進撃の巨人 The end -ゲームの主人公が生きていました- -誰が為の翼- 作:キラトマト
「どうして早く言ってくれなかったんだい? ゾフィア」
「……ごめんなさい。グリュックさんが秘密だって」
ナナバには内緒とは言ったものの、それ以外のファルコやガビには気軽に話してしまっていたゾフィア。そしてそこからナナバに伝わり、104期生達にも伝わってしまったのだ。
「過去に行ったって……突拍子もねぇな」
「でもアイツなら……そんなこともやってしまいそうな感じはあるけどな」
「あれ……? おい……なんか周りの景色が……」
「変わっていってる……? まさか……!」
「お、おいあれ!!」
なにかに気づいたジャンは、それを指さす。何を示し合わせるでもなく指さした方向へと走っていく一同。
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「巨人の力じゃねぇのかよッ!?」
『そんなこと言ってる場合じゃねぇ!! まずはお前らの仲間を撤退させるぞ!!』
「あ、あぁ!」
グリュックは即座に部屋の壁ごと破壊し、外に出る。
「皆撤退だッ!!! 馬に乗れぇえええ!!!」
「逃がさんんんん!!!」
「なんなんだよあの力!! ……クソッ、俺が足止めするしかねぇか……」
射出される弾丸をブレードで切り裂く。するとその刃が段々と自分の腕へと伸びていき……。
「クソッ!!!」
刃を投げ付け、それはフリッツ王の頭部に命中する。しかし……。
「やっぱ死なねぇよなぁっ!!!」
『まずは王と虫を引き剥がすのが先決だ!!』
「そうっ、だな!!」
グリュックは頭をフル回転させる。その間にも王の攻撃は続き、その中で躱しきれずに左足に着弾してしまう。すると足が次第に膨張していく。
「ヒッ……」
『足を切れ!! このままじゃ乗っ取られるぞ!!』
「そんなっ……」
いくら時空間起動装置の『巨人』の力で再生できるとはいえ、その痛みまでは誤魔化すことは出来ない。瓦礫の影に身を隠すグリュックだったが、見つかるのも時間の問題だ。
『早くしねぇと、来るぞ……!』
「でもっ……うっ……あぁぁああああ!!!」
着弾部位を骨ごと断ち切るグリュック。ブレードの切れ味はいいものの、力を入れることを躊躇ってしまい、余計な痛みを増やしてしまう。
「はぁ……はぁ……」
完全に断ち切った直後から、すぐに生えてくる脚部。
「エレンも……こんな思いしたんだな……」
『あぁ……マーレに潜入した時にな。────来るぞ!』
潜んでいた瓦礫が破壊される直前に退避するグリュック。
「あれは……!」
彼は宴をしていたであろう痕跡を見つけ、そしてそこにあった火起こしの松明と酒を発見する。
「子供の頃見たからなぁ!!」
酒を口に含み王に向けて吹き出し、松明を投げつける。すると王は火に包まれる。
「虫は火に、弱ぇだろうが!!!」
虫の居所となってしまったフリッツ王は悶え苦しみ、次第に動かなくなっていく。しかし……。
『まだハルキゲニアが残ってるぞ!!』
「分かってる!!」
等身大の『人』を拠り所としていた為、ハルキゲニア自体の大きさは立体機動装置のガスボンベ程のサイズでしか無かった。
『そいつをどうするんだ!?』
「いいから見とけって!」
時空間起動装置を最大出力で稼働させ、別世界への扉を開く。
「争いが絶えないこの世界なら……逆にこいつが……」
『どういうことだ?』
「救世主になるかもしれない」
彼の時空間起動装置は限界を超えて稼働させたため、元の世界に帰ろうとするも、あと一歩の所で止まってしまう。しかし……。
「グリュック!!」
「え……?」
向こうの世界に開かれた時空の扉から手を伸ばす者がいた。
「な、なんでナナバさんが!? って、ジャン! ライナー! なんでお前らも!!」
「もう知ってんだよお前がしてることは!!」
「そうですよグリュック!!」
「さ、サシャ……」
手を全力で伸ばし、何とかナナバの手に捕まることが出来たグリュック。
「よし! 引っ張りあげよう!」
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元の世界に戻ると、周囲の景色は一変していた。カラフルな鉄の馬である車に、空に届くかもしれないと思うほどの建造物である高層ビル群。そして空を行き交う鉄の鳥である飛行機。グリュックは久しぶりに会った友との再会を喜んだ。
「あれ……?」
(エレンは……?)
「お〜い!!」
遠くで手を振る者がいた。
「エレン!?」
「エレン!!」
アルミン、ミカサ、グリュックがまず最初に彼に走りよる。
「お前ら……ありがとうな」
そして離れてみていたリヴァイが呟いた。
その後→
グリュックに魅力は感じますか?
-
感じる
-
感じない