進撃の巨人 The end -ゲームの主人公が生きていました- -誰が為の翼- 作:キラトマト
#41 罪の在処
流石に一日で港に着くことは出来ず、俺たちは森の中で鍋を囲んだ。
「少し思い出してみませんか?」
「は? なんだよ突然」
ようやく仲を取り持ったと思ったら急にイェレナが口を開いた。
「ライナー・ブラウン、あなたが壁に穴を開けたことでそこにいるグリュックのご両親が岩に潰され、そしてその後どれだけのエルディア人が無垢の巨人に食い殺されたでしょうね。そにまま壁内に侵入し、ここにいる『仲間』と苦楽を共にし、裏切り、殺し合い、再び仲間を装うというわけですか……そしてアニ・レオンハートさん、あなたも随分と調査兵団を殺したそうですね」
急になんだよ……。
「翻ってパラディ島の皆さん、あなた達も大国マーレ相手に大変勇敢でしたね。普段は常識人のあなたがあそこまで派手に軍港を破壊するとは……アルミン、ベルトルト・フーバーから奪った力を存分に発揮してみせ、民間人も含めどれほどの死体の山と戦果を挙げたことでしょう。そしてグリュック・シュバイン、あなたは無責任にも戦士候補生であるゾフィアを救助したことによってそれを追ったウドが死にました、お節介というのも厄介なものですね」
「あ……?」
嘘……だろ?
「更にあなた達はレベリオで数々の戦果を挙げました。特にジャン、あなたは車力を討つためにそこにいるファルコ少年目掛けて勇猛果敢に雷槍を撃ち込みました。槍が僅かに逸れたことでファルコ少年はここに健在でありますが……そして、そこにいる少女ガビによってサシャが撃ち殺されました。サシャは……本当にいい娘でしたから……私も悲しかった……しかし訓練兵から家族のように一緒に過ごした皆さんの悲しみと、憎しみとは、比べ物にならないでしょうが……」
もう……過ぎたことだろ……。
「プハー、美味しいです、ハンジさん。おかわりありますか?」
ジャンはワインを飲み、ハンジさんに鍋のおかわりを求めた。
「ありがとうイェレナ、お互いのわだかまりをここで打ち明けて心を整理させようとしてくれてるんだよな? お前も大事な仲間の頭を撃ちまくってまで叶えたかった幻想的な夢が、すべて無意味に終わって死にたがってたのに……気ぃ使わせちまったな」
イェレナは思っていた反応と違ったからか、とっておきとでも言うような表情で次の話題に切り替えた。
「あー、忘れてた。何でしたっけ? 以前教えてもらったあなたの親友の名前は……そうだ……マルコだ」
マルコ……だと? あいつが今この話と何の関係が……って、アニとライナーの表情が……?
「確か……彼の死にアニが関わってると言ってましたよね? もうアニから聞いたんですか? マルコの死の真相を」
「……」
「……」
沈黙が続き、アニがおもむろに口を開く。
「私がマルコから立体機動装置を取上げた。だからマルコは巨人に食われ────」
「アニは俺の命令に従っただけだ」
は……? どういう……え? マルコは……
「マルコは……最後に何か言ってなかったか?」
「『俺達はまだ話し合ってない』って……」
その言葉に、ジャンは目を見開く。
「……そうだ、そうだよ……! 俺達はロクに話し合ってない。だから……どっちかが死ぬまで殺し合うみてぇなことになっちまったんじゃねぇのか? もし……最初から話し合っていれば……ここまでの殺し合いには……」
「……そうだよ、現に俺たちはこうやって同じ火を囲んで食事してるんだし、それを、世界単位でするだけ……そうするだけでいいんだよ……!」
「壁を破壊した時、俺は英雄になると思った。民間人も皆、殺せるだけ殺したら、もっと英雄になれると思った」
「は……?」
「そこにいる人たちと自分たちは違うって思って……グリュック、お前の両親のことなんて気にも留めていなかった」
「……仕方ねぇだろ、幼かったんだから」
「……それにマルコが巨人に食われるのを見ながら俺は、何でマルコが食われているんだって思った……そして怒りに身を任せその巨人を殺した。よくもマルコをとか言いながら」
「……もういいって、罪悪感で頭がおかしくなっちまったんだろ?」
「許さないでくれ……俺は……本当にどうしようもない……」
「もういいから」
「もう……いいって」
既に親のことは割り切りがついてるから……。
「……すまない」
「!?」
「んんんんんッ」
持っていた容器を投げ飛ばし、ジャンは何度も何度もライナーの顔面を殴りつけた。コニーとアルミンはジャンを取り押さえるも、残った足で蹴りつけようとする。
「ガビ!」
しかし彼女がライナーを庇ったことによりガビにジャンの蹴りが直撃してしまった。
「ッ……!!」
そのことに正気を取り戻したジャンは暴れるのを止める。
「大丈夫か!?」
「うっ……ごめんなさい……」
ガビは苦しみながらも俺たちに向けて謝罪の言葉を投げかけた。
「私達は……パラディ島のあなたたちを……皆殺しにすることが……希望でした。世界から認めてもらい……許してもらうために、この島が……悪魔が消えてなくなることを願い続けてました……そしたら、お父さんやお母さんが……レベリオのみんなが消えてなくなることになりました…………ごめんなさい……すごく……図々しいことはわかってますが……皆さんの助けが必要です……どうか……私達に力を貸してください」
ガビは脇腹を抑えながら、俺たちに頭を下げた。それにファルコも加わる。
「お願いします……」
「お願いします……」
その光景にジャンは歯ぎしりをし、森の中へと消えていく。
「どこ行くんだジャン!?」
「ジャン!? おかわりどうするの!?」
「ダメだ……行っちゃった……」
「安心しろガビ、ジャンはそんな冷酷な奴じゃない……今日はわからんが……。……それに、子供が頭を下げるんじゃない」
「シュバイン……さん……」
「それとアニ、
ったくライナーの野郎……。
そして、夜中、皆も寝静まった頃にジャンは俺たちのベッドに戻ってきた。唯一起きていた為、気を利かして話しかける。
「なぁジャン、本気で協力しない気じゃないだろ?」
「……たりめーだ。ただやっぱり……一発殴らねぇと気が済まなかっただけだ」
「一発どころじゃなかったけど……」
「……つかよくお前は耐えられたな。母親も父親も殺されてんだろ?」
「あぁ……だがまぁ……そりゃ全部許したわけじゃねぇけど……今まであいつに何本も雷槍食らわせてるし……何よりあいつに同情もしてっからよ」
「……そうか」
「まぁ一発だけなら……」
「ッ!?」
俺は一発だけ金的を食らわせ、ジャンと共に寝床に着いた。
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翌日、日が昇り始める頃、俺達は出発の準備を始めた。それも終盤に差し掛かった頃、ジャンはガビを揺らし起こす。
「出発の時間だ」
「え……? 協力してくれるの?」
「あぁ……もちろん」
次にライナーの方に近寄り……。
「ッ────!?」
胸ぐらを掴んで叩き起す。
「オラ!! いつまで寝てんだライナー!! 怪我なんてとっくに治ってんだろうが!」
そして馬車に乗り道中、ジャンはガビに謝罪する。
「ガビ、……蹴って悪かった。大丈夫か?」
「うん大丈夫平気」
「そうか……。……。ライナー、お前には謝らねぇからな」
「あぁ……それでいい」
「お前を……許せねぇ」
「わかっている……」
「私は?」
そんなことを言うアニ。そしてそんな後部車両を横目に俺達は前方の馬車で車力の報告を待っていた。そんな時当の車力の巨人が戻ってきて、港がイェーガー派に占拠されていることを報告しにきた。
グリュックに魅力は感じますか?
-
感じる
-
感じない