵団は人手不足を解消するために新兵を募っていた。そして憲兵団や駐屯兵団から集まってくる新兵たち。
だが、その新兵たちとは違い見覚えのある顔が兵舎に入ってきた。
「なっ……お前……!」
「……ッ!」
「……」
「ただいま」
────彼を助けたのは一体……
感想くれると嬉しいです。辛口がいいです
グリュックに魅力は感じますか?
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感じる
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感じない