進撃の巨人 The end -ゲームの主人公が生きていました- -誰が為の翼- 作:キラトマト
「失礼します」
総統室のドアをノックし、俺たちは中に入る。
「ザックレー総統」
「本日はご多忙の中お時間を頂き感謝いたします」
「こちらこそこんな日にすまない。最初の申し出から大分時間が経ってしまった。かけたまえ、シガンシナの英雄よ」
人が大勢詰寄る正門前を見つめながらザックレー総統は言った。
「ハンジは相変わらず飛び回ってるらしいな」
「はい……確かめないといけないことがあると」
「あぁ……義勇兵を一人連れ回すことを許可したが……君達をエレンと面会させることは出来ない」
「え……?」
どうしてでしょうか、と問うたアルミンに対し総統は義勇兵とエレンの密会、そして彼が腹違いの兄ジークに操られていることが理由だと答えた。
「他ならぬ君達だから話したが……くれぐれも内密に頼む」
「エレンが……そんな……」
「エレンはどうなりますか?」
ミカサは恐る恐る口を開く。緊張した空気の中、総統は隣にある椅子に目を向けた。
「アレは……何ですか?」
「……」
「何でもない。置き場に困ったものを先程新兵に運んでもらったのだ」
「……」
少しの沈黙の後にアルミンが口を開けた。
「しかし総統……! エレンが黙秘するのでしたら尚のこと僕達3人がお役に立てるのではないでしょうか!? 確実にエレンから真意を聞き出せるとは申しませんが……試して損はしないはずです!」
「……事態はより慎重を期す。話は以上だ」
そう言われ部屋から締め出された俺たちに、何もすることはなかった。
「……なぜ?」
(アルミンの言う通り損は無いはずなのに! どうしてダメなの?!)
(考えられるとしたら……。兵政権は既に……エレンを見限っているのかもしれない)
「失礼します」
俺たちと入れ違いで総統室を尋ねる者たちがいた。あれは憲兵団か……。
「もし……そうだとしたら『始祖』の継承者選びも始まってる」
「エレンが……食われるって言うのか?」
「あの部屋の会話を聞いてくる」
そう言って進もうとするミカサの腕をアルミンが掴んだ。
「……!! 待ってよミカサ」
「大丈夫、バレないようにできる」
「待てって、俺は耳がいいからな、あの距離ならあれくらい……」
耳を澄ますと、カチッ、カチッという時計が進むような音が聞こえてきた。これはまさか……。
「ミカサアルミン避けろ!!」
直後、総統室から大きな爆風が発生する。ミカサはアルミンを抱え避け、俺も何とか避けることが出来た。……が。
「お前ら怪我は!? ていうかなんであの部屋が爆発したんだよ!」
「何が……」
「ここから離れよう」
一旦兵舎の外に出た俺たちはヒッチに声をかけられた。
「あんた達無事なの!?」
「火を消せ!!」
「怪我人はいるか!?」
「総統は!?」
「見ての通りだけど……」
ヒッチの後ろには爆破で身体がぐちゃぐちゃになった総統の姿があった。
「うっ……」
「他には誰かいたの!? 一体何があったの!?」
「……わからない」
「多分……爆弾が仕掛けられてたんだと思う総統室に」
「心臓を捧げよ!!」
「え……」
門の外にいる民衆たちが口々にそう叫び始めた。
「俺達の怒りが届いたんだ!!」
「俺も戦うぞ!」
「私も!」
「新生エルディア帝国に勝利をもたらすために!!」
「心臓を捧げよ!!」
「「「心臓を捧げよ!!」」」
「「「心臓を捧げよ!!」」」
どう見ても……異常だこんな光景は……。
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「ザックレー総統の私物である『特注の椅子』これに爆弾が仕掛けられたと見ている。総統を含む4名の兵士が犠牲になった」
「────犯人も、その目的も不明」
憲兵団のローグがハンジの隣にいるオニャンコポンを見ながら言った。
「彼なら一日中私といたし、義勇兵は全員軟禁中だ」
「では他に考えられる勢力は?」
「……あの椅子は」
アルミンがおもむろに話し出した。
「新兵に運ばせたと、総統は申しておりました……」
「……どこの新兵だ?」
ナイル師団長が問いかけた。
「……総統は新兵とだけ仰っていましたが……しかし、僕たちが総統の部屋を訪れる数分前、本部から走り去る新兵を見ました……調査兵団です」
そんなアルミンの言葉に、その場にいた駐屯兵団、憲兵団の人たちは怪訝どころか怖がるような目でこちらを見てきた。
「調査兵団と言えば……エレンの情報を外に漏らして懲罰を受ける者共がいると聞いたが……まさか────」
「緊急事態です!!」
突然ドアが勢いよく開け放たれた。
「エレン・イェーガーが、地下牢から脱走しました!!」
「っ、どうやって!?」
「巨人の力を発動させ一瞬で穴を穿ちそこから逃走した後!! 穴を塞ぎ追跡から逃れました!!」
「兵を総動員して捜索だ!!」
「り、了解!!」
部屋の中は瞬く間にして騒然とした雰囲気となる。
「アルミン……一体何が……起こっているの?」
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一方その頃、戦鎚の力により牢内から脱走したエレンはフロックたちの待つ場所へと1人歩いていた。
「多いな。何人いる?」
「ここにいる者以外にも俺達の味方はもっといる。俺達を懲罰房から逃がし、今日ここで落ち合うようお前に伝えた看守も皆、兵団内に潜んでいる。ダリス・ザックレーを爆弾で吹き飛ばした者もいる。兵政権がお前の『始祖』を都合のいい奴に継承させるよう進めたからだ。このエルディア帝国を救えるのはお前しかいないのにな、エレン・イェーガー」
フロックはエレンに服を手渡し、彼はそれを羽織る。
「ジークの居場所を特定する。それだけだ」
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翌日、兵士たちは本部に集まった。
「フロック・フォルスターを含め100名余りの兵士が檻の中から、そこを監視する看守ごと姿を消した。その全ての兵がエレンの脱獄と同時に離反を開始したとみられる」
フロックの奴……やっぱり……。
「総統の殺害も奴らの仕業とみて間違いない。奴ら……では困るな……反兵団破壊工作組織『イェーガー派』と呼称しよう」
その後、憲兵団と俺達調査兵団の押し問答が続いた
「まさか……総統まで殺したエレンに協力するなんて…」
「……まだエレンがやったと決まったわけじゃない」
「……声が大きいぞミカサ。ただでさえ俺達はイェーガー派じゃないかって疑われてんだ」
「実際どうなんだよミカサ? お前は……」
「私たちはあの爆発に巻き込まれるところだったと言った。これでもまだ分からないコニー?」
「あ?」
「
「お前、いち早く爆発に気づいたんだってなグリュック、最初から知ってたんじゃないのか?」
「違う……俺は耳が良いっつってんだろ。それにもし俺がイェーガー派だったとして、人を殺す算段に乗るわけないだろ……。コニー、今は仲間同士で争ってる場合じゃないって分かってるだろ?」
「……それくらい分かるさ」
「あぁ、ピクシス司令の言う通り仲間内での争いは自滅でしかない」
「ではハンジさん……全てエレンとジークに委ねることに問題は無いとお考えですか?」
ジャンの問いに、ハンジはそれはよくないと答える。そして続けてイェレナのジークの考えがどうなのを予想する。
「まぁもちろん、それが私の杞憂なら……それでいいんだけどね」
「何か……アテがあるんですか?」
「彼女が守ったマーレ人の労働環境が怪しい。例えば────レストランとか」
俺たちは馬に乗り、ニコロさんの働いているレストランへと向かった。
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エレンは自分が死んだ後の未来は知らなかった筈だよな?
グリュックに魅力は感じますか?
-
感じる
-
感じない