進撃の巨人 The end -ゲームの主人公が生きていました- -誰が為の翼- 作:キラトマト
「これより、夜間特殊訓練を始める! 班分けは先ほど伝達した通りだ、準備が完了した班から指定の場所に移動せよ! 以上だ!」
準備が完了したグリュックの班は伝達されていた場所へと移動する。そして班員はと言うと……
「教官の言うことはよくわかんなかったけどよ、まあ余裕だと思うぜ! なんせ俺は天才だからな!」
入団の際に右に心臓を捧げていた坊主頭のバカ、コニー・スプリンガーと、
「普段の訓練とは違うみたいですけど、森のことなら私に任せてください!」
入団の際に蒸かしたいもを食べていた謎の思考回路の持ち主サシャ・ブラウス、
「何でこんな時間に訓練しないといけないんだよ……帰りてえ……」
いつも弱腰になっているダズ、
「教官は班の連携を評価すると言っていたけど、大丈夫かな……」
グリュックから見てこの班員の中で唯一状況判断が上手くできるであろうマルコ・ボットの計5名での作戦となっていた。
「やってみねぇとわかんねぇだろ! 行こうぜ!」
と、自信満々にやってみたのはいいのだが……。
「くそー、何で上手くいかねぇんだ。みんな頑張ってるのによ……」
「もうガスも刃も残ってません……コニーが突っ走るからですよ!」
「このままじゃ皆バラバラになってしまう、どうにかしないと……」
「こんな急ごしらえの班で連携なんて最初から無理だろ……」
「実践じゃそんなこと言ってられないぞダズ、それに皆も個々で勝手に動きすぎだ。もっと各々の動きを把握して……まずは補給するぞ」
グリュックはそんなことを話している間にも他のチームに引き離されると考え、補給の提案をした。
「よし、じゃあ……この班の指揮をお前に任せたい。どうかな? みんなのペースを合わせるのが上手だと思うんだ」
「……わかった。みんな仲良くね」
「それはもちろんです! 私達もまとまった動きができるところを見せてやりましょう!」
とサシャが胸を張って言った。
「それじゃよろしく頼むよグリュック。みんなでリーダーを支えて、この状況を挽回しよう!」
「よし、他の連中を驚かせてやろうぜ!」
────
「今回の訓練の最優秀班を発表する! グリュック・シュバイン! 貴様らの班が1位だ!」
「嘘だろ……聞いたかみんな! 俺たちの班が1位だってよ! これも天才の俺がいるおかげ」
「違いますよ! リーダーのグリュックのおかげですよ!!」
「いいや、俺の指示も良かったかもしれないが、君たちがそれに応えられたことが1番の勝因だ! だから今回はみんなのおかげだよ!」
「ははっ、グリュック、君は参謀に向いてるかもね」
「訓練はここで終了だ! 各自戻って体を休めろ! ……解散!」
────数日後
「今日は特別に特別教官が来ている! 調査兵団所属 ナナバだ!」
「え〜リヴァイ兵長じゃないの〜?」
「てか誰〜? 見たことないんだけど」
「貴様ら! 私語は慎め! 早速彼女に立体機動装置について応用技術を教えてもらう!」
(現役調査兵団の人に教えて貰えるのか……貴重な体験だな)
「まずは空中ステップのやり方について教えるよ」
(空中で……ステップ……?)
「1つ質問、よろしいでしょうか?」
「あぁ、いいよ。そこの茶髪の君」
グリュックはナナバに質問する。
「ステップというのはなにかかたちあるものを足で踏みつけてするものだと思うのですが、空中にはありませんよね?」
「おっと……ステップというのはいささか間違っていたのかもしれないね、だが、これ以外に形容のしようがなくてね」
「そうですか……ところでそれは調査兵団の皆さん全員が出来るものなんですか?」
「まぁ、あまり出来る人は多くは無いけど……」
「ご教授ありがとうございます。ナナバさん」
「じゃあ、説明を再開するよ! まずは立体機動装置で空中に浮くんだ。それで宙に浮いている間にガスを一瞬吹かして空中で一回転する。そしてガスを思い切り噴射する。そうしたら一気に距離を稼げて巨人の追撃を逃れることが出来るんだ」
(は……?)
みんなが一斉にざわめく。こんなの無理だろ、とか、常人じゃできないとか。
「なぁエレン、あれできる気するか?」
「は、はぁ? で、出来るわけねぇだろ!」
「やっぱりそうだよな……調査兵団の人でもできる人とできない人がいるらしいし……」
「じゃあ1回物は試しだ! やってみたい子はいるかい?」
無理だろ……や、できるはずがないという声が聞こえる中、グリュックは挙手した。
「やってみて、いいですか?」
「お、君か、せっかくだし、名前を聞いてもいいかな?」
「104期訓練兵! グリュック・シュバインです!」
心臓に手を当て、自己紹介をする。
「ふふっ、そんなかしこまらなくてもいいよ」
「それじゃあ、やってみます、ね……」
グリュックはアンカーを木に打ち、ガスを噴射する。そして空中に浮いた瞬間、ガスを一瞬だけ吹かし、空中で一回転する。そしてガスを思い切り吹かしたところ……。
(まずい……!)
「アイツまた……!」
「危ない!」
空中のGに耐えられず、バランスを崩したところで、ナナバは急いでグリュックを抱える。
「死んだかと……思いました……。ナナバさん、ほんとありがとうございます!」
「感謝される謂れはないよ。それよりも君、まさか1回で成功させられるとはね、調査兵団でも私やゲルガー、ミケやリヴァイぐらいしかできないのに」
「え……でもさっきあまり多くはないって……そこまで少ないんですか?」
「そうだよ? 君、素質あるね」
(顔が……近い……)
普段は慣れない女性に至近距離でささやかれて、自分では理解不能な感情に陥るグリュック。
「あ、ありがとうございます!」
「なにしてんだグリュックの野郎……つかあんなの俺にだって……」
と、立体機動術においてトップクラスの実力を誇るジャン・キルシュタインも実践しようとする。
「うわっと!?」
「おいジャン! なにしてんだ! 無茶はするなって言われただろ!」
姿勢を崩したジャンはライナーに支えられる。それからも、ナナバは訓練兵に対して立体機動術について基礎応用にかかわらず教えていった。
そして、日も落ちてきた頃、ごっほんと咳払いをした教官は言った。
「本日の訓練はこれにて終了とする!」
それから3年程の月日が経っただろうか。104期訓練兵は巨人と戦うためのありとあらゆる術を叩き込まれた。厳しい訓練を経て、訓練兵団を卒業した兵士達は3つの兵団に配属される。1つ、王の元で民を統制し秩序を守る『憲兵団』
2つ、壁の強化に務め、壁内の街を守る『駐屯兵団』
そして3つ、壁外に出て巨人の領域に挑む『調査兵団』
特に、内地勤務となる憲兵団を目指す者が多かったが志願が許されるのは解散式で発表される成績上位者10名のみだった。彼もまた、3年にわたる過酷な訓練を仲間と共に耐え抜いた。ついに解散式の夜を迎え、彼は同期たちと共に訓練成績の発表を待つ。
「ではこれより、成績上位10名を発表する……呼ばれた者は前に出ろ」
「10番、クリスタ・レンズ!」
「9番、サシャ・ブラウス!」
「8番、コニー・スプリンガー!」
「7番、マルコ・ボット!」
「6番、ジャン・キルシュタイン!」
「5番、エレン・イェーガー!」
「4番、アニ・レオンハート!」
「3番、ベルトルト・フーバー!」
「2番、ライナー・ブラウン!」
「1番、ミカサ・アッカーマン!」
「以上、10名────。ただし、これはあくまで訓練上の成績であり……実践で能力を発揮できるかどうかは、別の尺度で測るべきものだ」
(そうか……10位以内には入らなかったか……)
「成績上位に入らなかったものも、よく考えておけ。自分に何ができるのか、何を為すべきなのかをな」
教官は兵士の方を向き直して言った。
「後日、配属兵科を問う! これにて、104期訓練兵団解散式を終える……以上!」
解散式を終え、兵舎から戻ってきたグリュックとエレンたちはすぐにハンネスに話しかけられる。
「お疲れさん、3年間良く頑張ったな! 一人前の兵士になりやがって……」
そして、毎週の定番であるトーマス、ミーナとの報告会を終え、改めてエレンと会話する。
「惜しかったなグリュック、お前なら10位以内に入れると思ったんだが」
「別に憲兵団に入りたいわけじゃないからな。別に期待なんてしてなかったよ」
「そうなの? みんなの評価では、君も有望だったのに」
アルミンが励ましの言葉をなげかける。
「だが、まぁ僅差だったんじゃねぇか? お前なら、上位10人と力量はそんなに変わらんだろう。教官も言ってたが、実践で使いもんになるかどうかは訓練成績の順位だけで測れるもんじゃねぇだろうしな」
と、ライナーもいい兄貴分としてグリュックを励ました。そんな中、マルコがエレンの名を呼びながら向かってくる。
「憲兵団に入らないなんて、本気なのかエレン! せっかく10番以内になったのに……」
「最初っから決めてたことだ……オレが訓練してたのは、巨人と戦うためなんだからな」
そんなマルコの声を聞いて、エレンをバカにするためかジャンもやって来る。
「死に急ぎ野郎のことは放っておけよ、マルコ。俺達には内地での快適な暮らしが待ってるんだからよ! やっとこの、クッソ息苦しい前線の街から脱出できるぜ! ハハハッ!」
「……ジャン、内地になんて行かなくても、お前の脳内は快適だと思うぞ」
「何だと……?」
「ジャンもうやめろよ……」
そうして2人の言い争いが一通り終わった後、彼らは明日の初陣に備えてしっかりとした休眠をとった。
────出会いはいつも、突然に
感想くれると嬉しいです。辛口がいいです
グリュックに魅力は感じますか?
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感じる
-
感じない