ガンダムビルドダイバーズフリューゲル 作:ポメラニアンドロイド初号機くん
それでは三話目、どうぞ。
「今日は模擬戦だ。シグレとカラスマに模擬戦をしてもらう」
俺とシグレがGBNにログインした後、出会い頭にジュピターさんが俺達に対して一方的にそう告げた。
「おいおい、カラスマはまだまだ初心者らしいじゃないか。そんなもの俺が勝つに決まってるだろ……」
明らかに馬鹿にした態度の紫忍装束野郎(←シグレの事)がなんかムカつく。けど対人戦はろくにやった事ないんだよなぁ……
「カラスマの学習能力と戦闘スキルを甘く見ると痛い目にあうぞ。アタシはカラスマの現在の実力がAランク相当だと思ってる」
ジュピターさんからそこまで評価されてるとは……これは何がなんでも勝つしかない。シグレを少し黙らせてやろう。
俄然やる気が湧いてきた。
「ルールはフィールド3パターンの3試合、先に2勝した方の勝ちだ。それでお互い文句はないな?」
ジュピターさんが俺達に尋ねる。
「了解っす」
「叩きのめしてやるよ」
俺とシグレは同時に答えた。
最初のフィールドは暗礁宙域。無数のスペースデブリが至る所に存在するフィールドだ。
「カラスマ・ユウゴ、ヤタガラス。飛翔する!」
「シグレ・ソウスケ、イフリートナハト紫暮。参る!」
お互いにフィールドの両端から出撃してデブリ帯に到達。
「デブリが邪魔でまともに進めねえな。とりあえず慎重にビームライフル主体でいくか……」
俺はウェポンスロットからビームライフルを選択して装備。イフリートナハト紫暮を探す。だがイフリートナハトは本来ステルス機だったはず。ジャミングを使われたらレーダーにも熱感知にも映らないだろう。目だけが頼りだ。
しかし俺が目にしたのは驚くべき光景だった。イフリートナハト紫暮がデブリ帯を猛スピードで突っ切ってくる。さながらフル・フロンタルのシナンジュのように障害となるデブリを蹴って加速しながら。さらに背部ブースターのスラスター部分をフレキシブルに可動させて変則的な機動をしている。
おそらくあれは空間戦闘用ブースター……イフリートナハトは本来陸戦型だからあれを破壊すれば動けなくなるはず。
「当たれッ!!」
俺はビームライフルとライフルの銃身下のグレネードランチャーを連射する。
シグレ・ソウスケside
カラスマはデブリ帯の中を無理に動かず射撃主体で戦う事を選んだようだ。ビームライフルとグレネードをめちゃくちゃに撃っている……ように見える。
あれは一見無造作に見えてこちらの回避を誘導している。本命は置きビームか隙を作りブースターの破壊か……どちらにせよ、計算ずくで初心者の戦い方ではない。ならば、
「正面から押し切る。幻夜、抜刀……」
左手でバックパックのフレキシブルアームに懸架された刀を抜き放つ。
幻夜で防げないグレネードのみを回避してビームは対ビームコーティングされた幻夜の刀身で受ける!!
シグレ・ソウスケside 終
シグレはヤタガラスのビーム射撃に対して回避するどころか、イフリートナハト紫暮の背部フレキシブルアームから刀を抜き放ち、刀身でビームを受けた。おそらく対ビームコーティングされているらしく、ビームは切り裂かれイフリートナハト紫暮には微塵のダメージもない。そのまま間合いを詰めて近接戦闘に持ち込むつもりだろう。
対ビームコーティングされた刀が相手ではビームブレードもなんの役にも立たないはず、ならば……
俺はビームブレードを連結させてビームナギナタ形態にし、回転を加えて投擲した。ブーメランのように回転しながら飛んでいくビームナギナタ。イフリートナハト紫暮は回転しているビームナギナタの基部を正確に刀で断ち切る。
既に目前まで迫ったイフリートナハト紫暮が刀を大上段に振りかぶった。
俺はヤタガラスの左腕で刀を受ける。左腕を犠牲にして右膝蹴りで刀をイフリートナハト紫暮の左手から弾き飛ばして右手のパンチで頭部を破壊した。
ガンダムファイト国際条約第1条!!頭部を破壊された者は失格となる!!!……というのはガンダムファイトじゃないからルール適用されないが、モビルスーツにおいて頭部にはだいたいメインカメラがあるから破壊されたらほぼ視界を失う。
「たかがメインカメラがやられただけだ!!」とか言ってるアムロが異常なだけだ。
「クソッ、メインカメラを……」
チャンス到来、俺はヤタガラスの首横のビームガン(クロスボーンの胴体部の装備。引き抜いてビームサーベルとしても使える)を撃ちまくりイフリートナハト紫暮のバイタルパートに直接攻撃した。
イフリートナハト紫暮、撃墜。一戦目は俺が勝った。
「だから言ったろ?あいつはスペシャルだって」
自分が勝った訳でもないのに得意げなジュピターさん。
「本当に初心者であれだけ戦えたのなら、マジで天才なのかもな……忌々しい」
そして悔しそうに吐き捨てるシグレ。
機体の修理を挟んで次のフィールドはコロニー内。一応重力が存在しているのでホバー移動できるイフリートナハト紫暮がやや有利かもしれない。
再び戦闘開始。
イフリートナハト紫暮がホバー移動で猛然と吶喊してくる。何か見慣れないコンテナを背中に装備している。お得意の白兵戦に持ち込むつもりだろうか?さっきの刀もあるから近付かれると不利だ。ビームライフルで牽制しつつ距離を保って……
その時、一瞬コロニー内のビルにイフリートナハト紫暮の姿が隠れた瞬間、レーダーから完全に反応が消えた。しまった……!?ジャミング機能だ!
シグレ・ソウスケside
ビルの陰に隠れて、背部コネクタに装備したコンテナから今回の切り札を展開する。
「行け、シアーハートアタック……」
自走式地雷、シアーハートアタック。敵を自動追尾して特攻するシンプルな兵器。左右のコンテナに6基ずつ計12基。さて、カラスマはこれをどう捌くのだろうか……たとえ一度でも、ギリギリの戦いでも俺に勝ったのなら凌いでみせろ。
俺はイフリートナハト紫暮から用済みのコンテナを切り離し、ビルの陰から迂回してシアーハートアタックとは別のルートからヤタガラスに接近する。ジャミングは起動したまま。
シグレ・ソウスケside 終
イフリートナハト紫暮がビルの陰からいっこうに出てこない。もしやジャミングを起動したままビルを大きく迂回して背後をとるつもりだろうか?
そう考えていた時の事だった。ビルの陰から円盤状の自走する小さなメカが出てきた。その数12基。怪しいのでとりあえずビームライフルで撃ってみたら爆発した。
「あれ全部爆弾かよ!?」
あの忍者野郎、えげつない事しやがる……
とりあえず距離を取りながらビームライフルで片っ端から迎撃していた時の事だった。
突如、レーダーに反応。位置は……俺の背後!?
振り向きざまにヤタガラスの右腕ごとビームライフルを持っていかれた。イフリートナハト紫暮が右手に持ったコールドブレードによる斬撃だ。ビームガンで応戦するが、ホバー移動による高機動を得意とするイフリートナハト紫暮には当たらない。その時、足元で爆発が起こった。さっきの爆弾だ!!
体勢を崩したヤタガラスにイフリートナハト紫暮はそのまま左腕部装甲に固定装備された折りたたみ式コールドナイフでバイタルパートを突き刺した。
ヤタガラス、撃墜。俺の負けだ。
またまた機体の修理を挟んで三戦目。フィールドは平原。お互い条件は同じ、遮蔽物の無い場所での戦い。今回シグレはイフリートナハト紫暮に砲撃装備を装着していた。ならば俺はあらかじめ用意しておいたヤタガラスの切り札を使おう。対艦刀「アマテラス・偽」。取り回しが悪いからさっきまでは使わなかったがこれならあの対ビームコーティングの刀にも対抗できるはず。
戦闘開始、
最初に仕掛けたのはシグレの方だった。
「出し惜しみはしねえ。くれてやる!!」
3連装ミサイルポッド二つと実体弾キャノン、4連ラピッドミサイルのフルバースト。ミサイルはビームガンで迎撃したが、キャノンをまともに食らってしまい、装甲は大丈夫だが機体がよろける。そしてミサイルの爆煙で視界が悪い。やはりここらでジャミングを仕掛けてくるはず……
レーダーからイフリートナハト紫暮の反応が消える。ビンゴだ!!ならば狙ってくるのは当然、背後!!
振り向くとそこには対ビームコーティングの刀を左手に持ち、振り上げたイフリートナハト紫暮がいた。俺は奴の左肘をヤタガラスのマニピュレーターで抑えて、すかさず巴投げを決める。
投げ飛ばされたイフリートナハト紫暮は宙返りしながら体勢を立て直し、見事な着地を決めた。
「今の、アムロの真似事か?」
シグレが苦笑しながら尋ねてきた。
「まあな」
俺はヤタガラスの左腰にマウントした対艦刀「アマテラス・偽」を抜き放ちながら答える。
「そろそろ最終ラウンドにしようぜ、シグレ……」
アマテラス・偽を振りかざしながらヤタガラスを吶喊させる俺。シグレは大振りなヤタガラスの斬撃を対ビームコーティングされている方の刀とコールドブレードで巧みにいなし、隙あらば左腕部3連装ガトリングで耐久値をじわじわと削ってくる。これがなかなかに厄介だ。なので俺は勝負に出る事にした。
アマテラス・偽を無造作に振り回し、その大振りな斬撃は当然のようにイフリートナハト紫暮にいなされる。このタイミングで……
「チョイサァ!!」
ヤタガラスの蹴り上げでイフリートナハト紫暮を宙に浮かせた。
「ッ!?」
その隙に左腕に対してアマテラス・偽を振り下ろし切断した。
「これでもう、持久戦なんて狡い真似はできないだろ?トドメだ!」
アマテラス・偽を構え直し、大上段に振り上げる。
「本ッ当に……忌々しいなぁお前。これじゃあ俺の嫌いな力対力の戦いじゃねえかよ……」
シグレがそう呟いた。そして、
「EXAM……!!」
イフリートナハト紫暮が一瞬で視界から消えた。いや、違う。視界外への高速機動!!
背後からの強烈な蹴りを食らってヤタガラスは大きく吹き飛ばされた。
「ぐぁッ!!」
イフリートナハト紫暮は吹き飛ばされてるヤタガラスに追いすがり右手のコールドブレードで斬撃を繰り出す。左腕が肩から切り落とされた。そのままスラスターの加速をつけた回し蹴りでヤタガラスに追い打ちをかける。
「全く、これだけは使いたくなかったのに使わせやがったなクソ野郎……」
シグレはそう吐き捨てると、ヤタガラスのバイタルパートにコールドブレードを突き刺した。
模擬戦終了 勝者 シグレ・ソウスケ
「結局、シグレの勝ちか……でもカラスマもなかなか強いだろ?なんたってアタシの弟子だからな」
ジュピターさんは俺達の激戦を間近で見てて興奮気味だ。俺は完全に惨敗だったけど……
「確かにカラスマは天才だ。ガンプラの完成度も初心者とは思えねえし、今の試合も俺はEXAMを使わなければ負けていた……ただ、なんとも釈然としねえなぁ……」
シグレは歯ぎしりしながら呟く。
「何故EXAMを使う事をそこまで拒む?お前の機体の完成度ならばEXAMにも充分耐えうるはずだ」
ジュピターさんが尋ねた。
「あんな物、機体の継戦能力と引き換えの博打だからだよ……」
そう言いながらシグレは拳を強く握りしめていた。
「なんだかそれだけじゃなさそうだが、デリケートな問題みたいだからアタシからは何も言わねえよ」
そうして重い空気のまま模擬戦は終わった。
今回は私専用ガンプラのイフリートナハト紫暮大活躍回でした。シグレ・ソウスケの性格的な面では一部だけですが私自身をモデルにしています。つまりシグレ・ソウスケは実質私自身!!(ウソです調子に乗りすぎました)
では次回をお楽しみに!