進撃の巨人 The end -ゲームの主人公が生きていました- -誰が為の翼-   作:キラトマト

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#33 連鎖

「来たぞニコロ」

 

「あぁ……時間通りだ」

 

 レストランに着いたブラウス家御一行。

 

「すごい建物」

 

「こんなとこ初めてだ」

 

「俺も」

 

「良かったなお前たち」

 

「今日はうんと食うときなさいよ」

 

「どげんしたかミア、ケソケソしてから」

 

 ブラウス父の言葉に、ガビはしどろもどろになってしまう。

 

「緊張しすぎだよミア」

 

「全くどこの田舎から来たんだよ」

 

「ち、違う」

 

 その頃には既に2人とも馴染んでいたのだが、ガビはカヤに怪訝そうな目をして問いかけた。

 

「カヤ? 本当にここにマーレの捕虜が働いてるの?」

 

「本当だから堂々としててよ。兵士もよく利用するところなの」

 

「マーレ人の知り合いができるだけでも心強いよ」

 

「ブラウスさん、ようこそいらしてくださいました……これはまた賑やかな人数ですね……」

 

「お招きいただきありがとうね。せっかくやから一緒に暮らす家族と来た」

 

 ざっと見た感じでも10人弱程いた。

 

「せっかく無料(タダ)なんやから、悪ぃね」

 

「い、いえ……今日はお任せ下さい……」

 

「あの人がブラウスさんを招いたマーレ人のニコロさん、あの人を頼ってみて」

 

 その後のカヤの『2人の娘』言葉に少し引っ掛かりを覚えたファルコだったが、今はそれよりも────

 

「こんな美味い料理は初めてだ!!」

 

 今まで食ったものの中で一番美味いと言ってもいい料理を口にしファルコ、ガビだけではなくブラウス夫妻も感動のあまり涙を流していた。

 

「まだまだ! 肉料理(メイン)はこんなもんじゃないぞ」

 

 そう叫びながらステーキを焼くニコロに、グリーズが冷静に呼びかけた。

 

「ニコロ、お前に客だぞ」

 

「は!? こんな時に誰が!?」

 

「調査兵団だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ###

 

「お前らか……どうしてこんな時間に? 今、俺は大事なお客さんの相手で忙しいんだが……」

 

「もちろん仕事に戻ってもらって構わないよ。ただ後で話させてもらいたいだけなんだ」

 

「何ですかハンジさん、話って……」

 

「ほら……なんかあるだろ悩みとかさ……」

 

 中々ハンジさんは本題に切り替えられないでいた。しかしそれを遮ってオニャンコポンが口を開いた。

 

「義勇兵が拘束された件についてだ。聞き取り調査に協力してくれ」

 

「あぁ……分かった」

 

 ニコロさんは広い一室に俺達を連れて行き、待っていてくれと言った。

 

「へぇ……こんな部屋があったんだ」

 

「どうせ憲兵様御用達だろ?」

 

「まぁ……な」

 

「ん? これは」

 

 ジャンが棚に置かれているワインを手に取る。

 

「あ!! それ美味いって聞いたぞ!! 前ピクシス司令に誘われたし!」

 

 まぁ、あの時はナナバさんのお祝いで行けなかったんだが。

 

「ほぉ〜、つーことは上官しか飲めねぇってことか」

 

「でもグリュックも誘われたってことは俺達ももう十分上官なんじゃねぇのか?」

 

「あぁ俺達だってオイシイ思いしていいだろ。ちょっとぐらい」

 

 そう言いながら俺とコニーもワイン瓶を手に取ると、ニコロさんが顔面蒼白になってそれを取り上げてきた。

 

「勝手に触るな!!」

 

「うォ!?」

 

「何だよ……ちょっとふざけたくらいで大袈裟だなぁ……」

 

 ニコロさんは俺たちの顔を見渡す。

 

「これはっ……エルディア人にはもったいない代物なんだよ……」

 

「……あ?」

 

「ニコロお前……まだ言ってんのか。何人だろうが関係ねぇだろ酒に」

 

 ジャンがニコロの胸ぐらを掴む。

 

「触るなエルディア人。馴れ馴れしいんだよ、ちょっと親しくしたくらいで……」

 

「そういうテメェは何様なんだよ……お前の立場は……」

 

「『捕虜の分際』でってか。これでおあいこだな『エルディア人』」

 

 それだけ言ってニコロは部屋から出ていった。

 

「……なんで」

 

「クソッ……わけわかんねぇよ」

 

 あん時だって料理教えてくれたじゃないかよ……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ###

 

 その後、ファルコとガビは機転によりニコロのところまで急いだのだが、そこでガビはニコロに酒瓶で殴られかけてしまう。しかしそれをファルコが庇い、酒がファルコの口の中に入る。「は!?」

 

「な!?」

 

 ブラウス一家が食事している場所に、ファルコを抱えたニコロがガビを放り投げて入ってくる。

 

「ニコロ君!? ベンとミアに何を……,?」

 

「サシャを殺したのは────こいつです。あなた方の娘さんの命を奪いました」

 

 ニコロは淡々とナイフを彼女に向ける。

 

「まだガキですが、厳しく訓練されたマーレの兵士です。気をつけてください、人を殺す術に長けています。調査兵団が退却する飛行船の中で……こいつがサシャを撃ったんです」

 

「娘……?」

 

 ガビはブラウス夫妻の方を振り返る。

 

「ブラウスさん……どうぞ」

 

 ナイフをブラウス父にて渡そうとするニコロ。

 

「あなた方が殺さないなら……俺が殺しますが、構いませんね?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ###

 

 さっき大きな音がしたが……何だ? 俺は音がした部屋の様子をアルミンと見に行く。

 

「大変だ!!」

 

「何の音?」

 

「来いみんな!! まずい!!」

 

 見るとあれは……血を流してニコロに抱えられてるのがファルコくんで……あれは……ガビ……? 

 

「なっ……!? サシャを撃ったガキ……?!」

 

 ジャンは開口一番そんなことを口に出した。

 

「何で……拘束されてたはずじゃ……」

 

「どういうことだ……? ニコロ!? この2人は逃亡してると聞いてたが……お前!! 何しようとしてんだよ!?」

 

 ニコロは辛酸を舐めたような顔をする。こちらの呼びかけに応じる余地は……あるのか? 

 

「寄るな!! 退がれ!! そこから動くなぁ!! ただサシャの仇を討つだけだ!!」

 

「……!!」

 

「……やめて。ファルコは違うの……」

 

「このボウズはお前の何だ!? お前を庇ってこうなったよな!? お前の大事な人か!? 俺にも大事な人がいた!! たしかに!! エルディア人だ! 悪魔の末裔だ!! だが彼女は……誰よりも俺の料理を美味そうに食った!!」

 

 手を伸ばすガビを見てニコロは言った。

 

「このクソみてぇな戦争から救って……くれたんだ……人を喜ばせる料理を作るのが本当に俺なんだと教えてくれた……。それがサシャ・ブラウス……お前に奪われた彼女の名前だ……」

 

「……わ、私だって……! 大事な人達を殺された!! そのサシャ・ブラウスに撃ち殺された!! だから報復してやった!! 先に殺したのはそっちだ!!」

「知るかよどっちが先とかぁ!!」

 

 ニコロはファルコの首にナイフを押し当てる。

 

「ッ……!! 目を覚まして!! あなたはマーレの兵士でしょ!? あなたはきっとその悪魔の女に惑わされてる!! 悪魔なんかに負けないで!!」

 

「ッ……」

 

 ……こっちと同じじゃないか。偏った教育を受けさせられて思想まで塗り替えられるなんて……。

 

「ニコロ君、包丁を渡しなさい」

 

 ブラウス父は手をニコロに差し伸べた。

 

「……!!」

 

「さぁ」

 

 ナイフを持ち、怪しげにガビを見つめるブラウス父。

 

「……そこまでですブラウスさん、刃物を置いてください」

 

「サシャは……狩人やった……」

 

 おもむろに喋り始めるブラウス父。

 

「……はい?」

 

「こめぇ頃から弓を教えて森ん獣を射て殺して食ってきた。それがおれらの生き方やったらや。けど同じ生き方が続けられん時代が来ることはわかっとったから、サシャを森から外に行かした……んで……世界はつながり兵士になったサシャは……他所ん土地に攻め入り、人を撃ち、人に撃たれた。結局……森を出たつもりが世界は命ん奪い合いを続ける巨大な森ん中やったんや……」

 

 ブラウス父は母にナイフを渡す。

 

「サシャが殺されたんは……森をさまよったからやと思ってる。せめて子供達はこの森から出してやらんといかん。そやないとまた同じところをぐるぐる回るだけやろう……だから過去の罪を背負うのは、我々大人の責任や」

 

「ニコロさん、ベンを放しなさい」

 

 ブラウス母は優しく諭す。

 

 茫然自失となったニコロはジャン、コニーに取り押さえられ、気絶しているファルコはブラウス父に抱えられる。

 

「怪我を見せて」

 

 ミカサがガビの傷を確認する。

 

「ミア……大丈夫か」

 

 事実を知ってもなお優しく語りかけるブラウス夫妻。

 

 あれ……? 机に上にあったナイフは……? 

 

「…………本当に…………私が憎くないの」

 

「ッ……!」

 

 ナイフを振り下ろす手を抑える。

 

「ンー!! ンー!!」

 

「カヤちゃん……! 今は……今は……」

 

「よくも!! お姉ちゃんを!!」

 

「カヤ!!」

 

「この人殺し!! 友達だと思ってたのに!!」

 

「隣の部屋に」

 

 アルミンミカサは冷静にガビを移動させる。

 

「俺は……カヤちゃんに着く……ミカサとアルミンで行ってくれ……」

 

「うん……分かった」

 

 バタンと扉が閉じた後、ニコロは言った。

 

「すっかり肉料理(メイン)も冷めちまったな」

 

 ガビだって可哀想な境遇だ……だけど今は……。

 

「カヤちゃん……今は泣こう……」

 

「ハンジさん……そのガキの口をゆすいでやってくれ。あのワインが入っちまった」

 

 そうニコロが呟く。

 

「え……?」

 

「もう……手遅れだと思うけど」

 

 さっきニコロがワインを取り上げたことと言い、上官ばかりに配られることと言い、おかしいと思ってたんだ……。

 

「ッ……!!」

 

「あのワインには何が……入ってるの……?」

 

 ハンジが恐る恐るというように問いかける。

 

「多分……ジークの脊髄液だ」




カヤとグリュックの絡み書きたかったぁあああ!!!!

グリュックに魅力は感じますか?

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