進撃の巨人 The end -ゲームの主人公が生きていました- -誰が為の翼-   作:キラトマト

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結構時間飛びます。


#6 今、何をすべきか/調査兵団

 その後、駐屯兵団による砲撃を防ぐために2度目、そしてトロスト区奪還作戦のために3度目の巨人化を果たしたエレンだったが、何度も巨人化したせいか正気を失ってしまう。だが、エレンを覚醒させるべく語りかけたアルミンによって巨人化したエレンは目覚め、大岩を運び始めた。

 

 トロスト区内に侵入した巨人たちがエレンに群がるのを防ぐため、イアンをはじめとした精鋭班は決死の覚悟で巨人を自らに引きつける作戦を展開する。数々の命が無残に散っていく中、巨人化したエレンは遂に壁の穴を大岩で防ぐことに成功する。だが、人類の反撃と称し歓喜するには、あまりにも人が死にすぎた……。

 

「巨人は……殺し終えた……か」

 

 エレンが穴を塞いだ後、急遽駆けつけた調査兵団と駐屯兵団工兵部、そして残ったグリュック・シュバインによってトロスト区内に残存していた巨人は早急に排除された。だが……。

 

 グリュックは残った死体を見つめながら呟いた。

 

「死体はまだ、残ってるんだな……。あいつらは蒸気になって消えんのにさ……」

 

 酷い話だ。巨人に殺された者は死体となり、伝染病を広める二次災害を引き起こすのに対し、巨人は跡形もなく消えてしまうのだから。

 

「これでようやく、話が聞けそうだな……。おい、ガキ……このトロスト区で何があった」

 

 リヴァイ班に着いていき、壁上に登る。

 

「壁内に残っていた巨人の掃討は完了したようです。ですが壁に空いた穴は、大丈夫なんでしょうか……」

 

「心配ない。既に駐屯兵団工兵部が、封鎖作業を開始している」

 

 リコと調査兵団団長 エルヴィン・スミスがやってきた。

 

「駐屯兵団には多大な負担をかけてしまった。力になれず申し訳ない」

 

「いえ……加勢頂き感謝致します。我々だけでは、今頃……」

 

「リヴァイ、ご苦労だった」

 

「労いの言葉なら、まずそこのガキにかけてやれ」

 

「……新兵か?」

 

「はっ!」

 

「穴を塞いだエレン・イェーガーと同じ、104期の訓練兵です」

 

「エルヴィンは見てなかっただろうけど、卒業したての訓練兵とは思えなかったよ」

 

「そうか……よく恐怖に耐えて戦ってくれた」

 

「いや〜、本当によく働いてくれたよ。君はいい兵士になる……と、思うな」

 

「あっ、ありがとうございます!」

 

 

 

 

 

 

 

 ###ジャン

 

「……オイ、お前……マルコ……か……?」

 

 ジャンは、家にもたれ掛かる、半身を齧られた死体を見て言った。

 

「訓練兵、彼の名前が分かるのか?」

 

「……。見ねぇと思ったら……」

 

「でも……コイツに限って……ありえねぇ。……マルコ……何があった……?」

 

「だ……誰か……誰か……コイツの最期を見た奴は……」

 

「彼の名前は? 知っていたら早く答えろ」

 

 そうやって冷徹に問う衛生兵に、ジャンはこれまでにないくらい睨みつける。

 

「……わかるか訓練兵。岩で穴を塞いでからもう2日が経っている。それなのにまだ死体の回収が済んでいない。このままでは伝染病は蔓延する恐れがある。二次災害は阻止しなくてはならない。仲間の死を嘆く時間はまだ無いんだよ。わかったか?」

 

 これまでもこの地獄を体験してきたのであろう衛生兵は、生気を感じられない目で言った。

 

「104期……訓練兵団所属、19班……班長、マルコ・ボット……」

 

 それを聞いた衛生兵は死者名簿に名前を記入し言った。

 

「マルコか……名前がわかってよかった。作業を続けよう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ### サシャ

 

「……なんですか、これは……」

 

 誰の死体か判別もつかなくなった肉塊を見た彼女は言った。

 

「くッ……巨人が吐いた跡だ」

 

 鼻を押えながら言った。

 

「奴らには消化器官が無ぇんだろうから、人食って腹一杯になったらああやって吐いちまうんだと」

 

「……そんな……」

 

「クソッ……これじゃあ誰が誰だか見分けつかねぇぞ……」

 

 

 

 

 

 ###

 

「ごめんなさい……ごめんなさい……」

 

 頭の半分が無くなったミーナ死体を見て何度も何度もアニは謝った。

 

「謝っても仕方ないぞ。早く弔ってやるんだ」

 

「全部……無駄だったのかな……」

 

 死体焼却の時が来た。そんな時、コニーが呟いた。

 

「あんなに訓練したのに……」

 

(皆、後悔してる……こんな地獄だと知ってりゃ兵士なんか選ばなかった……。精魂尽き果てた今……頭にあることはそればっかりだ。なぁ……マルコ……。もう……どれがお前の骨だか……わかんなくなったよ……。兵士になんかならなければ……お前らなんかに出会わなければ……次は誰の番かなんて考えずに済んだのに……)

 

 ジャンはエレンの言葉を思い出す。

 

『お前は戦術の発達を放棄してまで、大人しく巨人の飯になりたいのか?』

 

(てめぇに教えてもらわなくてもわかってんだよ、戦わなきゃ行けねぇってことぐらい……でも……わかっていてもてめぇみたいな馬鹿にはなれねぇ……誰しもお前みたいに……強くないんだ……)

 

(今……何をするべきか……)

 

「おい……お前ら……」

 

 ジャンは立ち上がり、104期の中でも特に親交の深いコニー、サシャ、ライナー、ベルトルト、アニに話しかける。

 

「所属兵科は何にするか、……決めたか? オレは決めたぞ。オレは…………。オレは……調査兵団になる」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ###

 

 巨人となったエレンに対する民衆の反応は様々だった。壁のより内側に住む者ほど、破滅に導く悪魔と恐れ、より外側に住む者ほど、希望へと導く救世主と呼んだ。中央政府はエレンを憲兵団、調査兵団のどちらに引き渡すかの審議にかける。そして審議の結果、調査兵団特別作戦班・通称『リヴァイ班』に所属することとなったエレン。そしてグリュックも一足先に調査兵団に所属することとなった。

 

「皆、聞いていると思うが先日の特別兵法会議の決定を受け、彼を正式に調査兵団に迎えることとなった」

 

「エレン・イェーガーです。よろしくお願いします!」

 

「私は、エレンが人類にとっての希望であると確信している。それを早急に証明することが、我々の当面の目的である。尚、彼はリヴァイ兵士長の管理下に置くことになっているが、その他の体制はこれから決めることになる……以上だ」

 

 と、解散したところで、同期であるグリュックが何故ここにいるのかをハンジに問うた。

 

「ええと……あいつ何で……?」

 

「ああほら、調査兵団は慢性的な人手不足だろう? 君が来てさらに忙しくなりそうだから、私が借りてきたんだ」

 

「しかし分隊長……正式配属前の訓練兵を使うというのは不味いのでは?」

 

「上にはちゃーんと話を通してあるから心配入らないよ。エレンも同期がいたほうが気が楽だろうと思ってね」

 

「ええ、そうですね……」

 

 エレンはそう言って、グリュックの元に向かった。

 

「調査兵団には、変わった人が多そうだよな……お前がいてくれて、正直ホッとしてるよ……。そういえばお前、ハンジさんに指名されたって聞いたぞ。訓練成績が高いやつは他にもいるのに、なんでだろうな」

 

「わからない……でもハンジさんって変人だし、何かに引っかかったのかもしれないな」

 

「そうか……確かにそうかもな。とにかく、オレはもともと調査兵団に入るつもりだったしここでやれるだけのことをやってみるつもりだ。お前もいつまでここにいんのかわかんねぇけど……。しばらくの間、よろしく頼むな」

 

「あぁ、俺も調査兵団に入るつもりだったから、辞めることは無いと思うよ」

 

「そうか! じゃあグリュック! これから頑張ろうぜ!」

 

 と、二人は手を取りあった。エレンと分かれて少し経った。その時……。

 

「ミケ分隊長!?」

 

 後ろから何やら鼻息が聞こえてきたから振り返ってみればこれだった。

 

「……やはり、前に嗅いだ時と同じだ。お前には何か他の奴とは違うものを感じる」

 

「な、なななななんですか急に!?」

 

「グリュック、お前……何か特殊な力があるんじゃないか?」

 

「優れた才能……ってことですか?」

 

「そういうことだ。お前自身も、わかっていないようだが。何か特殊な能力があるのなら、巨人との戦闘で役立つかもしれん。俺の鼻のように……。どういう力か確かめたい俺が見てやろう」

 

(本当かそれ……ちょっと変な人だけど、調査兵団No.2の人に直々に……?)

 

「分隊長の迷惑でなければお願いします!」

 

「構わない。俺も暇な訳では無いが、お前の力に興味がある」

 

(ていうか……急にこんなこと……俺が体験していいのか……?)

 

 非常に貴重な体験に思わず口角が上がってしまい、グリュックは改めて気を引きしめる。

 

「思いつく限りの手段で力の正体を探ってやる。厳しい特訓になるかもしれんが、音を上げるんじゃないぞ」

 

 

 

 

 

 ###

 

「いいな、始めるぞ。今日の訓練内容は────」

 

「はぁ……はぁ……」

 

「ミケ、その子に何を……って、あの時の訓練兵じゃないか」

 

「はぁ……はぁ……って、ナナバさん?」

 

 訓練兵時代に特別教官として来ていたナナバとの再会、グリュックにとっての憧れの人にもう一度会えたことに、彼は歓喜した。

 

「ナナバとグリュックは知り合いなのか?」

 

「あぁミケ、訓練兵団に一度、教官として赴いたことがあってね。それでミケ、一体彼に何をしていたんだい? まさか、直々に訓練をつけてあげてるとか?」

 

「そうだ、こいつには特殊な能力がありそうなんでな」

 

「ああ、匂いで何か感じたってことですか。そういうことなら、俺達も協力しますよ」

 

 そう言ってナナバと同じミケ班のメンバー、ゲルガーも訓練への参加を要望する。

 

「そうか……グリュック、お前もそれでいいな?」

 

「も、もちろんです!」

 

「ああ……ナナバもゲルガーも、腕が立つ奴だ」

 

(ミケさんに続いて精鋭のナナバさんにゲルガーさんまで……)

 

「ナナバ、ゲルガー、交代だ」

 

 

 

 

 

 

 

 ###

 

「ミケ、新兵にこの訓練は酷じゃないのか?」

 

「コイツ、もうボロボロですよ」

 

「ひととおりの訓練をしてみたが……未だに力の正体が見えん」

 

「……まだです。まだ、やれます!」

 

「よく言った。そういうことなら……。よし、次の任務は俺と一緒に参加しろ。実践でこそ発揮される力もあるだろう。それでもわからなければ……少し違った切り口で探ってみよう」

 

(違った切り口……?)

 

 

 

 

 

 

 

 ###

 

「任務は成功だ、よく頑張った……グリュック、お前は見所がある……まだ未熟な面もあるが兵士としての資質は十分だ。残念ながら、実践の中でも、どんな力かわからなかったが……引き続き、特訓を重ねて探っていくとしよう」

 

 

 

 

 

 ###

 

 自分の能力の正体を探る為、ミケ ナナバ ゲルガーとともにもう一度特訓をすることにしたグリュック。今回の場所は食堂、グリュック含む3人が疑問に思っていると……。

 

「来たかグリュック……では、さっそく特訓の続きだ。今日は切り口を変えてみる。この場所で他の兵士がしている雑談を聞き取り、逐一俺に報告するんだ」

 

(? どういうことか意味がわからん……)

 

「じょ、冗談ですよね?」

 

「冗談では無い」

 

「ナナバ、ゲルガー、お前達も同じように聞き取って、報告してくれ」

 

「え、何で俺達まで……?」

 

 ゲルガーは頭の上にハテナを浮かべる。

 

「……ミケにも考えがあるんだろう。やるしかないよ、ゲルガー」

 

 そして特訓が始まった。だが……。

 

「し……集中しすぎて、頭痛が……ミケさん……何かわかりましたか?」

 

 頭を抑えながらゲルガーは言った。

 

「ああ、こいつとお前らを比べてみて確信した。どうやら特殊な力の正体は……」

 

「力の正体は……?」

 

「細かい音まで拾うことが出来る……超人的な聴力だ」

 

「……は?」

 

「……ミケ、仮にそれが正解だとしても、巨人との戦いでは、あまり役に立たないんじゃないか?」

 

「イヤ、そんなことはない。いくらでも使いようはある」

 

「えっと……例えば遠くにいる仲間に報告ができる……とかですか?」

 

「ああ、今までより情報の伝達が遥かに容易になる」

 

「……イヤ、信煙弾を使えばいいじゃないか。確かに状況によっては、口頭伝達の方がいいけど」

 

 ナナバの言うことも正しい……が。

 

(そういえばトロスト区の壁が破壊された時もアルミンの声ってすぐわかったしな……)

 

「とにかく、これでお前がどういう力を持っているかはわかった。後はその力をどう活かすかだ……頑張ってくれ」

 

 かくして、自分の能力も分かり、そしてミケ ナナバ ゲルガーとの親交を深めることもできたグリュック。

 

 ────再会はいつだって唐突に




感想くれると嬉しいです。辛口がいいです

グリュックに魅力は感じますか?

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