進撃の巨人 The end -ゲームの主人公が生きていました- -誰が為の翼- 作:キラトマト
海の向こう側、中東連合との戦争中であったマーレ軍は、エルディア人部隊を率い、塹壕を掘っていた。
「……おーい、ここは危ないぞ……どこか遠くに……いけ……せっっかく羽根ついてんだから……」
「ファルコ!! 生きてるのか!? おい!? 怪我は!?」
「あれ? 兄さん……」
赤の腕章をつけたコルトという青年が駆けつけてファルコを抱えて走った。そして掘った塹壕に仲間から引きづり下ろされ、何とか難を逃れた。
「ファルコ!!」
「怪我を見せて!」
ファルコと同じ黄色の腕章をつけた少女がファルコの体を確認する。
「コルト、状況は」
「榴弾の直撃で前方のエルディア人部隊は吹っ飛びました……!」
「塹壕は?」
「これ以上掘り進めるのは無理です!!」
「無理? それは命令か? エルディア人が私に命令するのか?」
「おいお前!! マガト隊長に何言ってんだ!!」
「俺たちは……今何を……?」
仲間の戦士候補生たちに手当されながら、ファルコは呟いた。
「ファルコ、酔っ払ってんの?」
「頭を打ったんだね」
「俺たちが4年も戦争してることは覚えているか?」
ゾフィア、ガビ、ウドが矢継ぎ早に話しかける。
「あ? ……あぁ……。そう? だった……な」
「こりゃ一から作戦を説明し直さなきゃだね。耳だけ貸してな、ファルコ。4年続いた戦争だけど、今ようやく大詰めってとこなんだから。このスラバ要塞さえ落とせば……まぁ正確に言えば要塞のすぐ下にある軍港の中東連合艦隊を沈めさえすれば、この戦争は私たちマーレの勝ちってことなんだけどね」
そんなガビの説明通り、ガビの機転、そして『車力』『顎』『鎧』『獣』の力でスラバ要塞は陥落、中東連合艦隊も壊滅に追い込むことに成功した。そしてその結果を受けた中東連合はマーレとの講和条約を締結。4年に及んだ戦争はマーレの勝利で終結した。
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ファルコら戦士候補生は戦争が終わり、翌日の里帰りに控えていた。
「なぁ……巨人が戦争で役に立たなくなったら……俺たち戦士隊はどうなるんだろうな……」
ウドは水切りをしながら呟いた。
「近所のおじさんが言ってたんだけど、海の水がしょっぱいのは、おじさんがよく海におしっこしたからなんだ」
「え」
その隣で、対巨人砲に貫かれたライナーを憂いているガビに対してファルコが心配させないように声をかける。
「……ブラウンさんなら大丈夫だ。頭を吹っ飛ばされても生きてた人だ。今回は……頭以外がぐちゃぐちゃになったけど……もう大丈夫だって」
「……わかってる」
「……? あれは……」
遠くに見えたのはなにかに怯えるように体をガタガタと震わせながら運ばれていく中東連合の兵士たち。
「心的外傷を負った敵兵を運んでるんだろう……。恐らく……『無垢の巨人』の襲撃を食らって生き延びた兵士だ。そして本国に戻ったあの兵士は巨人兵器の非人道性を世界に訴えるためのマスコットにされるだろうよ。そしたらますますエルディア人の立場は酷くなるだろうな。『世界の皆さんっ、ユミルの民は殺しましょう』って。……クソ」
ウドはボラードを憂さ晴らしのよう蹴りまくる。
「こらウド、街の物に当たるな」
「あ────!! ライナー!!」
ガビはそんなライナーに駆け寄り、歓喜の眼差しを向ける。
「もう歩いていいの!?」
「あぁ、皆も無事だったか?」
「ガビ」
「うんっ」
「ウド」
「まぁね」
「ゾフィア」
「普通です」
「ファルコ」
「……どうも」
「ねぇ知ってる!? 私たちレベリオの本部に帰れるんだって!!」
「ガビ……声がでかいぞ」
「だってやっと帰れるんだよ!? それまでに街を回ろう!!」
「おい……」
「こんな機会滅多にないよ!!」
ガビはライナーの手を引いて商店街の方に向かう。
「……ブラウンさんは寝てた方がいいんじゃないですか」
「……大丈夫だ。心配ない」
「ファルコが帰って寝てな!!」
「俺も行くよ!!」
「待てガビ!! そっちは子供が行っちゃダメだってマガト隊長が……」
ウドがそう言って引き止める。
「でも私、隊長がこっちに行ってるの見たよ」
その光景は、ライナーにとってひどく懐かしい物に見えた。マルセル、ポルコ、アニ、ベルトルトとの幼い記憶が蘇る。
「待って……」
「え?」
「そっちの店はまだお前らには早い……」
「えぇ〜〜〜?」
「こっちだ」
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マーレの戦士隊がここ、レベリオ収容区に帰ってきたみたいだ。なんでも親ともたまにしか会えないらしい。そんな中で、1人の少年が負傷兵を見かけ、近づいた。
「ん?」
「ほら、こっちだ。ったく……まっすぐ歩けよ」
「コスロさん、負傷兵ですか?」
「あ? 邪魔すんなよデコガキ。心的外傷負っちまったエルディア人だ。それも身寄りがねぇ連中だとよ」
あん中にエレンが潜入してるみたいだけど……見分けつかねぇな。
「こっちの国でも!?」
「長いこと前線で塹壕掘らせてたらこうなっちまうらしい。弾とか爆弾とか降ってくるからな。ヒュゥゥウウウウウ……ドカーン!! って」
負傷兵の人たちは大きな悲鳴を上げて倒れたり、頭を抱えたりした。
「胸糞悪ぃ……」
でも、その少年は家族であろう人達に先帰っててと手を振り、負傷兵の人達を気遣っていた。
「大丈夫ですか? 落ち着いてください……」
「あ、あなたは腕章が逆だ」
そう言われた腕章が逆になっている兵士……あれがエレンか? ともかく彼はエレンの腕章を付け直した。
「もう、あなたは……戦わなくていいんですから……」
まじかよあの子……。正体に気づいてる……? いやそんなはずはないか。でもだとしたら……。
「底抜けのお人好し……か」
それにあの子の友達と思しき子達も至って普通の少年少女に見えた。……マーレの洗脳教育さえなければ心も普通なんだろうけど。
「でも俺たちは今度……この日常を……」
俺はその場を離れ、宿に戻った。
感想くれると嬉しいです。辛口がいいです
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