進撃の巨人 The end -ゲームの主人公が生きていました- -誰が為の翼-   作:キラトマト

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#4 突撃

 アルミンの悲鳴の元へと向かっている道中、グリュックたちは一度休憩をとっていた。そしてアルミンの元へと向かったグリュックたち38班。

 

「おいアルミン! アルミン! 目を覚ませ!」

 

 家屋の屋根で気を失っているアルミンを発見した。

 

「!?」

 

「目を覚ませ!」

 

「コニー……」

 

 ようやく気を取り戻したアルミン、だが、周りに仲間が居ないことを疑問に思ったコニーがそれを問う。

 

「ケガはねぇのか? おい!? お前の班は!?」

 

「班……?」

 

「おいおいしっかりしろよ! 何で一人だけなんだ!? なんかお前の体ヌメっとしてるしよぉ……! 一体何があったんだよ!?」

 

「…………あ……」

 

 何かを思い出したのか、アルミンは頭を抱えて発狂する。

 

「うぁぁぁああああ!!!」

 

「アルミン!?」

 

「……この……! 役立たず……!! 死んじまえ!」

 

「おい……落ち着けっ、アルミン! みんなは!」

 

「もういいだろコニー! 全滅したんだよ、こいつ以外は」

 

 痺れを切らしたのか、ユミルが発言した。

 

「うるせぇな! アルミンは何も言ってねぇだろ!」

 

「周りを見りゃわかるよバカ! これ以上そいつに構ってる時間はねぇんだ!」

 

「じゃあなんでアルミンだけ無事なんだよ!」

 

「さぁな、死体だと思ったんじゃねぇの?」

 

「ユミル……!」

 

「複数の巨人に遭遇したのは気の毒だが……劣等生のコイツだけ助かるとは……エレンたちも報われねぇな……」

 

「……なぁクソ女……二度と喋れねぇようにしてやろうか!?」

 

「喧嘩してる場合じゃないだろ二人とも!」

 

「と、とにかくこのままじゃいけねぇ……立てるか、アルミン?」

 

 ジャンがアルミンに手を差し伸べる。

 

「ごめん、迷惑かけた。後衛と合流する」

 

 そんな手を取ることなく、アルミンは飛び去っていってしまった。

 

「くそ……ジャン! 38班の指揮はお前に任せた! 俺はアルミンに着く!」

 

「おいグリュック! 単独行動は……! ちっ、行きやがった……」

 

 

 

 

 

 ###

 

「おい待てアルミン! 無策に行動しても食べられるだけだ!」

 

 グリュックの言葉を無視し、突っ走るアルミン。

 

「あっ」

 

 だが、アンカーが弾かれ地面に落ちてしまうアルミン。

 

「アルミン!」

 

「うぅ……」

 

 その近くで、一人の兵士に心肺蘇生をしている女性がいた。

 

「ハンナ? 一体何を……」

 

 それに気づいたアルミンが彼女に歩み寄り、話しかけた。

 

「あ……!! アルミンにグリュック!」

 

「おい……それ……」

 

「助けて! フランツが息をしてないの!!」

 

「……何……してるんだ」

 

「さっきから! 何度も! 何度も! 蘇生術を繰り返してるのに!」

 

「ハンナ……ここは危険だから早く屋根の上に……」

 

「フランツをこのままにできないでしょ!!」

 

「違うんだ……フランツは……」

 

 ハンナは、恋人のフランツを亡くしていた。でも、その現実を受け入れきれず上半身だけになった彼に心肺蘇生を続けていたのだ。

 

「もう死んでるよ」

 

 このままここにいても巨人に食われるだけだと、グリュックはハンナを無理やり抱え、屋根に放り出す。

 

「グリュック!! フランツがまだ……!」

 

「だったらあの世で合わせてやろうか!? あぁ!?」

 

 と、ハンナの首元に刃を突き付ける。

 

 彼もまた、この残酷な状況に惑わされた者の1人だった。

 

「グリュックッ!!」

 

「……。……すまない」

 

 グリュックは気を取り直して告げた。

 

「とにかくだ。多分どこかに皆も集まってるはずだ。そこに急ぐぞ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ###

 

「いた……!」

 

 皆が集まっている場所に合流した3人。だが、一向に撤退する様子を見せないことに疑問を覚えたグリュックが1人の兵士に問いかける。

 

「君たち、一体何があった?」

 

「そんなの……ガスがないのよもう! 帰る為の!」

 

「ガスがないって……本部に行けばあるんじゃないの……」

 

 グリュックは本部の方を指差して言ったが、それを見て唖然とする。

 

「わかったみたいね……もう本部には巨人が群がっていて行けないし……多分中には3,4m級がいっぱいいる……」

 

「補給班は……食われたのか?」

 

「知らないわよそんなこと! 大方巨人にビビって上階に隠れでもしてるんじゃないの?」

 

「そうか……ならよかった」

 

 生きていることに安心した彼はほっと息を着く。

 

「なっ……どういうことよそれ」

 

「いや……なんでもない」と言って振り返ったグリュックはジャン、コニーの元へと行く。

 

「ジャン、コニー、このままここで策を講じてもいずれ食べられる」

 

「わかってるよ! でも……」

 

「だったら! どうしろっつーんだよ……俺達ゃまだ訓練兵だぞ、一端の兵士じゃないんだ……あぁ、こんなことならいっそ言っとけば……」

 

 そんな中、サシャは皆に協力を呼びかけていた。

 

「みなさん! 協力しましょうよ! そしたらきっと、補給施設だって取り返せますって! 私が先陣を引き受けますからっ」

 

 だが、ここにいる訓練兵はすべからく仲間の死を間近で見てきたものたち、中には返り血を浴びている者だっていた。そんな彼らにもう戦えるはずなどない。

 

「アルミンっ、一緒にみんなを……」

 

 だがアルミンも幼なじみのエレンを眼前で食われたため、もう戦う気力など残っていなかった。

 

「ライナー、どうする?」

 

「まだだ、やるなら集まってからだ」

 

 と、アニとライナーがなにやら意味深な会話をしていた。

 

「ダメだよ……どう考えても、僕らはこの街から出られずに全滅だ。死を覚悟していなかったわけじゃない……でも、一体なんのために死ぬんだ……」

 

 マルコは絶望した目で言った。

 

 そんな中、一人の少女が走ってきた。

 

「ミカサ!? お前後衛のはずじゃ……」

 

「アニっ、何となく状況はわかってる。でもその上で……私情を挟んで申し訳ないのだけれど、エレンの班を見なかった?」

 

(エレンの班……確かトーマスとミーナがいたような……)

 

 グリュックは聞き耳を立てる。

 

「私は見てないけど……壁を登れた班は……」

 

「そういやあっちにアルミンがいたぞ」

 

 ライナーが指差して言った。

 

「アルミン!」

 

 ミカサはアルミンに駆け寄る。

 

「アルミン、怪我は無い? 大丈夫なの?」

 

 アルミンが頷いたのを見て、ミカサはほっと胸を撫で下ろし言った。

 

「エレンはどこ? 」

 

「……」

 

「アルミン?」

 

 アルミンは泣き腫らした目で、鼻水を啜る。

 

「僕たちっ、訓練兵っ、34班っ、トーマス・ワグナーっ、ナック・ディアスっ……ミリウス・ゼルムスキー、ミーナ・カロライナっ…………エレン・イェーガーっ! 以上5名は、自分の使命を全うし、壮絶な戦死を遂げましたっ!」

 

 その場にいた全員がアルミンの方に注目を向ける。

 

「お、おいアルミン……本当……なのか? トーマスと、ミーナが食われたっていうのは……」

 

 グリュックが明らかに動揺しながら尋ねた。

 

「トーマスは……突然現れた奇行種に……っ、ミーナはアンカーを掴まれて……」

 

「……もういい、言わなくて」

 

 グリュックはアルミンの言葉を遮った。

 

「34班はほぼ全滅……あんなに駆逐するとか息巻いてたエレンも……っておいっ何すんだよ」

 

「ユミル、てめえは一回黙ってろ……」

 

 コニーがユミルの胸ぐらを掴んだ。

 

「ごめん……ミカサ……エレンは、僕の、身代わりに……僕はっ! ……何も出来なかった……すまない……」

 

「アルミン、落ち着いて。今は感傷的になってる場合じゃない。さあ立って。マルコ、本部に群がる巨人を排除すれば、ガスの補給が出来て、皆は壁を登れる、違わない?」

 

「あぁ……そうだけど……でもいくらお前がいても……あれだけの数は……」

 

「出来る」

 

 その言葉に、皆が動揺を隠せない。

 

「私は、強い、貴方達より、強い、すごく強い。ので、私はあの巨人共を蹴散らすことが出来る。例えば一人でも。貴方達は腕が立たないばかりか、臆病で腰抜けだ。とても残念だ、ここで指をくわえたりしてればいい……くわえて見てろ!」

 

「ちょっとミカサ! いきなり何を言い出すの!?」

 

「そうだぜ! あんな数なのに!」

 

「できっこないよ!」

 

「出来なければ、死ぬだけ。でも、勝てば生きる。戦わなければ勝てない!」

 

 そう言って飛び出していってしまったミカサ。

 

「残念なのはお前の言語力だ……あれで発破かけたつもりでいやがる……。お前のせいだぞエレンっ……」

 

 ジャンは、腕を震わせながらも、覚悟を決める。

 

「おいお前らァ! 俺たちは仲間に一人で戦わせろと学んだか! お前ら本当に腰抜けになっちまうぞッ!」

 

(ジャン……)

 

「あぁ……そいつぁ心外だな」

 

 ライナーたちも覚悟を決めたようだ。

 

「やーい! 腰抜け! 弱虫! あほ!」

 

 サシャも言語力に乏しい発破で皆を動かした。

 

「あいつら……畜生、やってやるよ……!」

 

「「うぉぉおおっ!!」」

 

 そこに留まっていた訓練兵全員が本部に向かった。

 

「急げッ! ミカサに続けっ!! とにかく短期決戦だっ、ガスがなくなる前に本部に突っ込め!」

 

 と、飛び出した訓練兵はジャンに着いていく。

 

「ありがとうなジャン……俺ならあそこで発言は出来なかった」

 

「んだよ……てめぇだって巨人殺しに関して言やぁミカサに並ぶじゃねぇか」

 

「だからこそだ。ジャンが言ってくれたおかげで皆が動いた。本当に感謝する」

 

「どうもだぜグリュック」

 

 だが、先陣を切ったミカサも長くは続かなかった。ガスを消費しすぎのか、地面に落ちてしまう。

 

「ミカサ!」

 

 アルミンが向かう。

 

「クソっ!」

 

「ジャンッ! お前はみんなを先導しろ! 俺がアルミンに着く!」

 

「いいや俺も────」

 

「何言ってんだ! 巨人はまだいるんだぞ! お前の腕が必要だろうが!」

 

 そう言ってコニーはアルミンの元へと向かった。

 

「クッ……」

 

「ジャン! ミカサはあいつらに任せよう。俺たちは俺たちのやるべきことがあるだろ!」

 

「あぁ……!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ###

 

「クソッ、本部に近づくことさえできない……犠牲を覚悟しない限りは……」

 

「────!?」

 

 下で、声にならない悲鳴を上げている者がいた。

 

(ガス切れか……? あいつ……)

 

 そんな彼の元に、巨人が迫る。

 

「トム! 今助けるぞ!」

 

 そう言って同期が突っ込む。

 

「やめろぉぉおおおっ!!」

 

 そう言ってトムを掴んでいる巨人のうなじを狙うが、別に巨人に掴まれてしまう。助けに行った2,3人は全員同じ末路を辿った。

 

(何故止められなかった……いや、どうして止めなかった。強引にでも止めていれば、こんなことには……)

 

「いやぁぁああああ!!!」

 

(俺に資格があるのか……? 責任ある立場になる、資格が……)

 

「いやっ、死にたくなぁいい!!」

 

 グリュックの体は勝手に動きだしていた。

 

「お、おいグリュックまで行ったら!」

 

「俺が囮になるっ、お前らはその隙に本部に行け!!」

 

「くそっ……お前ら! 今のうちに本部に突っ込めッ!!」

 

(どの道ガスが無くなれば終わりだ!)

 

「全員で突っ込め!!」

 

 ジャンたちが本部に向かった後、グリュックは付近の巨人を掃討する。

 

「やっぱり……単独だと……そこまでだなお前らは!! ……クソ……一人だけ……か。助かったのは……」

 

 それ以外は、全員喰われた。グリュックは生き残った一人を連れて本部へと急いだ。

 

「生きていてよかった……よし、立てるか? 本部に急ごう」

 

「ありがとう……ありがとうございます……!」

 

「感謝は後でいい。早く急ぐぞ!」

 

 そう言って二人は本部へと向かった。

 

「ちっ、くそっ!」

 

 巨人に脚を掴まれてしまったグリュック。だが巨人の指を切り落とし、なんとか脱出する。

 

「今だ!」

 

「は、はい!」

 

 巨人のいない一瞬の隙をついて二人も本部の窓を蹴破り突入することに成功した。ジャンたちより少し遅れて……。

 

 

 

 

 

 ###

 

「ジャン! ありがとう! お前のおかげだよ! 前にも言ったろ! ジャンは指揮役に向いてるって!」

 

「どうだか! わかりゃしねぇ!」

 

 巨人の猛攻をなんとか躱していくジャン。だが、それでも、立体機動中の兵士を掴む巨人もいた。

 

「うっ、ああっぁあああ!」

 

 ジャンは思わず振り返る、でも、それでもジャンは前に進んだ。

 

「クソッ、はぁぁあああ!」

 

 窓を蹴破り、ジャンたちは本部に辿り着いた。

 

「はぁ……何人、辿り着いた……?」

 

(仲間の死を利用して……俺の合図で……何人……死んだ?)

 

 ジャンは自分の頭を抑える中、膝を抱えブルブルと震える訓練兵を見つけた。中には血を浴び、涙を流しているものもいた。

 

「お前ら……補給の班……だよな?」

 

 机の下から引きずり出し、ジャンは思い切り殴った。

 

「よせジャン!」

 

 マルコが慌てて取り押さえる。

 

「こいつらだァッ! 俺たちを見捨てやがったのはァッ! テメェらのせいで、余計に人が死んでんだぞ!!」

 

「補給所に巨人が入ってきたのぉっ! どうしようもなかったのぉ!」

 

 と、ぶたれた兵士を庇う。

 

「それを何とかすんのがお前らの仕事だろうがぁっ!」

 

「はぁ……はぁ……何とか間に合ったか……よかった。ジャンも生きていたな……」

 

 グリュックが窓を蹴破り入ってきた。

 

「グリュック? お前……生きてたのか!」

 

「あぁ……何とか一人、助けられたよ」

 

 その時、何か物音に気づいたライナーが皆に「伏せろ!」と警告する。

 

 その瞬間、巨人が本部の壁を顔で突き破った。その衝撃で、隠れていた補給班が吹き飛ばされた。

 

「しまった……人が集中しすぎた……」

 

「いやぁ!! 巨人が来たぞ!」

 

「逃げろ!」

 

「ミカサはどこいったんだよ!」

 

「とっくにガス切らして食われてるよ!」

 

 口々にそう言って逃げていく訓練兵達。

 

(普通だ……これが現実ってもんだろうな……俺は、夢かまぼろしでも見てたのかもしれねぇ。知ってたはずだ。現実って奴を……普通に考えれば、簡単にわかる。こんなデケェ奴には、勝てねぇってことくらい────)

 

「諦めるな!!」

 

 その瞬間、空いた穴から覗いていた巨人の顔が、ぺしゃりと凹む。

 

「何っ!?」

 

 吹き飛んだ巨人に向かって、"巨人"が咆哮する。

 

「ガァァアアアアアア!!!」

 

「ありゃ……なんだ?」

 

 そして、またもや窓からミカサ、アルミンを抱えたコニーが入ってきた。

 

「あっぶねぇ、もう空だ。やったぞ、ギリギリ着いた!」

 

「お、お前、生きてんじゃねぇか!」

 

「やったぞアルミン! お前の作戦は、成功だ!」

 

 アルミンの背中を叩きながら褒めるコニー。

 

「みんな! あの巨人は、巨人を殺しまくる奇行種だ! しかも、俺達には興味を示さない! あいつを上手い事利用出来れば、俺たちはこっから脱出できる!」

 

 ────巨人を襲う巨人、その真意とは




感想くれると嬉しいです。辛口がいいです

グリュックに魅力は感じますか?

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