進撃の巨人 The end -ゲームの主人公が生きていました- -誰が為の翼- 作:キラトマト
これは、グリュックが未来を変える以前の、失われた過去の話。彼はナナバと共に巨大樹の森にてキャンプをしていた。
「久々ですね、ここに来るの。……でも運悪かったですね……」
その日は生憎の曇天で、視界を遮る霧も出てしまっていた。
「そうだね……でも私はそんなに悲しくないかな。雨が止むまで君とこうやって近くに入れるんだから」
ナナバは巨大樹の下でグリュックの傍で肩を寄せ合う。
「ちょ、急に」
「視界も悪いし、君を見失いたくないからね。ほら、作ってきたんだよ、お弁当」
それを見た彼は子供のように目を輝かせる。何もサシャのように食い意地が張っているという訳では無い。
しかし──
「ありがとうございますっ!!」
彼は何よりナナバが作ってくれたという事実が嬉しかったのだ。
「美味しいで──ごふっ」
「ははっ、そんな一気に口に入れるからだよ。大丈夫?」
頬張ったせいだろう、喉に詰まったであろう彼の背中をさする。
「いや、本当に美味しいです! 毎日でも食べたいくらいです!」
「え……それって……」
しかし、2人は相思相愛だったものの先程の言葉は無自覚だったようでプロポーズに捉えられているということに全く気づいていなかった。
「? どうしたんですか?」
「ふふっ、いや、なんでもないんだ。君らしいなと思って」
「そういえば今度マーレに行くんですよ、それで何か欲しいものありますか?」
「う〜ん……あ、そうだ」
彼女はひとしきり考えたあと、マーレ強襲の際に救けた女の子のおめかしの為の道具を注文した。
「へぇ! あの子、そういうの興味あったんだ……」
(あ、でも……女性へのプレゼントってサプライズの方が喜ばれるんだっけ。じゃあジャンにでも聞くか……)
「ふわぁ〜」
不意に欠伸が漏れる。腹いっぱい食べたからであろう彼は、横向きに倒れる。ナナバはそれを腕で受け止め、片方しかない足に寝かせる、所謂膝枕という状態となった。寝息を立てて完全に眠りについたグリュック。
「……本当は戦って欲しくないんだけどな〜……。……でも、止めても戦っちゃうんだろうなぁ……」
彼女は頭を撫でながらふと呟く。
「ふふっ、かぁわいっ」
そして彼の前髪を捲り上げ額にキスをした。
(最近は恥ずかしくて出来てないからね……)
そして数十分経った頃────
「……はっ!!」
勢いよく頭を起こしたグリュック。いきなり起きたため立ちくらみを起こし、ナナバに支えられる。
「うわっとっとっとーあれ? あっそうか俺寝てたのか……」
(寝起きにナナバさんの顔とか眼福だな……中性的な端正な顔立ちに戦えなくなっても程よく引き締まった身体、まさしく……なんだろう)
「どうしたんだい? グリュック。私の顔になにか付いてる?」
「ん? い、いや! なにも! ……綺麗な顔があるだけで」
「ん? 声小さくて聞こえないよっ」
「綺麗な顔って言ったんですよ!」
「────っ?!?!」
帰りの電車内はやけに暑かった。彼ら2人の熱に浮かされたのか、ただの湿気か……。
グリュックに魅力は感じますか?
-
感じる
-
感じない