進撃の巨人 The end -ゲームの主人公が生きていました- -誰が為の翼- 作:キラトマト
1年前、グリュックたちは線路の開通作業をしていた。
「なぁ……これは俺たちがやらなきゃならないことなのか?」
「……いいや、やらなくていいことだ」
皆汗だくになりながら角材を運んだり、木の板を埋めたりしていた。
「あのバカがこんなこと言い出さなければな……これなら体も鍛えられるし島の開発も進むって……」
「でもっ、そういう健気なとこがっ、いいとこだろ? エレンのっ」
「はぁ〜?」
「まぁ確かに今はヒィズルからの回答を待つしか無いからな……」
「……ッ、おいサシャァ! そりゃ全員分の水だぞ!?」
樽に入った水をがぶ飲みしているサシャを止めるアルミンとグリュック。
「でもそのヒィズルの線も、望みは薄いって言われてんだろ? 何だっけ……エルディア人の人権を訴えるとか……」
「資源を売るとかな。要はヒィズルを介して世界との対話を図るんだ」
「友好国を増やして国交ってのを結べたら『地鳴らし』に頼らなくてのいいんだろうけど……」
「それでヒストリアが辛い目に遭わなくても済むんなら、藁でも縋るしかねぇよ……」
「あぁ……」
ヒストリアに巨人の力を継承させ、彼女を子供に食わせるということをしないでいいのならと、彼らは動いてるのである。
「オーイ」
遠くから、手を振りながら、ハンジとリヴァイが近づいてきた。
「この暑い中ご苦労さまだよ」
「いえ……俺達はこのバカの護衛で仕方なく」
「お前ら……図体ばかりデカくなりやがって」
「急ぎの用件でしょうか」
エレンは作業を中断し、ハンジに問いかけた。
「たった今、アズマビトから返事が来た」
「……!! それで……」
「ダメだった……ヒィズル国は取り付く島もないそうだ」
(クソ……)
「やはり……ヒィズルはパラディ島の資源を独占取引したいのだから、他国との貿易に協力などしない。エルディア人の人権擁護する団体はあるにはある……だが誰にも相手にされない変人集団とみなされている。それどころか世界はパラディ島が災いの種であり続けることを望んでいる……それが国々の団結を促し、世界の安定を担保すると考えられてるからだ」
(なんでだよ……皆仲良くすればいいんじゃないのか?)
だからこそ彼ら調査兵団は、マーレへと赴くこととなった。
「マーレに拠点を設けて潜入か……」
「ハンジさんそんなこと考えてたんですね」
「そこで本場のマーレ料理に舌鼓を「違う」」
「私たちが世界を知り実情を調査することに意味がある」
サシャのふざけた提案を遮り、本来の目的を再確認するミカサ。
「まぁ結局は義勇兵やキヨミさんの力を借りることになるんだけどな」
「え〜俺何持ってこ〜腹とか下したら大変だよな〜」
「胃薬と歯ブラシと……あと故郷の味を何か」
「ナナバさんに土産とか買ってやりてぇしな〜何がいいかな〜」
「だったら食べ物がいいですよ!」
「食いもんで喜ぶのはお前だけだサシャ」
「話聞いてた?」
「ニコロは色んな酒があるって言ってたよな」
「幸いエルディア語が公用語だそうだから、言葉は通じる国が多いんだってね。訛りや文字には気をつけなきゃいけないけど。僕達が平和を望んでいることを世界が知れば……ハンジさんの言う通り、何かが変わるかもしれない」
「……だといいけど」
「もう少し……時間があればな。ジークはあと2年もない。俺は5年と少し……そろそろ決めなきゃいけない。俺の巨人の継承者を」
「……俺はパス。んな重要な役割、背負いたくない。……何よりエレンに……死んで欲しくない」
最初に口を開いたのは、意外にもグリュックであった。そして否定。
「なら私が引き継ぐ」
「お前じゃダメだろ。アッカーマン家が何なのかまだわかってない上に、半分東洋人だから巨人になれるのかすら怪しいって話だろ? 何よりヒィズルと色々やって行ってやつが巨人になってどうする。お前じゃダメな理由は多すぎんだよ」
「ジャンの言う通りだ」
「……じゃあ他に誰が」
「俺だ」
ジャンはトロッコに勢いよくもたれかかる。
「まず俺はエレンより遥かに頭がいい。トチ狂って死に急ぐようなことも無く、いついかなる状況でも優れた判断力を発揮し、その責務を全うできる稀有な存在。────それが俺だ。お前のお下がりは気に入らねぇが、実際俺以上の人材がいるか?」
「確かに……」
「だろ? グリュック」
「いいや、そんなスゲェヤツを13年でみすみす死なす訳にはいかねぇだろ、アホか」
「……あ?」
「お前は兵団の指導者とかを目指せよ、エレンの巨人は俺が継ぐから。なぁ? それがいいだろエレン」
「……コニー」
「ジャンよかいいだろ? 俺の方が」
「よくないですよ。あなたはバカなんですから」
「え?」
「……え? じゃなくて、バカにそんな重要なこと任せられるわけないじゃないですか」
「……え?」
「はぁ……よだきぃなぁもう」
コニーとサシャの押し問答は続く。
「私が継ぎますよ。実戦経験もあって信頼出来るのも私達くらいなら、消去法で私しかいないじゃないですか」
「お前ら……」
「……せれれんよ? せれれんっちゃけどね?」
「……イヤ、え? それはおかしいだろ」
「え?」
「いや……だからバカには任せられないって……お前が言ったんだぞ? お前は俺よりバカなんだから……お前……言ってることが矛盾してるんだぞ?」
「……ん?」
「それがわからないのか……?」
「え?」
「え?」
(どっちもバカなんじゃないかな……)
「俺はお前らに継承させるつもりは無い」
「なんでだ?」
「お前らが大事だからだ。他の誰よりも……だから……長生きして欲しい」
(は? え? どゆ……こと……?)
「は!?」
最初に口を開いたのはジャンだった。エレン含む全員が顔を真っ赤にしていた。
「テメッ、何言ってんだ!? どうすんだよこの空気をよぉ!?」
「俺も好きだぁエレンっ!!」
次に、グリュックがエレンに抱きついた。
「なぁにやってんだぁグリュックゥ!」
「もちろん戦友としてだぞ!? 恋人として好きなのは……ナナバさんだからさ」
「ぷふっ、ハハハハハハ!!!」
久しぶりにエレンが笑ったと、心の中で歓喜するミカサであった。
感想くれると嬉しいです。辛口がいいです
グリュックに魅力は感じますか?
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感じる
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感じない