進撃の巨人 The end -ゲームの主人公が生きていました- -誰が為の翼-   作:キラトマト

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#16 仇

「"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"!!」

 

 唸り声を上げながら、エレンは鎧の顔面を思い切り殴る。

 

(実験の甲斐があった……この拳なら────戦える!!)

 

(硬質化は一点に凝縮させるとより強固になる。奴の全身に張り巡らせた鎧なら、薄氷みてぇに砕ける!!)

 

 顔面の半分が砕けた鎧は何とかエレンから逃れ掴みかかろうとするがそれも抑えられる。

 

「遅ぇんだよ!! ノロマが!!」

 

 倒れた鎧に追撃のため蹴りを入れようとするエレンだったが、足を掴まれ家屋に飛ばされる。

 

「────ッ!!」

 

 だが彼は追撃を逃れ、体勢を維持する。

 

「ハンジさん!!」

 

「まだだ!! 周囲を取り囲め!! 最初の攻撃に全てが懸かっている! 絶好の位置を取れ! 何より、エレンが絶好の機会を作るのを、信じて待つんだ」

 

(確かに今のままじゃエレンまで爆発に巻き込まれるな……)

 

 だが、グリュックがそう思った直後エレンは鎧を投げ飛ばした。

 

(やはり……俺一人ではエレンを齧りとるまでには至らないか。もはや、この手を使うしか────)

 

「今だ!!」

 

 ライナーがベルトルトを呼び、加勢させようとしたところで兵士たちが動いた。

 

(さっきから周りを囲まれていたのはわかっていた……だが、兵士の刃がなんだと言うんだ。そんなもんじゃ全身をくまなく硬質化で覆った俺には傷一つ────付けられは……)

 

「死ねッ」

 

(なっ────!?)

 

 目の中に刺さった雷槍は彼らが離れると同時に爆発し、鎧の視界を奪う。

 

「皆!! 今だッ!!」

 

 何人もの兵士が飛び込み、鎧のうなじに雷槍が打ち込まれる。(いっ────)

 

 うなじの中にいるライナーに大きな衝撃が走る。

 

「やっ……やったぞ……効果アリだ!!」

 

「うなじの鎧が剥がれかけてる!!」

 

「ほ……本当に」

 

「雷槍が効いた!!」

 

 口々にそんなことを言う。

 

「もう一度だ!! 雷槍を打ち込んでトドメを刺せ!!」

 

「……」

 

「ライナー……」

 

「お前ら……こうなる覚悟は済ませたハズだろ!? やるぞ!!」

 

(だったら……俺が……!!)

 

「うぉぉおおお!!!」

 

 鎧が剥がれかけているうなじに多くの雷槍が撃ち込まれる。

 

「待っ……待って────」

 

 ダメ押しと言わんばかりに、グリュックがもう一本撃ち込むと、うなじから顔面の上半分と土手っ腹に風穴が空いたライナーが現れた。

 

「やったぞ!! 頭を吹っ飛ばした!!」

 

「鎧の巨人を仕留めたぞ!!」

 

 そう、何も知らない調査兵たちは大手を上げて喜ぶが104期の面々は違った。

 

「ハハハ……やったな……今まで散々手こずらせやがって……「う……」……ざまぁねぇな悪党め……」

 

「うぅ……」

 

「ううっ……」

 

 ジャンも表面上は取り繕っていたが、心は限界のようだ。

 

(父さん……母さん……クソっ……これで……よかったのか……?)

 

 それはグリュックも同じで、心は晴れず、むしろ釈然としない気持ちだけが募っていくのだった。

 

「……交渉……できる余地なんかなかった……」

 

「え?」

 

 アルミンの呟きに反応したミカサが声をかけた。

 

「何せ僕たちは圧倒的に情報が不足してるし……巨人化できる人間を捕まえて拘束できるような力もない……力がなければ。こうするしか……ないじゃないか……これは……仕方なかったんだ……」

 

 ミカサを目を細め、目の前のライナーから目をそらそうとする。だが……。

 

「あ」

 

「動いた……」

 

「……え?」

 

「オォオォォォオオオオ!!!」

 

 突然、鎧の巨人が咆哮を始めた。一番近くにいたグリュックは耳を塞ぐが、それでも音量は余り変わらなかった。

 

「おい……まだ雷槍が食い足りねぇってのかよ!?」

 

「粉微塵にしてやれ!!」

 

 アルミンは兵長がライナーの首と心臓を掻っ切っても死ななかったことを思い出した。

 

「これは……鎧の叫びか!?」

 

 壁を挟んだ場所にいたリヴァイですら聞こえる程だった。そして、その向こうにいる獣の巨人は一つの樽を手に取り、壁の向こうに投げつけた。

 

「雷槍を撃ち込め!! こうなったら体ごと全部吹き飛ばすぞ!!」

 

(さっきの叫び……まさかベルトルトを)

 

「!!」

 

 アルミンは壁の向こう側からの飛行物目にする。

 

「ダメです!! ライナーから離れてください!!」

 

「え!?」

 

「上です!! 上から超大型が降ってきます!! ここは丸ごと吹き飛びます!!」

 

(この距離じゃ……間に合わない!!)

 

 しかし、飛んできたベルトルトはライナーを発見すると巨人化を辞め、彼の元へに駆け寄った。

 

「幸運だった……と言うべきか……?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ###

 

 何とか超大型の難を逃れた調査兵たちだったが、アルミンがベルトルトとの交渉を申し出た。しかし交渉は決裂、超大型への巨人化を許してしまうこととなった。そのせいでハンジの分隊はほぼ壊滅、残されたのは104期のエレンを含めた7人のみとなってしまった。

 

 

 

 




感想くれると嬉しいです。辛口がいいです

グリュックに魅力は感じますか?

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