進撃の巨人 The end -ゲームの主人公が生きていました- -誰が為の翼- 作:キラトマト
「日が昇ってきたぞ! 物陰に潜む巨人に警戒せよ!!」
馬を駆けながら、彼らはシガンシナの外門へと向かった。
「これより作戦を開始する! 総員ッ、立体機動に移れ!!」
(敵の目的はエレンを奪うことにある。敵がエレンに壁を塞ぐ能力があると知っているかどうかはわからないが、我々がここに向かっていると知った時点で、壁を塞ぎに来たと判断するだろう。そして破壊された外門を塞ぐと踏んでいる筈だ)
壁を伝いながら、エルヴィンは思考を巡らせていた。
(我々の目的が壁の修復以外にシガンシナ区内のどこかにある『地下室』の調査だということは、入団式の際に既に敵に伝えてある。ならば先に塞ぐ外門にエレンは必ず現れる。ただし────)
エルヴィンはそのために策を講じていた。フードを被り顔を隠した100人の兵士が同時に外門を目指すというのだ。
「……」
「止まるな! 外門を目指せ!!」
「ッ……了解!」
廃れた街並みを見て足を止めていたエレンにリヴァイが声をかけた。
(これは…焚き火の跡!?)
その頃、アルミンはそれを発見、信煙弾を放った。
(いる……ベルトルトと……ライナーが……)
(あれは……あの岩は……)
波止場の近くにある大岩、それはグリュックの父母を潰したものであった。
「何で……!? 周りに全く巨人がいない!?」
「いやそれどころかここに来るまで一匹も見当たらない」
「……やっぱりおかしい」
「だがやるしかねぇ」
「作戦続行に支障なし」
ハンジはそう判断し、信煙弾を放った。
(俺にはできる……いや、俺たちなら────できる。何故なら、俺たちは生まれた時から、生まれた時から皆特別で……自由だからだ)
壁の遥か上空に飛び、エレンは巨人化する。そして彼は結晶化し、巨人の体から上体を起こす。そしてそれをミカサが回収し、壁上に登る。
「周囲の警戒を怠るな!」
「くまなく見張れ!」
「立体機動装置は?」
「無事だ、でもやっぱりマントは持ってかれちまった」
エレンがそう言うと、ミカサは自分のマントをエレンに羽織らせる。
「! ありがとう」
「調子は!?」
「問題ありません、訓練通り次もいけます!」
「では內門に向かう! 移動時に狙われぬよう、しっかり顔を隠せ!」
「本当に塞がったのか?」
「あなたがやった」
「こうもあっさり?」
「自分の力を信じて」
「……あの時の穴が……」
「まだだ」
「!」
「ヤツらが健在なら、何度塞いでも壁は破壊される。わかってるな? ライナーやベルトルトら……すべての敵を殺し切るまでウォール・マリア奪還作戦は完了しない」
リヴァイはそのことを今一度確認させる。
「……当然、わかっています」
一方、エルヴィン、班長のディルクは野営していたであろうライナーらの痕跡の報告を待っていた。
「襲ってこない……」
「敵は俺たちの強襲に対応できてないのか?」
「……だといいが、アルレルトの発見からすると……」
「調べてきました!」
すると、アルミンがエルヴィンへと報告に向かってきた。
「地面には野営器具が一式散乱しています。紅茶のようなものを飲んでいたようです。ポットが冷めていました。そしてポットの中身は黒い液体がそれと注がれた跡のあるカップが3つ……少なくとも3人が壁の上にいたようです」
「3人だと!?」
「鉄製のポットが冷めきっていたのか?」
「はい」
「それはおかしい……」
「えぇ」
「!? ポットがか!?」
「我々は馬と立体機動を駆使して全速力でここに到達した。ここから我々の接近に音や目視で気づいたのなら、少なくとも2分程が限界のはず。使用直後のポットが2分で冷めるはずがない」
エルヴィンはアルミンの非凡な発想に頼り、ライナーら敵の位置を炙り出すよう指示した。彼は敵は壁の中に潜んでいるという推測から、団員に壁の脆い部分を調べるよう指示をした。もちろん、勘だということで猛反対を受けたが、団長はその作戦を決行した。
「二手に分かれ壁面の調査を!! 壁の上部から入念に……捜索開始!」
壁を刃で叩きながら下に進んでいく仲間を見て、ジャンたち壁を塞ぐための別働隊は疑問を口にした。
「何してるんだ?」
「いいのかよ……俺たち止まってて」
「あぁ、これじゃあ強襲作戦の意味がねぇ。けど……」
「アルミン……また何か考えが……?」
一方、グリュックは壁の調査の班に任されていた。
「何か物音がすれば……」
いくら巨人でも壁を手で壊れる範囲には限りがある、そんな狭い空間なら体勢を変えようとする音が聞こえるはずだと踏んだグリュックは、耳をすませた。
「……!!」
一瞬の、カサッという音を聞き逃さなかった彼は、即座に音響弾を放ち、周りに知らせる。
「ここです!」
その瞬間、壁の割れ目が動き、中にいる人物が刃を彼の方に向けて突き出してきた。
(ライナー……!)
だが、今の自分がやっても仕留めきれないであろうと、彼はすぐに退避する。
「ライナー!!」
「!!」
104期の面々がその顔を見て驚く中、壁上から閃光とも呼ぶべき速さでライナーの首を貫く者がいた。そう、リヴァイである。
「くっ!?」
首に突き刺さった刃をブレードから抜き、もう片方の刃を心臓部に突き刺す。
「!?」
しかし、普通の人間なら即死するべき攻撃を受けても尚彼は瞳をリヴァイの方へと向けた。
「チィッ!」
彼はライナーを蹴飛ばし、壁面へと逃れた。
「兵長!?」
「クソッ!!! これも巨人の力か!? あと一歩……」
ドクンッと、ライナーの体が跳ね上がり、光を放ち始める。
「命を断てなかった」
(俺が……あんときに殺してれば……こんなことにはなってなかったのか!? ……いや違う、巨人の姿のあいつを……今ここで……殺せる……!)
「周囲を見渡せ!! 他の敵を捕捉し────
背後で一つの光が発生したかと思うと続けて、何十、何百もの光、そして轟音が発生した。そこに居たのは獣の巨人、そして無数の無垢の巨人。
振り返った者たちは皆予想外の事態に困惑する。
(獣の……巨人……!)
獣は大岩を両手で持ち上げ、大きく振りかぶり壁に向かって投げつけた。
「投石くるぞ! 伏せろぉぉおおおおお!!」
「うぉお!?」
「な……何だ!?」
馬の管理をしていた新兵たちは今にも暴れそうな馬を宥める。
「外したか……」
壁上にいる自分たちに当たらなかったことでそう確信した調査兵、しかし……。
「いいや、いいコントロールだ。ヤツは扉を塞いだ。馬が通れない程度にな」
「まず馬を狙い、包囲する。我々の退路を断ち、ここで殲滅するために」
(これで俺たちと、馬は分断されたって訳か……)
「我々は互いに望んでいる。ここで決着をつけようと、人類と巨人共。どちらが生き残り、どちらが死ぬか」
戦いの火蓋は、切って落とされた────
感想くれると嬉しいです。辛口がいいです
グリュックに魅力は感じますか?
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感じない