ガンダムビルドダイバーズフリューゲル 作:ポメラニアンドロイド初号機くん
「おいコラ、レンさんよぉ、こっちは真剣なんだ。こんな時にふざけるならサタケの奴にかませなかったぶんもテメェを殴る……!!」
ブチ切れ寸前のテンションでレンにくってかかるクロ。
「僕はふざけてなどいない。ウイルスはGBN内のデータを侵食して汚染テクスチャを生み出す。そいつが周囲のデータを読み取り形質をコピーする。全く、サタケも悪趣味なウイルスを作ったものだ……汚染テクスチャから自身のガンプラが出てくるなど……」
「汚染テクスチャを浄化しないとコピーガンプラうじゃうじゃって事か」
シグレがそう呟く。
「まあ、そう言う事だ……」
「広域散布ワクチンができるまで地道に汚染テクスチャ浄化だろ?やってやるよ。ッ
クロがそんな声を出し、気合を入れようとしたところ、
「アズナブル……」
サヤがここ一番のボケをかました。うん、めちゃくちゃ滑った。
「………忘れて……」
赤面しながらサヤが呟く。
「無理」
「記憶を消すにはコックピットにダインスレイブカノン……でいいんだっけ……」
怖っ!!サヤ怖っ!!
「すんません忘れます」
「今のはカラスマ先輩が悪いと思います」
ユウにすら怒られた。悪ノリはダメだなやっぱり。
「さて、僕はここで失礼する。ジュピターに伝言があれば伝えよう」
レンはそう言ってジュピターさんとの連絡役を買って出る。
「今すぐここに援軍に来てほしいって伝えてくれ」
「任された。ではさらばだ」
それっきり機械音声の秘匿通信は途切れた。
「ちょっとムカつくけど不思議な奴だったな」
通信を切る時にレンが送り付けてきたアイテムボックスからワクチンを取り出しアルテミスに投与、これで助かるはず。
ワクチンが投与されて意識が戻ったアルテミスにアステリアが駆け寄る。
「アルテミス、大丈夫??」
「アステリア、私………私……サタケにいいように使われて、フリューゲルのみなさんに迷惑かけて、挙句の果てにアステリアを殺そうと………ごめんなさい……」
「ば〜か、許すも許さんもねえ。あんたをおもちゃにしたのもウイルスばらまいてあんたとGBNを天秤にかけさせようとしたのも腐れ外道のサタケだ。見てな。あんたはもう救ったからあとはきっちりGBNも元通りにしてやらぁ。フリューゲルは、欲張りなフォースだからな」
クロはアルテミスに背中を向けて振り向かずにブラックエンドに乗り込んだ。俺より身長は少し低いが漢らしさ全開のリーダー、クロだった。
「男子として微妙に敗北感があるな……リーダーかっこよすぎだろ……」
「当然……私はあの男らしさでクロを好きになったんだから」
サヤの惚気話は初めて聞いたかもしれない。たった一言だけだったけど。
そんな会話と呼べるか怪しいやり取りの後、目の前に汚染テクスチャを発見。
近付いた瞬間、バエル・フギン=ヴィゾフニル、ブラックエンドフィアーズ、ガーネットレイジ、ソニックスナイパー、アメジスティアーのコピーが現れた。
「出たな……なら、俺とサヤの合体必殺技……パクれるもんならやってみやがれ!」
「OK。ギア上げていくよ、クロ」
クロのブラックエンドフィアーズが斧を構え、加速を伴う独楽のような回転を始めた。
一方、サヤのソニックスナイパーはというと高度を上げて敵機体を俯瞰しながら滞空している。
「私とあなたは一騎当千……」
「俺とお前は最速最強!!!」
「比翼連理の双星光り……」
「天地鳴動、雷鳴発破!!!」
「天上天下、森羅万象……」
「轟き響け、我らが鼓動!!!」
「「我らが奥義……受けよ狗ども、連携合体、必殺絶殺……
斧を構えたまま独楽のように回り続け、ブラックエンドフィアーズは竜巻のような回転斬りで何体ものコピーガンプラを巻き込み一ヵ所に密集させた後に急制動をかけ、フルスイングした斧でコピーガンプラ達を空に打ち上げた。
そこに急降下で襲いかかるソニックスナイパーはダインスレイブカノンの長いバレルを振りかざし殴打につぐ殴打、バレル先端での打突後にゼロ距離連射で追撃し、トドメとばかりにバレル側面で叩き伏せて落下地点に最後の一射。
クロは元々荒々しい戦闘スタイルだが、この合体技はサヤの方が獰猛な暴れっぷりを発揮していた。
「ここは俺とサヤに任せて、先に行け!!」
クロは押し寄せるコピーガンプラの前に仁王立ちしたまま、俺達にそう言った。
任された。リーダー、あんた最高にかっこいいよ。やっぱりあんたあってこそのフリューゲルだ。
「さ〜て今から…………、斬って斬って斬りまくるゥ!!!」
クロは自分を鼓舞するようにデュオ・マックスウェルの有名なセリフを口にした。
「弾切れは気にしない……………」
サヤもトロワのセリフでそれに応じる。まあ、実際サヤは弾切れになったらダインスレイヴカノンのバレルで敵を殴り倒しながらでも戦い続けそうだ………
圧倒的な戦力差、やがてはすり潰される事を覚悟でクロとサヤはコピーガンプラの軍勢を引き受けてくれた。
2人の覚悟を無駄にしない為にも俺達は先に進み、一刻も速く汚染テクスチャの根源を排除しなければならない。
俺達は2人に背を向けて先に進んだ。
次のポイントは汚染テクスチャが広いエリア内に無数に広がっていた。そこかしこから際限なく現れるコピーガンプラ達。
「まさしくモンスターハウスって感じだな……なら、俺が突破口を切り開いて見せよう……」
シグレが前に出る。
「リィラトランザム……」
シグレのアメジスティアーは幻想的に揺らめく紫の光を纏った。そのまま跳躍して、右手に振動式対装甲ブレード「幻夜」、左手にコールドブレードを構えた。
「秘奥義……
両手の刀を交差させて冷気を纏った極大の斬撃を飛ばす。すると、コピーガンプラ達が広範囲にわたり巨大な氷塊に閉じ込められた。
「
シグレが刀を鞘に納める頃には氷塊は粉々に砕け散った。
シグレの必殺でかなり数は減ったが依然として物量差はひっくり返らない。
「俺の
「その必要はない……ここはアタシに任せろ」
この声は………やっぱりだ。ジュピターさんが援軍に来てくれた。しかもクシャトリヤに乗って。他のフリューゲルメンバーもぞくぞくと駆けつけた。
「クシャトリヤは正直アタシの趣味じゃないが、今回は火力重視、妥協するか……」
ジュピターさんが乗っているクシャトリヤはバインダーと機体前面のメガ粒子砲と、さらにファンネルのフルバーストを行う。圧倒的な物量差がジュピターさんとクシャトリヤだけの力ですり減らされて、時間をかければ勝てなくもないレベルにまでなった。ちなみに、その間ジュピターさんのクシャトリヤは腕組みしたままその場から一歩たりとも移動していない。
「ここはもう大丈夫だ。お前らは先に進め。ただしシグレ、テメーは駄目だ。お前はフリューゲルのシグレ小隊指揮官だからな」
ジュピターさんはそう言って次のポイントの位置を俺達にデータ送信した。
シグレside
「シグレさん、準備はできてます。ぶちかましてやりましょう!!」
ホンダ機のザクⅡウィステリアからの通信。
「面白い………シグレ小隊、戦闘配備!!!」
やはり俺は戦術屋、これが適材適所………
ああ、最高の舞台だ。内心でそう呟いた俺の表情には獰猛な笑みが浮かんでいた。
データ上で俺達の機体をコピーしただけの木偶人形どもに本当の戦いという物を見せつけてやる…………!!!
シグレside 終
次のポイントは、衛星観測結果を見る限り最後だが、想像を絶する汚染テクスチャの広さだった。広い森林地帯の木のほとんどが汚染テクスチャの毒々しい紫に染まっていた。
「よし、レーヴァるか。辺り一帯焦土にして汚染テクスチャ燃やそう……」
「わ〜!?カラスマ先輩駄目です〜!!災害レベルの必殺技をそんな軽々しく使わないでください!!」
ユウが必死に止めようとする。じゃあどうしろって言うんですか!!!(←バナージ並感)
「お困りのようだな。時にカラスマ、美人で頼れるスーパー幼なじみの私が力を貸そうか??」
「ミカゲ……!!リアルの都合でログインできないんじゃなかったのか!?」
「あれは嘘だ。少しでもカラスマの足を引っ張らないで済むようにカラスマと会ってない数日間、ジュピターさんのもとで修行していたんだ」
颯爽と現れたミカゲは汚染テクスチャの温床となった森林から次々に出てくるコピーガンプラをアーマーペネトレーターで貫き殴打しながら平然と答えた。
ジュピターさんとの修業を終えて帰ってきたミカゲは心機一転、ダイバールックも変更されていた。
基本的な容姿はリアルと大差ないが今までとは違い、伊達眼鏡をやめて黒地に赤い彼岸花柄の和服を着て、左肩には般若の面を飾りとしてあしらい、腰にはブラッディフレームツェペシュが装備している色香ノ殺女をダイバーサイズに縮尺したレプリカの刀を身に付けていた。
満月に照らし出された毒々しい紫で染まっている森林。
かつてない広範囲の汚染テクスチャと果ての見えぬコピーガンプラの進軍。そこにミカゲのブラッディフレームツェペシュが悠然と降り立つ。ミカゲはアーマーペネトレーターを自身の後ろに放り投げた。
「今宵のクロサキ・ミカゲは今までとは一味違うぞ……さて、カラスマの前に立ちふさがる餓鬼畜生有象無象塵芥の輩ども……我が必殺の奥義にて葬り去るとしよう、人の恋路を邪魔する者は………」
色香ノ殺女、抜刀……
「……恋の炎に抱かれて消えよ。天照大御神も照覧あれ、今ここに……カラスマへの愛を示す時!!!!
ミカゲが振るう色香ノ殺女の太刀筋から鮮やかなピンクと深い黒の二色に揺らめく炎が吹き出し辺り一帯に燃え広がった。ミカゲの恋の炎は汚染された森林ごとコピーガンプラを呑み込む。
「森林火災!?大変です〜!?」
ユウが慌てふためいている。
「案ずるな、私の恋獄大炎照の炎は恋の炎。私がカラスマの邪魔になると判断した物や者だけを焼き尽くす……」
「ほどほどにな……だが、流石ミカゲ、最高に頼れる
その時、地響きがした。ミカゲの恋獄大炎照の炎で浄化されていく汚染テクスチャの中から規格外に巨大なテクスチャの集合体が出現して
ウネウネと形を変えている。
「ラスボスか……さて、これはもうレーヴァるしかないだろう?ところでミカゲ、大炎照の炎を俺に纏わせて火力ブーストは可能か?」
「試した事はないが最初からカラスマの為の技だ……この炎を纏わせる相手がカラスマなら、必ず守ってくれるだろう」
「OK。ならやろう」
即断即決善は急げ……ってね。
「恋獄大炎照……カラスマを守れ……!!!!」
ミカゲの恋の炎を纏い、機体高度を上げる。
地上には、サタケの悪意の化身とも言える汚染テクスチャ集合体のおぞましい姿。
俺の心に沸々とサタケ・ショウマへの怒りが湧いてきた。
あいつには誰の言葉も届かない。単なるエゴイストだからな。
だから、俺がいくら怒ったとこで、それはサタケに言わせれば自己満足に過ぎないのだろう。
だが、今の俺は機嫌が悪い……八つ当たりに付き合ってもらうぞ…………!!!
自らのエゴの為に、勝手な価値観、勝手な基準で、生き物じゃなくてデータだからだとか、勝手な区別で、心を交わす事のできる相手を、感情のある相手を、お前はおもちゃにした。俺はそれが………、気に入らない!!!
だから、俺はお前の予想するお前にとって
とにかく、今許せない事だけはここで解消してやる。
ああ、頭のなかぐちゃぐちゃでうまく言葉が整理できない、だから、つまり、
「
俺の怒りに呼応するように、バエル・フギン=ヴィゾフニルは通常のバトルであればフィールド全体から観測できるくらい巨大なクレーターを作りかねないほどの正真正銘の災害をもたらす破壊の凶星へと転じた。
「「厄災の恋火に呑まれて滅びよ………!!
バエル・フギンヴィゾフニルはミカゲの恋の炎すらも自身の糧とし、自らを絶対殲滅一切破壊の剣と化し、森林もろとも更地に変えて汚染テクスチャ集合体のバケモノを完全に蒸発させる。
「もうこの二人だけいたら私いらないんじゃないですか??」
呆然としたままユウが呟いた。
その後、広域散布ワクチンが完成して、完全に後手に回っていた運営側に匿名(たぶんレン)で届けられ、サタケがばらまいたウイルスはGBNから完全に消滅した。
思えば今回の事件、ウイルスの解析にワクチンプログラムの制作。運営が事態を把握する前から行動して事件そのものを最小限の被害、規模に治めた一番のMVPはレンだ。
言って見れば俺達はレンのパシりをしたに過ぎない。何者なのだろうか?
その後、コピーガンプラと戦っていた仲間達とも合流。
アルテミスもGBNも無事に守った俺達フリューゲルの面々が空を見上げると、黎明が俺達を祝福するかのように訪れた。
完結記念 作者が選ぶ、ビルドダイバーズフリューゲル好きな場面集
クロとサヤの連携必殺ツインコメットランページタイフーン、の……詠唱または口上
フル掲載
私とあなたは一騎当千 俺とお前は最速最強
比翼連理の双星光り 天地鳴動 雷鳴発破
天上天下 森羅万象 轟き響け 我らが鼓動
我らが奥義 受けよ狗ども 連携合体 必殺絶殺
ミカゲの必殺 燦然世壊、恋獄大炎照
ヤンデレ感全開……だがそこがいい。
ちなみに本編終了時点でのフリューゲル主力メンバー達の強さを格付けチェックすると
師匠超えカラスマ&覚醒ミカゲ→もはや人外
↓
クロ&サヤ→ちょいバケモノ
↓
シグレ&ユウ→強いけど一応常識の範囲内に踏みとどまってる
って感じです。
なんとか自分自身満足できる物がかけたのでそれでは、今までありがとうございましたm(_ _)m