進撃の巨人 The end -ゲームの主人公が生きていました- -誰が為の翼- 作:キラトマト
「急げ!! 鎧は虫の息だ!!」
「早くトドメを────」
アルミンがベルトルトと交渉している間に鎧へと急いでいたハンジ班、しかし鎧は仰向けになってうなじを守っていた。
「なっ……これじゃトドメが……!!」
一方、ベルトルトはアルミンとの交渉を終わらせ、巨人化のために上空を飛んでいた。
(すごく変な気分だ……恐怖もあまり感じていないし……きっと……どんな結果になっても受け入れられる気がする……そうだ……誰も悪くない。全部仕方なかった。だって世界は────こんなにも残酷なんだから)
「飛び上がったぞ!? ……まさか!?」
「しかし鎧はすぐ近くですよ!?」
「────ッ、一旦離れろ!!」
ハンジとモブリットははるか上空を舞うベルトルトを見て言った。その瞬間、空が真白の大きな光を上げた。
「ハンジさ────」
###
「うああああ」
そんな叫び声も、家屋が飛んでいく音によってかき消される。シガンシナ区には、巨木のような雲が上がっていた。エレンたち104期の面々はエレンに抱えられ、何とか難を逃れていた。
「お前ら生きてるか!?」
「わっかんねぇよ!! お前は!?」
「ま……まだ何とか……」
あまりの衝撃に目を開けられないジャン、コニー、サシャはお互いの無事を確認した。
そこにミカサ、アルミン、グリュックも駆け付ける。
「無事かお前ら!?」
「大丈夫」
「何とかな……それよりもハンジ班は!?」
「……」
「ベルトルトの近くにいた……」
それが意味するものはつまり……。
「生き残ったのは……俺たちだけか……?」
その呟きは、直後の超大型による焼けた家屋を投げ飛ばす音によってかき消された。
「お……おい」
「家が……降ってくるぞ……空から……家が……」
「あぁ……もしかしたらあの中にエレンの……」
「エレンの
「サシャ、コニーを少し殴れ」
コニーのやけくそな笑い声はサシャが殴ったことによって止まった。それを気にもとめずにアルミンたちは会話を交わす。
「あいつは俺たちを探してるのか?」
「うん……あの様子から見てまだ僕たちの位置はわかっていないみたいだけど……あのペースじゃ見つかる前に落ちてくるかも……」
(あの野郎……今度は……俺の街に火を付けやがった)
エレンは巨人の中で憎しみを噛み締める。
「アルミンどうする! このままここに燃える家が降ってくるのを待つか!?」
「なっ……なぁハンジさんは!?」
「本当にさっきの爆風でみんな死んだんですか?」
だいぶ正気を取り戻したのか、疑問を次々に口に出した。
「わからない。でもベルトルトが私達に救出させる猶予を与えることは無い。ともかく私たちの指揮権は今、アルミン、あなたにある」
ミカサはアルミンの肩に手を当てる。彼は少し考えて、しどろもどろになりながら作戦を話した。
「こ……これより撤退……団長らと合流し指示を仰ごう。超大型は当初の作戦通りに消耗戦で対応する。目標本体が露出するまで……巨人の力を使わせるんだ。あの巨体は壁を超えることができないから……力尽きるまでシガンシナ区の檻の中に閉じ込めてやればいい」
「いや待てアルミン、ベルトルトを団長たちのいる壁に近づけるのはまずい。ヤツは手当たり次第に火を撒き散らしてんだぞ? それは壁の向こう側にいる馬も例外じゃねぇ」
「あっ……」
「確かにアイツを倒すには消耗戦が一番だが、俺たちのガスにも限りがある。時間は俺たちに見方をしちゃあくれねぇよ」
そうやって話しているうちに目の前の家に火が落ちてきた。
「アルミン火がもう!!」
「指示を!! はよせんと!!」
「っ……」
『僕にはわかる。そうやって震えているうちは、何もできやしないって』
アルミンは先程ベルトルトに時間稼ぎをしていたときに言われた言葉を思い出した。
「ジャン……変わってくれないか……?」
「……は!?」
「ぼ、僕には分からない!! さっきだってベルトルトの読みを外してこのザマだ!! ジャン……君の方が向いてる……」
そう言われて彼は唇を噛んで言った。
「川だ!! 川に移動するぞ!! 全員エレンに乗れ!! ガスを節約するぞ!!」
(これじゃただの時間稼ぎだ……やはりアルミンの作戦がなければ……)
「あるタイミングでヤツを引きつけなきゃならねぇが、それまで見つかんじゃねぇぞエレン」
そしてジャンはアルミンに目線を移す。
「アルミン……俺は状況は読めるが、この場を打開するような案は思いつかねぇ。最終的にはお前を頼るからな」
###
「叫べエレン!!」
「アァァアアアアア!!!」
彼は目一杯咆哮するが、超大型は一切反応せずに壁への歩みを進める。
「クソ無視かよ!! 俺たちが嫌がることをわかってやがる」
「おいジャン! どうすんだよ……」
「くそっ……
「けどよ! どうやってアイツを倒せばいいんだよ!!」
「蒸気の熱風で立体機動は無力なんですよ!?」
「わかってる!! だが今は……なんでも試すしかねぇ!!」
しかし、超大型の足に組み付いたエレンは壁上まで吹っ飛ばされてしまう。
「エレン!! クソ……」
「エレンが……動かない……」
彼が吹っ飛ばされてミカサは動揺を隠せない様子。
「死んじゃいねぇよ!! それよりも今は目の前の怪物に目を向けろ!」
「ありゃさすがに突っ込みすぎだ、だが……コイツなら!!」
グリュックに続いて皆も超大型に突撃した。
「ヤツはまだ雷槍を知らねぇ!! そこに勝機を……賭ける! 俺とコニーとサシャで気を引く!! その隙にグリュックとミカサが撃ち込め!!」
「「了解!!」」
「オイ! ウスノロ!!」
「その目ん玉ぶっ潰してやる!!」
「この……バーカ!!」
「変態大魔王!!」
(へっ……見え透いた陽動だろう、奴も後ろの2人に気づいているはずだ。だが……アレを喰らえば────)
「なっ……!?」
(まずい……息したら……)
勢いよく吹き出された蒸気によってアンカーは外され、雷槍も自分たちの方に向かってくる。
「避けろぉぉおお!!」
彼らは一旦家屋の屋根に避難した。
「コニー!!」
「クソっ!! 息吸ったら喉焼けたぞ」
コニーは血の混じった咳をはいた。
「ミカサ!! グリュック!!」
「俺はなんとか避けたが、ミカサが少し負傷したみたいだ」
「大丈夫、浅いから。それより……どう?」
「……え?」
「何か……反撃の糸口は……」
「……何も」
(今はまだ……か)
絶望しかない、そんな表情をする104期の面々だったが、それにさらに追い討ちをするかのように家屋が打ち破られた。
「まさか……」
現れたのは、倒したはずの……鎧の巨人であった。
「アイツ……不死身かよ……」
「どうやったら死ぬんだよ……」
「俺たちにあれを……どうしろってんだよ……」
ジャンは顔を上げて、アルミンに言った。エレンを逃がすことに尽力した方がいいのでは、と。
「……やせてる」
「……?」
「え?」
「超大型巨人が少し……細くなってるんだ」
「……!?」
「ハンジさんの言った通りだ!! やっぱりヤツは消耗戦に弱い!」
そう言ってアルミンはある仮説を立てた。エレンの15m級巨人でも3回の巨人化が限界なのだから超大型は1回が限界、そしてあの高熱の蒸気は自らの肉を消費して繰り出しているのではないか、と。それを消費し尽くしたあとはただの骸骨になるのでは無いかと。
「……つまり、なんだ」
「作戦がある。皆で鎧を引き付けてくれ!! 超大型は僕とエレンで倒す! 僕達ふたりで……勝ってみせるから……」
その時のアルミンの顔は、普段よりも輝いて見えた。
「わかった。鎧は私達に任せて」
「ったく遅せぇよバカ……本当にもうダメかと思ったぞ……」
「アルミン復活だな」
アルミンは覚悟を決めたかのような表情で、エレンの元へと向かった。
「それじゃあ、俺たちはアイツを足止め……いいや今度こそ────殺す!!」
残った104期で、鎧の元へと急ぐグリュックたち。
(雷槍は……数える程しかないが……やってみせるさ!!)
感想くれると嬉しいです。辛口がいいです
グリュックに魅力は感じますか?
-
感じる
-
感じない